ザ・マンハッタンズ
2006年1月7日 全米No.1ヒット「キス&セイ・グッバイ」他の著名ヒットを持つ、ニュー
ジャージーの大御所ヴォーカル・グループ。場所は、丸の内・コットンクラブ
(セカンド)。オリジナル・メンバーはベース・ヴォーカルのウィンフレッ
ド・ラヴェットだけだが、グループ中興の祖というべき存在であり、ソロと
してのキャリアも輝かしいジェラルド・アルストンがグループに戻っている
のだから、なんの文句もない。バック・バンドはキーボード2、ギター、ベ
ース、ドラムという布陣。若い顔したギタリストをラヴェットは甥と紹介し
てた。また、彼はキーボードの一人をミュージカル・ディレクター、ドラマ
をバンド・リーダーと紹介していました。
リードはすべてアルストンが取る。そして、それを他の3人がコーラスで
ふんわり持ち上げる。もちろん、ソウル・コーラス・グループ特有の振り付
けもあり。ただし、杖をついてステージに出てきた一人だけ年長に見えるラ
ヴェットは座っていて、踊りには交じらず。でも、彼は渋い低音で語りやMC
をし気分を盛り上げ、存在感を出し、それはそれで風情があると思わせる。
曲はけっこう切れ目なしに。終盤、ゴスペルっぽいイントロに導かれて、
アルストンだけがステージに立って歌ったのは、サム・クックの「ア・チェ
ンジ・イズ・ゴナ・カム」。おお。もともとクック・フォロワー濃厚な乗り
を出していた彼ではあるのだが。鬼のような名曲であり、それを彼は見事に
歌いきる。このときが、一番客席側の歓声も高かったかも。いいもの、聞か
せていただきました。
フロントの4人は、それぞれ赤、青、紫、水色と色違いの特殊仕様のスー
ツ(シャツやエナメルの靴も同色でまとめる)を身にまとい、バックは白基
調の衣服でまめとめている。そういう様式って、本当にいいな。その色違い
のスーツはこの日(3日目となる)が初めて披露するとかで、彼らはいくつ
も服を持ってきているよう。昨年末のザ・ウィスパーズ(2005年12月21
日)のほうが充実度は高かったが、この日もウキっとなれるソウル・ショウ
。続けざまに美味しいソウルのもろもろに触れ、ぼくは“ソウル・コーラス
・グループ振り付け同好会”を作りたくなっちゃった。
この会場、ソウル〜大人ポップ系が多いのかと思ったら、この後のしばら
くはジャズ系が続く。1月23日と24日は粋と冒険を重ねられる名ジャズ歌手
マーク・マーフィ(クラブ・ミュージック側からの再評価の機運もあります
ね)と歌モノのバッキングが得意なピアニストのジョシュア・ウルフによる
デュオがあり、26日〜30日はブルーノートやテラーク等からリーダー作を安
定して出している敏腕ピアニストのベニー・グリーンのトリオ、そして31日
から2月5日まではずっとワーナー系に所属しているサイラス・チェスナッ
トのピアノ・トリオと続く。グリーンは白人、チェスナットは黒人という違
いはあれど二人とも1963年生まれで、似た時期に豊穣テクニシャンとして脚
光を浴びたということでは重なりますね。それと二人ともベティ・カーター
(カサンドラ・ウィルソンが土下座しちゃう偉人ジャズ・シンガーね)に雇
われた経験があるというのも。チェスナットのトリオは前に来日したとき
と同じ気心の知れたリズム隊を率いてのもの。一方、グリーンのほうは、ベ
ースはシカゴ音響派系トランペッターのロブ・マズレク(2004年1月20
日他)のバンドにかつていたこともあるジョン・ウェバーで、ドラムスはア
トンクティック他からリーダー作を出し、サイドマンとしても引く手あまた
のカール・アレンだ。チェスナットも、アレンをずっと雇っていたことがあ
った。そして、その後はザ・デューク・オブ・デキシーランドというディキ
シーのグループも出るという。
ジャージーの大御所ヴォーカル・グループ。場所は、丸の内・コットンクラブ
(セカンド)。オリジナル・メンバーはベース・ヴォーカルのウィンフレッ
ド・ラヴェットだけだが、グループ中興の祖というべき存在であり、ソロと
してのキャリアも輝かしいジェラルド・アルストンがグループに戻っている
のだから、なんの文句もない。バック・バンドはキーボード2、ギター、ベ
ース、ドラムという布陣。若い顔したギタリストをラヴェットは甥と紹介し
てた。また、彼はキーボードの一人をミュージカル・ディレクター、ドラマ
をバンド・リーダーと紹介していました。
リードはすべてアルストンが取る。そして、それを他の3人がコーラスで
