マイケル・シヴィスカ
2004年10月1日 赤坂・Bフラット。実は見るまで全然しらない人でした。ところが、これが
勘どころバッチリのなかなかの、フランク・シナトラ・タイプのジャズ・シン
ガー。ちょい色男が入ってて、少し皮肉屋っぽいノリ/MCもなかなか。63年
生まれというから、40才ちょいか。インディからアルバムを出していて、キャ
リア的にはそんなに華々しい人ではない。ああ、アメリカのショービズの世界
って厳しい。でも、ちゃんとしていたし、ぼくは十分に楽しんだ。やっぱ、娯
楽性に富んだアメリカ型表現はオアシスのようなところがある。やっぱ、こう
いうツボにはまった表現ってアリです。バックを務めたのは20代(に見える)
の若い日本人たちで固められた、ファン・ブラザーズ・ワークショップという
名前らしいビッグ・バンド(ベースは曲によっては外国人が弾いた)。これも
けっこうまっとう。感心できた、週末の夜の一時……。
勘どころバッチリのなかなかの、フランク・シナトラ・タイプのジャズ・シン
ガー。ちょい色男が入ってて、少し皮肉屋っぽいノリ/MCもなかなか。63年
生まれというから、40才ちょいか。インディからアルバムを出していて、キャ
リア的にはそんなに華々しい人ではない。ああ、アメリカのショービズの世界
って厳しい。でも、ちゃんとしていたし、ぼくは十分に楽しんだ。やっぱ、娯
楽性に富んだアメリカ型表現はオアシスのようなところがある。やっぱ、こう
いうツボにはまった表現ってアリです。バックを務めたのは20代(に見える)
の若い日本人たちで固められた、ファン・ブラザーズ・ワークショップという
名前らしいビッグ・バンド(ベースは曲によっては外国人が弾いた)。これも
けっこうまっとう。感心できた、週末の夜の一時……。
モグワイ、パート・チンプ、ジェイムズ・オー・コンプレックス。
2004年10月4日 去年のフジロックではモグワイを見てないから(そのときのライヴ、本人た
ちが最高のギグって絶賛しているとか)、2001年4月26日以来見ることになる
のか。今回の来日公演のトピックは彼らが運営する“ロック・アクション”レ
ーベルのアーティストを二組引き連れてのものであること。恵比寿・リキッド
ルーム。外国人比率高し。
まず、生ギター奏者一人のプロジェクト、ジェイムズ・オー・コンプレック
ス。分散した弾き方で多少響きや低音に気をつかい、ときに優しげな歌も。か
つてのウィンダム・ヒルにいたタイプ。30分強。続くパート・チンプは、多少
はモグワイ流れもほんの少し感じせるギターの重なりとヘヴィ・ロック語彙が
重なったようなバンド表現を聞かせる。ドラムや歌はヘヴィメタ系流儀。曲に
よってはなんか今様版ブラック・サバスと思わせる。20分強。両者、見ないよ
りは見れたほうが良かった。
彼らに続くと、モグワイはなるほど成功しているバンドだなという手応えた
っぷり。確立された(色褪せない)方法論のもと、相当質の高い演奏を繰り広
げていたのではないか。ダイナミズムの付け方も決まりまくり、カタルシスあ
り。これまで見たなかで、一番いい感じで見れたかも。ではあったが、それを
聞きながら、彼らとかトータス(2001年11月7日)とかいったインスト系バン
ドがポスト・ロックの最たる担い手として挙げられることにどこか一抹の抵抗
を覚えていたのは、ぼくはどこかでロックとは肉声がついた表現であると定義
しているところがあるからかとふと思う。もちろん、歌がないロックがあって
もいいとは間違いなく思うし、彼らの表現のような場合歌を入れることは“逃
げ”である(そのほうが曲の構成やメリハリは付けやすいはず)と分かってい
ても……。コンサヴァな私をふと見つけた? 彼らの演奏は1時間強。1時間
半まではいってないと思うが。
ちが最高のギグって絶賛しているとか)、2001年4月26日以来見ることになる
のか。今回の来日公演のトピックは彼らが運営する“ロック・アクション”レ
ーベルのアーティストを二組引き連れてのものであること。恵比寿・リキッド
ルーム。外国人比率高し。
まず、生ギター奏者一人のプロジェクト、ジェイムズ・オー・コンプレック
ス。分散した弾き方で多少響きや低音に気をつかい、ときに優しげな歌も。か
つてのウィンダム・ヒルにいたタイプ。30分強。続くパート・チンプは、多少
はモグワイ流れもほんの少し感じせるギターの重なりとヘヴィ・ロック語彙が
重なったようなバンド表現を聞かせる。ドラムや歌はヘヴィメタ系流儀。曲に
よってはなんか今様版ブラック・サバスと思わせる。20分強。両者、見ないよ
りは見れたほうが良かった。
彼らに続くと、モグワイはなるほど成功しているバンドだなという手応えた
っぷり。確立された(色褪せない)方法論のもと、相当質の高い演奏を繰り広
げていたのではないか。ダイナミズムの付け方も決まりまくり、カタルシスあ
り。これまで見たなかで、一番いい感じで見れたかも。ではあったが、それを
聞きながら、彼らとかトータス(2001年11月7日)とかいったインスト系バン
ドがポスト・ロックの最たる担い手として挙げられることにどこか一抹の抵抗
を覚えていたのは、ぼくはどこかでロックとは肉声がついた表現であると定義
しているところがあるからかとふと思う。もちろん、歌がないロックがあって
もいいとは間違いなく思うし、彼らの表現のような場合歌を入れることは“逃
げ”である(そのほうが曲の構成やメリハリは付けやすいはず)と分かってい
ても……。コンサヴァな私をふと見つけた? 彼らの演奏は1時間強。1時間
半まではいってないと思うが。
ロス・ロボス
2004年10月7日 ロス・ロボスって相当久しぶりの来日じゃないか。ぼくの記憶のなかでは、
最後に見たのはすでに10年ぐらい前のような。そんときの場所は渋谷クアトロ
で、高輪の西武系プチ・ホテルに当宿していた。取材をやったからよく覚えて
いる。会場で会った人は3、4年前に来ているんじゃないのと言ってたがどー
なんだろ? 来てたら、東京にいる限りは、絶対に見に行ってるはずだが…
…。
恵比寿・リキッドルーム。開演前はそれなりに空いてて楽でいいなあと思っ
たが、始まった頃にはそこそこの込み具合になっていたなあ。おやじ、多し。
うーむ。最初、なかなか乗り切れず。久しぶりに見るということで気合たっ
ぷりというか、多大な期待をとともにショウに臨んだのは確かなんだけど。会
場に来る前に人と会う用事がありすでに飲んじゃってて、気分も温まっており
、決して生理的にも悪い状況じゃなかったはずなのに。
あたまのほう違和感のようなものを感じたのは、わりかし普通っぽくブルー
ジィなロック・バンド的なノリの実演を彼らが見せたから。とはいえ、そこは
アメリカを代表するチカーノ・バンドである彼らのこと、普通のどすこい系バ
ンドになるはずもないのだが。だが、こちら(少なくてもぼくは)は彼らにサ
イバーロックの寵児という冠も付けている。多少はそっちのほうに目利きした
