ブッチ・ウォーカー、アメリカン・ハイファイ。フリップサイド
2005年3月7日 今時のちょい激なポップ・ロックを送り出すアメリカ勢が二組出る、お得な
公演。渋谷・クラブクアトロ。最初に出てきたのは、元マーヴァラス3のブッ
チ・ウォーカーのほう。いやあ、こんなに一生懸命やっている風情を出す人も
珍しいのでは。音楽的にはどう見てもぼくのストライク・ゾーンにある人では
ないのだが、とにもかくにも誠意100 パーセントで、張り切りまくり。曲調は
あまり面白いと思わないけど、そのパフォーマンスは“清々しい迸りの発散ロ
ック”となっているゾと思わすものあるもん。途中でちょっと生ギターを持っ
ての、アコースティック乗りの部分も。40分ぐらいの実演か。現在、アヴリル
・ラヴィーン他のプロデュース業で売れっ子のウォーカーだが、やっぱりアー
ティストとしても現役でいたいんだろうな。それとも、煮詰まるスタジオ作業
のいい通風口を求めている? とともに、彼がプロデュースするときはやっぱ
り熱い野郎と化して親身のケアをスタジオで目一杯するのかなあなぞともその
実演を見ながら思わされた。なんか、望外に後味が良くて、3日後のラヴィー
ン(2002年8月8日)のライヴも行っちゃおっかなーとちょい思ってしまった。
で、張り切って、真心たっぷりということでは、メイン・アクトのアメリカ
ン・ハイファイも負けちゃいない。キャラの立ち方はウォーカーには負けるが
、こっちも日本語を交えて、本当にオーディエンスに熱い気持ちを真っ直ぐに
与えようとする。曲はちょっとジョー・ジャクソンを思い出させるものからデ
ィスコ調まで幅広く、ウォーカーよりもぼくの趣味には合う曲をやっていた。
「アッシュ(2001年9月12日)って知ってる? お気に入りのバンドなんだ」
と前置きして、彼らの「バーン・ベイビー・バーン」(だったかな?)をカヴ
ァーしたりも。
そして、そのあと渋谷のセルリアン・タワーのボールルーム(けっこう広い
宴会場です)でやっているソニー仕切りのインヴェントにジェニファー・ロペ
スを拝みに行ったのだが、ホテルに着いたとき、会場を出てきた知り合いから
ちょうど5分間のパフォーマンスが終わったことを告げられる。ガク。表れて
いた時間は短かったけど、さすが華はあったそうな。
この日は、渋谷・クラブクアトロに行く前に青山一丁目のユニバーサル・ミ
ュージックの会議室で、フリップサイドのアコースティック・ライヴも見た。
インタースコープ一押しの3人組。チカーノとアフリカン・アメリカンと白目
の肌の人という組み合わせで、見た目は貧相で相当に恰好悪い。たぶん、ロス
・ロンリー・ボーイズ(2004年9月17日)よりも。けっこう政治的なことを歌
っているそうで、インタースコープ側は“レッチリ・ミーツ・レイジ”という
ノリで売りたいのだとか(……ヒップホップと繋がりを持っていること以外、
音楽的には重ならない感じですけど)。というわけで、CDではどっしりとし
たビートや装飾音も付けられているが、メンバーだけによるこの日はラップ、
生ギターと歌、生ギターという内訳でパフォーマンスする。基本的にマイナー
・キー基調のなんともベタな曲調に歌やラップが乗る。5曲やったが、うち1
曲「ノー・モア」という曲はボブ・マーリーの「ノー・ウーマン・ノー・クラ
イ」のコード進行を捩ったような曲だなあと思わせられたが、彼らは実際に「
ノー・ウーマン・ノー・クライ」の一節を終盤に差し込んだ。まあ、ルックス
はともかく、売れ線なところはなくもない。インタースコープのマーケットに
対する力がどのぐらいあるか見物。もしビッグになったら、この日のノー・マ
イクによる完全アンプラグド実演は貴重なものになるなあ。
深夜の帰宅時、セルシオを用いたタクシーに乗る。ほお。確かに、乗り心地
が良い。蛇足だが、先週の4日には渋谷・Oイーストで全米1位獲得ティーン
エインジャーのマリオ(混んでて、全然見えなかった)とシアラ(下品なポー
ズとってたナ)一緒のショーケース・ライヴがあったりと、その手のがここの
ところ続いている。
公演。渋谷・クラブクアトロ。最初に出てきたのは、元マーヴァラス3のブッ
チ・ウォーカーのほう。いやあ、こんなに一生懸命やっている風情を出す人も
珍しいのでは。音楽的にはどう見てもぼくのストライク・ゾーンにある人では
ないのだが、とにもかくにも誠意100 パーセントで、張り切りまくり。曲調は
あまり面白いと思わないけど、そのパフォーマンスは“清々しい迸りの発散ロ
