ザ・レイクス

2007年3月2日
 気取りがちょっと田舎くさいゾとぼくは思ってしまうが、ちょっとヒネた
ポップ・センスと美意識の出し方はいかにも英国らしいナと思えるバンド
。5人でパフォーマンスをやっていたが、あまり音が聞こえないキーボード
はサポートだったのかな。このバンドはライヴだと、けっこうドラムが重要
項目になりますね。別にグルーヴはないけどシャキとしたビートをキープし
ていて(PAから出る音色はかなりプラスティックでもあったな)、それは
確実に演奏に疾走感に寄与していたもの。とっても楽曲はコンパクト、アンコ
ールを含め20曲近くやったと思うが、演奏時間はちょうど1時間ぐらい。原
宿・アストロホール。やっぱり、先日のザ・フォーマットは混んでいたんだ
な。
 スウェーデンの人たちって、素朴でいい人が多いんだけど、彼らも出てき
た途端、そういう感じは大アリ。アルバム記載を見ると3人ともいろんな楽
器がクレジットされているけど、ライヴではピーターがギター、ビョーンが
ベース、ジョン(ヨン。スウーデン語では)がドラム。何曲かはプリセット
音をほんのり無理なく重ねたりも。歌はピーターとビューンが取り(ピータ
ーがリードを取る場合が多い。二人ではもり合うときも)、ドラマーも1曲
歌う。ギタリストはとてもいろんな弾き方が出来る人で、器用。また、彼は
足元に置いたカンペを見ながらではあったが、簡単なMCを日本語でこなす
。人間味ありました。

話題を呼んだ口笛使用のほのぼの曲「ヤング・フォークス」に代表される
ようにほんわかした感じで進むのかと思ったら、けっこうビートはあるし、
ギターも効いてて、思った以上にビート・バンドっぽいと思った。また、ザ
・ビートルズの尻尾を感じさせる(ピーターの歌は、ジョン・レノンぽいと
感じさせる局面もありました)ときもあるし、簡素な編成のわりにはライヴ
におけるアレンジもしなやかで、音楽の自由を意外なくらいぼくは感じてし
まったな。ちょっとしたところにアイデアや洒脱があり、一方でしっかりと
ロックでありたいという気持ちもあり。聞くに耐えないとのたまって後半か
えってしまった同業者がいたけど、その所感はまったくもって謎。あまりの
感じ方の差に驚く。

なんと、「ヤング・フォークス」ではオリジナルでも歌っていたヴィクト
リア・バーグスマンが出てきてピーターとデュエット。そして、アンコール
では、そのバーグスマンが参加していたスエーデンの先輩バンドのザ・コン
クリーツの「ティーン・ラヴ」を3人(バーグスマン抜き)で演奏。また、
続けて英国ポスト・パンク・バンドのテレヴィジョン・パーソナリティーズ
の「シリー・ラヴ」も彼らはカヴァー披露した。会場は、恵比寿・リキッド
ルーム。

テリー・キャリア

2007年3月8日
 来た際はいつでも見たくなる(2002年5月21日、2004年4月19日、20
05年2月17日)、ジャジィでもある、在シカゴのフォーキー・ソウルの才
人。今回も南青山・ブルーノート東京(ファースト・セット)、やっぱりい
い気分になれたな。生ギターを持って歌う彼に加えて、キーボード、サック
ス、電気ギター、ベース、ドラム、打楽器という毎度の編成(英国人中心。
ドラム、打楽器はミューシシャンが変わっているかも)。けっこうソロ・パ
ートを与えられる毎度同行するギタリストのジム・マレン(23年前ぐらいに
、ポニーキャニオンは彼のフュージョン調アルバムを出したことがある)が
この晩はかなり歌ってる(サム・ピッキングでソロを取る)と思わせられた
かも。アンコールのさい、バンドを従えキャリアーはギターを手にせず、立
って歌った。前回のアンコール時は、バンド抜きのギターの弾き語り。臨機
応変にショウは流れる。そして、美しい弧を描いていく。最後の曲はマイル
ス・デイヴィスの「オール・ブルース」..... 。
 NYの仲良し3人が一緒になった公演。渋谷・クラブクアトロ。

