ピクシーズ
2005年12月5日 90年前後に傍系ロック・シーンでさん然と輝いていた、ボストン発4人組
の再結成ライヴ。昨年のフジロックかなんかでもやってきているはずだが、
ちゃんと見てなかった。で、これは驚いた。とっても、感服した。もう、い
い曲/いいバンド表現様式を現在の姿を通し、プレイヤー間で信頼しあいな
がら、がっつりと押し出す。それが、こんなにも嬉しく感じられることとは
! シャープさを保ち、覇気もあるし、含みもあるし、一方ではどこか切な
くもあった。紅一点ベーシストのキム・ディールはザ・ブリーダーズの再結
成公演もやっている(2003年3月7日)が、これに触れると、あれは少
し半端なものだっと思わずにはいられませんね。朽ちることのない、“メ
インストリームでないロックの、メイストリーム表現”の真骨頂。うーむ、
おいしい説得力、滋味がありすぎ。
男性陣はみんな半分剥げてて、スキンヘッド。もうちょっと、いい格好し
ても……。でも、中年ロック・バンドの星、なんて形容も頭に浮かぶ。彼ら
のちょっとした風情も良かったナ。とともに、再結成バンドをぼくたちは軽
く見る方向にあるが、それもモノ次第だと痛感。ちゃんと必然性のある人達
が集まって必然性のある音を出していたなら、そしてその担い手が高潔な人
間性を持ち今の自分の姿をちゃんと肯定しているなら、それも大アリなんだ
と思った。
会場は青海・ゼップ東京。フルハウス、みんないい感じで発汗できたんで
はないか。東京は明日もここだし、スタジオ・コーストでの追加公演も出た
ようだし、なかなかの観客動員。でも、この質の高い実演ならそれも当然と
思う。
車で行き来する。テレビ朝日前とかプリンスホテル・パークタワーをはじ
め横を通った何箇所かの施設の木々にたくさんライト(発光ダイオードだろ
う)がシーズンがら飾り付けられている。で、それらの色はことごとく寒々
しい青、それに違和感を覚える。いろんな色が開発されているはずだが、青
が一番安いのだろうか。
の再結成ライヴ。昨年のフジロックかなんかでもやってきているはずだが、
ちゃんと見てなかった。で、これは驚いた。とっても、感服した。もう、い
い曲/いいバンド表現様式を現在の姿を通し、プレイヤー間で信頼しあいな
がら、がっつりと押し出す。それが、こんなにも嬉しく感じられることとは
! シャープさを保ち、覇気もあるし、含みもあるし、一方ではどこか切な
くもあった。紅一点ベーシストのキム・ディールはザ・ブリーダーズの再結
成公演もやっている(2003年3月7日)が、これに触れると、あれは少
し半端なものだっと思わずにはいられませんね。朽ちることのない、“メ
インストリームでないロックの、メイストリーム表現”の真骨頂。うーむ、
おいしい説得力、滋味がありすぎ。
男性陣はみんな半分剥げてて、スキンヘッド。もうちょっと、いい格好し
ても……。でも、中年ロック・バンドの星、なんて形容も頭に浮かぶ。彼ら
のちょっとした風情も良かったナ。とともに、再結成バンドをぼくたちは軽
く見る方向にあるが、それもモノ次第だと痛感。ちゃんと必然性のある人達
が集まって必然性のある音を出していたなら、そしてその担い手が高潔な人
間性を持ち今の自分の姿をちゃんと肯定しているなら、それも大アリなんだ
と思った。
会場は青海・ゼップ東京。フルハウス、みんないい感じで発汗できたんで
はないか。東京は明日もここだし、スタジオ・コーストでの追加公演も出た
ようだし、なかなかの観客動員。でも、この質の高い実演ならそれも当然と
思う。
車で行き来する。テレビ朝日前とかプリンスホテル・パークタワーをはじ
め横を通った何箇所かの施設の木々にたくさんライト(発光ダイオードだろ
う)がシーズンがら飾り付けられている。で、それらの色はことごとく寒々
しい青、それに違和感を覚える。いろんな色が開発されているはずだが、青
が一番安いのだろうか。
ザ・コーラル
2005年12月6日 品川・ステラボール。こちらも会場に向かう(プリンスホテル)敷地内小
路に、青色発光ダイオードによるディスプレイがなされている。昨年、六本
木ヒルズの青色ランプ装飾が大きな話題を呼んだんだよね、と言う人がいた
けどそうなの?