ふんわり持ち上げる。もちろん、ソウル・コーラス・グループ特有の振り付
けもあり。ただし、杖をついてステージに出てきた一人だけ年長に見えるラ
ヴェットは座っていて、踊りには交じらず。でも、彼は渋い低音で語りやMC
をし気分を盛り上げ、存在感を出し、それはそれで風情があると思わせる。
曲はけっこう切れ目なしに。終盤、ゴスペルっぽいイントロに導かれて、
アルストンだけがステージに立って歌ったのは、サム・クックの「ア・チェ
ンジ・イズ・ゴナ・カム」。おお。もともとクック・フォロワー濃厚な乗り
を出していた彼ではあるのだが。鬼のような名曲であり、それを彼は見事に
歌いきる。このときが、一番客席側の歓声も高かったかも。いいもの、聞か
せていただきました。
フロントの4人は、それぞれ赤、青、紫、水色と色違いの特殊仕様のスー
ツ(シャツやエナメルの靴も同色でまとめる)を身にまとい、バックは白基
調の衣服でまめとめている。そういう様式って、本当にいいな。その色違い
のスーツはこの日(3日目となる)が初めて披露するとかで、彼らはいくつ
も服を持ってきているよう。昨年末のザ・ウィスパーズ(2005年12月21
日)のほうが充実度は高かったが、この日もウキっとなれるソウル・ショウ
。続けざまに美味しいソウルのもろもろに触れ、ぼくは“ソウル・コーラス
・グループ振り付け同好会”を作りたくなっちゃった。
この会場、ソウル〜大人ポップ系が多いのかと思ったら、この後のしばら
くはジャズ系が続く。1月23日と24日は粋と冒険を重ねられる名ジャズ歌手
マーク・マーフィ(クラブ・ミュージック側からの再評価の機運もあります
ね)と歌モノのバッキングが得意なピアニストのジョシュア・ウルフによる
デュオがあり、26日〜30日はブルーノートやテラーク等からリーダー作を安
定して出している敏腕ピアニストのベニー・グリーンのトリオ、そして31日
から2月5日まではずっとワーナー系に所属しているサイラス・チェスナッ
トのピアノ・トリオと続く。グリーンは白人、チェスナットは黒人という違
いはあれど二人とも1963年生まれで、似た時期に豊穣テクニシャンとして脚
光を浴びたということでは重なりますね。それと二人ともベティ・カーター
(カサンドラ・ウィルソンが土下座しちゃう偉人ジャズ・シンガーね)に雇
われた経験があるというのも。チェスナットのトリオは前に来日したとき
と同じ気心の知れたリズム隊を率いてのもの。一方、グリーンのほうは、ベ
ースはシカゴ音響派系トランペッターのロブ・マズレク(2004年1月20
日他)のバンドにかつていたこともあるジョン・ウェバーで、ドラムスはア
トンクティック他からリーダー作を出し、サイドマンとしても引く手あまた
のカール・アレンだ。チェスナットも、アレンをずっと雇っていたことがあ
った。そして、その後はザ・デューク・オブ・デキシーランドというディキ
シーのグループも出るという。
ザ・ベース&グルーヴ
2006年1月9日 もう、いろんなエクトリック・ベース音が溢れ、ベース技がてんこもり。
……ベース・マガジンが企画した、同名の日本人ベーシストたちが主役にな
ったコンピ盤発売を記念してのライヴ・イヴェント。新宿ロフト。メインの
ステージとサブ・ステージ(トーク・ショウやソロ・パフォーマンス用)が
交互につかわれる。盛況、かなりな入り。ステージがあんまり見えないよ〜
ん。TOKIEや日野賢二らをフィーチャーするパフォーマンス、その他。音楽
的にはバラバラだが、ベースという楽器を愛でるという軸は共通。なんか、
生理的に健全なイヴェントという感じがしました。
……ベース・マガジンが企画した、同名の日本人ベーシストたちが主役にな
ったコンピ盤発売を記念してのライヴ・イヴェント。新宿ロフト。メインの
ステージとサブ・ステージ(トーク・ショウやソロ・パフォーマンス用)が
交互につかわれる。盛況、かなりな入り。ステージがあんまり見えないよ〜
ん。TOKIEや日野賢二らをフィーチャーするパフォーマンス、その他。音楽
的にはバラバラだが、ベースという楽器を愛でるという軸は共通。なんか、
生理的に健全なイヴェントという感じがしました。
ジ・オール・アメリカン・リジェクツ、ティーガン&サラ
2006年1月11日 渋谷・クアトロ。まず前座で、ニール・ヤングに認められ、彼が関与す
るレーベル“ヴェイパー”からアルバムをずっと出している一卵性双生児の