ック”となっているゾと思わすものあるもん。途中でちょっと生ギターを持っ
ての、アコースティック乗りの部分も。40分ぐらいの実演か。現在、アヴリル
・ラヴィーン他のプロデュース業で売れっ子のウォーカーだが、やっぱりアー
ティストとしても現役でいたいんだろうな。それとも、煮詰まるスタジオ作業
のいい通風口を求めている? とともに、彼がプロデュースするときはやっぱ
り熱い野郎と化して親身のケアをスタジオで目一杯するのかなあなぞともその
実演を見ながら思わされた。なんか、望外に後味が良くて、3日後のラヴィー
ン(2002年8月8日)のライヴも行っちゃおっかなーとちょい思ってしまった。
で、張り切って、真心たっぷりということでは、メイン・アクトのアメリカ
ン・ハイファイも負けちゃいない。キャラの立ち方はウォーカーには負けるが
、こっちも日本語を交えて、本当にオーディエンスに熱い気持ちを真っ直ぐに
与えようとする。曲はちょっとジョー・ジャクソンを思い出させるものからデ
ィスコ調まで幅広く、ウォーカーよりもぼくの趣味には合う曲をやっていた。
「アッシュ(2001年9月12日)って知ってる? お気に入りのバンドなんだ」
と前置きして、彼らの「バーン・ベイビー・バーン」(だったかな?)をカヴ
ァーしたりも。
そして、そのあと渋谷のセルリアン・タワーのボールルーム(けっこう広い
宴会場です)でやっているソニー仕切りのインヴェントにジェニファー・ロペ
スを拝みに行ったのだが、ホテルに着いたとき、会場を出てきた知り合いから
ちょうど5分間のパフォーマンスが終わったことを告げられる。ガク。表れて
いた時間は短かったけど、さすが華はあったそうな。
この日は、渋谷・クラブクアトロに行く前に青山一丁目のユニバーサル・ミ
ュージックの会議室で、フリップサイドのアコースティック・ライヴも見た。
インタースコープ一押しの3人組。チカーノとアフリカン・アメリカンと白目
の肌の人という組み合わせで、見た目は貧相で相当に恰好悪い。たぶん、ロス
・ロンリー・ボーイズ(2004年9月17日)よりも。けっこう政治的なことを歌
っているそうで、インタースコープ側は“レッチリ・ミーツ・レイジ”という
ノリで売りたいのだとか(……ヒップホップと繋がりを持っていること以外、
音楽的には重ならない感じですけど)。というわけで、CDではどっしりとし
たビートや装飾音も付けられているが、メンバーだけによるこの日はラップ、
生ギターと歌、生ギターという内訳でパフォーマンスする。基本的にマイナー
・キー基調のなんともベタな曲調に歌やラップが乗る。5曲やったが、うち1
曲「ノー・モア」という曲はボブ・マーリーの「ノー・ウーマン・ノー・クラ
イ」のコード進行を捩ったような曲だなあと思わせられたが、彼らは実際に「
ノー・ウーマン・ノー・クライ」の一節を終盤に差し込んだ。まあ、ルックス
はともかく、売れ線なところはなくもない。インタースコープのマーケットに
対する力がどのぐらいあるか見物。もしビッグになったら、この日のノー・マ
イクによる完全アンプラグド実演は貴重なものになるなあ。
深夜の帰宅時、セルシオを用いたタクシーに乗る。ほお。確かに、乗り心地
が良い。蛇足だが、先週の4日には渋谷・Oイーストで全米1位獲得ティーン
エインジャーのマリオ(混んでて、全然見えなかった)とシアラ(下品なポー
ズとってたナ)一緒のショーケース・ライヴがあったりと、その手のがここの
ところ続いている。
ザ・クルセイダーズ
2005年3月8日 南青山・ブルーノート東京。セカンド。今回のショウを見る前までだったら
フュージョン・グループと書いただろうが、見たあとだとやっぱりファンク・
ジャズ・グループと書きたいなあと思った。ようは、ザ・クルセイダーズは旧
ブルー・サム時代に限ると感じているぼくにもにっこりさせる実演だったわけ
です。20年前ぐらいに急遽デイヴィッド・T・ウォーカーが日本ツアーに加わ
ったことがあったが、ザ・クルセイダーズに接するのはそのとき以来と2度目
となるのかな。
ファンキーなビートのうえで、二管が無骨なアンサンブル/ソロを取る。リ
ズムはもっとがちんこにアタックしてほしいナとか、サックスのウィルトン・フ
ェルダーは音程が悪くなっているなあとか、不備に感じるところもあるのだが
、その総体としては、ああこれこれと無防備に(?)盛り上がらせるものあり
。いまやオリジナル・メンバーはキーボードのジョー・サンプル(後日、取材