順調に伸びている、英国リヴァプールのバンド。ステージには7人もいる
(歌、ギター2、キーボード、ベース、ドラム、打楽器)。軽妙な臭みを持
つバンド。グループサウンズ的というか、ちょい古臭くもある曲調/演奏は
それはそれで大きな個性だろう。期待したほどの何かを感じとることはでき
なかったが、適切な実演能力もあり。アンコールを含め、19曲を1時間ちょ
い。
路に、青色発光ダイオードによるディスプレイがなされている。昨年、六本
木ヒルズの青色ランプ装飾が大きな話題を呼んだんだよね、と言う人がいた
けどそうなの?
順調に伸びている、英国リヴァプールのバンド。ステージには7人もいる
(歌、ギター2、キーボード、ベース、ドラム、打楽器)。軽妙な臭みを持
つバンド。グループサウンズ的というか、ちょい古臭くもある曲調/演奏は
それはそれで大きな個性だろう。期待したほどの何かを感じとることはでき
なかったが、適切な実演能力もあり。アンコールを含め、19曲を1時間ちょ
い。
マドンナ
2005年12月7日 へえ、マドンナってもう10年以上も日本に来ていないのか。新作プロモー
ションのための記者会見をやりに来日したついでに、関係者や招待に当たっ
た人達を前に女王は30分ジャストのショウをやった。場所は新木場のスタジ
オコースト、夜の11時すぎにに始まる。
2キーボード、ギター、ドラムのバンド(プリセット音との併用にて)と
、7~8人のダンサーを付けてのもの。なんでも、ご一行は40人強であった
らしい。口パクかもなあと事前に思っていたら、きっちり歌う。きっちり喋
る。それだけで嬉しくなるというか、なんか人の気を掴むものを持っている
。説得力と華がある。ああ、売れていい人だとも思わせられたな。格好は紺
色のレオタードにジーンズ。客の反応も良好。みんな満足できたんじゃない
か。ニコニコ。ダンス様式〜文化の一般性の高い、ひとつの確かな集積〜総
括のようなものがあったかも……。
ションのための記者会見をやりに来日したついでに、関係者や招待に当たっ
た人達を前に女王は30分ジャストのショウをやった。場所は新木場のスタジ
オコースト、夜の11時すぎにに始まる。
2キーボード、ギター、ドラムのバンド(プリセット音との併用にて)と
、7~8人のダンサーを付けてのもの。なんでも、ご一行は40人強であった
らしい。口パクかもなあと事前に思っていたら、きっちり歌う。きっちり喋
る。それだけで嬉しくなるというか、なんか人の気を掴むものを持っている
。説得力と華がある。ああ、売れていい人だとも思わせられたな。格好は紺
色のレオタードにジーンズ。客の反応も良好。みんな満足できたんじゃない
か。ニコニコ。ダンス様式〜文化の一般性の高い、ひとつの確かな集積〜総
括のようなものがあったかも……。
ハート・オブ・ゴールド−百年の孤独
2005年12月8日 小池博史の作・演出・構成による舞台。場所は、三軒茶屋・世田谷パプリ
ックシアター。これ、区営なの? とっても、立派なホール。タイトルに
あるように、コロムビア生まれの大作家ガルシア・マルケスの『100年の孤
独』を下敷きにするもの。そりゃマルケスの名前は知っていても読書嫌いの
ぼくは彼の本を読んだことがないし、演劇関係にもほとんど興味を持ったこ
とがない。
そんなワタシがわざわざ見にいったのは、舎弟の下町兄弟(BANANA
ICE。工藤ちゃん。今回の共演者のなかでは、玄さんと呼ばれているらし
い)がラッパーとして出演するから。けっこう乱暴な経緯で出ることになっ
ちゃったらしいし、ちっちゃなのに出るのかと思っていたら、これがとって
も大がかりな、エスタブリッシュされたノリを持つもので(ものものしい助
成や協力がついてて、わざわざブラジルや香港からも役者を呼んでいる)、
わわわという感じではありますね。
映像、各種ステージ美術などもいろいろ多角的に駆使してのパフォーマン
ス。踊りやいろんな動きを多用し、ときに歌も用いる。非常に複合的であり
、多方面から接する者にいろいろ語りかけたり触発したりする、プロの出し
物。2部構成(それぞれ、1時間ちょいのものが二つ)で、1部は日本人、
2部は外国人が音楽を担当。それも、納得できるものでした。
で、そんななか、工藤ちゃんはちょい役ではなく、かなり重要な出演者と
して出ててびっくり。日本人出演者のなかで一番セリフが多いし、彼が出る