女性デュオであるティーガン&サラ。かつてフジ・ロックに出演したことも
ある二人はギターを持って歌い(曲によりリード・ヴォーカルをそれぞれ
取る。妹のサラのほうが少し魅力的な声だと感じた)、さらにギター、ベー
ス、ドラムがサポート。で、これが繊細な作りのアルバムと比較にならない
ぐらいロックっぽいものでいささか驚く。ドラムがいいこともそう思わせた
要因だが、彼だけが新しいメンバーで、当人は本来R&Bが得意で、ロック
は苦手と言っているのだとか。なんにせよ、若々しい迸りが出ていて、ぼく
はライヴのほうがいいと少し思った。二人はアルバムとライヴは別モノと考
えているという。40分ジャストのパフォーマンス。
彼女たちはカナダ人で現在仕事のないときはヴァンクーバーとモントリオ
ール、別々に住んでいるそうな。アメリカに引っ越す気はないのと問うと、
仕事で過ごす時間は長いけど、あんな姿勢を持つ国には住みたくないときっ
ぱり。側で見ると二人はやはりよく似ている(おねえちゃんのほうが、口ピ
アスをしている)し、ステージに立っているときよりも可愛らしく感じられ
ます。そういえば、契約するときニール・ヤングは「君達の音楽がよく判ら
ない。でも、ザ・ビートルズも最初は良さが判らなかったんだ」と、彼女た
ちに言ったそう。
そしてジ・オール・アメリカン・リジェクツ。おお、ルックスがいいバン
ド。それだけで、受ける理由はあると思えた。生理的に陰りのない、ハード
・ポップ・サウンドをサクっと披露。その音にぼくの居場所を見つけること
はできなかったが……。若い人のための、若いバンド。1時間弱の演奏時間
。なお、両者一緒のツアーは日本だけとか。
るレーベル“ヴェイパー”からアルバムをずっと出している一卵性双生児の
女性デュオであるティーガン&サラ。かつてフジ・ロックに出演したことも
ある二人はギターを持って歌い(曲によりリード・ヴォーカルをそれぞれ
取る。妹のサラのほうが少し魅力的な声だと感じた)、さらにギター、ベー
ス、ドラムがサポート。で、これが繊細な作りのアルバムと比較にならない
ぐらいロックっぽいものでいささか驚く。ドラムがいいこともそう思わせた
要因だが、彼だけが新しいメンバーで、当人は本来R&Bが得意で、ロック
は苦手と言っているのだとか。なんにせよ、若々しい迸りが出ていて、ぼく
はライヴのほうがいいと少し思った。二人はアルバムとライヴは別モノと考
えているという。40分ジャストのパフォーマンス。
彼女たちはカナダ人で現在仕事のないときはヴァンクーバーとモントリオ
ール、別々に住んでいるそうな。アメリカに引っ越す気はないのと問うと、
仕事で過ごす時間は長いけど、あんな姿勢を持つ国には住みたくないときっ
ぱり。側で見ると二人はやはりよく似ている(おねえちゃんのほうが、口ピ
アスをしている)し、ステージに立っているときよりも可愛らしく感じられ
ます。そういえば、契約するときニール・ヤングは「君達の音楽がよく判ら
ない。でも、ザ・ビートルズも最初は良さが判らなかったんだ」と、彼女た
ちに言ったそう。
そしてジ・オール・アメリカン・リジェクツ。おお、ルックスがいいバン
ド。それだけで、受ける理由はあると思えた。生理的に陰りのない、ハード
・ポップ・サウンドをサクっと披露。その音にぼくの居場所を見つけること
はできなかったが……。若い人のための、若いバンド。1時間弱の演奏時間
。なお、両者一緒のツアーは日本だけとか。
渋さ知らズオーケストラ
2006年1月14日 渋谷・Oイースト。フルハウス。客層は本当にフジ・ロックに来てそうな
人々。レコード発売記念のライヴ。ぐびぐび。赤ふんどしの煽り役の人は、
今年明けにあったヨーロッパ・ツアーの記録映像上映会でどってことなく膝
を割ったとかで、不出場。ステージの背景にはその欧州撮映像が流され、と
っても面白い場面もあって、ステージ以上にそれを目で追ったときも。ゲス
トでカルメン・マキ。へえ。なんでもあり。どうにでも行く。だからこその
、強く、濃いコアが透ける。3時間ぐらいやったけ? 深夜、バーから外に
出ると異常にあったかくてびっくり。今度の冬は12月から寒すぎます。
人々。レコード発売記念のライヴ。ぐびぐび。赤ふんどしの煽り役の人は、
今年明けにあったヨーロッパ・ツアーの記録映像上映会でどってことなく膝
を割ったとかで、不出場。ステージの背景にはその欧州撮映像が流され、と
っても面白い場面もあって、ステージ以上にそれを目で追ったときも。ゲス