音を出してもいいというものではないか。そんな斬新路線は過去のこと、おい
らは一本気なロック・バンドという内容なアルバムを最近連発しているのなら
、あれは過去の姿だとも諦めもつく。だが、アルバムにおいてはいまだそっち
のほうにも繋がる作品を出しているからなー。2、3曲目終わった時点で、キ
ーボードも弾くサックスのスティーヴ・バーリンがうまくキーボードの音でな
いや、だめだこりゃみたいな仕種を見せたような気がしたのだが、それは表出
音と関係があるのか? それに、ストレートに行くならそれはそれでもう少し
ニュアンスが豊穣だっり、もっと奥行きのある揺れる演奏になっても良かった
のではないか。ドラマーとパーカスがいて、あの平板なビート(ぼくがロス・
ロボスに抱く豊穣さから導き出された感想。そりゃ、普通のグループよりは平
板ではないと思いますよ。でも、ぼくは彼らを怪物だと思っていますから)は
ないでしょう。
というわけで、最初の三分の一は悪くはないけどなんか、と半ば首をかしげ
て見ていた。うわあいいじゃんという態度を見せる大勢の人に混じりながら。
でも、そのうち、マリアッチやクンビア調のエキゾなスペイン語の曲が入った
りとか、どんどんお酒が増すうち(どーして、ここはワインの場合、人により
注ぐ量があまりにも違うのだろう?)に、なんとなくこれでいいや、やっぱ彼
らは得難いバンドだと思うようになったのだけど(……実は、一つの結論を得
たのだけど、それはこちらに書かずにクロスビートの11月売り号のリポートに
書きます)。
途中、イダルゴ(彼のちょい甲高いヴォーカルはロス・ロボスの宝ですね)
の息子が出てきて、1曲ギターを弾いたりも。また、トラフィックの「ミスタ
ー・ファンタジー」やザ・ミーターズの「シシィ・ストラト」をやったりも。
それらも彼らの襞であるのか。本編はピタリと1時間30分。
アンコールでクンビアと言ってやった曲を、テンポを速くし、もっとがらっ
ぱちで切実な感じにするともろにヴェリー・ビー・ケアフル(2004年8月1日
)になる。うきっ。アンコールのときは、ギターと鳴りモノの日本人が加わっ
たりもした。なんでも、先に書いたモグワイや彼らは、朝霧にも出たそう。
最後に見たのはすでに10年ぐらい前のような。そんときの場所は渋谷クアトロ
で、高輪の西武系プチ・ホテルに当宿していた。取材をやったからよく覚えて
いる。会場で会った人は3、4年前に来ているんじゃないのと言ってたがどー
なんだろ? 来てたら、東京にいる限りは、絶対に見に行ってるはずだが…
…。
恵比寿・リキッドルーム。開演前はそれなりに空いてて楽でいいなあと思っ
たが、始まった頃にはそこそこの込み具合になっていたなあ。おやじ、多し。
うーむ。最初、なかなか乗り切れず。久しぶりに見るということで気合たっ
ぷりというか、多大な期待をとともにショウに臨んだのは確かなんだけど。会
場に来る前に人と会う用事がありすでに飲んじゃってて、気分も温まっており
、決して生理的にも悪い状況じゃなかったはずなのに。
あたまのほう違和感のようなものを感じたのは、わりかし普通っぽくブルー
ジィなロック・バンド的なノリの実演を彼らが見せたから。とはいえ、そこは
アメリカを代表するチカーノ・バンドである彼らのこと、普通のどすこい系バ
ンドになるはずもないのだが。だが、こちら(少なくてもぼくは)は彼らにサ
イバーロックの寵児という冠も付けている。多少はそっちのほうに目利きした
音を出してもいいというものではないか。そんな斬新路線は過去のこと、おい
らは一本気なロック・バンドという内容なアルバムを最近連発しているのなら
、あれは過去の姿だとも諦めもつく。だが、アルバムにおいてはいまだそっち
のほうにも繋がる作品を出しているからなー。2、3曲目終わった時点で、キ
ーボードも弾くサックスのスティーヴ・バーリンがうまくキーボードの音でな
いや、だめだこりゃみたいな仕種を見せたような気がしたのだが、それは表出
音と関係があるのか? それに、ストレートに行くならそれはそれでもう少し
ニュアンスが豊穣だっり、もっと奥行きのある揺れる演奏になっても良かった
のではないか。ドラマーとパーカスがいて、あの平板なビート(ぼくがロス・
ロボスに抱く豊穣さから導き出された感想。そりゃ、普通のグループよりは平
板ではないと思いますよ。でも、ぼくは彼らを怪物だと思っていますから)は
ないでしょう。
というわけで、最初の三分の一は悪くはないけどなんか、と半ば首をかしげ
て見ていた。うわあいいじゃんという態度を見せる大勢の人に混じりながら。
でも、そのうち、マリアッチやクンビア調のエキゾなスペイン語の曲が入った
りとか、どんどんお酒が増すうち(どーして、ここはワインの場合、人により
注ぐ量があまりにも違うのだろう?)に、なんとなくこれでいいや、やっぱ彼
らは得難いバンドだと思うようになったのだけど(……実は、一つの結論を得
たのだけど、それはこちらに書かずにクロスビートの11月売り号のリポートに
書きます)。
途中、イダルゴ(彼のちょい甲高いヴォーカルはロス・ロボスの宝ですね)
の息子が出てきて、1曲ギターを弾いたりも。また、トラフィックの「ミスタ
ー・ファンタジー」やザ・ミーターズの「シシィ・ストラト」をやったりも。
それらも彼らの襞であるのか。本編はピタリと1時間30分。
アンコールでクンビアと言ってやった曲を、テンポを速くし、もっとがらっ
ぱちで切実な感じにするともろにヴェリー・ビー・ケアフル(2004年8月1日
)になる。うきっ。アンコールのときは、ギターと鳴りモノの日本人が加わっ
たりもした。なんでも、先に書いたモグワイや彼らは、朝霧にも出たそう。
スサンナ&ザ・マジカル・オーケストラ。ミケル・ブラーム・トリオ
2004年10月8日 大雨の日(台風で明日のほうがもっと凄いと言われている)、大使館関連音
楽絡みパーティをはしご。
まず、神宮前のラパン・エ・アロという場所でノルウェー大使館(2002年
5月13日)主催のパーティ。地下のホールで、繊細で柔和なテイストを持つ女
性ヴォーカル(スサンナ・カロリーナ・ヴァルムール。ピアニストのクリステ
ィアン・ヴァルムールの妹とか)とキーボード奏者(モッテン・クヴェル。メ
ンバーとして在籍したシャインニングはジャズランドからアルバムを出してい
る)のデュオ。1曲目はピーガブの「ビコ」みたいなテイストの曲をやる。そ
して、それ以降は穏健傾向のビョークという印象を多大に持つ。全部英語で歌
っていたけど、もしかして彼女の曲のカヴァーもやっていたのかと錯覚するぐ
らいに。まあ、影響を受けている部分はあるだろうけど、やっぱり北のほうの
人の喉の味のあり方やメロディ/音色感覚ってつながりがあるんではないかと
思った。全体的には、ゆらゆらした感覚のもと歌とキーボードが眩く絡むとい
った感じか。梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日)さんがいたな。