 まず、出てきたのはジェシー・ハリス(2002年12月21日、2005年9月7
日、2006年1月23日、2006年4月22日)。トリオ編成にて、ベースはと
きにザ・バンドのリック・ダンコみたいなフレイジングをきかせる前回同行
しているベーシスト。ドラムはリトル・ウィリーズの人。彼はすでに新作『
フィール』(ヴェロアからのリリースとなる。その社長のジェフ・クラズノ
ー:2000年8月16日:とは奥さんを通して、ハリスはけっこう長い付き合い
を持つという)を完成させていて、10曲中半数はその新作からのもの。本人
曰く「ムーディだった前作よりも、パーカッション奏者なども入って、明る
い感じかな」。途中1曲、彼のプロデュースでアルバムを作った(今回の来
日時に行ったとか。彼、一人でバッキング音を作ったらしい)畠山美由紀が
コーラスをつける。最後の曲にはリチャード・ジュリアン(2006年7月23
日)が加わり、次の曲から(ハリスはひっこみ)ジュリアンのセットになる。
 
 同じリスム隊を用いてのジュリアンのパフォーマンスに触れると、各々の
個性が浮き彫りになるなあ。ジュリアンはちょいアーシーとうか、ルーツっ
ぽいノリを滲ませる曲の味がいい。最後の曲になると、サーシャ・ダブソン
(2006年4月22日)が登場し、そのまま彼女のセットに突入。そして、彼
女の近作のプロデューサーのジェシーも出てくる。ダブソンの同居人/彼氏
であるジュリアンはバック・コーラスもつけるが、ハリスは生ギターかバン
ジョーを弾くのみで歌わない。ジュリアンはノラ・ジョーンズ(2002年5月
30日、2002年9月14日)とリトル・ウィリーズを組んでいて、ハリスはも
ちろんジョーンズのブレイクの立役者で、その二人は仲良くジョーンズの新
作レコーディングに参加している。ちなみに、ダブソンのNYリヴィング・
ルームでのギグをジュリアンやハリスがバッキングすることはあっっても、
この晩のように順繰りに3人が前に立つという形式のギグはやってないそう
。この晩にハリスが最初に出たのは、それがおさまりがいいと思えたからと
か。そのハリスはイーサン・コーエンの新作映画の音楽作りをしたり(そこ
に、役者としても出ているという。ノラ・ジョーンズみたいですねとツっこ
みを入れると、いやあ彼女は大スターだから…と答える)、フランス人や
アルゼンチン人シンガーのアルバムのプロデュースも完了済みとか。おお、
働いてるナ。

 男性陣は皆、メガネをかけ髭を伸ばしている。そして、控えめな感じで物
腰が柔和。見事に、感じが重なっている。それはステレオタイプなアメリカ
人像からはかなり離れるものだが、ある種洗練されたニューヨーカー像を感
じさせるものだったかも。それを、ハリスに伝えると、意外なくらい照れた
反応を見せた。それから、3人のセっトそれぞれに1曲か2曲でおおはた雄
一がワイゼンボーンで無理なく加わる。そういやあ、ダブソンはその前歴を
生かして、リズム・セクションだけをバックに1曲もろジャズのりで歌い、
スキャトを聞かせたりも。
 ガラっぱちな(MCで、“ファッキン”という言葉が何度出てきたろう)
心意気を分かりやすく出し、それと繋がる笑える要素も楽しく持っている、
素敵なアメリカのB級ロックンロール・バンド。代官山・ユニット。

 その近作のジャケット・カヴァーはザ・ローリング・ストーンズの『ステ
ィッキー・フィンガーズ』のパロディなり。色使いは、ザ・J・ガイルズ・バ
ンドの『ホット・ライン』みたいという言い方もあるかな。歌/ギター、ギ
ター、ベース、ドラムという編成。モヒカン頭のギター、長髪のベースもコ
ーラスを取る。パワー・ポップ曲からけっこうハードなものまでいろいろと
やるが、一言で言えばイナセなロックンロール・バンドと言っちゃえそう。
ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラシュ」とザ・フーの「サマー・
タイム・ブルース」のもどきのような曲も彼らはやった。学生時代にストー
ンズっぽいバンドを一番やったぼくは、バンドをたいそうやりたくなりまし
たとサ。