トでカルメン・マキ。へえ。なんでもあり。どうにでも行く。だからこその
、強く、濃いコアが透ける。3時間ぐらいやったけ? 深夜、バーから外に
出ると異常にあったかくてびっくり。今度の冬は12月から寒すぎます。
映画『グッドナイト&グッドラック』。マーク・マーフィ
2006年1月18日 まず、6時から赤坂の試写室で、ジョージ・クルーニーが監督した映画『
グッドナイト&グッドラック』を見る。TV時代の幕開けにあった50年代初
頭の“赤狩り”のころ、それに抵抗したCBSテレビ社員/キャスターのエ
ド・マローの様を描いたもの。当時の白黒の実映像もふんだんに使われ、そ
れもあり全編モノクロによる作品。非常に地味で、生真面目な社会派映画。
そういうものが出てくるのは、なにげに今のご時世らしい? 音楽はダイア
ン・リーヴス(2001年4月24日)による録り下ろしの純ジャズ・ヴォーカ
ル・パフォーマンスだけ(ちょっと、実演シーンもある。そういえば、黒人
の登場人物は彼女だけだな)。他に、効果音的な音楽はいっさい使われない
。映画はノスタルジックな思いも誘発するかもしれないアメリカの希望や
良心を描いているが、ジャズもまた自由を感じさせる音楽として使われてい
るのだなと実感できるところがある。とともに、やはり50年前後の一番粋で
力があった音楽がジャズであるということも。それから、タバコを吸ってる
シーンだらけ(放送中も許されたんだなあ)で、それが隔世の感アリじゃの
おと思わせる。あと、当時のCBSって社内結婚がご法度だったんですね。
なお、映画のタイトルはマローが番組の最後にいつも言っていた台詞だ。
その後、丸の内・コットンクラブでマーク・マーフィを堪能。ヴォーカリ
ーズやスキャットなどが大得意の、テクニックや精神的な面でトップクラス
にジャズ・ヴォーカルらしいジャズ・ヴォーカルと言うことができそうなこ
とをずっとやっている人。彼の新作をプロデュースしたドイツ人トランペ
ッターのティル・ブレナーを従えてのパフォーマンスとなる。とにかく、ま
ず驚かされたのはその若さ。身体は太くなっているが、とても70才代の人と
は思えない。ほんと、50才代にしか見えないよな。でも、それなりに歳もと
っているし、かなりつくろぐ方向でやるのかと思えば、ぼくのイメージどお
りの洒脱かっとび方向で飄々と行ってくれて嬉しかったし、ぼくは存分に楽
しんだ。バックのピアノ・トリオもソツなく(上品そうな外見もまたよろし
)、なかなか。彼は来週の二日間はピアニストとのデュオでやる。もっと気
儘に、奔放にやってくれそうで、彼の醍醐味はもっとストレートに伝わって
きそうで実に見たい。でも、ロックのライヴ予定と重なってるんだよなー。
なんとか、ならないかなあー。
グッドナイト&グッドラック』を見る。TV時代の幕開けにあった50年代初
頭の“赤狩り”のころ、それに抵抗したCBSテレビ社員/キャスターのエ
ド・マローの様を描いたもの。当時の白黒の実映像もふんだんに使われ、そ
れもあり全編モノクロによる作品。非常に地味で、生真面目な社会派映画。
そういうものが出てくるのは、なにげに今のご時世らしい? 音楽はダイア
ン・リーヴス(2001年4月24日)による録り下ろしの純ジャズ・ヴォーカ
ル・パフォーマンスだけ(ちょっと、実演シーンもある。そういえば、黒人
の登場人物は彼女だけだな)。他に、効果音的な音楽はいっさい使われない
。映画はノスタルジックな思いも誘発するかもしれないアメリカの希望や
良心を描いているが、ジャズもまた自由を感じさせる音楽として使われてい
るのだなと実感できるところがある。とともに、やはり50年前後の一番粋で
力があった音楽がジャズであるということも。それから、タバコを吸ってる
シーンだらけ(放送中も許されたんだなあ)で、それが隔世の感アリじゃの
おと思わせる。あと、当時のCBSって社内結婚がご法度だったんですね。
なお、映画のタイトルはマローが番組の最後にいつも言っていた台詞だ。
その後、丸の内・コットンクラブでマーク・マーフィを堪能。ヴォーカリ
ーズやスキャットなどが大得意の、テクニックや精神的な面でトップクラス
にジャズ・ヴォーカルらしいジャズ・ヴォーカルと言うことができそうなこ
とをずっとやっている人。彼の新作をプロデュースしたドイツ人トランペ
ッターのティル・ブレナーを従えてのパフォーマンスとなる。とにかく、ま