途中で退出し、芝公園のオランダ大使館に向かう。大使公邸でのパーティ。
明日から二日間行われる横浜ジャズ・プロムーナードに出演する数組のジャズ
・アーティストを交えてのもの。そこそこ立派、いろいろ食べ物出てました。
頭のほうでも誰か演奏したらしいが、10時近くになってミケル・ブラーム・ト
リオが演奏。ドラムはさすがに置けないので、ドラマーは変な板みたいなのを
叩く。ちょっとフリーにもかする、諧謔な部分も大の、洒脱な演奏。
いやあ、久しぶりにネクタイをしました。会場で知り合いから、似合うねえ
と言われ、当たり前じゃんとぜんぜん謙遜しない、オバカな私。けっこういい
もの、身につけていたのだよ。でも、そんな阿呆には天罰が下り、帰るときに
はドアの傘入れに入れた傘が盗まれていた(いや、間違って持っていかれたと
、判断しましょう)。でも、大使館前からすぐにタクシーが拾えたのは不幸中
の幸い。とうぶん、安い傘で我慢します。
楽絡みパーティをはしご。
まず、神宮前のラパン・エ・アロという場所でノルウェー大使館(2002年
5月13日)主催のパーティ。地下のホールで、繊細で柔和なテイストを持つ女
性ヴォーカル(スサンナ・カロリーナ・ヴァルムール。ピアニストのクリステ
ィアン・ヴァルムールの妹とか)とキーボード奏者(モッテン・クヴェル。メ
ンバーとして在籍したシャインニングはジャズランドからアルバムを出してい
る)のデュオ。1曲目はピーガブの「ビコ」みたいなテイストの曲をやる。そ
して、それ以降は穏健傾向のビョークという印象を多大に持つ。全部英語で歌
っていたけど、もしかして彼女の曲のカヴァーもやっていたのかと錯覚するぐ
らいに。まあ、影響を受けている部分はあるだろうけど、やっぱり北のほうの
人の喉の味のあり方やメロディ/音色感覚ってつながりがあるんではないかと
思った。全体的には、ゆらゆらした感覚のもと歌とキーボードが眩く絡むとい
った感じか。梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日)さんがいたな。
途中で退出し、芝公園のオランダ大使館に向かう。大使公邸でのパーティ。
明日から二日間行われる横浜ジャズ・プロムーナードに出演する数組のジャズ
・アーティストを交えてのもの。そこそこ立派、いろいろ食べ物出てました。
頭のほうでも誰か演奏したらしいが、10時近くになってミケル・ブラーム・ト
リオが演奏。ドラムはさすがに置けないので、ドラマーは変な板みたいなのを
叩く。ちょっとフリーにもかする、諧謔な部分も大の、洒脱な演奏。
いやあ、久しぶりにネクタイをしました。会場で知り合いから、似合うねえ
と言われ、当たり前じゃんとぜんぜん謙遜しない、オバカな私。けっこういい
もの、身につけていたのだよ。でも、そんな阿呆には天罰が下り、帰るときに
はドアの傘入れに入れた傘が盗まれていた(いや、間違って持っていかれたと
、判断しましょう)。でも、大使館前からすぐにタクシーが拾えたのは不幸中
の幸い。とうぶん、安い傘で我慢します。
横浜ジャズ・プロムナード
2004年10月10日 台風が去った翌日は晴天になるはずなのに(天気予報もそうだったはず)、
昼過ぎから、小雨まじりの天気。ちぇっ。ヨコハマを各所で繰り広げれるジャ
ズ・フェス、毎年やっていると思うがぼくは2001年(10月6日)いらい行く。
馬車道・関内大ホール。まず、大友良英ニュー・ジャズ・アンサンブル。現
ニュー・ジャズ・クインテット(2004年2月6日,他)に、高良久美子(ヴァ
イブ)とSachiko M(効果音) を加えた編成にて。が、全員が全速力で音を出す
と、女性陣の音(さらにはベースも)は聞こえず(2階席で聞いたせいもあっ
たかせもしれない)。で、この編成のあり難みをちゃんと受け入れることが出
来た、とは言いにくい。最終曲ジム・オルークの「ユリイカ」は芳垣安洋(20
04年1月21日、2004年5月31日、他)のトンペットは相変わらず味わい深いけ
ど、その盛り上がり方には予定調和なものを感じてしまうというか、ちょい臭
く感じちゃうものあり。そろそろ、レパートリーから取ってもいいのでは。
先のONJQの項でONJO(オーケストラ)もありではないかとぼくは書い
ているが、来年は大きな編成でのライヴを新宿ピットインでやって、レコーデ
ィングもするという。
ここ数日風邪気味ゆえ、傘も持って出てこなかったし大きな移動はパス。い
ろんなところでギグをやっているはずだが、関内ホールの出し物だけを見るよ
うにする。ホール前でも学生バンドが軽やかに演奏。それなりの人だかり。街
頭で演奏することになっていたアマチュアの方々は昨日が台風による大雨でツ
ブれたので張り切り具合もひとしおでしょう。
続いて、ザップというオランダの弦楽4重奏団を見る。まだ20代か。プリン
スの「キッス」からオリジナルまで。突き抜ける個性には少し欠ける。30分ぐ
らいやったあと、先日に見たミケル・ブラーム・トリオ。1曲目はほぼフリー
。そのままで突っ走れば良かったのに、妙に具体的な部分と即興で押し進める
部分を絶え間なく繰り返すような演奏に、ちと笑顔が曇る。そのブレンドの仕
方、ぼくのテイストには合わず。いろんなものを効果的に用いるドラマーをは
じめ、いいなと思わせる部分も少なくないのだが。
ホールの近くの別の街頭ではアブストラクトな集団演奏(ドラマーがちゃん
としていて、だから演奏がずっと持っていましたね)も。サックス奏者はオリ
ジナル・ラヴで吹いている人(松本健一)であったそう。その音に合わせ、仮
装した人などのパフォーマンスもあり。でも、せっかくやるんだったら、もっと
華々しく大がかりに、見る人も巻き込むようなことをやってほしい。ちと、アイ
デアと酔狂不足。彼ら、友達少ないのかな? でも、やっている人達、楽しそう
で、ちょっと羨ましたかった。
関内大ホールの最後の出し物は、板橋文夫(2004年8月20日)のいろんなも
のを見せましょうという、特別扱いの2時間半にわたる出し物(しかし、“音
の吟遊詩人”という、それに付けられたキャッチはなんて言っていいものやら
)。なんと、1000人近くは入りそうな会場はほぼ満員。素晴らしいっ。
まず、知己と言えるだろうアルトの林栄一とのデュオ。大人のひらめきの、
味あるお手合わせ。以上、パート1。パート2は、リズム隊(井野信義と小山
彰太)が出てきて1曲。続いて、そこに片山広明が加わり、そのホンク・テナ
ーをフィーチャーしたR&B調の曲をやる。良いな。そして、さらにそこに田
村夏樹(トンペット)が加わり、広がりある、どこかキャッチーなニュアンス
も含む冒険曲を颯爽と披露。
そして3部はオーケストラ編成によるもの。先日見た編成から土岐英史が抜
け、代わりに梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日)と林栄一が入り、
