シンガー/ピアニストのフレディ・コール(2010年4月20日)がジョージア州アトランタの自宅でお亡くなりになった。死因は、心臓血管系疾患の合併症。とはいえ、肺がんでなくなった偉大な兄ナット・キング・コールより倍近く生きたことになる。高校時代は将来を嘱望されるアメリカン・フットボールの選手だったが、夢破れ、兄の勧めもありジュリアード音楽院やニュー・イングランド音楽院に学び、まだ学生だった1952年にドットからシングル・デビューした。遺作はワーキング・バンドと録音した『My Mood is You』(High Note,2018年)で、グラミー賞のベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバムにノミネイションされた。

▶︎過去の、フレディ・コール
https://43142.diarynote.jp/201004221700527153/

 また、名アレンジャー/コンポーザーのジョニー・マンデルの訃報も届いた。享年94、自殺と報じているメディアもある。その年齢が示すように、ニューヨーク生まれの彼はまさにジャズ・エイジ。ジャズがポップ・ミュージックのメインストリームにある時代に素直にジャズ界入りした。

 恵まれた環境に育ち、ジュリーアドやマンハッタン音楽院でトロンボーンやトランペットを学び、当初はビッグ・バンドの管楽器奏者としてスタート。その後、アレンジャーとしての才をあらわし、アーティ・ショウ、チャーリー・パーカー、ウディ・ハーマン、チェット・ベイカー、フランク・シナトラ、トニー・ベネット、クインシー・ジョーンズ、ダイアナ・クラール他、指揮込みでアレンジを提供。また、曲作りもし、彼の曲はいろんな人に取り上げられている。スタンダードの「シャドウ・オブ・ユア・スマイル」は彼が担当した映画「いそしぎ」のために書かれた曲ですね。そんな彼の映画音楽の代表作は、ローバート・アルトマンの1970年映画「M★A★S★H」か。また、1970年代を回ると、リッキー・リー・ジョーンズ、マイケル・ジャクソン、スティーリー・ダン、バリー・マニロウらポップ・アーティストの仕事も請け負った。

 彼のアレンジにそれほど着目してはかなかったが、彼の名前を聞くとなぜか甘酸っぱい気持ちにぼくはなる。彼は2018年に、レコーディングにおける歌唱や演奏ではない部分の功績を称えられる賞である“グラミー賞とラスティーズ・アワード”を受賞した。