したのだが、黒い南部的価値観を重要なものとして意外なくらい強調する人で
した。数年前から、地元のテキサスに戻ったそう。男性誌の取材だったせいか
、アルバムの話は一切しませんでした)とウィルトン・フェルダーしかいなく
なったわけだが、いやあけっこう身体揺らしちゃいました。ギタリストは「ゴ
ースト・バスターズ」のヒットを持つレイ・パーカーJr. (ぼくにとっては、
ハービー・コンコック他での刻み大王、というイメージがあります)が現在参
加。最後のほうで彼が少しフィーチャーされたが、いい蓄積があることをチラ
リと出し、彼一人でもお金が取れるナ(ようは、見たいな)と思わせられた。
フュージョン・グループと書いただろうが、見たあとだとやっぱりファンク・
ジャズ・グループと書きたいなあと思った。ようは、ザ・クルセイダーズは旧
ブルー・サム時代に限ると感じているぼくにもにっこりさせる実演だったわけ
です。20年前ぐらいに急遽デイヴィッド・T・ウォーカーが日本ツアーに加わ
ったことがあったが、ザ・クルセイダーズに接するのはそのとき以来と2度目
となるのかな。
ファンキーなビートのうえで、二管が無骨なアンサンブル/ソロを取る。リ
ズムはもっとがちんこにアタックしてほしいナとか、サックスのウィルトン・フ
ェルダーは音程が悪くなっているなあとか、不備に感じるところもあるのだが
、その総体としては、ああこれこれと無防備に(?)盛り上がらせるものあり
。いまやオリジナル・メンバーはキーボードのジョー・サンプル(後日、取材
したのだが、黒い南部的価値観を重要なものとして意外なくらい強調する人で
した。数年前から、地元のテキサスに戻ったそう。男性誌の取材だったせいか
、アルバムの話は一切しませんでした)とウィルトン・フェルダーしかいなく
なったわけだが、いやあけっこう身体揺らしちゃいました。ギタリストは「ゴ
ースト・バスターズ」のヒットを持つレイ・パーカーJr. (ぼくにとっては、
ハービー・コンコック他での刻み大王、というイメージがあります)が現在参
加。最後のほうで彼が少しフィーチャーされたが、いい蓄積があることをチラ
リと出し、彼一人でもお金が取れるナ(ようは、見たいな)と思わせられた。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』
2005年3月9日 去年のカンヌ国際映画祭の審査委員長を務めたというエミール・クリストリ
ッツァ監督の新作、新橋のスペースFS汐留での試写会。6時半から。ルースタ
ーの公演にしようか迷ったが、こっちを気分で取る。戦渦時のボスニアの田
舎を舞台とする、数奇な(寓話的であもある)人間模様/ラヴ・ストーリー。
いろんな用件がくさいほど決まった、手が混んだ2時間半を越える映画。軽妙
なところも多々あるのだが、重いっちゃ重い。同監督率いるノー・スモーキン
・オーケストラのいかにも東欧な音楽も大活躍で非常に納得。この初夏よりロ
ードショー公開。
ッツァ監督の新作、新橋のスペースFS汐留での試写会。6時半から。ルースタ
ーの公演にしようか迷ったが、こっちを気分で取る。戦渦時のボスニアの田
舎を舞台とする、数奇な(寓話的であもある)人間模様/ラヴ・ストーリー。
いろんな用件がくさいほど決まった、手が混んだ2時間半を越える映画。軽妙
なところも多々あるのだが、重いっちゃ重い。同監督率いるノー・スモーキン
・オーケストラのいかにも東欧な音楽も大活躍で非常に納得。この初夏よりロ
ードショー公開。
チャーリー・ヘイデン&ゴンサロ・ルバルカバ
2005年3月16日 南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。著名重厚ベーシストのヘイ
デンと、彼とは何かと関わりを持つキューバ出身ピアニストであるルバルカバ
とのデュオ。もう、腹6分目の演奏。音のほうも生音重視の地味かつ音量の低
いもの。という行き方は、ヘイデンとケニー・バロンとの同所でのデュオ演奏
(2001年11月20日)とだいたい同じ成り立ちであると言うことができるかもし
れないが、あのときよりずっと印象が良い。けっこう、感銘。2001年8月3月
〜5日の項で、ぼくにバカ呼ばわりされているルバルカバもかなりしっとりと
、味わい深い演奏をしていたと思う(ちなみにぼくが彼を嫌いなのは、リーダ
ー作で電気ベース奏者を用いて曲芸のような表現を聞かせるからだ……)。
音数が少ない分、音量にダイナミクスがない分、二人はかなりかみ合いに気