パーカスは女性奏者。また、ヴァイオリン奏者の太田恵資(シカラムータ他い
ろいろやっている。2003年5月22日でも、弾いていました)は一人だけ逆側に
立って、フィーチャーされもする。ホーミーみたいな歌い方したりとか、いろ
いろ歌芸にも能力を発揮する人でもありますね。それにしても、梅津、片山、
林のリード3人揃い踏みはその絵を見ているだけで嬉しくなったナ。
驚いたのは、その先のオーケストラ公演とはやっている曲がけっこう違って
いたこと。引き出しは一つではない。ぜんぜん、飽きない。なんにせよ、個性
的で、うひひと含み笑いをしつつ美しくもあり、あっち側を見据えた、がらっ
ぱちな集団演奏が繰り広げられたわけです。9時を少し回ってアンコール前の
曲が終わると、すぐに客電がつき、<おしまいです、お気をつけて>みたいな
無神経な(というか、とっとと終わらせたいという気持ちに満ちた)アナウン
スがなされる。だが、板橋はそれを無視し、アンコール用に用意していたろう
曲を、ピアニカ(右手)とピアノ(左手)で弾き出す。とってもヒューマンな
手触りを持つものだったが、ヴィクトル・ハラの曲? そして、そこに全員が
加わっていき、とっても慈しみに溢れたアンサブル曲に発展していく。その間
、ステージの後ろでは緞帳を外したりとか、舞台美術の撤収が行われている。
……。でも、何があろうと俺たちは音楽ができるし、どんなときでも音楽を続
けていけるという、彼らの信条を浮き上がらせることにもそれは間違いなく繋
がっていた。好アシスト! いやあ、やっぱり感動的な実演でした。
再び繰り返す、板橋文夫はすばらしい!
昼過ぎから、小雨まじりの天気。ちぇっ。ヨコハマを各所で繰り広げれるジャ
ズ・フェス、毎年やっていると思うがぼくは2001年(10月6日)いらい行く。
馬車道・関内大ホール。まず、大友良英ニュー・ジャズ・アンサンブル。現
ニュー・ジャズ・クインテット(2004年2月6日,他)に、高良久美子(ヴァ
イブ)とSachiko M(効果音) を加えた編成にて。が、全員が全速力で音を出す
と、女性陣の音(さらにはベースも)は聞こえず(2階席で聞いたせいもあっ
たかせもしれない)。で、この編成のあり難みをちゃんと受け入れることが出
来た、とは言いにくい。最終曲ジム・オルークの「ユリイカ」は芳垣安洋(20
04年1月21日、2004年5月31日、他)のトンペットは相変わらず味わい深いけ
ど、その盛り上がり方には予定調和なものを感じてしまうというか、ちょい臭
く感じちゃうものあり。そろそろ、レパートリーから取ってもいいのでは。
先のONJQの項でONJO(オーケストラ)もありではないかとぼくは書い
ているが、来年は大きな編成でのライヴを新宿ピットインでやって、レコーデ
ィングもするという。
ここ数日風邪気味ゆえ、傘も持って出てこなかったし大きな移動はパス。い
ろんなところでギグをやっているはずだが、関内ホールの出し物だけを見るよ
うにする。ホール前でも学生バンドが軽やかに演奏。それなりの人だかり。街
頭で演奏することになっていたアマチュアの方々は昨日が台風による大雨でツ
ブれたので張り切り具合もひとしおでしょう。
続いて、ザップというオランダの弦楽4重奏団を見る。まだ20代か。プリン
スの「キッス」からオリジナルまで。突き抜ける個性には少し欠ける。30分ぐ
らいやったあと、先日に見たミケル・ブラーム・トリオ。1曲目はほぼフリー
。そのままで突っ走れば良かったのに、妙に具体的な部分と即興で押し進める
部分を絶え間なく繰り返すような演奏に、ちと笑顔が曇る。そのブレンドの仕
方、ぼくのテイストには合わず。いろんなものを効果的に用いるドラマーをは
じめ、いいなと思わせる部分も少なくないのだが。
ホールの近くの別の街頭ではアブストラクトな集団演奏(ドラマーがちゃん
としていて、だから演奏がずっと持っていましたね)も。サックス奏者はオリ
ジナル・ラヴで吹いている人(松本健一)であったそう。その音に合わせ、仮
装した人などのパフォーマンスもあり。でも、せっかくやるんだったら、もっと
華々しく大がかりに、見る人も巻き込むようなことをやってほしい。ちと、アイ
デアと酔狂不足。彼ら、友達少ないのかな? でも、やっている人達、楽しそう
で、ちょっと羨ましたかった。
関内大ホールの最後の出し物は、板橋文夫(2004年8月20日)のいろんなも
のを見せましょうという、特別扱いの2時間半にわたる出し物(しかし、“音
の吟遊詩人”という、それに付けられたキャッチはなんて言っていいものやら
)。なんと、1000人近くは入りそうな会場はほぼ満員。素晴らしいっ。
まず、知己と言えるだろうアルトの林栄一とのデュオ。大人のひらめきの、
味あるお手合わせ。以上、パート1。パート2は、リズム隊(井野信義と小山
彰太)が出てきて1曲。続いて、そこに片山広明が加わり、そのホンク・テナ
ーをフィーチャーしたR&B調の曲をやる。良いな。そして、さらにそこに田
村夏樹(トンペット)が加わり、広がりある、どこかキャッチーなニュアンス
も含む冒険曲を颯爽と披露。
そして3部はオーケストラ編成によるもの。先日見た編成から土岐英史が抜
け、代わりに梅津和時(2001年9月2日、2001年9月21日)と林栄一が入り、
パーカスは女性奏者。また、ヴァイオリン奏者の太田恵資(シカラムータ他い
ろいろやっている。2003年5月22日でも、弾いていました)は一人だけ逆側に
立って、フィーチャーされもする。ホーミーみたいな歌い方したりとか、いろ
いろ歌芸にも能力を発揮する人でもありますね。それにしても、梅津、片山、
林のリード3人揃い踏みはその絵を見ているだけで嬉しくなったナ。
驚いたのは、その先のオーケストラ公演とはやっている曲がけっこう違って
いたこと。引き出しは一つではない。ぜんぜん、飽きない。なんにせよ、個性
的で、うひひと含み笑いをしつつ美しくもあり、あっち側を見据えた、がらっ
ぱちな集団演奏が繰り広げられたわけです。9時を少し回ってアンコール前の
曲が終わると、すぐに客電がつき、<おしまいです、お気をつけて>みたいな
無神経な(というか、とっとと終わらせたいという気持ちに満ちた)アナウン
スがなされる。だが、板橋はそれを無視し、アンコール用に用意していたろう
曲を、ピアニカ(右手)とピアノ(左手)で弾き出す。とってもヒューマンな
手触りを持つものだったが、ヴィクトル・ハラの曲? そして、そこに全員が
加わっていき、とっても慈しみに溢れたアンサブル曲に発展していく。その間
、ステージの後ろでは緞帳を外したりとか、舞台美術の撤収が行われている。
……。でも、何があろうと俺たちは音楽ができるし、どんなときでも音楽を続
けていけるという、彼らの信条を浮き上がらせることにもそれは間違いなく繋
がっていた。好アシスト! いやあ、やっぱり感動的な実演でした。
再び繰り返す、板橋文夫はすばらしい!