ことで話が展開されるという部分もあし、狂言回し的なラッパー役以外も、
村人役や郵便屋さん役で出てきたり。もう、大活躍。おそらく、彼の能力の
高さに作り手側が感服し、どんどん出番が増えていったと想像するが、役者
デビューした工藤ちゃん、まじ素晴らしすぎる。しかし、普通の演劇ファン
のお客さんは、台詞まわしにやたら力のある面白い役者がいるもんだと興味
をそそられたのではないか。終演後、飲み屋に工藤を呼び出し、友人みんな
でもって役者に転向しろと乱暴なことを言う。
新たなフィールドを得た工藤ちゃんに乾杯。刺激を受けたし、本当にうれ
しかった。
ックシアター。これ、区営なの? とっても、立派なホール。タイトルに
あるように、コロムビア生まれの大作家ガルシア・マルケスの『100年の孤
独』を下敷きにするもの。そりゃマルケスの名前は知っていても読書嫌いの
ぼくは彼の本を読んだことがないし、演劇関係にもほとんど興味を持ったこ
とがない。
そんなワタシがわざわざ見にいったのは、舎弟の下町兄弟(BANANA
ICE。工藤ちゃん。今回の共演者のなかでは、玄さんと呼ばれているらし
い)がラッパーとして出演するから。けっこう乱暴な経緯で出ることになっ
ちゃったらしいし、ちっちゃなのに出るのかと思っていたら、これがとって
も大がかりな、エスタブリッシュされたノリを持つもので(ものものしい助
成や協力がついてて、わざわざブラジルや香港からも役者を呼んでいる)、
わわわという感じではありますね。
映像、各種ステージ美術などもいろいろ多角的に駆使してのパフォーマン
ス。踊りやいろんな動きを多用し、ときに歌も用いる。非常に複合的であり
、多方面から接する者にいろいろ語りかけたり触発したりする、プロの出し
物。2部構成(それぞれ、1時間ちょいのものが二つ)で、1部は日本人、
2部は外国人が音楽を担当。それも、納得できるものでした。
で、そんななか、工藤ちゃんはちょい役ではなく、かなり重要な出演者と
して出ててびっくり。日本人出演者のなかで一番セリフが多いし、彼が出る
ことで話が展開されるという部分もあし、狂言回し的なラッパー役以外も、
村人役や郵便屋さん役で出てきたり。もう、大活躍。おそらく、彼の能力の
高さに作り手側が感服し、どんどん出番が増えていったと想像するが、役者
デビューした工藤ちゃん、まじ素晴らしすぎる。しかし、普通の演劇ファン
のお客さんは、台詞まわしにやたら力のある面白い役者がいるもんだと興味
をそそられたのではないか。終演後、飲み屋に工藤を呼び出し、友人みんな
でもって役者に転向しろと乱暴なことを言う。
新たなフィールドを得た工藤ちゃんに乾杯。刺激を受けたし、本当にうれ
しかった。
ケルティック・クリスマス2005
2005年12月10日 ケルト系アーティストが出る例年恒例の出し物、錦糸町・すみだトリフォ
ニー。2部構成にて。1部は、ルナサのオリジナル・メンバーだったという
マンチェスター生まれのフルート奏者、マイケル・マックゴールドリック。
サポート奏者を従えてのもので、それなりに清新。そして、入れ代わりで、
ハウゴー&ホイロップ。デンマーク人のフィドル奏者とギタリストのデュオ
。ぼくにとってはちとおとなしすぎ、上品すぎ。
2部はソーラス。アイリッシュ系アメリカ人のグループで、女性二人を含
む5人組。和気あいあいと自分たちのルーツにあるものを開いていく。ぼく
には、少し地味すぎる印象も。そこに部分的に、スリムな体系をしている女
性アイリッシュ・ダンサーのジーン・バトラーが加わる。やっぱり男女対じ
ゃなく、一人で踊るのは地味だなあ。やりずらそうな感じも受けた。そして
、最後は全員で。
ニー。2部構成にて。1部は、ルナサのオリジナル・メンバーだったという
マンチェスター生まれのフルート奏者、マイケル・マックゴールドリック。
サポート奏者を従えてのもので、それなりに清新。そして、入れ代わりで、
ハウゴー&ホイロップ。デンマーク人のフィドル奏者とギタリストのデュオ
。ぼくにとってはちとおとなしすぎ、上品すぎ。
2部はソーラス。アイリッシュ系アメリカ人のグループで、女性二人を含
む5人組。和気あいあいと自分たちのルーツにあるものを開いていく。ぼく
には、少し地味すぎる印象も。そこに部分的に、スリムな体系をしている女
性アイリッシュ・ダンサーのジーン・バトラーが加わる。やっぱり男女対じ
