ガスリーは1980年アタマから90年代前半にかけて陰影と耽美性に富んだUK浮遊ロックを送り出したコクトー・ツインズのギタリスト。すぐに、4ADというレーベル名を思い出す人もいるだろう。21世紀に入ると我が道を行く響きに留意したインストのリーダー作をいろいろ出しており(ハロルド・バッドや元ウルトラボックスのジョン・フォックスとの共演作も)、それはまさにアンビエント・ミュージック傾向にあるようだ。

 六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。足元にはエフェクターや機材がずらり。横に置かれたテーブルには、小さなノート・パソコンも配置。ながら、それを彼はをわざわざマウスを用いて操作していた(笑い)。それらを介し、いろいろとギター音を加工したり重ねたりしながら漂う音の流れを作り出し、ベースとドラマーはそれに寄り添う。ドラマーはシンプルなセットを用いているのに、クリス・デイヴ(2012年9月21日、他)が使っていた、リンゴの皮をむいたようなむシンバルを並べる。それ、鋲打ちのシンバルのような音がするのだな。

 ガスリーの風貌や体格はまったく昔とは別人。あまりに違いすぎて、これはきっと本人に違いないと逆に思うしかないような域。で、エフェクター経由のもう一つのギター表現を家に日々こもって研鑽しまくった末の風貌とも思わせられる? 全曲、悟り(?)と隣り合わせの、淡々なパフォーマンス。アンビエント的とはいえ、けっこうセンチ&下世話なコード進行を持つものも披露し、ぼくにはニュー・エイジ・ミュージックと言われたほうがしっくり来るものもあった。1曲はピンク・フロイドの「ブリース(イン・ザ・エアー)」(『ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』収録)の一節を思わせるインスト曲だった。

 そして、飯田橋・日仏学院のラ・ブラッセリーで、フランスのシンガー・ソングライターのストレンディッド・ホースのソロ・パフォーマンスを見る。こちらも風情としては、淡々。妙にオイラはおいらだもネというノリをふわっと出す人。まだ、20代なのかな。

 外見は、優男ふう。前髪で、両目の5分の3は隠れている(笑い)。それはシャイっぽい風情を見る者に与えるが、柔らかい歌い方ながらけっこう歌声には芯があり、押し出し感は意外にある。とともに、それはまっとうなシンガー・ソングライターという感想も引き出す。と、その所感は女々しい歌声に録られているCDとの比較から生まれるものでもあるが。そして、おもしろいというか、大きな個性であるのは、アコースティック・ギターを弾きながら歌うとともに、彼はコラの弾き語りもすること。変なヤツ。コラは自作のものを2本持参、なんでも彼はけっこうアフリカにも行ったりしているのだそう。そこらへんはフランス人ぽいな。英語で歌っていたけど。

<今日の、残り雪>
 祭日であったこの月曜にけっこう降雪し、都内はパニック気味。←安息日にしといて、本当に良かったア。3月に降ることはあるが、東京の1月のまとまった降雪は1998年いらいじゃないかな。で、まだまだ随所に雪は残っている。歩くのに、少し注意を要する。こりゃ、とうぶん残るんだろうな。駅に行く途中、それなりに大きめな雪だるまがあって、ニッコリ。日仏学院の前はかなりの傾斜の坂道、大変だったろうな。