まず、渋谷・クラブクアトロで、ホット・クラブ・オブ・カウタウン。ギタ
ー、縦ベース、フィドル(女性)からなる、テキサスの3人組。その3人で、
アコースティックで、スウィンギンな洒脱アメリカン・ミュージックを紡いで
いく。かなり表現としては完成度が高い、とも言えるか。とくに男性陣は腕が
たちますね。メンバー3人はかなり整ったルックス。それがまた、粋な印象を
増幅させる。
次に、渋谷・Oイースト。“Nu Style" という北欧のクラブ系のジャジー傾
向出演者を集めたイヴェント。入ると、ちゃんとフロアには椅子とテーブルが
並べられている。なんか、落ちつくというか、本来ここはこういうスタイルで
営業していくハコなはず。っていうか、ぼくがここに来るときは、けっこう人
を詰める公演のものということか。
入ってしばらくすると、ミュージック・ミュージック・ミュージックという
スウェーデンのイエテボリをベースにする、ピアノ・トリオが登場。思ったよ
りジャズ寄り、それなりの演奏を聞かせる。多少、音響面や視点の広がりに留
意しようとする部分も少しあるか。E.S.T.(2003年6月17日)とか、そういう
のと比べると分はあまりに悪いが、印象は悪くない。続いて、はやりイエテボ
リに住む日系のミユキ・ナガノ(かつて、クープで来日したことあり)と電気
音担当者が出てきて1曲やり、そこに再びミュージック・ミュージック・ミュ
ージックが加わった。
ー、縦ベース、フィドル(女性)からなる、テキサスの3人組。その3人で、
アコースティックで、スウィンギンな洒脱アメリカン・ミュージックを紡いで
いく。かなり表現としては完成度が高い、とも言えるか。とくに男性陣は腕が
たちますね。メンバー3人はかなり整ったルックス。それがまた、粋な印象を
増幅させる。
次に、渋谷・Oイースト。“Nu Style" という北欧のクラブ系のジャジー傾
向出演者を集めたイヴェント。入ると、ちゃんとフロアには椅子とテーブルが
並べられている。なんか、落ちつくというか、本来ここはこういうスタイルで
営業していくハコなはず。っていうか、ぼくがここに来るときは、けっこう人
を詰める公演のものということか。
入ってしばらくすると、ミュージック・ミュージック・ミュージックという
スウェーデンのイエテボリをベースにする、ピアノ・トリオが登場。思ったよ
りジャズ寄り、それなりの演奏を聞かせる。多少、音響面や視点の広がりに留
意しようとする部分も少しあるか。E.S.T.(2003年6月17日)とか、そういう
のと比べると分はあまりに悪いが、印象は悪くない。続いて、はやりイエテボ
リに住む日系のミユキ・ナガノ(かつて、クープで来日したことあり)と電気
音担当者が出てきて1曲やり、そこに再びミュージック・ミュージック・ミュ
ージックが加わった。
ミケル・ボルストラップ
2004年10月13日 南青山・ボディ&ソウル。サイドを務めるのは杉本智和と本田珠也。菊地雅
章オン・ザ・ムーヴ(2002年9月22日、2003年6月10日)や先日のケイ赤城の
トリオ(2004年8月19日)と同様のリズム・セクションだ。それだけでも、見
たくはなるよな。
オランダ人ボルストラップは実に達者なジャズ・ピアニスト。ストライドか
らフリー、はては電化掛かったものまであらゆる奏法(編成)を聞かせる人。
とくに、欧州フリー・ジャズの大御所ハン・ベンニクをドラマーに迎えたトリ
オ作『3』は本当に奔放で好盤だと思う。そんなわけだから、この力あるリズ
ム隊を得て、突っ走ることを期待したのだが。
米国、日本とソロ・ピアノのツアーをしてきたことと関係があるのか、多少
含みを持たせる行き方。もっと屈託なく突っ走ったほうが、本日初顔合わせの
リズム隊ともしっくり行くと思うし、彼の自力も出ると思うのだが。なんか、
この日のファースト・セット(代表W杯予選のオマーン戦見るため、帰りまし
た)はその片鱗の38パーセントくらいしか味わえないような気がした(お、け
っこう、彼のこと買ってますね)。それから、デカい人だったなあ。さすが、
オランダ人。
章オン・ザ・ムーヴ(2002年9月22日、2003年6月10日)や先日のケイ赤城の
トリオ(2004年8月19日)と同様のリズム・セクションだ。それだけでも、見
たくはなるよな。
オランダ人ボルストラップは実に達者なジャズ・ピアニスト。ストライドか
らフリー、はては電化掛かったものまであらゆる奏法(編成)を聞かせる人。
とくに、欧州フリー・ジャズの大御所ハン・ベンニクをドラマーに迎えたトリ
オ作『3』は本当に奔放で好盤だと思う。そんなわけだから、この力あるリズ
ム隊を得て、突っ走ることを期待したのだが。
米国、日本とソロ・ピアノのツアーをしてきたことと関係があるのか、多少
含みを持たせる行き方。もっと屈託なく突っ走ったほうが、本日初顔合わせの
リズム隊ともしっくり行くと思うし、彼の自力も出ると思うのだが。なんか、
この日のファースト・セット(代表W杯予選のオマーン戦見るため、帰りまし
た)はその片鱗の38パーセントくらいしか味わえないような気がした(お、け
っこう、彼のこと買ってますね)。それから、デカい人だったなあ。さすが、
オランダ人。
雨。風邪っぽいのをずっと引きずってまーす。
渋谷・クラブクアトロ。まず、忌野清志郎が生ギター片手に出てきてフォー
クのりのソロ・パフォーマンス。毎度のきんきらきんの格好、(JB流の)マ
ント・ショー付き。彼の歌を聞きながら、ブライアン・フェリーのそれとある
意味、双璧かとも感じた。R&B向けではない声質/声帯を巧みな歌唱法のも
と、妙味ありで自分化しているということで。やっぱ、得難い人ではあります
よね。
そして、そんなに時間をおかずに、タラフ(2000年5月21日、2001年9月2
日)が登場。ステージには最大で12人、とにもかくにも、やりたい放題。ツィ
ンバロム、ヴァイリンやアコーディオンやクラリネットや歌らが特殊抑揚のも
と重なり、溢れ出る。美味しい人間の音楽……。我々とは異なる歴史、文化、