ゃなく、一人で踊るのは地味だなあ。やりずらそうな感じも受けた。そして
、最後は全員で。
エリオット・シャープ
2005年12月11日 NYフリー・ミュージック/アンダーグラウンド・ミュージック・シーン
の重鎮ギタリスト。彼、90年代後半にロウワー・イーストサイドのトニック
が出来たとき、キュレイターをやっていたこともあった。DJと同様に、こ
の手の人達はフットワークが軽いし、草の根的ネットワークがあるので何度
も来日しているはずだが、ものすご〜く久しぶりに見る。スキンヘッドの彼
、あんまり外見は変わりがないなあ。50代半ばぐらいにはなるのかな。新宿
ピットイン。
1部はまず、ソロ(変則8弦ギターにエフェクター+ラップトップ)で30
分。激しくはない。流麗ながら、何かを噛みしめる感じもある。そして、共
演デュオ・レコードも出している臼井康浩(ギター)とのふたりで、また30
分近く。激しくはない。
2部はシャープに、藤井郷子(ピアノ)、田村夏樹(トランペット)、加
藤崇之(ギター。2005年11月28日)が加わる。日本人3人は田村夏樹カル
テット(2003年4月7日)をはじめ、重なることは少なくないですね。当然、
ぶっつけ本番で事はすすめられたそうで、明快なメロディ楽器が二つ入って
いるからこその異化作用もあり、こっちのほうがこの日のぼくには興味深く
聞けた。単音一本で勝負の田村の飄々としたずぶとさはラヴリーね。
の重鎮ギタリスト。彼、90年代後半にロウワー・イーストサイドのトニック
が出来たとき、キュレイターをやっていたこともあった。DJと同様に、こ
の手の人達はフットワークが軽いし、草の根的ネットワークがあるので何度
も来日しているはずだが、ものすご〜く久しぶりに見る。スキンヘッドの彼
、あんまり外見は変わりがないなあ。50代半ばぐらいにはなるのかな。新宿
ピットイン。
1部はまず、ソロ(変則8弦ギターにエフェクター+ラップトップ)で30
分。激しくはない。流麗ながら、何かを噛みしめる感じもある。そして、共
演デュオ・レコードも出している臼井康浩(ギター)とのふたりで、また30
分近く。激しくはない。
2部はシャープに、藤井郷子(ピアノ)、田村夏樹(トランペット)、加
藤崇之(ギター。2005年11月28日)が加わる。日本人3人は田村夏樹カル
テット(2003年4月7日)をはじめ、重なることは少なくないですね。当然、
ぶっつけ本番で事はすすめられたそうで、明快なメロディ楽器が二つ入って
いるからこその異化作用もあり、こっちのほうがこの日のぼくには興味深く
聞けた。単音一本で勝負の田村の飄々としたずぶとさはラヴリーね。
チャーリー・マリアーノ&渡辺貞夫。akiko
2005年12月18日 まるまる一週間ぶりのコンサート行き。いろんな意味で多忙。先週は見た
いなと思っていた公演をいくつかパス。いかんいかん(と、書きつつ、マそ
んなこともあるサと思っているワタシ)。
渡辺貞夫(33年生まれ。2004年12月17日、他)とチャーリー・マリ
アーノ(23年生まれ)、かつていろいろと関わりを持った日米アルト奏者の
再邂逅ライヴ。うーむ、マリアーノは80歳をゆうに越えているか。彼は秋吉
敏子の最初の旦那で、マンディ満ちるのお父さんでもある。昼間に双頭リー
ダー名義の67年録音のアルバムを聞いた(MCによれば、その頃2度ほど来
日中は渡辺の家に泊まって一緒にツアーをやったらしい)のだが、両者向こ
う見ずにブロウしまくり、もう血気盛んな内容でびっくり。これ、今出たら
かなりフリー(・ジャズ)な内容と書かれるはず。当然のことながら、その
40年弱後のやりとりはそんなふうにはいかないが、いいミューシャンシップ
で結ばれているのはよく判る。マリアーノの癖ある吹き方と対比的に、渡辺
貞夫は多少丹精な感じはあるがとにかく吹けていると思った。近年では一番
ではないか。
渋谷・文化村オーチャードホール。1時間ぐらいのセットを二つ。感心さ
せられたのは、曲作りの才も持つ両者だけに安易にスタンダード曲に流れず
に二人のオリジナル曲でちゃんと勝負したこと。それなりに、気持ちと気合
も二人にはあったのだと思う。バックはピアノ・トリオ、ピアノとドラムは
やはり渡辺貞夫がボストン時代にいろいろと係わった人であるのだとか。ぼ
くは知らなかったが、ピアニストのボブ・デーゲンはけっこう有名な人であ
るそう。
