日本武道館。ディスコ度数の高まりと比例するようにちゃらい中年くささ
が増しているジェイ・ケイだが、意外なぐらいまっとうさが出ていた実演だ
ったな。その一因となっていたのが、力一杯たたいていたドラムの存在。と
きに過剰なそれは、本当にグイのりや、血が流れている感じを出していたも
の。そして、それを受けて、彼もしなやかにホワイト・ソウル・マンとして
の現在を表出していた。これは、確かに美味。ウキウキしながら見ちゃった
し、初期の颯爽とした感覚を思いださせるところもありました。

 終わったあと、南青山・月見ル君想ウに向かう。見やすいし、けっこうい
い感じのハコ。そこで、芳垣安洋(2005年9月17日、他。本当に彼が叩く出
しモノをぼくは見ているよなあ……)による、3人のピアニストをそれぞれ
にフィーチャーしてのピアノ・トリオ企画をやっている。ウッド・ベースは
鈴木正人(2004年11月30日、2005年6月9日、2005年10月31日、他)
が担当。残念ながら清水一登と南博(2001年10月29日、2005年6月9日、
2005年9月11日)の各セットは終わっていたが、板橋文夫(2004年8月
20日、2004年10月10日)のそれが始まる前に着くことができた。やっぱ
彼、弾けてたなあ。アウトすることと歌心を掘り下げることを両立させ
つつ、思うままかっとぶ。板橋はいろんな編成を披露する人だが、ホーン奏
者と渡りあうときより小さな編成のほうがそのギザギザやデコボコはストレ
ートに伝わってくる感じもあって、よりロック側の聞き手にも親しみやすい
んじゃないか。で、これこそは今ロックの聞き手に聞かせたいナンバー1の
ピアノ・トリオという実感を得る。