流儀があることを知らしめる音楽……。
そして、最後に両者は共演。まず、忌野の「僕の先生」をやる。ちょっと寄
り道してるそれ、嬉しい仕上がり。ぼくは一緒に録音してほしいと思った。そ
れから、もう1曲、タラフ流儀の曲(ルーマニアのヒット曲らしい)をぶっち
ゃけ披露。その、アンコールの間じゅう、気分屋のタラフの行き方にあわせる
のが難儀だったのか、清志郎はニコリともせず、顔ひきつりまくり。あんな彼
を初めてた見たと、終わったあとの飲みでひとしきり話題になった。
クアトロに会場に来る前に、渋谷の東芝エンターテインメント試写室で『フ
ェスティヴァル・エクスプレス』という映画を見る。
カンウンター・カルチャーとしてのロックがまだ薔薇色の可能性があると信
じられていた1970年に、カナダで企画された連続フェスの記録映画。グレイト
フル・デッド、ザ・バンド、ジャニス・ジップリン、バディ・ガイらピカ一の
ミュージシャンがいたれりつくせり(シャワー以外は)の特別仕立て貸切り列
車に乗ってカナダを5日間で横断し、3か所(トロント、ウィニペグ、カルガ
リー)で野外コンサートを行うというもの。名付けて、フェスティヴァル・エ
クスプレス。いろんなトラブルで映画化されず、そのうち行方知れずになって
いた映像ソースが95年にカナダ国立図書館で発見され、03年にカタチにされた
もの(イギリス/オランダ映画とクレジットされている)だ。
どの映像も興味深い。成功したとは言えないコンサートの模様(ザ・バンド
・ファンのぼくはとくに、彼らのものにゃ釘付け)もそうだが、呉越同舟の汽
車のなかで散々行われたのだろうジャム・セッションの映像がひどく刺激的。
酒とクスリがふんだんにあるなかでの気儘なお手合わせ。とくに、バディ・ガ
イ主体の奴と、ガルシアとジョプリンらが一緒にやっている模様はあまりに興
味深い。出演者たちもその列車の旅をとっても楽しんでいるというのもよく分
かる。しかし、若いジェリー・ガルシアのルックスは本当にうだつのあがらな
い使えなさそうなそれ。ほえええ、って感じ。
当時の映像に加え、出演ミュージシャンやプロモーターたちの証言映像が新
たに加えられてもいる。列車セッションの場にも姿を見ることができ、証言者
としても、リトル・フィート(2000年12月8日)のケニー・グラッドニーが登
場。なんであの旅に加わっていたのかと思ったら、フィートの同僚サム・クレ
イトンとともに、そのフェスのときのデラニー&ボニー&フレンズのツアー・
メンバーをしていたんですね。
ともあれ、いろいろと流れる音楽を聞いていると、基本的にはロックは何も
変わっていない。というか、進歩の著しく少ない芸能フォームであることが分
かる。リズム・フィギュアとか音色とかは別として。……ま、それでもいいじ
ゃん。ロックとは、若者の迸りの音楽、イキがった音楽、向こう見ずな音楽、
バカヤロの音楽、なのだから。
杜撰なところもあるが、やはり見て嬉しいってなれる映画。『永遠のモータ
ウン』とか、マーティン・スコセッシ監修のブルーズ・シリーズとか、今年は
なにかと美味しい音楽映像が公開されたり、DVD化された年として記憶され
るべきかも。
渋谷・クラブクアトロ。まず、忌野清志郎が生ギター片手に出てきてフォー
クのりのソロ・パフォーマンス。毎度のきんきらきんの格好、(JB流の)マ
ント・ショー付き。彼の歌を聞きながら、ブライアン・フェリーのそれとある
意味、双璧かとも感じた。R&B向けではない声質/声帯を巧みな歌唱法のも
と、妙味ありで自分化しているということで。やっぱ、得難い人ではあります
よね。
そして、そんなに時間をおかずに、タラフ(2000年5月21日、2001年9月2
日)が登場。ステージには最大で12人、とにもかくにも、やりたい放題。ツィ
ンバロム、ヴァイリンやアコーディオンやクラリネットや歌らが特殊抑揚のも
と重なり、溢れ出る。美味しい人間の音楽……。我々とは異なる歴史、文化、
流儀があることを知らしめる音楽……。
そして、最後に両者は共演。まず、忌野の「僕の先生」をやる。ちょっと寄
り道してるそれ、嬉しい仕上がり。ぼくは一緒に録音してほしいと思った。そ
れから、もう1曲、タラフ流儀の曲(ルーマニアのヒット曲らしい)をぶっち
ゃけ披露。その、アンコールの間じゅう、気分屋のタラフの行き方にあわせる
のが難儀だったのか、清志郎はニコリともせず、顔ひきつりまくり。あんな彼
を初めてた見たと、終わったあとの飲みでひとしきり話題になった。
クアトロに会場に来る前に、渋谷の東芝エンターテインメント試写室で『フ
ェスティヴァル・エクスプレス』という映画を見る。
カンウンター・カルチャーとしてのロックがまだ薔薇色の可能性があると信
じられていた1970年に、カナダで企画された連続フェスの記録映画。グレイト
フル・デッド、ザ・バンド、ジャニス・ジップリン、バディ・ガイらピカ一の
ミュージシャンがいたれりつくせり(シャワー以外は)の特別仕立て貸切り列
車に乗ってカナダを5日間で横断し、3か所(トロント、ウィニペグ、カルガ
リー)で野外コンサートを行うというもの。名付けて、フェスティヴァル・エ
クスプレス。いろんなトラブルで映画化されず、そのうち行方知れずになって
いた映像ソースが95年にカナダ国立図書館で発見され、03年にカタチにされた
もの(イギリス/オランダ映画とクレジットされている)だ。
どの映像も興味深い。成功したとは言えないコンサートの模様(ザ・バンド
・ファンのぼくはとくに、彼らのものにゃ釘付け)もそうだが、呉越同舟の汽
車のなかで散々行われたのだろうジャム・セッションの映像がひどく刺激的。
酒とクスリがふんだんにあるなかでの気儘なお手合わせ。とくに、バディ・ガ
イ主体の奴と、ガルシアとジョプリンらが一緒にやっている模様はあまりに興
味深い。出演者たちもその列車の旅をとっても楽しんでいるというのもよく分
かる。しかし、若いジェリー・ガルシアのルックスは本当にうだつのあがらな