を使って演奏していたはず。けっこう、打ち合わせにも時間をかけたところも
あるかもしれない。まあ、ゆったり聞ける演奏ではあるが、注意深くそのやり
取りを受け止めようとしたら相当に疲労を覚えるそれでもあったと書けるので
はないか。照明もそんなパフォーマンスに合わせて、薄暗い店内のなか二人に
ピンスポの光が一つづつ当てられるとても地味なもの。で、それだと、各テー
ブルに置かれたランプのぼんやりした光がなんとも気分であった。
デンと、彼とは何かと関わりを持つキューバ出身ピアニストであるルバルカバ
とのデュオ。もう、腹6分目の演奏。音のほうも生音重視の地味かつ音量の低
いもの。という行き方は、ヘイデンとケニー・バロンとの同所でのデュオ演奏
(2001年11月20日)とだいたい同じ成り立ちであると言うことができるかもし
れないが、あのときよりずっと印象が良い。けっこう、感銘。2001年8月3月
〜5日の項で、ぼくにバカ呼ばわりされているルバルカバもかなりしっとりと
、味わい深い演奏をしていたと思う(ちなみにぼくが彼を嫌いなのは、リーダ
ー作で電気ベース奏者を用いて曲芸のような表現を聞かせるからだ……)。
音数が少ない分、音量にダイナミクスがない分、二人はかなりかみ合いに気
を使って演奏していたはず。けっこう、打ち合わせにも時間をかけたところも
あるかもしれない。まあ、ゆったり聞ける演奏ではあるが、注意深くそのやり
取りを受け止めようとしたら相当に疲労を覚えるそれでもあったと書けるので
はないか。照明もそんなパフォーマンスに合わせて、薄暗い店内のなか二人に
ピンスポの光が一つづつ当てられるとても地味なもの。で、それだと、各テー
ブルに置かれたランプのぼんやりした光がなんとも気分であった。
オゾマトリ
2005年3月17日 昨年のフジ・ロック(触れてませんが、やはり興奮させられた)以来の来日。
しかし、同祭でも相当にアピールしているだろう世界最上級のライヴ・バンド(2002年3月14日。2001年10月13日)であるのに、東京の場合クラブクアト
ロ公演一回だけというのは一体どうしたことか。釈然としねー、納得できねー
。なんか、自分のなかにある正義が萎んでいく思い。
フジ・ロックのときとほとんど同じ(進行も)でそれはちと不満に感じなく
もないが、やっぱり何度接しても、おまえらは偉いって思わせるパフォーマン
ス。2曲目に日本人ラッパーが出てきたが、あれは誰だったんだろう。最後は
例によって、舞台下をいろいろと練り歩く。そのとき、可愛い娘にはアフター
・ショウの場所が書いてあるのかホテルの部屋番号が書いてあるのかは知らぬ
が小さな紙片を手渡していたという(苦笑)。ぼくは気づかなかったが、もら
えなかった女性の情報提供による。
しかし、同祭でも相当にアピールしているだろう世界最上級のライヴ・バンド(2002年3月14日。2001年10月13日)であるのに、東京の場合クラブクアト
ロ公演一回だけというのは一体どうしたことか。釈然としねー、納得できねー
。なんか、自分のなかにある正義が萎んでいく思い。
フジ・ロックのときとほとんど同じ(進行も)でそれはちと不満に感じなく
もないが、やっぱり何度接しても、おまえらは偉いって思わせるパフォーマン
ス。2曲目に日本人ラッパーが出てきたが、あれは誰だったんだろう。最後は
例によって、舞台下をいろいろと練り歩く。そのとき、可愛い娘にはアフター
・ショウの場所が書いてあるのかホテルの部屋番号が書いてあるのかは知らぬ
が小さな紙片を手渡していたという(苦笑)。ぼくは気づかなかったが、もら
えなかった女性の情報提供による。
テテ
2005年3月18日 渋谷・クラブクアトロ。ありゃ、昨日のオゾマトリよりずっと混んでいるぢ
ゃん。セネガル人とアンティル諸島出身の両親を持つ、フランス在住のシンガ
ー・ソングライター。生ギターを持っての弾き語り。すらりと長身、その顔つ
きを見ただけでなんか性格良さそうな人という印象を得るが、それはしゃべり
方や身のこなしに接するとよけいに増幅される。MCは、英語とフランス語と
日本語の単語をお茶目に合わせる。
ジャック・ジョンソン(2003年9月30日;曲によっては、彼やドノヴァン・
フランケンレイターの味をかなり思い出させるなあ)からキザイア・ジョーン
ズ(1999年9月19日;あまり弾けずに、メランコリックな行き方をするほう)
まで。その間を自由に行き来するようなパフォーマンスと説明するのが一番適
切ではないか。曲調は豊富、それはいろんなロック表現に触れてきて、そうし
