キャブ・キャロウェイ・ブルックスという、御大のお孫さんとか。白基調
のきらびやかなズート・スーツに身を包んでエンターテインする。バブリー
なころ(80年代後期)、キャロウェイ自身も来日したことがあった(有明の
MZAだった)が、確か途中で具合が悪くなり退場、娘が涙ながらにごめんな
さいとステージで謝ったことがあったっけ。

 なるほど、顔は似ている。で、おじいさんの黒人芸能表現の精華的な行き
方をやんわりと踏襲し(そこにデューク・エリントンのレパートリーなども
加味)、軽妙に歌とステージ運びを見せる。やはり、「ミニー・ザ・ムーチ
ャ」での客とのやりとりは楽しいナ。彼は1曲、ギターも弾きながら歌った
。彼に寄り添うビッグ・バンドの面々は黒基調の格好で、みんな種類は異な
るもののみんな帽子を被っている。そういう他愛のない掟が楽しい。5サッ
クス〜2トロンボーン〜3トランペットにピアノとウッド・ベースとドラム
という編成の彼ら、知っている名前の人はいなかったけど、ちゃんとした音
を出していました。やっぱり、手頃な大きさの会場でのビッグ・バンドの音
は迫力あるな。また、途中でステージに華を添えるように、ポーラ・ウェス
トというシスコ・ベースでリーダー作も複数出している黒人女性シンガーが
出てきて歌いもする。1曲ぽっきりで同行させるとは太っ腹な。

 場所は、三菱地所が建てた丸の内・TOKIAビル(道路をはさんで、東
京国際フォーラムがある)に今週オープンしたコットンクラブ。新しいハ
コに行くのはウキウキっ。なかなか重厚にして、リッチな作り。座席配置な
ども適切で、かなり見やすい。もちろんその名前は20年代にNYハーレムで
名をはせた豪華ナイト・クラブ名から来ている。キャロウェイやエリントン
ら黒人エンターテイナーがいろいろと出演した同所にならい、今後は大御所
R&B系アクトが中心に出演者は組まれていくよう。場所柄、平日は小綺麗
なOLとかも多いのかなあと妄想。