い使えなさそうなそれ。ほえええ、って感じ。
当時の映像に加え、出演ミュージシャンやプロモーターたちの証言映像が新
たに加えられてもいる。列車セッションの場にも姿を見ることができ、証言者
としても、リトル・フィート(2000年12月8日)のケニー・グラッドニーが登
場。なんであの旅に加わっていたのかと思ったら、フィートの同僚サム・クレ
イトンとともに、そのフェスのときのデラニー&ボニー&フレンズのツアー・
メンバーをしていたんですね。
ともあれ、いろいろと流れる音楽を聞いていると、基本的にはロックは何も
変わっていない。というか、進歩の著しく少ない芸能フォームであることが分
かる。リズム・フィギュアとか音色とかは別として。……ま、それでもいいじ
ゃん。ロックとは、若者の迸りの音楽、イキがった音楽、向こう見ずな音楽、
バカヤロの音楽、なのだから。
杜撰なところもあるが、やはり見て嬉しいってなれる映画。『永遠のモータ
ウン』とか、マーティン・スコセッシ監修のブルーズ・シリーズとか、今年は
なにかと美味しい音楽映像が公開されたり、DVD化された年として記憶され
るべきかも。
ダヴィネット・ドイル、ゴーディー・サンプソン。ロベン・フォード
2004年10月22日 カナダ人女性シンガー・ソングライターと、彼女のプロデューサーを務める
という男性シンガー・ソングライターのジョイント公演。両者とも生ギターで
歌う。大半は両者が一緒に、本当に陽気な人という感じのドイルさんが前に出
るほうが多かったか。ときに耳ひかれる部分もあったが(アルバムはけっこう
いいんだけど)、総じては耳をとおりすぎちゃったかな。カナダ大使館シアタ
ー。案の定、ときどき咳き込み、困惑。
続いて、横浜の赤レンガ倉庫のモーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。
ロベン・フォード(2004年4月21日、他)。かなり混んでいたが、男占有率が
相当に高くて、彼のファンが集まっているのだなとひどく納得。当然、ソロ名
義のギグだから、ブルーズ調のものが多くなる。私の考えるブルーズ+……。
ぼくの好みとしては、もう少し、ダーティに行ってほしかったが。ベース、キ
ーボード,ドラムがサポート。うち、ドラマーは女性、裸足で叩いていた。
という男性シンガー・ソングライターのジョイント公演。両者とも生ギターで
歌う。大半は両者が一緒に、本当に陽気な人という感じのドイルさんが前に出
るほうが多かったか。ときに耳ひかれる部分もあったが(アルバムはけっこう
いいんだけど)、総じては耳をとおりすぎちゃったかな。カナダ大使館シアタ
ー。案の定、ときどき咳き込み、困惑。
続いて、横浜の赤レンガ倉庫のモーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。
ロベン・フォード(2004年4月21日、他)。かなり混んでいたが、男占有率が
相当に高くて、彼のファンが集まっているのだなとひどく納得。当然、ソロ名
義のギグだから、ブルーズ調のものが多くなる。私の考えるブルーズ+……。
ぼくの好みとしては、もう少し、ダーティに行ってほしかったが。ベース、キ
ーボード,ドラムがサポート。うち、ドラマーは女性、裸足で叩いていた。
ジョージ・デューク
2004年10月28日 フランク・ザッパは大好物だった。“重要アーティスト5人、私のリスト”
に、御大は間違いなく入っていたはず。と、過去形で書いているのは、今はと
んと彼のことを聞かなくなっているから。なんか、あの変拍子や凝った仕掛け
等がかったるく感じるような気がしちゃうのか、それとも別の理由があるのか
、この4年ぐらいは彼のことを聞いていないような気がする。ぜんぜん、手が
伸びない。朋友のキャプテン・ビーフハートのアルバムはたまに聞く気になっ
ても。それは、オレが老けたことのバロメーターとなりえるのか……。
なんてことを、2曲目にやった唯一のインストを聞きながら、思っていた。
その曲、ザッパっぽいリフのもと、けっこうザッパぽい音色とフレイズのギタ
ー・ソロが延々とフィーチャーされた。誰が弾いているのかと注意すれば、ロ
ナルド・シャノン・ジャクソンのデコーディング・ソササエティの元メンバー
で、DIWからのリーダー作も持つジェフ・リー・ジョンソンではないか(ち
ょい根暗そうな人で、それもらしかった、かも)。そういやあ、ここの数年の
デューク仕切りのレコーディングにいろいろと彼が入ってるんだよな。MCに
よれば、他のメンバー(補助キーボード、ベース、ドラム、女性コーラス)は
みんな西海岸居住者であるから、デュークは相当にジョンソン(フィリー居住
だっけか)のことを気に入っているのだろう。
ブラコン各種から末期マイルス・デイヴィスまでいろんなプロデュースをや
っている人だが、デュークと言えば、ぼくはまずフランク・ザッパ時代のこと
を思い出す。もしかすると、ザッパ表現は彼が在籍した『ワン・サイズ・フィ
ッツ・オール』のころが一番好きかもしれないし。今回、演奏部に力を注入れ
たソウル・フュージョンという実演を基本的には進めた彼だったが、未だザッ
パの襞を見せてくたのは嬉しかった。途中、リクエストをつのり、そこから彼
は自らのヒット曲「シャイニン・オン」に持っていきたかったようなだが、な
ぜかその曲名は客席からは出ず、でもいい人の彼は掛かった声にしたがい「ル
イ・ルイ」とかの断片を、お茶目にいろいろやったりも。やっぱ、器用にして
、蓄積あり。そのときも、ザッパ曲をやったか。2時間近くのパフォーマンス
。アンコールのファンク・メドレーも強固。あ、このバンドでザッパ・メドレ
ーを聞いてみたいと思った? あの力量なら出来るだろうし。というか、P−
ファンク化されたザッパをそのときぼくは猛烈に欲したのだった。
南青山・ブルーノート東京。セカンド。ジョージ・デュークはとっても愛想
のいい、エンターテイナーでした。
に、御大は間違いなく入っていたはず。と、過去形で書いているのは、今はと