たものをしっかりと彼の特性を通して出しているぞと思わせるもの。弾き語り
だけのパフォーマンス(90分弱ぐらいやったかな)でも飽きさせることはなか
った。そして、総じてはフランス音楽ファンでもなく、当然アフリカ音楽でも
なく、ロック・ファンに聞かれるべきという感想を強く持つ(でも、ロック愛
好者の場合、この日はブライト・アイズに行く人のほうが多かったんだろうな
)。アンコールは、ボブ・マーリーの「リデンプション・ソング」で締める。
マーリーの最終アルバムの一番最後に置かれていた、やはり弾き語りで披露さ
れる曲。まさしく、彼の風情にぴったり。それから、客の反応の熱烈さ、温か
さにも少しびっくり。送り手と聞き手、会場内には本当にいい空気のやり取り
があったのではないか。
ゃん。セネガル人とアンティル諸島出身の両親を持つ、フランス在住のシンガ
ー・ソングライター。生ギターを持っての弾き語り。すらりと長身、その顔つ
きを見ただけでなんか性格良さそうな人という印象を得るが、それはしゃべり
方や身のこなしに接するとよけいに増幅される。MCは、英語とフランス語と
日本語の単語をお茶目に合わせる。
ジャック・ジョンソン(2003年9月30日;曲によっては、彼やドノヴァン・
フランケンレイターの味をかなり思い出させるなあ)からキザイア・ジョーン
ズ(1999年9月19日;あまり弾けずに、メランコリックな行き方をするほう)
まで。その間を自由に行き来するようなパフォーマンスと説明するのが一番適
切ではないか。曲調は豊富、それはいろんなロック表現に触れてきて、そうし
たものをしっかりと彼の特性を通して出しているぞと思わせるもの。弾き語り
だけのパフォーマンス(90分弱ぐらいやったかな)でも飽きさせることはなか
った。そして、総じてはフランス音楽ファンでもなく、当然アフリカ音楽でも
なく、ロック・ファンに聞かれるべきという感想を強く持つ(でも、ロック愛
好者の場合、この日はブライト・アイズに行く人のほうが多かったんだろうな
)。アンコールは、ボブ・マーリーの「リデンプション・ソング」で締める。
マーリーの最終アルバムの一番最後に置かれていた、やはり弾き語りで披露さ
れる曲。まさしく、彼の風情にぴったり。それから、客の反応の熱烈さ、温か
さにも少しびっくり。送り手と聞き手、会場内には本当にいい空気のやり取り
があったのではないか。
ホール&オーツ。アルタン
2005年3月21日 まずホール&オーツ。ツアー最終日、渋谷公会堂。国際フォーラム・ホール
A2回に追加で出た東京公演。この日はこじつけながらも(実際はもう少し多
いらしい)通算100 回目の日本での公演になるとかで、セットを変えてのもの
だったよう。簡素な舞台美術/照明だったが、これはセットを変えた追加公演
だったためなのか?
キーボード、ギター、ベース、ドラム、サックスというバック・バンドに、
お二人。オーツ(2002年9月12日参照)はギターとバック・コーラスで裏方に
徹する。でも、またそれもグループ長寿の秘訣? バンドは全員白人。で、そ
の事実に少し首を傾げる。というのも、いまだお二人はフィラデルフィア・ソ
ウルへの思いみたいなのを延々と話してくれるわけで(今、両者はフィリーを
離れているので、同地に対するオマージュ的な色あいも今のホール&オーツ表
現にはあるのだと、今回インタヴューしたときに感じました)、そんなにソウ
ルにやられつづけているなら、なんでバッキング・プレイヤーに黒人を雇わな
いのか……。というのも、それぞれに腕の立つのだが、リズム隊にせよ、ギタ
リストにせよ、決してソウル風味の演奏を聞かせる奏者ではないからだ。逆に
言うと、ホール&オーツの表現は曲はソウルに根ざしつつも、色付けの部分に
おいてはロック的な揺れないビートやギター・ソロをうまく介してこそのもの
なのだということに今回気づかされたわけですが。
途中でやった初期曲「シーズ・ゴーン」は本当によく出来た曲で改めて驚嘆
。メロディ/コード進行、アレンジともに完璧。聞きほれ、夢心地になる。ま
た、「プライヴェイト・アイズ」が出てきたときにはちょっとむず痒さを感じ
る。大昔学祭のとき後輩のバンドでベースを弾いてくれといわれて、そちらの
選曲で「プライヴェイト・アイズ」をやったことあったのだった。ふひ。終盤
、ホールはキーボードを弾いて歌ったりもしたが、なかなか上手い。へえ。そ
れにしても、彼のヴォーカルは素晴らしい。キーが低かった「ファミリー・マ