その後、渋谷・クアトロでやっているakiko(2001年12月15日
、他)のライヴに顔を出す。会場入りしたら、ちょうど彼女の新作をプロデ
ュースした小西康陽がステージに出てきてデュエット。会場はかなり混んで
いて、あっというぐらいこれまでと客層が違う。へえ、“私の考えるジャイ
ヴなるもの=洒脱でレトロでエキゾ、そして華やか”を作ろうとした新作っ
てそんなに話題になっているのお? 何より、本人が鬼のように楽しそう(
というか、あまりに違いすぎ。まあ、普段からぼやいてたいたが、本当にジ
ャズ・フォーマットでやるのがイヤだったのだな)。レコードはちゃらい感
じもあり賛同できない部分もあるが、ライヴは素直に楽しいっ、と思えた。
もともとジャズの技量やフィーリングはちゃんと会得している人であるし、
何にでも対応は利くという感じは大アリ。でもって、新たな居場所をちゃん
と得ることが出来て良かったなあ、と思うことしきり。こういう行き方なら
、かつてやっていたとう手品を余興で見せても合うナとも思った。
いなと思っていた公演をいくつかパス。いかんいかん(と、書きつつ、マそ
んなこともあるサと思っているワタシ)。
渡辺貞夫(33年生まれ。2004年12月17日、他)とチャーリー・マリ
アーノ(23年生まれ)、かつていろいろと関わりを持った日米アルト奏者の
再邂逅ライヴ。うーむ、マリアーノは80歳をゆうに越えているか。彼は秋吉
敏子の最初の旦那で、マンディ満ちるのお父さんでもある。昼間に双頭リー
ダー名義の67年録音のアルバムを聞いた(MCによれば、その頃2度ほど来
日中は渡辺の家に泊まって一緒にツアーをやったらしい)のだが、両者向こ
う見ずにブロウしまくり、もう血気盛んな内容でびっくり。これ、今出たら
かなりフリー(・ジャズ)な内容と書かれるはず。当然のことながら、その
40年弱後のやりとりはそんなふうにはいかないが、いいミューシャンシップ
で結ばれているのはよく判る。マリアーノの癖ある吹き方と対比的に、渡辺
貞夫は多少丹精な感じはあるがとにかく吹けていると思った。近年では一番
ではないか。
渋谷・文化村オーチャードホール。1時間ぐらいのセットを二つ。感心さ
せられたのは、曲作りの才も持つ両者だけに安易にスタンダード曲に流れず
に二人のオリジナル曲でちゃんと勝負したこと。それなりに、気持ちと気合
も二人にはあったのだと思う。バックはピアノ・トリオ、ピアノとドラムは
やはり渡辺貞夫がボストン時代にいろいろと係わった人であるのだとか。ぼ
くは知らなかったが、ピアニストのボブ・デーゲンはけっこう有名な人であ
るそう。
その後、渋谷・クアトロでやっているakiko(2001年12月15日
、他)のライヴに顔を出す。会場入りしたら、ちょうど彼女の新作をプロデ
ュースした小西康陽がステージに出てきてデュエット。会場はかなり混んで
いて、あっというぐらいこれまでと客層が違う。へえ、“私の考えるジャイ
ヴなるもの=洒脱でレトロでエキゾ、そして華やか”を作ろうとした新作っ
てそんなに話題になっているのお? 何より、本人が鬼のように楽しそう(
というか、あまりに違いすぎ。まあ、普段からぼやいてたいたが、本当にジ
ャズ・フォーマットでやるのがイヤだったのだな)。レコードはちゃらい感
じもあり賛同できない部分もあるが、ライヴは素直に楽しいっ、と思えた。
もともとジャズの技量やフィーリングはちゃんと会得している人であるし、
何にでも対応は利くという感じは大アリ。でもって、新たな居場所をちゃん
と得ることが出来て良かったなあ、と思うことしきり。こういう行き方なら
、かつてやっていたとう手品を余興で見せても合うナとも思った。
渋谷毅エッセンシャル・エリントン
2005年12月20日 名ピアニストがデューク・エリントンのエッセンスを管楽器奏者を巧みに
操りながら、彼なりに香りたたせるというグループ。峰厚介(テナー)、松
風鉱一(リード)、関島岳郎(チューバ)、外山明(ドラム)に、ときに清
水秀子というシンガーが入る。2部は、さらに林栄一(アルト)も加わる。
名手たちのテンコもり。余裕の、芳しい一夜……。新宿・ピットイン。
操りながら、彼なりに香りたたせるというグループ。峰厚介(テナー)、松
風鉱一(リード)、関島岳郎(チューバ)、外山明(ドラム)に、ときに清
水秀子というシンガーが入る。2部は、さらに林栄一(アルト)も加わる。