 実はエクササイズもちゃんとやってそうと思わせる体つきのヴォーカル/
ギター氏はずっこけた写真よりずっとロッカーぽい。オールバックの髪(リ
ーゼントでは非ず)に櫛を通す仕種やサングラスをうまく自らの酔狂なロッ
ク流儀を出すのに彼は用いる。その彼の前には2本、マイク・スタンドが。
ゲスト・シンガーでも出てくるのかと思えば、そのうち一つは彼が歌とギタ
ー単音を混ぜたトーク・ボックス(ヴォイス・モジュレイター)調のギター
・ソロを取るとき用のもの。アナクロな音楽性を持つバンドだが、その装置
だけは目新しかった(過去、そういう事をするギタリストは管を加えてソロ
を取っていたから)。
 
 もう一人のギターは途中でギターをオープン・チューニングにして、ザ・
フェイセズ時代のロン・ウッドのようにスライド・バーを手にして単独演奏
をしたりも。それを他の3人がすげえぞと言う感じで見守るとういう仕種を
見せたが、それ並で、全然凄くなかった。終盤、ヴォーカルもオープン・
チューニングを用いたりも。オープン・チューニングを使うギタリストがい
るバンドに悪いバンドはいない。

 しゃきっと8のロックンロール・ビートを叩き出すドラムは一級。一番丹
精なルックスをしていた彼はクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(ネ
ーミングのセンスが重なる?)のギタリストだというが、だとするとその巧
さは驚異的。いやあ、いいドラマー。一緒にスタジオ入ったら気持ちいいだ
ろうにゃ。→追記、忙しくて,別の人が来日し叩いていたよう。。。

 アンコールはダムド、ザ・ラモーンズ、ストーンズのカヴァー3連発(ら
しい)。ストーンズは「ブラウン・シュガー」。その歌詞に“ニューオリン
ズ”と出てくるだけで、また余計に高揚。まだ、“ニューオリンズ熱”は覚
めてないよう。ドラマーがカウベルを叩いたときもあったが、実はガキのこ
ろから、グランド・ファンク・レイルロードの「アメリカン・バンド」とかザ
・J・ガイルズ・バンドの「ラヴ・アイティス」とか、カウベルがハイハッ
ト代わりに叩かれるロック曲をぼくは目茶好きだった。で、先にニューオリ
ンズでいろんなライヴに触れたら、マグノリアス(2007年2月3日)のフロ
ントをはじめ、けっこうな頻度で出演者たちが歌や楽器演奏の合間にカウベ
ルを手にしていて、カウベルはニューオリンズ・ミュージックに欠かせない
重要楽器なのだなと思い知らされたのだよなあ。少しだけ、ぼくはニュー
オリンズに向かう運命であったのだと思ったりもしました。


 日本のブルース関係者からやたら熱い視線を送られまくりの、地元で録ら
れたライヴ盤がP-ヴァインから出て間もない、シカゴのかっとびブルース・
ギタリスト/シンガー。実際はどうだか知らぬが、よく出来た人間性が出た
ルックス(ぜんぜん若い人ではない)もほんのり魅力的ね。バッキングをす
るのは小出斉(2005年6月16日)他らによる日本人ブルース・バンドのロ
ーラー・コースター。ジョンソンはローラー・コースターと一緒に出てきて
、2時間弱ぐらいやったか。やはり、ギター・ソロのパートは長く、バンド
にもソロを回す。

渋谷・オネスト。やっぱしフルハウスで、後からだとあんまし見えない。
暑いし、珍しく手に買い物したものを持っていてかったるい(箸より重い物
を持つと脱臼する、というのがぼくの口癖....)ので、上のバー・フロアで
お酒片手にゆったり座り“大人見”をしちゃう。もう少し、はっきりした(
ステージを写す)画面が見れたらなあ。でも、こちらはタダでもいられるス
ペースなので営業上それは無理なのか。