ン」は音程が不安定だったが、あとは良好で、思っていた以上にいいブルー・
アイド・ソウル・シンガーだと思った。
また、そのホールは本当に心からキミたちが好きなんだという態度をまっす
ぐに、嬉しそう出す人なのだな。ぜんぜん、飽きている感じなしに。偉い。で
、本編最後の曲は日本だけの曲だよみたいなことを言って、なんとニルソンが
ヒットさせたポール・ウィリアムズの「ウィズアウト・ユー」のカヴァーをや
る。え、なんでこの曲を取り上げるのかと少し戸惑ったが(それとも、彼らと
関わりのある曲なの?)、日本のファンに対する強い気持ちをその曲で示した
かったのか。お二人は、いっぱいピックを客席に蒔いたりもしましたね。なん
だかんだで、かなり満足できたショウ……。
そして、ウキっとした気分で、渋谷・デュオに向かいアルタン(2000年5月
21日、2002年9月1日、2004年12月17日)の公演。この公演はアイルランド
大統領の来日に同行してついでに、唯一行ったもの。今回の彼らの宿泊先はオ
ークラであるとか。ビールが2000円もするとこぼしてましたが。ともあれ、
人柄あふれる、生理的に豊かなショウ。
A2回に追加で出た東京公演。この日はこじつけながらも(実際はもう少し多
いらしい)通算100 回目の日本での公演になるとかで、セットを変えてのもの
だったよう。簡素な舞台美術/照明だったが、これはセットを変えた追加公演
だったためなのか?
キーボード、ギター、ベース、ドラム、サックスというバック・バンドに、
お二人。オーツ(2002年9月12日参照)はギターとバック・コーラスで裏方に
徹する。でも、またそれもグループ長寿の秘訣? バンドは全員白人。で、そ
の事実に少し首を傾げる。というのも、いまだお二人はフィラデルフィア・ソ
ウルへの思いみたいなのを延々と話してくれるわけで(今、両者はフィリーを
離れているので、同地に対するオマージュ的な色あいも今のホール&オーツ表
現にはあるのだと、今回インタヴューしたときに感じました)、そんなにソウ
ルにやられつづけているなら、なんでバッキング・プレイヤーに黒人を雇わな
いのか……。というのも、それぞれに腕の立つのだが、リズム隊にせよ、ギタ
リストにせよ、決してソウル風味の演奏を聞かせる奏者ではないからだ。逆に
言うと、ホール&オーツの表現は曲はソウルに根ざしつつも、色付けの部分に
おいてはロック的な揺れないビートやギター・ソロをうまく介してこそのもの
なのだということに今回気づかされたわけですが。
途中でやった初期曲「シーズ・ゴーン」は本当によく出来た曲で改めて驚嘆
。メロディ/コード進行、アレンジともに完璧。聞きほれ、夢心地になる。ま
た、「プライヴェイト・アイズ」が出てきたときにはちょっとむず痒さを感じ
る。大昔学祭のとき後輩のバンドでベースを弾いてくれといわれて、そちらの
選曲で「プライヴェイト・アイズ」をやったことあったのだった。ふひ。終盤
、ホールはキーボードを弾いて歌ったりもしたが、なかなか上手い。へえ。そ
れにしても、彼のヴォーカルは素晴らしい。キーが低かった「ファミリー・マ
ン」は音程が不安定だったが、あとは良好で、思っていた以上にいいブルー・
アイド・ソウル・シンガーだと思った。
また、そのホールは本当に心からキミたちが好きなんだという態度をまっす
ぐに、嬉しそう出す人なのだな。ぜんぜん、飽きている感じなしに。偉い。で
、本編最後の曲は日本だけの曲だよみたいなことを言って、なんとニルソンが
ヒットさせたポール・ウィリアムズの「ウィズアウト・ユー」のカヴァーをや
る。え、なんでこの曲を取り上げるのかと少し戸惑ったが(それとも、彼らと
関わりのある曲なの?)、日本のファンに対する強い気持ちをその曲で示した
かったのか。お二人は、いっぱいピックを客席に蒔いたりもしましたね。なん
だかんだで、かなり満足できたショウ……。
そして、ウキっとした気分で、渋谷・デュオに向かいアルタン(2000年5月
21日、2002年9月1日、2004年12月17日)の公演。この公演はアイルランド
大統領の来日に同行してついでに、唯一行ったもの。今回の彼らの宿泊先はオ
ークラであるとか。ビールが2000円もするとこぼしてましたが。ともあれ、
人柄あふれる、生理的に豊かなショウ。
アンジー・ストーン
2005年3月22日 百聞は一見にしかず。なんちって。キーボード2、ギター、ベース、ドラム
スというバンドに、二人のバッキング・シンガー。その二人のシンガーがまず
