雨が降ってて高価な靴は履きたくないゾと思わせる日、渋谷でコンサート
を二つハシゴしようとする。まず渋谷・アックス7時からのUK二人組のレ
モン・ジェリー公演を見たあと、渋谷・オネストでのブレンダン・ベンソン
のショウに向かえばいいと思った。ベンソン公演のほうは7時半からで、し
かもオープニング・アクトが入るということだから。でも、そうした“絵”
がままならないこともありますね。

 まず、アックス。開演時間をだいぶ過ぎてから、機材のトラブルで早くて
も開演は8時半になりますとのアナウンス。英国ツアーをやってきた後の来
日なはずだが、そーゆーの珍しい。で、それならばと、オネストに行くと、
ちょうどベンソンが登場。現在デトロイト在住の、ポップな自作自演系。ギ
ター弾き語りかと思ったら、彼と同様優男なキーボード奏者がサポートに付
く。1時間やったかやんないかぐらい。

 そして、再びアックスへ。さすがに、パフォーマンスは始まっていた。中
央に置かれたコンソールのまわりに、ターンテーブル、ギター、パーカッシ
ョン、キーボードなどいろんな楽器類が並べられている。そして、流される
電気的サウンドとともに、二人は気儘にそれらを手にする。実際に弾いてい
る音が流れているかはよく判らない。だが、やっている図を大げさ見せるこ
とが重要なのだと、彼らは思っているはず。本来プリセット音を流すだけで
済んでしまうエレクトロニック表現を、どう開かれた場で、聞き手側を向い
た娯楽表現として完結させるか。そういうことに、屈託なくのぞんでいたシ
ョウ。バッド・カンパニー他、往年のベタな有名フレイズを屈託なく入れて
、客を興味を喚起するのもそれゆえだろう。そして、そこいらは二人がミュ
ージシャン専任ではない(庭園設計士とデザイナーだそう)というのとも関
係ありか。背景にはとうぜん彼らが関与しただろう映像が流されるが、それ
は凡庸だと感じた。