エル・プレジデンテ

2005年11月21日
 ちょっと紛い物的な風情も持っているスコットランドのグラスゴー拠点の
新進5人組、恵比寿・リキッドルームでのショーケース・ライヴ。男女混合
編成(女性はキーボードとドラム。キーボード奏者のバック・コーラスはと
ても良い)、写真を見ると人種も少し散っている感じがあって、絶対に悪い
感じはしない。スペイン語をバンド名にしているのも憎めないし。

 そのリード・トラック「100 MPH」はもろにT・レックス。他の曲はそ
れほどT・レックスぽくはないが、グリッターなポップ・ロックをけれん味
なく披露する連中であり、今UKからいろいろ出ているあっけらかんとした
温故知新系バンドの一つと言える。そんな彼らの実演を見て、曲も粒揃いだ
し、演奏もちゃんとしているし、数あるその手の一群において相当上位に位
置させるべきバンドであるとぼくは感じた。少なくても、ぼくはフランツ・
フェルディナンドよりか数段いいと思うナ。ラベルの「レディ・マーマーレ
ード」のリフを曲に折り込んでみたり、ファンカデリック的なリズムと歌の
掛け合いパターンを取り入れた曲があったりと、ソウル/ファンク趣味を巧
みに折り込む局面があるのも彼らのポイントか。途中で、プリンス&ザ・レ
ヴォルーションのドリーミィな「ラズベリー・ベレー」(85年『アラウンド
・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』に収録)もきっちり披露。うきっ。なる
ほど、スライ&ザ・ファミリー・ストーン的な部分は皆無ながら、この男女
混合バンドのスタート地点はここらあたりにあったりもするのかな。ふふふ
。こういう若者が育つ地に、いま中村俊輔は居住しているのかあ……。ゲン
ブツの女性陣は写真よりも良く見えた。ただ、フロントに立つヴォーカル君
が風体を含めて一番しょぼい。危惧するとすればそこかな。