ミューズ

2013年1月11日 音楽
 さいたま新都心・さいたまスーパーアリーナ。2日間持たれるうちの、初日。U2(2006年12月4日)とか、レディオヘッド(2008年10月4日)とか、本当に選ばれた担い手だけができる大型室内会場で2日もやってしまう。そりゃ、人気あるとは思っていたが、こういう事実に触れる(初日は2階席正面後部、および3階席には人を入れていなかった)と、ミューズは今英国を代表する人気ロック・バンドなのだなと思わずにはいられない。

 今の最たる大衆ロックの担い手という言い方もできるのかもしれないが、その大きな支持を支えているのは、聞き手の心の琴線を臆面もなくくすぐらんとする、叙情性盛り込み術のアピール度ゆえか。そして、彼らの場合、それがヘヴィなギター・ロックから電気効果音を巧みに介したモダン・ポップ路線まで、本当に幅広い行き方のなかに破綻や違和感なく差し込めるのが要点。といったような見解を、よく構成された実演に接していると、了解せずにはいられない。とともに、ちゃんと響く歌にせよ、ちょっとした演奏にせよ、主にフロント・マンのマシュー・ベラミーの能力によるが、個人力の高さもきっちり認知させられる。彼は途中でピアノの前に座り、弾き語り基調しっとり曲もきかせるが、それもばっちり決まる。うち1曲は、日本のコメディアンの鉄拳がパラパラ漫画をつけて世界的な評判をよんだ静謐センチ曲だが、その際はその漫画が映し出されて、より歓声は高くなった。

 もともとライヴ・パフォーマンスには定評のあるバンドではあるが、プリセットの音もうまく用いての(でないと、音と照明や映像があんなにちゃんとシンクロできないはず)それは、まさしくプロのショウ。舞台美術の見せ方に長じるのはアリーナ級クラスのバンドとしての当然のことなのだが、最初は地味のように思えた電飾/舞台装置も徐々にあっと驚く展開を見せ、さすがと思わせ、見る者をおおいに湧かせた。基本エンターテインメント一直線で難しいアピールはなし、だからこそ聞き手に対して働きかけるパワーは大きかったとも思えた2時間弱のショウ。

<今日の、(使えない)JR>
 日経新聞のライヴ評を受けていたので、遅刻厳禁とけっこう早めに着くように、家を出る。やはり慣れない土地に行くのは少し気構える。普段そっちのほうから東京にライヴに見に来ている人も沢山いるはずで、文句は言えないよなー。終演後は大勢で飲み屋に流れ、皆で帰れば怖くない? 渋谷方面には複数のJR線が使えるのだが、さいたま新都心駅や途中で乗り換えた駅(赤羽だった?)は線ごとにホーム取りしていて(つまり、同じ線の上りと下りが同じホームに入る)、実に不便。たとえば、京浜東北線と高崎線の上り方面行きを同じホームに入るようになぜしないのか? そしたら両線使える者は素直に早く来た電車に乗れるのに。と、慣れない我々は思いました。