ロベルト・フォンセカ。坂田明+坂田学
2013年1月12日 音楽 キューバ愛(年に半分は海外に出ているものの、家を構えるのはキューバ以外考えられない、そう)をじっくり育みつつ、ジャズとヒップホップ他の今様ビート・ミュージックの間を自由に行き来する辣腕ピアニスト(2010年1月26日、他)の3年ぶりの来日公演、南青山・ブルーノート東京にて(ファースト・ショウ)。ずっと独エンヤからリーダー作を出していたフォンセカだが、仏ワールド・ヴィレッジに移籍して出した新作『ジョ』は本人も「生まれ変わった」というほどの新機軸作であり、今回はけっこう新作収録曲をやったか。
その新作のポイントはキューバン・ラテンの妙味/滋味と、西アフリカ語彙(新作では複数のマリとかの打楽器奏者や歌手を起用している)を美味しく交錯させていることであり、一方ではそれと遊離せずに今様な音質やビートを採用してもいること。2曲は英国人敏腕DJのジャイルズ・ピーターソン(2012年9月13日、他)がプロデュースしている。とかなんとか、結果、やはり彼は今のジャズ派生の現代表現を担える実力者であると深く頷かされるのだ。
ピアノやキーボードや歌の本人に加え、ギター(いなくても良かったな)、電気/アコースティック・ベース、パーカッション、ドラムの4人はキューバのミュージシャン。そして、コラや歌を担当するギニア人ミュージシャンも1人。そのセコウ・コウヤテが弾くコラはぼくがこれまで見た中で一番奇麗/アートな造型をしていると思えた。
その後、ビル立て壊しのために一時閉店するBar Issheeで、明(2012年10月3日、他)と学の坂田親子によるフリー・フォームなデュオ演奏をセカンド・ショウから見る。これが本当に同所のバー・イッシーとしては、最後の出し物。椅子や机とかはすでに搬出されていて、いつもより人は沢山入れたはずだが、出演者の良さ、場所の惜別度の強さ(ライヴ終了後、店主はお客さんから写真を撮られていた)などで、超満員。第一期バー・イッシーの幕切れを飾るいい出し物だったと思う。
本当にわかりあった丁々発止。これに触れると、本当のところはどうか分らないが、けっこう家で2人でジャムったこともあったのかと思えたりして。大昔、音楽雑誌の編集者だったころ、坂田明とジャマラディーン・タクマの対談というのをやったことあった。その際、誤植ミスしちゃったところがあって、ぼくのなかではお父さんのほうを見るといまだ申し訳ない気分になる。
坂田明は東京にでてきたころ三軒茶屋に住んでいて、最初にやったライヴが渋谷・BYGで阿部薫や高木元輝らとのライヴだったなんてMCもしたな。
<今日の、『平家物語 実況録音 映像編』>
ずうっと意欲的にいろんな活動を展開している坂田明御大だが、有名古典「平家物語」を下敷きに、彼が一人で物語を朗読や肉声やいろんな楽器音でふくらませたCD『平家物語』(ダウトミュージック)は彼のキャラクター/特殊技能全開の怪〜快作だ。あんなにサカタなる飛躍や蘊蓄が分りやすく出されたブツもそうはないのではないか。彼は2012年6月24日に新宿ピットインで、その坂田編「平家物語」をライヴ・パフォーマンスしたが、この日はちょうどそのDVD『平家物語 実況録音 映像編』(ダウトミュージック)の発売日。さっそく、店内でも販売されていて、買い求める人も少なくなかった。
その映像作、協調者を加えてのもので、パーソネルは坂田明(サックス、アルト・サックス、クラリネット、バス・クラリネット、鳴り物、ヴォーカル) 、ジム・オルーク(ギター、ヴォーカル。2010年11月17日、他)、 田中悠美子(義太夫三味線、浄瑠璃、朗読) 、石井千鶴(小鼓、締太鼓、ヴォーカリーズ)、 山本達久(ドラム、パーカッション。2012 年1月10日、他) 。アルバムで提示したものを根に置きつつ、坂田明なる素敵が有機的に飛翔し、奔放に流れ出て、消えて行く。息を飲む瞬間、大きく頷く部分、笑えるところなど、いろいろ。映像演出は高平哲郎で、場内映像にも凝り、商品にも一部美術処理が加えられ、見る者のキブンを高める。録音とミックスのクレジットはジム・オルーク。