 で、CDで示されているように、ギター・ソロは多彩にして、雄弁。スク
イーズ(キュイ〜ンってノリの煽情的な指づかい)も多用するが、内に抱え
る世界が豊富なため、音楽的偏差値が低くならない。偉い。また、曲調もま
ったくもって同様。ストレートなブルース・コードの曲は少なく、途中でラ
テン調になったりとか、本当に自由自在。キャノンボール・アダリィ(正確
には彼のバンドにいたジョー・ザヴィヌル作の)の ソウル・ジャズ名曲「
マーシィ・マーシィ・マーシィ」のコードの置き換え、ブルース・マンであ
んなことできる人は彼だけだろう。彼が同様の資質を持った白人だったらど
うなっているか....そんな事も夢想してしまうワタシでした


ノラ・ジョーンズ

2007年3月21日
 恵比寿・ガーデンホール。一般客も招いての1時間のショーケース・ライ
ヴ,1曲ごとの演奏時間はかなり短目で、けっこう曲数はやった。リー・アレク
サンダー(ベース)、アンドリュー・ボーガー(ドラム)、アダム・レヴィ
(ギター)、ダルー・オダ(バック・コーラス、ベース、フルート、ピアノ
)といういつもの4人がバックアップについてのものだったが、シンガー・
ソングライター方向に振られた新作曲中心のパフォーマンスはショプの進め方に
いろいろと変化アリで興味深った。まず冒頭の4曲、ジョーンズ(2002年5
月30日、2002年9月14日)は生ギターを持ちながら歌う(他にも、ギタ
ーを持って歌った曲も)。うち、1曲は電気ベースを持つオダとのデュオに
て。彼女の付き人的存在なんて言われていたオダは上に記しているように、
今回いろんな楽器を持ちかえていたな。また、彼氏のアレキサンダーも同様
で、電気ベースに持ち替えるとこもあったし、ギターを手にしたときも。変
化は美徳なり。そうした設定のもと、なんか余裕綽々という感じで彼女はパ
フォーマンスを続けていく。本当にみんな仲がよさそう。なんでも、このショウ
とTV出演のためにちゃんとフルの編成で来日したらしい。

 終盤、出世曲「ドント・ノウ・ホワイ」もやる。ギター基調のこの曲、ま
ずノラが歌いはじめてすぐに、レヴィがギターをとちって中断。「しばらく
、この曲をやってなかったから。ギターはアダム・レヴィよ」みたいな臨機
応変なMCに会場は大いにわく。で、やり直したら、今度はギターの弦がブ
チと切れてまた中断。あらら。そしたら、ノラはピアノを弾きながら歌いは
じめ、バンドがそれについていき、ピアノ主体ヴァージョンの「ドント・ノ
ウ・ホワイ」に。かなり投げやりというか、彼女は崩した歌いかたに終始。
それ、とっても貴重だったかも。

 ジョーンズはかなりスリムになった。さすが、映画スター。観客の反応が
地味だったためもあってか、予定されていたアンコール3曲はやらずにショ
ウは終了。
 兄弟姉妹がずっと仲良くできるのっていいな。

 ヒューバート(フルート、39年生まれ)、エロイーズ(歌、47年生まれ)、
ロニー(サックス、50年生まれ。LA期アタマのEW&Fにいたこともあったか
)、デブラ(歌)。テキサス州ヒューストン出身の4人兄妹たち。ジャズ・
フュージョンやR&Bの世界でそれぞれリーダー作を持っている4人が一緒
にやるという出し物。4人にプラスして2キーボード、サックス、ベース、
ドラムという編成で、もう一人の若いサックスは息子かなんからしい。有楽
町・コットンクラブ(ファースト・セット)。この晩の、男性客のスーツ率は
高かったナ。

 皆でやるときもあれば、それそれが前に出たときもある。当然、パフォー
マンス時間は長くなり、1時間半を超えたはず。音楽的には、上品なソウル
・フュージョンといったノリ。それがエスタブリッシュされてて自適悠々、
和気あいあいな4人の様に合う。で、冒頭の感想に繋がるわけ。本当に、円
満な空気がそこにはありました。