名手たちのテンコもり。余裕の、芳しい一夜……。新宿・ピットイン。
ザ・ウィスパーズ
2005年12月21日 素晴らしいソウル・ショウを堪能。ソウルっていいな、ちゃんとツアー・
サーキットをやっているソウル・バンドって受け取り所ありすぎるなと思わ
ずにはいられなかった晩。これ、たぶん05年でいちばんぼくがニコニコしち
ゃった公演だと思う。丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ。
前回の来日公演の項(1999年5月20日)でもかなり褒めたことを書いて
いるが、すべての面でもっともっと魅力的なショウを彼らは繰り広げた。バ
ック・バンドが8人(前回より多いぞ。みんな腕が立つ人達でした)で、ス
コット兄弟をはじめフロントに立つシンガーが4人。シンガー陣はディープ
なピンク色のスーツ(靴も同色)でまとめ、演奏陣は黒基調。スコット兄弟
はスーパー・マリオ・ブラザーズそっくりらしいし、立派な髭のベース奏者
をはじめ、みんなけっこう見かけだけでキャラが立つ。で、音楽だけでなく
、進め方とか動きとかが本当にソウルの積み重ねられたきた様式を口惜しい
ぐらい内包していて、うわあいいいなあとなってしまう。
ほぼ、完璧。で、それが余裕ある環境のもと酒を飲みながら見れるわけで
、本当に気持ちよく高揚できた。向こうではワン・オブ・ゼムの出演者にな
ってしまうかもしれないが、東京では滅多に来日しない実力派グループとい
うことになり、見にきている人も一期一会的な感覚でやんやの喝采を贈る。
そりゃ、出演者も張り切るよなあ。受け手と送り手の素敵な相乗効果がそこ
にはありました。
サーキットをやっているソウル・バンドって受け取り所ありすぎるなと思わ
ずにはいられなかった晩。これ、たぶん05年でいちばんぼくがニコニコしち
ゃった公演だと思う。丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ。
前回の来日公演の項(1999年5月20日)でもかなり褒めたことを書いて
いるが、すべての面でもっともっと魅力的なショウを彼らは繰り広げた。バ
ック・バンドが8人(前回より多いぞ。みんな腕が立つ人達でした)で、ス
コット兄弟をはじめフロントに立つシンガーが4人。シンガー陣はディープ
なピンク色のスーツ(靴も同色)でまとめ、演奏陣は黒基調。スコット兄弟
はスーパー・マリオ・ブラザーズそっくりらしいし、立派な髭のベース奏者
をはじめ、みんなけっこう見かけだけでキャラが立つ。で、音楽だけでなく
、進め方とか動きとかが本当にソウルの積み重ねられたきた様式を口惜しい
ぐらい内包していて、うわあいいいなあとなってしまう。
ほぼ、完璧。で、それが余裕ある環境のもと酒を飲みながら見れるわけで
、本当に気持ちよく高揚できた。向こうではワン・オブ・ゼムの出演者にな
ってしまうかもしれないが、東京では滅多に来日しない実力派グループとい
うことになり、見にきている人も一期一会的な感覚でやんやの喝采を贈る。
そりゃ、出演者も張り切るよなあ。受け手と送り手の素敵な相乗効果がそこ
にはありました。
川下直広トリオ
2005年12月22日 川下直広(テナー)、不破大輔(ベース)、岡村太(ドラム)。いやあ、
ジャズ。ストロングなジャズ。尊厳を持つジャズ。川下と不破というと、同
じトリオ編成でやっていたフェダインのことを思い出したりもするが、もっ
と実直な歌心を出していたりもし、それは月日の流れや積み重ねを実感させ
たか。とにもかくにも、川下のテナーは素晴らしい。
早稲田・茶箱(近所の神社はお祭りをやっていた)。セカンド・ショウを
見て、そのあとエイベックス・イオと契約した渋さ知らズ(2004年8月1
日、2004年9月1日、他)率いる不破にインタヴュー。クルマで来てて
飲めない彼に遠慮せず、グビグビ飲みながら楽しくお話。今年の欧州ツアー
を記録した30枚組ボックスは実現化するか(エイベックス発売とは別で)。
ジャズ。ストロングなジャズ。尊厳を持つジャズ。川下と不破というと、同
じトリオ編成でやっていたフェダインのことを思い出したりもするが、もっ
と実直な歌心を出していたりもし、それは月日の流れや積み重ねを実感させ
たか。とにもかくにも、川下のテナーは素晴らしい。
早稲田・茶箱(近所の神社はお祭りをやっていた)。セカンド・ショウを