古文嫌いだったぼくは「平家物語」のなんたるかをよく知らないが、それでもこの坂田映像版『平家物語』は日本人的心情/スタンスを不思議となでつつ、ジャズで培った感性/創造性のもと自在にソースを底上げしていると思う。その興味深い楽器編成もあり、また著名人オルークが入っていることもあり、ぼくは海外でも大々的に売ってほしいと思わずにいられないが。もともと外見が若々しくなかった坂田明(1945年生まれ)はまだ70代にはなっていないし、元気そのもの。アルトの音も叫びも張りがある。ディス・イズ・サカタ……なんか、御大の偉大な個性を痛感する昨今……。
その新作のポイントはキューバン・ラテンの妙味/滋味と、西アフリカ語彙(新作では複数のマリとかの打楽器奏者や歌手を起用している)を美味しく交錯させていることであり、一方ではそれと遊離せずに今様な音質やビートを採用してもいること。2曲は英国人敏腕DJのジャイルズ・ピーターソン(2012年9月13日、他)がプロデュースしている。とかなんとか、結果、やはり彼は今のジャズ派生の現代表現を担える実力者であると深く頷かされるのだ。
ピアノやキーボードや歌の本人に加え、ギター(いなくても良かったな)、電気/アコースティック・ベース、パーカッション、ドラムの4人はキューバのミュージシャン。そして、コラや歌を担当するギニア人ミュージシャンも1人。そのセコウ・コウヤテが弾くコラはぼくがこれまで見た中で一番奇麗/アートな造型をしていると思えた。
その後、ビル立て壊しのために一時閉店するBar Issheeで、明(2012年10月3日、他)と学の坂田親子によるフリー・フォームなデュオ演奏をセカンド・ショウから見る。これが本当に同所のバー・イッシーとしては、最後の出し物。椅子や机とかはすでに搬出されていて、いつもより人は沢山入れたはずだが、出演者の良さ、場所の惜別度の強さ(ライヴ終了後、店主はお客さんから写真を撮られていた)などで、超満員。第一期バー・イッシーの幕切れを飾るいい出し物だったと思う。
本当にわかりあった丁々発止。これに触れると、本当のところはどうか分らないが、けっこう家で2人でジャムったこともあったのかと思えたりして。大昔、音楽雑誌の編集者だったころ、坂田明とジャマラディーン・タクマの対談というのをやったことあった。その際、誤植ミスしちゃったところがあって、ぼくのなかではお父さんのほうを見るといまだ申し訳ない気分になる。
坂田明は東京にでてきたころ三軒茶屋に住んでいて、最初にやったライヴが渋谷・BYGで阿部薫や高木元輝らとのライヴだったなんてMCもしたな。
<今日の、『平家物語 実況録音 映像編』>
ずうっと意欲的にいろんな活動を展開している坂田明御大だが、有名古典「平家物語」を下敷きに、彼が一人で物語を朗読や肉声やいろんな楽器音でふくらませたCD『平家物語』(ダウトミュージック)は彼のキャラクター/特殊技能全開の怪〜快作だ。あんなにサカタなる飛躍や蘊蓄が分りやすく出されたブツもそうはないのではないか。彼は2012年6月24日に新宿ピットインで、その坂田編「平家物語」をライヴ・パフォーマンスしたが、この日はちょうどそのDVD『平家物語 実況録音 映像編』(ダウトミュージック)の発売日。さっそく、店内でも販売されていて、買い求める人も少なくなかった。
その映像作、協調者を加えてのもので、パーソネルは坂田明(サックス、アルト・サックス、クラリネット、バス・クラリネット、鳴り物、ヴォーカル) 、ジム・オルーク(ギター、ヴォーカル。2010年11月17日、他)、 田中悠美子(義太夫三味線、浄瑠璃、朗読) 、石井千鶴(小鼓、締太鼓、ヴォーカリーズ)、 山本達久(ドラム、パーカッション。2012 年1月10日、他) 。アルバムで提示したものを根に置きつつ、坂田明なる素敵が有機的に飛翔し、奔放に流れ出て、消えて行く。息を飲む瞬間、大きく頷く部分、笑えるところなど、いろいろ。映像演出は高平哲郎で、場内映像にも凝り、商品にも一部美術処理が加えられ、見る者のキブンを高める。録音とミックスのクレジットはジム・オルーク。
古文嫌いだったぼくは「平家物語」のなんたるかをよく知らないが、それでもこの坂田映像版『平家物語』は日本人的心情/スタンスを不思議となでつつ、ジャズで培った感性/創造性のもと自在にソースを底上げしていると思う。その興味深い楽器編成もあり、また著名人オルークが入っていることもあり、ぼくは海外でも大々的に売ってほしいと思わずにいられないが。もともと外見が若々しくなかった坂田明(1945年生まれ)はまだ70代にはなっていないし、元気そのもの。アルトの音も叫びも張りがある。ディス・イズ・サカタ……なんか、御大の偉大な個性を痛感する昨今……。