午後一に品川で取材(パシフィック・ホテルに行ったのだが、80年代中期
のスティングのインタヴュー以来、そこに行ったのではないか。あれはソロ
転向後、初めて来日したときだった)したあと、京橋・映画美学校第二試写
室で『線路と娼婦とサッカーボール』というスペイン制作の映画(チェマ・
ロドリゲス監督)を見る。メキシコの下に位置する中米グアテンマラの首都
のグアテマラシティの線路わきに住む娼婦たちが結成したサッカー・チーム
を扱ったドキュメンタリー。まあ、描き方に不備を感じなくはない(題材は
興味深い。その事実をもとにフィクション化したら、おもしろい映画が出来
るかも)が、なかなか知りえない事をいろいろと伝える映像であるのは間違
いない。サッカーの試合はフットサルの大きさのコートからけっこう普通サ
イズのサッカー・コートまでが使われたり、なかにはコンクリートの上で行
われたりととっても乱暴。でも、それが中南米諸国の現実でもあるだろう。
応援団の元娼婦の片方の目を無くしたマリナというおばあさんが歌うシーン
が複数あり、ファドと重なるような味を持つそれは非常に味わい深いゾと感
心したら、なんとこの映画が引き金となり、おあばさんの歌がスペインでは
ヒットしたそうな。その話は実に頷けます。映画は12月22日から、シアター
N渋谷で公開。

 そのあとは、恵比寿・リキッドルームでのスーパー・ファリー・アニマル
ズ(2001年10月19日、2005年10月18日)と丸の内・コットンクラブでの
ザ・ダズ・バンド(2006年7月24日)をハシゴする予定だったのだが、なんか
ここから一度恵比寿に行くのがおっくうになり予定を変更、セカンド・ショ
ウからファースト・ショウに変更するなどやりくりがついたのでそのまま東
京駅近く(京橋と東京駅はそんなに離れてない)のコットンクラブに向かっ
ちゃう。その前に時間調整もあり、再開発された東京駅八重図口周辺を探索
する。

 で、ザ・ダズ・バンドは前回以上に良かったな。本人たちも前回受けた好印
象があったため、より磨き上げたパーフォーマンスを心掛け、より焦点をしぼ
った内容を練ってきたのだと思う(日本語もMCに入れるようになった)。
ルックスが老けていないスキップ・マーティンが全面に立つ曲が多く、その
マーティンの歌が実にいい感じ(全盛期を凌駕する?)であるのに、感激。
観客を左右に分けての掛け合いなんて事も去年はなかったはず。といった具
合で、見事にリファインされていた、中堅セルフ・コンテインド・グループ
の充実した実演にぼくは大満足。