ず驚かされたのはその若さ。身体は太くなっているが、とても70才代の人と
は思えない。ほんと、50才代にしか見えないよな。でも、それなりに歳もと
っているし、かなりつくろぐ方向でやるのかと思えば、ぼくのイメージどお
りの洒脱かっとび方向で飄々と行ってくれて嬉しかったし、ぼくは存分に楽
しんだ。バックのピアノ・トリオもソツなく(上品そうな外見もまたよろし
)、なかなか。彼は来週の二日間はピアニストとのデュオでやる。もっと気
儘に、奔放にやってくれそうで、彼の醍醐味はもっとストレートに伝わって
きそうで実に見たい。でも、ロックのライヴ予定と重なってるんだよなー。
なんとか、ならないかなあー。
アース・ウィンド&ファイア
2006年1月19日 アースというと、関西大震災を思い出す。今から11年前の春に彼らは日本
ツアーをやったことがあり、そのときぼくはツアー同行取材というオファー
を受け、時間の許すかぎり彼らと一緒に動いたことがあったのだ。で、大阪
公演に向かう羽田からの飛行機が伊丹空港に下りるとき、青いビニール・シ
ーツで覆ってある建物をたくさん眼下に見て、その被害の様/ヤバさをリア
ルに感じたのだ。
そのときのツアーは相当に豪華だった。詳細は忘れたが、メイクや衣服担
当の人まで、ご一行はかなりな人数だったよなー。いいホテルにもいろいろと
泊まった。春なのに札幌では雪が降ったし、名古屋は生まれて初めて行った
。馴染みの深い日本武道館の初めて足をふみいれる裏側には感慨を覚えたり
もした。そのとき彼らがライヴ盤を録ったヴェルファーレでは東京に戻って
きてホっとしたのもあったのかしこたま飲みけっこう酔っぱっちゃって、そ
れで逆にあちらのスタッフに顔を覚えてもらったり打ち解けたりもした。あ
あ飲める人間で良かったと、そのとき痛感したかなー。
メンバーのなかで、モーリス・ホワイトだけが別格で、校長先生のような
存在。彼だけ楽屋が別で、各会場でのサウンド・チェックは弟のヴァーディ
ン・ホワイトが中心にやっていた。そして、彼が出てくるととどこかみんな
のなかにピリっとした空気が流れる。へえ。とかなんとか、巨大バンドの表
と裏や大型コンサート/ツアーの様々な内側までを見ることができた、あの
ときの経験はとっても得難いものだと今も思っている。
ライヴはもちろん、ツアーをするのを引退しているモーリス抜きによるも
の。ヴァーディン(取材したけど、受け答えが本当にクールな、且つおしゃ
れな人)やフィリップ・ベイリー(2003年10月12日)ら3人のコア・メンバ
ーに加え、ヴォーカル、2ギター、ドラム、トランペット、サックス、トロ
ンボーン、ドラムスという計11人によるパフォーマンス。近年のアース表現
にも関与しているキーボードのマイロン・マッキンレイ(ぼくが大好きだっ
たチェロキーの99年作をプロデュースしてもいる)が音楽監督とか。
日本武道館。7時にきっかり客電が落ち、始まる。アンコール1曲を含め
20曲強をやって、終わったのは8時46分ごろ。前日はアンコールがなく、し
かもセットリストの最後にあった有名曲2、3曲をはしょったという。一部
はプリセット音を使い、音と照明を連動させていると思うのだが、けっこう
臨機応変にやっているのかなあ。で、前半はけっこう切れ目なく短めで楽曲
を続けたりも。とうぜん、有名曲中心の曲揃えで、若干キレがなくなったり
とか思うところはあるのだがやはりパブロフの犬になりますね。ブラック・
アイド・ピーズ(2001年2月7日、2004年2月11日)のウィル・アイ・
アム他が関与した新作『イルミネーション』からも5曲ぐらいはやったかな
。けっこう、ヴォーカル陣はパーカッションを叩いたりもし、EW&Fのサ
ウンドってラテン・ファンクでもあったのだよなあと実感。
ツアーをやったことがあり、そのときぼくはツアー同行取材というオファー
を受け、時間の許すかぎり彼らと一緒に動いたことがあったのだ。で、大阪
公演に向かう羽田からの飛行機が伊丹空港に下りるとき、青いビニール・シ
ーツで覆ってある建物をたくさん眼下に見て、その被害の様/ヤバさをリア
ルに感じたのだ。
そのときのツアーは相当に豪華だった。詳細は忘れたが、メイクや衣服担
当の人まで、ご一行はかなりな人数だったよなー。いいホテルにもいろいろと
泊まった。春なのに札幌では雪が降ったし、名古屋は生まれて初めて行った
。馴染みの深い日本武道館の初めて足をふみいれる裏側には感慨を覚えたり
