カーキ・キング

2005年3月26日
 赤レンガ倉庫のモーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。ソロ・パフォ
ーマンスのショウに接し、すぐに音がいいなあと思った。で、それにより彼
女のやっている事が細かい部分までよりダイレクトに伝わる感じがあって、
彼女は自己と対話しながら演奏しているという事実がよく伝わってきたよう
な。昨年、東京で見たとき(2004年8月3日)は立って演奏するときのほう
が多かったような気がするが、この日はすべて座っての演奏。また、今回は
いっさい歌わなかった。

 ところで、ステージ後部/左右にはアンティークな家具が並べられ、上部
にはいくつか年季もののシャンデリアが。聞けば、赤レンガ倉庫に入ってい
るアンティーク家具屋さんとのタイアップで、今回こういう設定がなされた
のだという。ステージに上がる人数が一人であり、それが小柄な女性であり
、ギターという木で出来た楽器を扱う人だったりするから、余計に目立つと
いうか、雰囲気的に合う。こういうのもいいんじゃないかな、と思わされま
した。この日、初めてモーション・ブルーに来た人だと、普段の同所で得る
ものとはだいぶ違った感想を得たかもしれない。

 椅子の回りに、ギターが何本か置かれる。やりたいことに合わせて、彼女
は各々のギターを手にする。一番興味深い奏法は、ピアノを弾くように左右
の手を弦にあてて音を出し(80年代中期にブルーノートからデビューしたス
タンリー・ジョーダンがやっていたようなもの)ながら、同時にボディも叩
いて、ダイナミクスやスピード感をいろいろと得るとういもの。ガット・ギ
ターには手を加えていて、本人にはMCで“琴”なんて言っていたが、確か
にそう言いたくなるのも少しは判るような、音を出してたりも。

 アンコールの曲は、ボディを叩く音やいろんなギター演奏の音を次々にサ
ンプリングして重ねていくというもの。最後はそれを流すなか、彼女はステ
ージを降りた。