「彼ら、海外で公演をやるの、日本が初めてなんだそうです。コールド・ブ
ラッドの事はご存じでした?」と、サーヴィスの青年がオーダーを取りなが
ら、気さくに話しかけてくる。有楽町・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

 コ─ルド・ブラッドはリディア・ペンスという女性シンガーをフロントに
置く、サンフランシスコをベースとする白人R&B/ファンク・バンド。タ
ワー・オブ・パワーと同様にデビュー作がサンフランシスコ・サウンドとい
うインディから発売され、同地在住プロデューサーのデイヴィッド・ルビン
ソン(タージ・マハール、エルビン・ビショップ、ハービー・ハンコック、
マロ、ザ・ポインター・シスターズ、他)が双方に関与していたこともあり
、70年代前半には同じくくりで日本でも紹介された。デビュー作のときか
らペンスの顔のアップをジャケットに出すなどソウルフルな喉を持つ可憐な
女性がフロントに立っていますよということを売りにしていたコ─ルド・ブ
ラッドに対し、より男っぽいノリで出ていたのがタワーだった。

 全盛期はリプリーズと契約、その後活動を休止していたこともあったはず
だが、海外公演自体が初めてとは。そりゃ、生粋のローカル・バンドという
しかないな。ここのところ、ボンバ・レコードがかつての作品のリイシュー
をすすめているが、どういう経緯で来日公演が実現したんだろ?

 バンドは全員中年白人、オリジナル・メンバーはもしかするとそのペンス
だけかもしれない。当のペンスはとっても小柄(間違いなく、140 センチ代
ですね)。で、50代半ばぐらいになっててもおかしくはないがそんなにいっ
ているようには見えないし、若いころはルックスでも注視を受けたんだろ
うと思わせる。トランペットとサックスの管楽器担当者はソロを取るといま
いちだがセクション音はまっとう。それがバンド・サウンドというものなん
だろう。そんな彼女たち、ハマった、ホワイト・ファンク/ホワイト・ソウ
ル表現を無理なく聞かせてくれた。