もした。そのとき彼らがライヴ盤を録ったヴェルファーレでは東京に戻って
きてホっとしたのもあったのかしこたま飲みけっこう酔っぱっちゃって、そ
れで逆にあちらのスタッフに顔を覚えてもらったり打ち解けたりもした。あ
あ飲める人間で良かったと、そのとき痛感したかなー。
メンバーのなかで、モーリス・ホワイトだけが別格で、校長先生のような
存在。彼だけ楽屋が別で、各会場でのサウンド・チェックは弟のヴァーディ
ン・ホワイトが中心にやっていた。そして、彼が出てくるととどこかみんな
のなかにピリっとした空気が流れる。へえ。とかなんとか、巨大バンドの表
と裏や大型コンサート/ツアーの様々な内側までを見ることができた、あの
ときの経験はとっても得難いものだと今も思っている。
ライヴはもちろん、ツアーをするのを引退しているモーリス抜きによるも
の。ヴァーディン(取材したけど、受け答えが本当にクールな、且つおしゃ
れな人)やフィリップ・ベイリー(2003年10月12日)ら3人のコア・メンバ
ーに加え、ヴォーカル、2ギター、ドラム、トランペット、サックス、トロ
ンボーン、ドラムスという計11人によるパフォーマンス。近年のアース表現
にも関与しているキーボードのマイロン・マッキンレイ(ぼくが大好きだっ
たチェロキーの99年作をプロデュースしてもいる)が音楽監督とか。
日本武道館。7時にきっかり客電が落ち、始まる。アンコール1曲を含め
20曲強をやって、終わったのは8時46分ごろ。前日はアンコールがなく、し
かもセットリストの最後にあった有名曲2、3曲をはしょったという。一部
はプリセット音を使い、音と照明を連動させていると思うのだが、けっこう
臨機応変にやっているのかなあ。で、前半はけっこう切れ目なく短めで楽曲
を続けたりも。とうぜん、有名曲中心の曲揃えで、若干キレがなくなったり
とか思うところはあるのだがやはりパブロフの犬になりますね。ブラック・
アイド・ピーズ(2001年2月7日、2004年2月11日)のウィル・アイ・
アム他が関与した新作『イルミネーション』からも5曲ぐらいはやったかな
。けっこう、ヴォーカル陣はパーカッションを叩いたりもし、EW&Fのサ
ウンドってラテン・ファンクでもあったのだよなあと実感。
ザ・デッド・60s
2006年1月20日 リヴァプールの新進ダブ・パンク・バンド。そのデビュー作を聞いて初期
ジョー・ジャクソンを思い出させるところがあって、JJの大ファンだった
ぼくは気になっていた。実演に触れると、ザ・クラッシュ、ギターの絡みか
ら『ドラムス&ワイヤーズ』のころのXTC、さらには2トーン系までを
思い出せる。新しい要素は何もないが、いい要素をちゃんと見渡し自分の中
に取りいれて、それをけれん味なく、伸び伸びと開いている様には大層好感
をいだく。けっこう、実演能力も持つし。やっぱし、いいバンドでした。恵
比寿・リキッドルーム。
ジョー・ジャクソンを思い出させるところがあって、JJの大ファンだった
ぼくは気になっていた。実演に触れると、ザ・クラッシュ、ギターの絡みか
ら『ドラムス&ワイヤーズ』のころのXTC、さらには2トーン系までを
思い出せる。新しい要素は何もないが、いい要素をちゃんと見渡し自分の中
に取りいれて、それをけれん味なく、伸び伸びと開いている様には大層好感
をいだく。けっこう、実演能力も持つし。やっぱし、いいバンドでした。恵
比寿・リキッドルーム。
新宿ピットイン40周年コンサート
2006年1月21日 40年も続いているというのは凄いナ。素晴らしい。大昔は、朝の部、昼の
部、夜の部とあり、1日3度もアーティストがブッキングされていたんだよ
なー。二日続けて行われる記念公演の初日のほう。二日目はもう少し、大御
所系の人達が出るが、この日のほうがチケットは売れているという。実は、
この日はかなり降雪模様。ぼくは一瞬出掛けるのをためらったのだが、いざ
会場に入ってみれば相当な入りでした。新宿厚生年金会館。
まず、渋さ知らず。なんと、怪我で前回ライヴを欠席していた(2006
年1月14日)赤ふんどしのお兄さんがしっかり、ギブス/松葉杖つきで登場
。わわわ。いろいろあらーな。
2番目は、ギタリストの三好“3吉”巧郎スペシャル・ユニット。井上陽
介(縦ベース)、村上秀一(ドラム)、原朋直(トランペット)、村田陽一
(トロンボーン)という編成で、比較的ストレートに且つイマジネイティヴに
。最後に、オーネット・コールマンの曲をやってびっくり。ぜんぶ、コール
