ジョン・ブライオン

2007年7月19日
 エイミー・マン(2005年10月4日)、フィオナ・アップル(2000年5月8
日)、カニエ・ウエスト(2007年3月31日)他を手掛ける人気プロデュー
サーのショウは、ウェスト・ハリウッドのラルゴにて。そのラルゴでのブラ
イオンの密かな楽しみ的なパーマンスが話題になったのは、やはりブライオ
ンがプロデュースしたブラッド・メルドー(2003年2月15日、2005年2月20
日)の02年作『ラルゴ』(同所でのブライオンの実演に触発されたアルバム
と言われる)がリリースされたころ。それがまだ続いていたのかと思ったら
、ずっと中断していたらしい。そのラルゴは殆どがテーブル席のしっかり食
事をして音楽を享受しましょうというお店。が、すでにテーブル席の予約は
一杯で、立ち見を当日受け付けるという。LAの知人と久しぶりに会って食
事をした後、店に行くと前にはそれなりの列が。が、一応ちゃんと入れた。

 ステージ上にはピアノ、ハモンド・オルガン、数本のギター類、ドラムな
んかが置いてある。8時半の開演時間を1時間半ぐらい過ぎて、本人は登場
。白いスーツを着て、優男ふう。LAではかなり珍しい部類の風体と言える
だろう。で、おもむろにピアノを弾きだす。クラシックの素養があるのを示
す曲やジャズ・ストライド調の曲を弾く。そして、その後は演奏しながら歌
うのだが、意外にブライオンの歌は存在感がある。ギターに持ち替えても、
歌ったり。そして、もう一人オルガン専任(ベース音も出した)である痩身
のおじさん(終演後名前を聞いたら、ベンさんとか)が出てきて、以下はデ
ュオで表現にあたる。そのとき、ブライオンはギターやピアノやドラムを担
当。そのオルガンおじさんはなかなか達者でそれほどジャズ的ではない弾き
方をする人。ときに、ザ・バンドのガース・ハドソン的な噴出感のある指裁
きを見せるなと思ったら、1曲だけ彼が歌った歌はザ・バンドもカヴァーし
ているドジャー/ホーランド曲「ドント・ドゥ・イット」だった。

 披露する曲の多くはナツメロ他人曲だったのではないか。誰の曲か判らな
いものが多かったが、ブライオンは何度も「リクエストは?」と尋ねていた
し、ときに店内は合唱状態になったから。おお、歌声喫茶ならぬ、歌声レス
トラン。という感じで、ラルゴの彼のパフォーマンスって先を見た実験的な
事をするのかとも思っていたが、少なくてもこの晩(でも、ずっとこんな感
じなのでは?)は完全に後ろ向きな、なごみ志向のものだった。ケっとちょ
っと思わなくはなかったが、しっかりいいメロディを愛でる気持ちと歌心が
あったので、ほとんどにっこり見れた。15ドルだしね(飲み代はその3倍は
つかっちゃったけど)。なお、後半は「ここにドラマーはいる?」と問いか
けて、お客をステージに上げて、一緒に延々と叩かせたりも。結局、2時間
以上、パフォーマンスしたはずだ。