見て、そのあとエイベックス・イオと契約した渋さ知らズ(2004年8月1
日、2004年9月1日、他)率いる不破にインタヴュー。クルマで来てて
飲めない彼に遠慮せず、グビグビ飲みながら楽しくお話。今年の欧州ツアー
を記録した30枚組ボックスは実現化するか(エイベックス発売とは別で)。
リッキー・リー・ジョーンズ(29日)
2005年12月31日 素晴らしい。彼女がサポートのミュージシャンとともにパフォーマンスを
始めたとたん、すぐに思った。前回の来日公演(2004年3月26日)とバ
ッキング陣の編成(もちろん、顔ぶれも)がぜんぜん違うんだもの。前回は
キーボード奏者やサックス奏者がいた。当然のことながら、求める音の感じ
も大きく違う。どういう経緯でそうなったかもちろん知らないが、いろんな
表情を受けられるというのは嬉しいものだ。事実、彼女は出すべき様々な内
実を持っているわけだし。
バックはトニー・シェアー(セックスモブ、ジェシー・ハリスのザ・フェ
ルディナンドス、ノラ・ジョーンズ、ビル・フリゼール)をはじめとする、
弦楽器奏者3人。ジョーンズもギターを手にしたりする(生と電気をそれ
ぞれ。歌だけのときも)ので、多いときには3本のギターと電気ベースとい
う編成でやるのだが、鷹揚ながらちゃんとギター陣の住み分けがなされてい
て、感心。ジョーイ・マランバという若いベース奏者はボウを用いて演奏す
る時もあったしなあ。前回のようにジャズ的広がりを介する部分はなかった
が、くだけた笑顔があるこちら(男性陣はコーラスをしたりも)はこちらで
大いなる味あり。というか、昔からのファンは今回の設定のほうが嬉しく、
親しみやすく感じたのではないか。
途中でリトル・フィートの人気曲「ウィーリン」もやる。フィートは超大
好きなグループではあったが、リズム/グルーヴ志向の強いぼくにとって、
フォークなこの曲は彼らの中ではどーでもいい曲。ではあったけど、彼女た
ちのそれはとってもフフフとなれた。それにしても、こんな曲も聞けるとは
! 作者の故ローエル・ジョージの尽力で彼女はワーナーと契約したんだっ
けか。そのカヴァー、ぜんぜん感傷的なところはあまりせんでした(それも
良かった)。
実は今回のパフォーマンス、上出の弦楽器奏者に加えてドラムのアントン
・フィアー(元ザ・フィーリーズ、マテリアル、ザ・ゴールデン・パロミノス
)が加わるはずだった。実際、日本にはやってきたのだが、東京の前に京都
でやったライヴかなんかでジョーンズと意見が合わず、彼は米国に帰ってし
まったらしい。おお。フィアーが入ったらどんなバンド・サウンドになった
だろうかと夢想しちゃうところはあるが、なあなあで行かずにお互いのミュ
ージシャンシップをぶつけ合った結果なのだろうから十分に納得がいく。フィ
アーはマシュウ・スウィートやロリ・カーソンなど、シンガー・ソングライタ
ー作品のプロデューサーとしてもかなりの腕を奮った人。マケイル・スタイ
プ他いろんなゲスト・シンガーを擁したザ・ゴールデン・パロミノス表現も
当初はパンク・ジャズ・ユニットだったが、イマジネイティヴで歌心あふれ
る大人のアメリカン・ロックを紡ぎだそうとした名バンドであったし。そん
な彼は彼なりに、いろいろ思うところはあったのだろう。
それからもう一つ書き留めておかなければならないのは、ベーシスト(主
にアコースティック)ととして活躍しているシェアーがギタリストとしてここには参加していたという事実。けっこうスライド・バーを多用したりして、リーに
寄り添う。二人だけでパフォーマンスするときもあったし、なかなかジョー
ンズとシェアーの関係はうまくいっているように見えた。ミュージシャンの
ネットワークっておもしろい。ジョーンズはLAなはずだけど、シェアー(
フィアーもだが)はNYだしな。
最後のほう、ジョーンズはピアノを弾き語りする。そのとき、シェアーは
アコースティック・ベースを手にしたりもしたのだが、どうやら知らない曲
だったようで、ほとんど彼女のピアノを弾く指を追いながら、非常におぼつ
かない感じで弾く。そういう面に顕著なように、気儘に曲を選んでいたと
ころもあったのかもしれない。
なんかいろいろあった一年だったけど、いい締めくくりと思えたライヴ。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。明後日は彼女、カウントダ