出てきたときビッグ・ママだなと思ったら、出てきた当人はもっと小さく、丸
っこい。え、かつてディアンジェロの年上女房だった彼女は、こんな体型の人
だったの。
バンドは良好、昨日のホール&オーツがこのドラマーだったらと少し思う。
思ったほど圧倒的な喉の持ち主ではなかったけれど、統合型の美味しいソウル
表現を展開。途中、音楽監督を務めるギーボードのジョナサン・リッチモンド
が朗々と歌うくだりがあったが、これがもろにダニー・ハサウェイのマナーで
にっこり。南青山・ブルーノート東京、セカンド。充実したソウル・ショウを
お酒片手に気儘に見れるのは、本当に嬉しい。
スというバンドに、二人のバッキング・シンガー。その二人のシンガーがまず
出てきたときビッグ・ママだなと思ったら、出てきた当人はもっと小さく、丸
っこい。え、かつてディアンジェロの年上女房だった彼女は、こんな体型の人
だったの。
バンドは良好、昨日のホール&オーツがこのドラマーだったらと少し思う。
思ったほど圧倒的な喉の持ち主ではなかったけれど、統合型の美味しいソウル
表現を展開。途中、音楽監督を務めるギーボードのジョナサン・リッチモンド
が朗々と歌うくだりがあったが、これがもろにダニー・ハサウェイのマナーで
にっこり。南青山・ブルーノート東京、セカンド。充実したソウル・ショウを
お酒片手に気儘に見れるのは、本当に嬉しい。
カーキ・キング
2005年3月26日 赤レンガ倉庫のモーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。ソロ・パフォ
ーマンスのショウに接し、すぐに音がいいなあと思った。で、それにより彼
女のやっている事が細かい部分までよりダイレクトに伝わる感じがあって、
彼女は自己と対話しながら演奏しているという事実がよく伝わってきたよう
な。昨年、東京で見たとき(2004年8月3日)は立って演奏するときのほう
が多かったような気がするが、この日はすべて座っての演奏。また、今回は
いっさい歌わなかった。
ところで、ステージ後部/左右にはアンティークな家具が並べられ、上部
にはいくつか年季もののシャンデリアが。聞けば、赤レンガ倉庫に入ってい
るアンティーク家具屋さんとのタイアップで、今回こういう設定がなされた
のだという。ステージに上がる人数が一人であり、それが小柄な女性であり
、ギターという木で出来た楽器を扱う人だったりするから、余計に目立つと
いうか、雰囲気的に合う。こういうのもいいんじゃないかな、と思わされま
した。この日、初めてモーション・ブルーに来た人だと、普段の同所で得る
ものとはだいぶ違った感想を得たかもしれない。
椅子の回りに、ギターが何本か置かれる。やりたいことに合わせて、彼女
は各々のギターを手にする。一番興味深い奏法は、ピアノを弾くように左右
の手を弦にあてて音を出し(80年代中期にブルーノートからデビューしたス
タンリー・ジョーダンがやっていたようなもの)ながら、同時にボディも叩
いて、ダイナミクスやスピード感をいろいろと得るとういもの。ガット・ギ
ターには手を加えていて、本人にはMCで“琴”なんて言っていたが、確か
にそう言いたくなるのも少しは判るような、音を出してたりも。
アンコールの曲は、ボディを叩く音やいろんなギター演奏の音を次々にサ
ンプリングして重ねていくというもの。最後はそれを流すなか、彼女はステ
ージを降りた。
ーマンスのショウに接し、すぐに音がいいなあと思った。で、それにより彼
女のやっている事が細かい部分までよりダイレクトに伝わる感じがあって、
彼女は自己と対話しながら演奏しているという事実がよく伝わってきたよう
な。昨年、東京で見たとき(2004年8月3日)は立って演奏するときのほう
が多かったような気がするが、この日はすべて座っての演奏。また、今回は
いっさい歌わなかった。
ところで、ステージ後部/左右にはアンティークな家具が並べられ、上部
にはいくつか年季もののシャンデリアが。聞けば、赤レンガ倉庫に入ってい
るアンティーク家具屋さんとのタイアップで、今回こういう設定がなされた
のだという。ステージに上がる人数が一人であり、それが小柄な女性であり
、ギターという木で出来た楽器を扱う人だったりするから、余計に目立つと
いうか、雰囲気的に合う。こういうのもいいんじゃないかな、と思わされま
した。この日、初めてモーション・ブルーに来た人だと、普段の同所で得る
ものとはだいぶ違った感想を得たかもしれない。
椅子の回りに、ギターが何本か置かれる。やりたいことに合わせて、彼女