ラリキン・ラヴ

2007年3月28日
 代官山・ユニット。髪の毛を切るのに時間がかかって遅れて会場入りした
のだが、かなり混んでいる。勘どころありの期待のUK若手バンドだが、ち
ゃんと話題になっているのがよく判りました。例によって後方からだとあま
りステージが見えず、無理せずヴィジョンを見る。アイリッシュの血をひく
奴が集まっているらしく、ザ・ポーグス(2005年7月29日)みたいなとこ
ろも持つバンドだが、今様サーフ・ロック系(ジャック・ジョンソン他)な
んですと言われても違和感のない寛いだ曲もやったり。あと、CD聞いても
すぐに判るが、レゲエなんかも取り入れているバンドね。というか、好奇心
旺盛にあまり気取りもなく実質主義の音楽語彙に興味を持っているという感
じかな。なんにせよ、手作り感覚や人間的な感覚を持っているバンドであり
、若いくせに奇特なバンドという印象もぼくは実演に触れて感じました。5
年後に、コイツら何をやっているかなとふと思わなくはなかったけど....。
まあ、余計なお世話でしょう。今の満足を求めて突っ走っていただきたい。

終了後、知人を誘い、中目黒にくだり、目黒川側道でプチ花見。やっぱ、
ぼくは桜が好きだ。
 昨年(4月2日)からやっている、“スプリング・グルーヴ”。千葉県・
幕張メッセ。やれ花見はしなきゃいけないし、来週火曜夜からオーストラリ
ア行きで仕事山積みだ(会場で逃避モードに入り、車にも係わらずグビグビ
飲みたくなり、自制するのに一苦労)し、延々と会場にいるのは無理で、終
盤に出る3組だけを見にいく(つもりだったが)。

 往路、大井から有明にかけてものすごく高速が混んでた。東京ディズニー
ランドのへんはかなりな降雨。幕張についたときにはやんでいたけど。イヴ
ェントの全体像は去年と同様、さらに小さなヒップホップ・ステージが新設
され、そちらにはグランド・プーバ他が出たようだ。

 昨年はダミアン・マーリーが出たが、今年は兄のジギー・マーリーが出演
。彼が求めるレゲエ・ビヨンド表現に父親の曲も混ぜるが、違和感やイヤな
感じはなし。きっちりとパフォーマンス。アフリカっぽい音も出したギタリ
ストの一人は日本人だったよう。バック・コーラスの一人が可愛かったよう
な。20分押しておわった。

 そして、本来7時15分からローリン・ヒルが出てくるのはずだったが、会
場にまだ着ていないということで、トリのカニエ・ウェストが先に、予定時
間よりも25分早く、8時ちょうどに登場。ヒルは単独公演でも2時間ほど遅
れて始まったということだが、彼女そーゆーう人なの? そういやあ90年代
末だったかな、プロモーションで来日した彼女のパーティが開かれたことが
あって、和服を着た彼女と写真を撮ったことがあったな。あの頃は、初々し
かった。フロントライナー契約のカニエ・ウェストはよく先に出たな、と某
氏。ギャラ増しになったのかな? 

 着飾ったカニエ・ウェストのショウがさすが。白人のDJに加え、6人だ
かのストリングス・セクションを後ろに並べてのもの。加えて、2人のコー
ラスもいたか。ぶっといビートにカニエ・ウェストは肉声をとばし、そこに
ストリング音が絡む。声に迫力はないが、なんか思った以上にがちんこなノ
リを持つもの(でありつつ、ストリングス隊の存在が洒脱な通風口のような
ものにもなっている。その案配は絶妙ネ)で、彼が完全に実演と音盤を分け
ているのがよく判る。そして、総体としてはクールで、才ある人であること
をきっちりアピール。感心。こういう人が現代米国黒人音楽の舵取り役をや
っているのは素敵なこと。

 10時ちょいには東京にもどらなけばならなく、ローリン・ヒルを見るのは
断念。ちぇっ。風邪、ひいた。やばっ。