マン・ナンバーで纏めたら良かったのに。
3番目は梅津和時KIKI BAND。鬼怒無月と今掘恒雄の2ギターに
て。梅津和時は本当に頭をさげたくなる人。でも、ぼくはKIKI BAND
の、彼の非ジャズ的表現の面白さがわからない。
4番目はビル・ラズウェル(2005年7月30日、同8月20日)率いる
ペイン・キラー。ジョン・ゾーン、吉田達也、近藤等則がつく。さらに日本
人ギタリストも入っていたが誰だったのだろう。
5番目はONJO、菊地成孔入り。カヒミ・カリイもけっこうフィーチャ
ーされる。ずいぶん、抑制された音の重なりを求めているのだなと思う。
この後、山下洋輔の特別編成バンドが出たはずだが、用事ありで退館。そ
して、あまりに印象に残る、最良に入る夜。
部、夜の部とあり、1日3度もアーティストがブッキングされていたんだよ
なー。二日続けて行われる記念公演の初日のほう。二日目はもう少し、大御
所系の人達が出るが、この日のほうがチケットは売れているという。実は、
この日はかなり降雪模様。ぼくは一瞬出掛けるのをためらったのだが、いざ
会場に入ってみれば相当な入りでした。新宿厚生年金会館。
まず、渋さ知らず。なんと、怪我で前回ライヴを欠席していた(2006
年1月14日)赤ふんどしのお兄さんがしっかり、ギブス/松葉杖つきで登場
。わわわ。いろいろあらーな。
2番目は、ギタリストの三好“3吉”巧郎スペシャル・ユニット。井上陽
介(縦ベース)、村上秀一(ドラム)、原朋直(トランペット)、村田陽一
(トロンボーン)という編成で、比較的ストレートに且つイマジネイティヴに
。最後に、オーネット・コールマンの曲をやってびっくり。ぜんぶ、コール
マン・ナンバーで纏めたら良かったのに。
3番目は梅津和時KIKI BAND。鬼怒無月と今掘恒雄の2ギターに
て。梅津和時は本当に頭をさげたくなる人。でも、ぼくはKIKI BAND
の、彼の非ジャズ的表現の面白さがわからない。
4番目はビル・ラズウェル(2005年7月30日、同8月20日)率いる
ペイン・キラー。ジョン・ゾーン、吉田達也、近藤等則がつく。さらに日本
人ギタリストも入っていたが誰だったのだろう。
5番目はONJO、菊地成孔入り。カヒミ・カリイもけっこうフィーチャ
ーされる。ずいぶん、抑制された音の重なりを求めているのだなと思う。
この後、山下洋輔の特別編成バンドが出たはずだが、用事ありで退館。そ
して、あまりに印象に残る、最良に入る夜。
トリスタン・プリティマン。ウィル・コナー
2006年1月23日 渋谷・クラブクアトロ。まず、ジャック・ジョンソン(2005年5月25
日、同6月2日)〜ドノヴァン・フランケンレイター(2003年9月12
日)系の味を持つ柔和系シンガー・ソングライター(オーストラリア人で、
サーファーでもあるという)が、べーシストとドラマー(二人とも良質)を
従えてパフォーマンス。訥々、なるほどの味であり、人前でやっていい人と
感じる。
続いて、ジャック・ジョンソンの妹分みたいな売られ方もしている、女性
シンガー・ソングライターのプリティマン。サポート・ギタリスト(ときに
ギター・バンジョーも)を勤めるのはなんとジェシー・ハリス(2002年12月
21日、2005年9月7日)、そして演奏内容に合わせてパーカョション
的な演奏を主にする女性ドラマーも付く。最初は、レコードよりもかいいか
もと思ったのだが……何曲か聞くうちに、ぼくは退屈してしまったのだなあ
。なんか、聞き手に訴えてくるものが少ない。拍手や歓声も小さ目で、それ
はぼく以外の人も感じたのではないのか? 基本的な能力は持つ人と思うが
、現実の場での自分の開き方がびっくりするぐらい下手だと感じた。
日、同6月2日)〜ドノヴァン・フランケンレイター(2003年9月12
日)系の味を持つ柔和系シンガー・ソングライター(オーストラリア人で、
サーファーでもあるという)が、べーシストとドラマー(二人とも良質)を
従えてパフォーマンス。訥々、なるほどの味であり、人前でやっていい人と
感じる。
続いて、ジャック・ジョンソンの妹分みたいな売られ方もしている、女性
シンガー・ソングライターのプリティマン。サポート・ギタリスト(ときに
ギター・バンジョーも)を勤めるのはなんとジェシー・ハリス(2002年12月
21日、2005年9月7日)、そして演奏内容に合わせてパーカョション