は各々のギターを手にする。一番興味深い奏法は、ピアノを弾くように左右
の手を弦にあてて音を出し(80年代中期にブルーノートからデビューしたス
タンリー・ジョーダンがやっていたようなもの)ながら、同時にボディも叩
いて、ダイナミクスやスピード感をいろいろと得るとういもの。ガット・ギ
ターには手を加えていて、本人にはMCで“琴”なんて言っていたが、確か
にそう言いたくなるのも少しは判るような、音を出してたりも。
アンコールの曲は、ボディを叩く音やいろんなギター演奏の音を次々にサ
ンプリングして重ねていくというもの。最後はそれを流すなか、彼女はステ
ージを降りた。
ブレンダン・ベンソン。レモン・ジェリー
2005年3月28日 雨が降ってて高価な靴は履きたくないゾと思わせる日、渋谷でコンサート
を二つハシゴしようとする。まず渋谷・アックス7時からのUK二人組のレ
モン・ジェリー公演を見たあと、渋谷・オネストでのブレンダン・ベンソン
のショウに向かえばいいと思った。ベンソン公演のほうは7時半からで、し
かもオープニング・アクトが入るということだから。でも、そうした“絵”
がままならないこともありますね。
まず、アックス。開演時間をだいぶ過ぎてから、機材のトラブルで早くて
も開演は8時半になりますとのアナウンス。英国ツアーをやってきた後の来
日なはずだが、そーゆーの珍しい。で、それならばと、オネストに行くと、
ちょうどベンソンが登場。現在デトロイト在住の、ポップな自作自演系。ギ
ター弾き語りかと思ったら、彼と同様優男なキーボード奏者がサポートに付
く。1時間やったかやんないかぐらい。
そして、再びアックスへ。さすがに、パフォーマンスは始まっていた。中
央に置かれたコンソールのまわりに、ターンテーブル、ギター、パーカッシ
ョン、キーボードなどいろんな楽器類が並べられている。そして、流される
電気的サウンドとともに、二人は気儘にそれらを手にする。実際に弾いてい
る音が流れているかはよく判らない。だが、やっている図を大げさ見せるこ
とが重要なのだと、彼らは思っているはず。本来プリセット音を流すだけで
済んでしまうエレクトロニック表現を、どう開かれた場で、聞き手側を向い
た娯楽表現として完結させるか。そういうことに、屈託なくのぞんでいたシ
ョウ。バッド・カンパニー他、往年のベタな有名フレイズを屈託なく入れて
、客を興味を喚起するのもそれゆえだろう。そして、そこいらは二人がミュ
ージシャン専任ではない(庭園設計士とデザイナーだそう)というのとも関
係ありか。背景にはとうぜん彼らが関与しただろう映像が流されるが、それ
は凡庸だと感じた。
を二つハシゴしようとする。まず渋谷・アックス7時からのUK二人組のレ
モン・ジェリー公演を見たあと、渋谷・オネストでのブレンダン・ベンソン
のショウに向かえばいいと思った。ベンソン公演のほうは7時半からで、し
かもオープニング・アクトが入るということだから。でも、そうした“絵”
がままならないこともありますね。
まず、アックス。開演時間をだいぶ過ぎてから、機材のトラブルで早くて
も開演は8時半になりますとのアナウンス。英国ツアーをやってきた後の来
日なはずだが、そーゆーの珍しい。で、それならばと、オネストに行くと、
ちょうどベンソンが登場。現在デトロイト在住の、ポップな自作自演系。ギ
ター弾き語りかと思ったら、彼と同様優男なキーボード奏者がサポートに付
く。1時間やったかやんないかぐらい。
そして、再びアックスへ。さすがに、パフォーマンスは始まっていた。中
央に置かれたコンソールのまわりに、ターンテーブル、ギター、パーカッシ
ョン、キーボードなどいろんな楽器類が並べられている。そして、流される
電気的サウンドとともに、二人は気儘にそれらを手にする。実際に弾いてい
る音が流れているかはよく判らない。だが、やっている図を大げさ見せるこ
とが重要なのだと、彼らは思っているはず。本来プリセット音を流すだけで
済んでしまうエレクトロニック表現を、どう開かれた場で、聞き手側を向い
た娯楽表現として完結させるか。そういうことに、屈託なくのぞんでいたシ
ョウ。バッド・カンパニー他、往年のベタな有名フレイズを屈託なく入れて
、客を興味を喚起するのもそれゆえだろう。そして、そこいらは二人がミュ
ージシャン専任ではない(庭園設計士とデザイナーだそう)というのとも関
係ありか。背景にはとうぜん彼らが関与しただろう映像が流されるが、それ
は凡庸だと感じた。