んと彼のことを聞かなくなっているから。なんか、あの変拍子や凝った仕掛け
等がかったるく感じるような気がしちゃうのか、それとも別の理由があるのか
、この4年ぐらいは彼のことを聞いていないような気がする。ぜんぜん、手が
伸びない。朋友のキャプテン・ビーフハートのアルバムはたまに聞く気になっ
ても。それは、オレが老けたことのバロメーターとなりえるのか……。
なんてことを、2曲目にやった唯一のインストを聞きながら、思っていた。
その曲、ザッパっぽいリフのもと、けっこうザッパぽい音色とフレイズのギタ
ー・ソロが延々とフィーチャーされた。誰が弾いているのかと注意すれば、ロ
ナルド・シャノン・ジャクソンのデコーディング・ソササエティの元メンバー
で、DIWからのリーダー作も持つジェフ・リー・ジョンソンではないか(ち
ょい根暗そうな人で、それもらしかった、かも)。そういやあ、ここの数年の
デューク仕切りのレコーディングにいろいろと彼が入ってるんだよな。MCに
よれば、他のメンバー(補助キーボード、ベース、ドラム、女性コーラス)は
みんな西海岸居住者であるから、デュークは相当にジョンソン(フィリー居住
だっけか)のことを気に入っているのだろう。
ブラコン各種から末期マイルス・デイヴィスまでいろんなプロデュースをや
っている人だが、デュークと言えば、ぼくはまずフランク・ザッパ時代のこと
を思い出す。もしかすると、ザッパ表現は彼が在籍した『ワン・サイズ・フィ
ッツ・オール』のころが一番好きかもしれないし。今回、演奏部に力を注入れ
たソウル・フュージョンという実演を基本的には進めた彼だったが、未だザッ
パの襞を見せてくたのは嬉しかった。途中、リクエストをつのり、そこから彼
は自らのヒット曲「シャイニン・オン」に持っていきたかったようなだが、な
ぜかその曲名は客席からは出ず、でもいい人の彼は掛かった声にしたがい「ル
イ・ルイ」とかの断片を、お茶目にいろいろやったりも。やっぱ、器用にして
、蓄積あり。そのときも、ザッパ曲をやったか。2時間近くのパフォーマンス
。アンコールのファンク・メドレーも強固。あ、このバンドでザッパ・メドレ
ーを聞いてみたいと思った? あの力量なら出来るだろうし。というか、P−
ファンク化されたザッパをそのときぼくは猛烈に欲したのだった。
南青山・ブルーノート東京。セカンド。ジョージ・デュークはとっても愛想
のいい、エンターテイナーでした。
ファータイル・グラウンド
2004年10月29日 ボルティモアをベースとする、スピリチュアルで、アフリカン・アメリカン
のプライドあふれる、つっぱったジャジー・ソウル・バンドが新作リリースと
ともにまたやってきた。2001年11月23日、2002年4月30日に続く、3度目の来
日。ドラマーが変わったり、ギター奏者が新加入したり、多少編成が変わって
の来日。あまりいなくてもいい男女バッキング・コーラスを含め、最大で8人
のライヴ。2回目の来日の項で触れているが、その後女性シンガーのナヴァー
シャとリーダーのジェイムズ・コリンズは結婚したのだとか。オフにおいては
、ナヴァーシャが柔らかくなっているような気がした。以前の実演ほど高揚さ
せられはしなかったが、考える意思を、統合する意思を持つ貴重なグループで
あるのは間違いない。ただ、コリンズによる鍵盤ベースは達者ではあるが、ち
ゃんとした奏者を雇ったほうがより有機的な表現にはなりえると思わずにいら
れなかったのは確か。初来日時に取材したとき、コリンズは自らの鍵盤ベース
にはこだわりを持っていると言っていたから、強いことは言えないが。依怙地
なこだわりを持つからこそ、なんか他とは違うことを強固に求め続けられると
いうのはあるだろうから。
今回また取材したが、話のほうは全面的に共感。<マーヴィン・ゲイや、フ
ェラ・クティや、ジョン・コルトレーンを正当に評価し、今に持ってきたから
こその音楽性>を持ち、<人を啓蒙し、一歩上にひっぱるような音楽性>を自
分たちは目指しているのだという、気持ちを二人は持っている。とともに、<
DJ音やラップを使わず、豊かな知識とプレイヤーとしてのスキルで、前線を
闊歩したい>と思っていることにも、大きく頷く。やっぱり、応援したくな連
中。南青山・ブルーノート東京、セカンド。
のプライドあふれる、つっぱったジャジー・ソウル・バンドが新作リリースと
ともにまたやってきた。2001年11月23日、2002年4月30日に続く、3度目の来
日。ドラマーが変わったり、ギター奏者が新加入したり、多少編成が変わって
の来日。あまりいなくてもいい男女バッキング・コーラスを含め、最大で8人
のライヴ。2回目の来日の項で触れているが、その後女性シンガーのナヴァー
シャとリーダーのジェイムズ・コリンズは結婚したのだとか。オフにおいては
、ナヴァーシャが柔らかくなっているような気がした。以前の実演ほど高揚さ
せられはしなかったが、考える意思を、統合する意思を持つ貴重なグループで
あるのは間違いない。ただ、コリンズによる鍵盤ベースは達者ではあるが、ち
ゃんとした奏者を雇ったほうがより有機的な表現にはなりえると思わずにいら
れなかったのは確か。初来日時に取材したとき、コリンズは自らの鍵盤ベース
にはこだわりを持っていると言っていたから、強いことは言えないが。依怙地
なこだわりを持つからこそ、なんか他とは違うことを強固に求め続けられると
いうのはあるだろうから。
今回また取材したが、話のほうは全面的に共感。<マーヴィン・ゲイや、フ
ェラ・クティや、ジョン・コルトレーンを正当に評価し、今に持ってきたから
こその音楽性>を持ち、<人を啓蒙し、一歩上にひっぱるような音楽性>を自
分たちは目指しているのだという、気持ちを二人は持っている。とともに、<
DJ音やラップを使わず、豊かな知識とプレイヤーとしてのスキルで、前線を
闊歩したい>と思っていることにも、大きく頷く。やっぱり、応援したくな連
中。南青山・ブルーノート東京、セカンド。