まず、コメディアン出身のボブキャット・ゴールドスウェイト(1961年生まれ)監督による2011年米国映画を渋谷・映画美学校試写室で見る。

 事前に抱いたイメージと異なったな。夢も希望もないしがない中年男が内的にパンクな女子高校生とともに、アメリカを旅しながら気に入らない連中を次々に銃殺していく。そんなストーリー情報から、モラルなんぞあっちへホイのドライな不道徳映画かと、ぼくは思ったのだ。他愛がないからこそ、スカっとする味も出る……。ところが、基本の筋はまったくそのとおりなのだが、その表題にも示唆されるように、もっとジトっとした味を持つ、いろいろとヤバいアメリカ現況を憂う方向性を抱える、何気にマジメな問いかけを持つ映画だった。

 いろいろ考えさせられて、娯楽映画というには、なにかとヘヴィ。台詞にロック・ミュージシャンの名前がいくつも出て来たりもするが、一番意味ある感じで出され、曲も複数使われるのは1970年代前半のトリックスター的大人気ロッカーだったアリス・クーパー(特殊ジャケットの王者でもありましたね)。そして、今の米国の駄目さの象徴として大きく扱われるのが“アメリカン・アイドル”(映画中では“アメリカン・スーパースター”という番組名になる)。それ、“アメリカン・アイドル”嫌いとしては溜飲がさがる。7月下旬より公開。

 そして、国会議事堂周辺によってから、南青山・ブルーノート東京で、日本人人気アルト・サックス奏者(2011年7月4日、他)の公演を見る。ここ数年は若いNYの黒人ミュージシャンをいろいろと呼んでいる(そのなかの一人、コンコードからヒップホップ世代であることを出すリーダー作をリリースしたベン・ウィリアムズはいまやパット・メセニー・バンドの一員だァ)渡辺貞夫だが、今回もまったくそう。クリス・クロスからリーダー・アルバムを数作リリースし、この5月末のトム・ハレル公演にも同行していたはずのダニー・グリセット(ピアノ)は渡辺貞夫の米国ツアーに参加したのが縁とか。バシっと格好も決まった彼は格好いい。ベーシストのヴィセンテ・アーチャー(2010年7月24日、他)はエキスペリエンス名義でやる前のロバート・グラスパー公演(2007年10月3日、2009年4月13日)に同行していた人物で、ドラマーのオベド・カルヴェール(2012年3月20日、他)はデイヴィッド・キコウスキ(2012年1月13日)やリチャード・ボナ(2012年5月14 日、他)からミュージック・ソウルチャイルド(2009年9月26日)やジョーなどのアーバン系までいろんなアルバムに名が見られる人物。彼、4ビートはレギュラー・グリップを用い、ブラジリアン調やアフリカン調曲はマッチド・グリップで叩く。オリジナル曲とともに、旧友チャーリー・マリアーノ(2005年12月18日)の曲も2つ演奏。

<今日の、憂慮>
 もう10年強歯科医院に行っていない。虫歯はたぶんないわけではないだろうが、行きつけ(というほどは、行っていないが)のすぐ近くの歯医者さんがいつの間にかなくなってしまい、新しい医院を開拓するのが面倒でまいっかとなっている。その隣組の歯医者、当初は若い女性を2人ぐらい雇っていたが、それがいつのまにか医師本人だけでやるようになり、入り口横に停まっていたレンジ・ローヴァーは国産車に代わった。巷で言われるように、歯科医院経営は厳しいのだろうなと思っていたら、ある日突然そこが更地になっていた。うーん。ぼく、変死体で発見されたら、歯形確認ができるカルテもなく、身元確認はできないかも。池尻大橋周辺の歯科医院で評判のいいところ、誰か知りません? ところで、ぼくは親知らずを抜いた事がない。痛みを感じたこともなく、そのままあるはずだ。