一昨年のフジ・ロックに来て以来の来日となるのかな。青海・ゼップ東京
。本編は1時間40分。それはすべて、ギター、キーボード、ベース、ドラム
、パーカションという布陣のバンドにて。過剰に自分のギター演奏の妙味に
寄り掛からず、集団表現のなかから浮かび上がる自分の歌声で勝負しようと
する意思をそれは感じさせるものだった。そして、その奥にはブラインド・
ボーイズ・オブ・アラバマ(2004年9月17日)とのいろいろな絡みが跳ね
返ったものであるようにも、ぼくは思えた。彼もエルヴィス・コステロ
(2006年5月31日〜6月2日)のように、オフ・マイクで歌ったときがあ
った。

 アンコールになって、初めて彼はギターやワイゼンボーンの一人弾き語り
表現をたっぷり聞かせる。そして、またバンドによる演奏。一時、ジャム・
バンド的だなと思わせるときもあったが、今のベン・ハーパー&ジ・インノ
セント・クリミナルズはもっと王道の、塊感を重視する土着性たっぷりのア
メリカン・ロック・バンドという印象が強いように思う。1曲、ニール・ヤ
ングの「ハート・オブ・ゴールド」も披露。彼はよくカヴァーも披露する人
だが、マジ白人ロッカーのそれは初めて聞くような……。最初から終わりま
で、客席側からは熱い反応。ある種の人達にはって、ベン・ハーパーがます
ます特別銘柄になっているんだなと思わずにはいられず。