良かったなあ。お酒、とまらなかったなあ(次の日、取材入ってなかった
ら、間違いなく朝までコースだったなー)。L.T.D.というA&Mと契約して
いたセルフ・コンテインド・グループにいて(そのときはドラマーだった
) 、80年代前半からソロとして活動しているソウル・シンガーの素晴らしい
ショウにニッコリ。ちゃんと声が出ていて、歌に訴求力があるし、進め方も
余裕があってうまい。身体もそれほど太っておらず(格好も、大人っぽくこ
ざっぱり)、さほど過剰に老けている感じはないし、現役感たっぷりのその
パフォーマンスはいいなあいいぞおと心の中で連呼させるに十分なものだっ
た。

 丸の内・コットンクラブ(セカンド)。ちゃんと入っている客の大半はラ
フな格好の(オズボーン目当てで来ているだろう)人達。途中でお客3人に
歌わせたのだが上手すぎ、歌の道を進んでいる/進もうとしている人達もけ
っこういたのだろう。コチ発の新作『From The Soul 』はカヴァー曲集だっ
たのでカヴァーもやるのかと思ったら、L.T.D.時代の曲をふくめ、持ち歌で
起伏を付けながら勝負。アンコールはザ・スピナーズ「アイル・ビー・アラ
ウンド」。この曲をぼくが嫌いな予定調和的フュージョン・バンドのザ・リ
ッピントンズのアルバムに客演して彼が歌っていたとは。

 バンドもよろしい。キーボード2台、ギター、ベース、ドラムス、男女ひ
とりづつのバッキング・ヴォーカル。ギターと音楽監督のほうのキーボード
は白人、もう一人のキーボード奏者はネイティヴ・アメリカンみたいに見え
る外見の持ち主。ドラマーはジェリー・ブラウンと紹介されていたがすると
ブルーノート末期(70年代中期)にジョン・リーとの双頭リーダー作を2枚
出した人だろうか。見た目はそほど老けてないよう見えたが、あの音は全盛
期のスタンリー・クラークが大お気に入りでもあったあの彼(70年代中期に
録られたマーヴィン・ゲイのロンドンでのライヴ盤にもクレジットされてい
た)だと、ぼくは高揚した頭で思うことにした。そのほうがもっと親近感を
持って見ることができる。

 なお、ここの座席配置はステージに向かって右側は横に並んで座るような
カウンター式の座席が2列に渡って配置されている(それは、移転する前の
ブルーノート大阪を思い出させる。移転後もそうなっているのかは、行って
ないので知らぬが)。今回、その中列のけっこうステージ寄りの所に座った
のだが、これがなかかなか。ちょうど前の列に熱心な反応を示すお客さんが
いたこともあってか、オズボーンはけっこうこっち側を見て歌うし、意外に
ステージ上の人をみんな見ることができたし(それは、出演者のセッティン
グによっても異なるだろうけど)、キーボードの弾き方は手に取るように分
かるし(同)、一方ではお客の反応の様子も手に取るように分かりアーティ
スト側の視点も味わえるし(最後に、後部のソファー席にいたスーツ族が立
ち上がりギンギンになっている様子を見てジェフリーが大喜びする様も直截
に感知することができました)、うわあ、この席こんなにいい感じで見れち
ゃうのとびっくり。このポジション、大ありです。