朝10時からの試写に行き、2018年ロシア/フランス映画を見る。六本木・キノフィルムズ試写室。予約制が取られ、2席おきに座れるようになっていた。時間が早いせいもあり、ガラガラではありましたが。

 1980年代初頭、ソ連のレニングラード(現サンクトペテルグルグロベルク)で切実にロックをしていた実在の面々を材料に置くもので、監督はロシア人芸術家のキリル・セレブレンニコフ。彼は政府から割り当てられた予算を横領した罪で自宅軟禁を強いられてしまい、そうしたなかこの映画を作ったという。

 政府の監視下のもとロック楽曲発表(歌詞は検閲あり)や公演が行われていた時代の青春群像を描いた映画。基本当時の感じを出すためにモノクロームで撮られているが、ロック=反抗という感じで政府と戦うソ連ロッカーの姿を描くものではなく、西側のロックに憧れ、大きく呼吸しようとしていた青年たちを、ちょい甘酸っぱく描く。先にちらり書いたようにその際、当時を代表するロック・ミュージシャンだったズーバークのマイク・ナウメンコと奥さんのナタージャ、そして彼らに懐き、後にキノーというバンドを組んでもっとビッグな存在となるヴィオクトル・ツォイが主役となる。ナウメンコは1991年に、ツォイは1990年に亡くなっている。後者が交通事故で亡くなったときは、大騒ぎだったようだ。

 T・レックスやルー・ルード、イギー・ポップ、トーキング・ヘッズらの音楽も使われるが、その際はグラフィックも加えられたりもし、超質の高いPVみたいな映像になり、キリル・セレブレンニコフの腕はかなり確か。ほんの一部のカラー映像の使用も同様だ。

 マイク・ナウメンコは西側のロック曲をまんまロシア語にして歌う、悪い言葉で言えばパクリ大王だったようだが、だがなるほど劇中で使われるズーパークの音楽は格好いい。ひと頃の、プライマル・スクリーム(2000年2月11日、2002年11月16日、2005年7月31日、2009年1月28日、2011年8月12日、2013年11月6日)みたいと書きたくなるか。一方、ライヴでも12弦のアコースティック・ギターを持つヴィオクトル・ツォイの曲はフォークぽく、ぼくは好きではないがそれはぼくの偏狭さゆえであり、多くに人は気にならならいだろう。

 しかし、ソ連のロック史に今もしっかり名を残すというヴィクトル・ツォイが高麗人とロシア人のミックスであり、その役をドイツ生まれで、NYやロンドンで演劇を学び、2009年以降はソウルに住むというユ・テオが演じている。テオはロシアとの接点はないと思われるが、門外漢が接する分には普通にロシア語で演技していて驚く。出演者たちは総じて魅力的だ。

 ところで、西側ロックの耽溺を示す素材として部屋の壁ににいろんなロック・アルバムのカヴァーが飾られるなか、アフリカン・アメリカンのジャケット・カヴァーの表/裏が1作だけ飾られている。それ、アイク&ティナ・ターナーの『Outta Season 』(Blue Thumb、1969年)。そんなロシア発の音楽映画は7月24日、ヒューマンシネマトラスト渋谷他で公開。後援として、ロシアの公的機関の名前が入っている。

▶︎過去の、サンクトペテルブルクのグループ
https://43142.diarynote.jp/?day=20180628
▶過去の、プライマル・スクリーム
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-2.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200901290803429732/ これ以降、ガャドガン加入
http://43142.diarynote.jp/201108131129381378/
http://43142.diarynote.jp/201311071343585896/

<今日の、社会復帰?>
 3月中旬以降、初めて電車に乗る。渋谷に出たことはあったが、歩いて往復しているからな。今日は、天気の良かった日。9時半ごろはまだ電車が混んでいるので、渋谷まで歩こうと思っていたのだが、日差しの強さに負けてバスに乗ってしまう。座れた。久しぶりの試写会のあとは知人のお店に行きご飯を食べ、その後は久しぶりに髪の毛を切る。なかなかのロン毛になっちゃっていました。いいぢゃんという人もいて、まあこれもアリかと思っていたが、さすが夏は暑いしナ。それに、サザン・ロッカーの気分になって、あんまし格好や体型に気を使わなくなりそうなのが、怖かった。3時間強にわたるカット&脱色&カラー後、馴染みの店をはしごする。やっぱり、楽しいィ。
 しかし、新型コロナ・ウィルス禍のおり、ほぼ毎晩日暮れ後は出かけていた自分が、引きこもり体質であるのを悟った。家では飲まない(飲みたくならない)ので、お酒もほぼ飲んでいないのだが、ストレスはそんなに感じていないものなー。家でちんたらしているのも楽でいいなとマジ思っちゃった。取材も、東京、奄美大島、ニューオーリンズ、マンチェスター、アルペンなどいろんなところに住む人とやっているが、電話かメールですんでしまっているしなー。