ウンもするのか。関係ないけど、ブルーノートNYのニューイアーズ・イヴ
(と、元旦)はカサンドラ・ウィルソンの出演。バックはブランドン・ロス
とマーヴィン・スーウェルの二大個性派ギタリストの揃い踏みなんだよなあ
。
始めたとたん、すぐに思った。前回の来日公演(2004年3月26日)とバ
ッキング陣の編成(もちろん、顔ぶれも)がぜんぜん違うんだもの。前回は
キーボード奏者やサックス奏者がいた。当然のことながら、求める音の感じ
も大きく違う。どういう経緯でそうなったかもちろん知らないが、いろんな
表情を受けられるというのは嬉しいものだ。事実、彼女は出すべき様々な内
実を持っているわけだし。
バックはトニー・シェアー(セックスモブ、ジェシー・ハリスのザ・フェ
ルディナンドス、ノラ・ジョーンズ、ビル・フリゼール)をはじめとする、
弦楽器奏者3人。ジョーンズもギターを手にしたりする(生と電気をそれ
ぞれ。歌だけのときも)ので、多いときには3本のギターと電気ベースとい
う編成でやるのだが、鷹揚ながらちゃんとギター陣の住み分けがなされてい
て、感心。ジョーイ・マランバという若いベース奏者はボウを用いて演奏す
る時もあったしなあ。前回のようにジャズ的広がりを介する部分はなかった
が、くだけた笑顔があるこちら(男性陣はコーラスをしたりも)はこちらで
大いなる味あり。というか、昔からのファンは今回の設定のほうが嬉しく、
親しみやすく感じたのではないか。
途中でリトル・フィートの人気曲「ウィーリン」もやる。フィートは超大
好きなグループではあったが、リズム/グルーヴ志向の強いぼくにとって、
フォークなこの曲は彼らの中ではどーでもいい曲。ではあったけど、彼女た
ちのそれはとってもフフフとなれた。それにしても、こんな曲も聞けるとは
! 作者の故ローエル・ジョージの尽力で彼女はワーナーと契約したんだっ
けか。そのカヴァー、ぜんぜん感傷的なところはあまりせんでした(それも
良かった)。
実は今回のパフォーマンス、上出の弦楽器奏者に加えてドラムのアントン
・フィアー(元ザ・フィーリーズ、マテリアル、ザ・ゴールデン・パロミノス
)が加わるはずだった。実際、日本にはやってきたのだが、東京の前に京都
でやったライヴかなんかでジョーンズと意見が合わず、彼は米国に帰ってし
まったらしい。おお。フィアーが入ったらどんなバンド・サウンドになった
だろうかと夢想しちゃうところはあるが、なあなあで行かずにお互いのミュ
ージシャンシップをぶつけ合った結果なのだろうから十分に納得がいく。フィ
アーはマシュウ・スウィートやロリ・カーソンなど、シンガー・ソングライタ
ー作品のプロデューサーとしてもかなりの腕を奮った人。マケイル・スタイ
プ他いろんなゲスト・シンガーを擁したザ・ゴールデン・パロミノス表現も
当初はパンク・ジャズ・ユニットだったが、イマジネイティヴで歌心あふれ
る大人のアメリカン・ロックを紡ぎだそうとした名バンドであったし。そん
な彼は彼なりに、いろいろ思うところはあったのだろう。
それからもう一つ書き留めておかなければならないのは、ベーシスト(主
にアコースティック)ととして活躍しているシェアーがギタリストとしてここには参加していたという事実。けっこうスライド・バーを多用したりして、リーに
寄り添う。二人だけでパフォーマンスするときもあったし、なかなかジョー
ンズとシェアーの関係はうまくいっているように見えた。ミュージシャンの
ネットワークっておもしろい。ジョーンズはLAなはずだけど、シェアー(
フィアーもだが)はNYだしな。
最後のほう、ジョーンズはピアノを弾き語りする。そのとき、シェアーは
アコースティック・ベースを手にしたりもしたのだが、どうやら知らない曲
だったようで、ほとんど彼女のピアノを弾く指を追いながら、非常におぼつ
かない感じで弾く。そういう面に顕著なように、気儘に曲を選んでいたと
ころもあったのかもしれない。
なんかいろいろあった一年だったけど、いい締めくくりと思えたライヴ。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。明後日は彼女、カウントダ
ウンもするのか。関係ないけど、ブルーノートNYのニューイアーズ・イヴ
(と、元旦)はカサンドラ・ウィルソンの出演。バックはブランドン・ロス
とマーヴィン・スーウェルの二大個性派ギタリストの揃い踏みなんだよなあ
。