的な演奏を主にする女性ドラマーも付く。最初は、レコードよりもかいいか
もと思ったのだが……何曲か聞くうちに、ぼくは退屈してしまったのだなあ
。なんか、聞き手に訴えてくるものが少ない。拍手や歓声も小さ目で、それ
はぼく以外の人も感じたのではないのか? 基本的な能力は持つ人と思うが
、現実の場での自分の開き方がびっくりするぐらい下手だと感じた。
クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー
2006年1月24日 D.I.Y.なノリでアルバムを出し、けっこうなセールスを挙げてしまったこ
とで話題の米国5人組バンド。みんな、20代半ばちょいとか。音は(あまり
グルーヴ方面に眼を向けない場合の)トーキング・ヘッズをまず思い出させ
るが、妙な脱力感もふくめて<聞きどころある、風のあるギター・ロック>
と説明できるものだし、売れていいバンドであるのは間違いない。実演のほ
うも基本的にはアルバムのまんま。正直に録られているということもよく判
った。作曲とリード・ヴォーカルは中央に立つ、アックス・オンスワース一
人が行う。なんでも、彼が作ったデモ・テープを基にどういうふうにしよう
かとか一切決めずにバンドで録音していったら、こーなったとのことだが(
翌日、メンバーにインタヴューしたが、実に地味な、いい意味で自然体な人
達だった)。彼らの来日公演はこの日だけ、さすがにお酒が買いにいけない
ぐらいの込み具合。渋谷・クラブクアトロ。1時間ちょい。
とで話題の米国5人組バンド。みんな、20代半ばちょいとか。音は(あまり
グルーヴ方面に眼を向けない場合の)トーキング・ヘッズをまず思い出させ
るが、妙な脱力感もふくめて<聞きどころある、風のあるギター・ロック>
と説明できるものだし、売れていいバンドであるのは間違いない。実演のほ
うも基本的にはアルバムのまんま。正直に録られているということもよく判
った。作曲とリード・ヴォーカルは中央に立つ、アックス・オンスワース一
人が行う。なんでも、彼が作ったデモ・テープを基にどういうふうにしよう
かとか一切決めずにバンドで録音していったら、こーなったとのことだが(
翌日、メンバーにインタヴューしたが、実に地味な、いい意味で自然体な人
達だった)。彼らの来日公演はこの日だけ、さすがにお酒が買いにいけない
ぐらいの込み具合。渋谷・クラブクアトロ。1時間ちょい。
ベニー・グリーン・トリオ
2006年1月26日 米国人俊英ピアニスト。シカゴ音響系とも接点を持つ白人ベーシストと、
メジャーからのリーダー作を持つ黒人ドラマーを従えてのもの。丸の内・コ
ットンクラブ。まず、ステージに登場した彼にビックリ。だって、髪形や顔
の感じとかベック(2000年5月29日、2003年4月1日)みたいなんだ
もの。ぼくが持っていた彼のイメージは、刈り上げで口髭をちょこんと伸ば
したとってもとっぽい感じのもの。えーい、全然違うじゃん。こりゃ、両者
ともユニヴァーサル系にいるし、一緒に共演しちゃえば大笑いなのに、なん
ても思う。ベックって、そういうお茶目なところないかなあ。とともに、今
のグリーンのルックス/風情ならイケ面ジャズ・マンとして売ることも可能
と思った。少なくてもブラッド・メルドーよりは数段、いけるでしょう。と
、話は完全に別のほうに飛んだが、パフォーマンスは実にジャズとしてまっ
とう。こなれてて、洒脱でもあり、門外漢の人が見ても、ジャズ・ピアノっ
ていいなと素直に思えるものではなかったか
メジャーからのリーダー作を持つ黒人ドラマーを従えてのもの。丸の内・コ
ットンクラブ。まず、ステージに登場した彼にビックリ。だって、髪形や顔
の感じとかベック(2000年5月29日、2003年4月1日)みたいなんだ
もの。ぼくが持っていた彼のイメージは、刈り上げで口髭をちょこんと伸ば
したとってもとっぽい感じのもの。えーい、全然違うじゃん。こりゃ、両者
ともユニヴァーサル系にいるし、一緒に共演しちゃえば大笑いなのに、なん
ても思う。ベックって、そういうお茶目なところないかなあ。とともに、今
のグリーンのルックス/風情ならイケ面ジャズ・マンとして売ることも可能
と思った。少なくてもブラッド・メルドーよりは数段、いけるでしょう。と
、話は完全に別のほうに飛んだが、パフォーマンスは実にジャズとしてまっ
とう。こなれてて、洒脱でもあり、門外漢の人が見ても、ジャズ・ピアノっ
ていいなと素直に思えるものではなかったか