代官山・晴れたら空に豆まいて。プロフィットはハイチ出身のジャズ・ピアニストで、現在はカナダに拠点を置いてあちこちに出向いているという。ステージにでてきた彼はなかなか大柄で、天真爛漫そうな笑顔を持つ陽気な人。当初はずっとピアノ・ソロ演奏。基本、ジャズ・スタンダードをやったんじゃないか。が、この部分はいかにもフツー。当方はどうしても、ハイチというバイアスをかけたがっているため、より都合が悪い。ジャズの影響力/伝搬力の強さだけは痛感させられるものではあったけど。で、まずヤヒロトモヒロ(2007年11月14日)が混ざり、急にプロフィットのタッチが強く重くなったような。ぐっと興味をひかれるようになり、一部最後の曲で梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日、2004年10月10日、2008年11月14日)が登場。たしか、やった曲はスタンダードの「ミスティ」だったと思うんだけど、これは良かったな。もう、梅津の息遣い最高。彼に重なる打楽器音とピアノ音もいいじゃないかあと一気に感情のメーターが上がる。

 2部はプロフィットのオリジナルやハイチの曲なんかをやったようだが、嬉しィ〜って感じで、もう只の愛好者になって見ちゃってた私。なんか、妙な節回しやにごりや重みや弾みが介在する三者の協調表現がいろんな様相で聞き手に向かってきて、相当に気持ちよかった。ハイチな襞もいろいろあったような。MCは梅津が主に担当。いいなあ、高潔な生理にあふれていて。ほんの少しのリハのとき、これをやるとか言われてテーマを譜面にしたりして、彼は大慌てでもあったようだけど、そういうのもふくめ、この晩には、“人間がやる行為としての尊さ”があふれまくっていたのだ。