ルクセンブルグの、ルクセンブルグに来ている。パリ東駅から特急で2時間半ほどの所。人口50万人にも満たない欧州小国の首都(ほのぼの、田舎の感じあり)にまさか来るとは思わなかった。実は、産業誘致なども成功していて、同国は欧州一裕福な国と言われている。それゆえか、酒税や煙草にかかる税率は低く、実際バーの価格は安かった(入ったレストランはパリと同じぐらいか)し、近隣の国からは酒や煙草を買いにくるという話も聞いたような。当然、日本で隣県に通勤するように、ルクセンブルグに毎日働きにくる人も少なくないようだ。そこらへんは通貨が同じで、行き来がまったく自由な欧州の地の利が幸いしている。
いろんな取材のかたわら、ルクセンブルクの郊外にある(車や電車で30分ほど。昼間15分間隔ぐらいで走っている2階建て列車は、ルクセンブルグ間が2ユーロ。パリの地下鉄が1.8ユーロであるので安目と言えるか)ロッカル/Rockhalという国営の音楽総合施設に行って来た。音楽ヴェニュー好きとしては、チェックしても損はないと思っていたら、これが想像を遥かに超えて規模が大きいもので驚く。広大な製錬工場跡地(その一部はリノヴェイションされ、工場博物館となっている)に持たれたもので、わざわざロッカルを作ったときに鉄道の駅も作ってしまったそうな。コンサートのチケットを持っていると、電車代は無料になるそうだ。
同所にはいくつもの音楽ヴェニュー(一番でかいのは、スタジオコースト以上。それゆえ、そこは頻繁にスケジュールが入っているわけではない)、音楽図書館、レコーディング・スタジオ、練習スタジオ、ダンス用スタジオなどが持たれている。とともに、30人ほどのスタッフがいて、コンサートを持つとともに、有名人らワークショップや細分化されたイヴェントを企画するとともに、アマチュアの面々を懇切丁寧に指導し、練習スタジオを無料で貸し、立派な録音用スタジオも抱えレコーディングのやり方も手ほどきし、さらにはマネージメントとの契約の仕方や公演の打ち方までを手助けしている。とうぜん、ここにあるライヴ会場も貸し、そのあがりは出演者がとっていいことになっているという。いわば、同国の若者に娯楽を提供(それは近隣外国の人間を集めることにも繋がるだろう)するとともに、国際競争力を持つポップ・ミュージックの担い手を育成しようという意図を、大々的にロッカルは持っている。
規模の大きな、国営の“スクール・オブ・ロック”なるもの? ロックやヒップホップをお上から教えてもらっていいのという素朴な疑問はともかく、それはリッチで人口の少ないルクセンブルグだから出来ることであり、そういう小回りの利き具合こそは同国の今の繁栄を導いているとも言えるかもしれない。同国のポップ・ミュージックを介しての中央ヨーロッパにおけるイニチアシヴの行方は、とっても興味をひかれるところではある。
ロッカル地区はホテルやショッピング施設や飲食施設も持ち、今は国内唯一の大学であるルクセングルグ大学もここに引っ越してきてしまった。大学に進む人は日本で他県の大学に進学するように他国の大学に進む人も多いそうだが、それはルクセンブルク人が何カ国語も覚えてしまうからでもある。TVのニュースなどはルクセンブルグ語でなされるそうだがフランス語とドイツ語、そして少し遅れる形で英語は覚えてしまうそう。そこらへんは他の一カ国語でも覚えるのにきゅうきゅうとしてしまう日本人の感覚とはまったく位相を別にするものと言うしかない。そのぶん、日本にはワビサビがある、日本食がある。あ、違うか? ともあれ、そんな多国語が併置される環境はポップ・ミュージックのありかたにも影響しないはずはないだろう。ルクセンブルグらしさ、それは国境のない現在のユーロ感覚の最大公約要素の抱え方にあるのではないか。なお、同国のバンドは英語で歌う担い手が多い。
<昨日と今日の、仕事>
そのロッカルのディレクターのサムさんや、ルクセンブルグの音楽を海外に紹介しようとする政府がお金を出している団体であるミュージックLXの皆さんに話をうかがうほか、7組のミュージシャン/バンドにインタヴュー。▶ホエン・エアリー・ミーツ・フェアリー:アイスランド人女性歌手を擁する3人組(取材は鍵盤ベーシストにする)。ケイト・ブッシュ・ミーツ・エレクトロニカ、てな聞き味。▶ミシェル・ライス:日本盤も出ている、俊英ジャズ・ピアニト。▶ノー・メタル・イン・ザ・バトル:ポスト・ロック・バンド。アフロ・ビート要素あり、トータスやフェラ・クティ愛好をもとに、自らのインストを展開。▶スカーレッド:ルクセンブルグはメタル・バンドが少なくなく、同国のトップ・バンド。シンガーが超カッコ良くてびっくり。▶ポル・ベラルディ:ベースシト、ヴァイブラフォンなど。いくつかのバンドを率い、視野の広い現代ジャズを見事に創出。▶パスカル・シューマッハ:何度も来日経験ありのヴァイブラフォン奏者(2014年3月11日、2015年12月4日)。▶ドリーム・キャッチャー:カントリーやケルトやジプシー要素も入れた同国の異色アコースティックなポップ・ロック・バンド。シンガーにインタヴューしたが、結構な顔役で、自らフリーの音楽フェスを主催したりもしている。
▶過去の、パスカル・シューマッハ
http://43142.diarynote.jp/201403131302543532/
http://43142.diarynote.jp/201512051303541884/
いろんな取材のかたわら、ルクセンブルクの郊外にある(車や電車で30分ほど。昼間15分間隔ぐらいで走っている2階建て列車は、ルクセンブルグ間が2ユーロ。パリの地下鉄が1.8ユーロであるので安目と言えるか)ロッカル/Rockhalという国営の音楽総合施設に行って来た。音楽ヴェニュー好きとしては、チェックしても損はないと思っていたら、これが想像を遥かに超えて規模が大きいもので驚く。広大な製錬工場跡地(その一部はリノヴェイションされ、工場博物館となっている)に持たれたもので、わざわざロッカルを作ったときに鉄道の駅も作ってしまったそうな。コンサートのチケットを持っていると、電車代は無料になるそうだ。
同所にはいくつもの音楽ヴェニュー(一番でかいのは、スタジオコースト以上。それゆえ、そこは頻繁にスケジュールが入っているわけではない)、音楽図書館、レコーディング・スタジオ、練習スタジオ、ダンス用スタジオなどが持たれている。とともに、30人ほどのスタッフがいて、コンサートを持つとともに、有名人らワークショップや細分化されたイヴェントを企画するとともに、アマチュアの面々を懇切丁寧に指導し、練習スタジオを無料で貸し、立派な録音用スタジオも抱えレコーディングのやり方も手ほどきし、さらにはマネージメントとの契約の仕方や公演の打ち方までを手助けしている。とうぜん、ここにあるライヴ会場も貸し、そのあがりは出演者がとっていいことになっているという。いわば、同国の若者に娯楽を提供(それは近隣外国の人間を集めることにも繋がるだろう)するとともに、国際競争力を持つポップ・ミュージックの担い手を育成しようという意図を、大々的にロッカルは持っている。
規模の大きな、国営の“スクール・オブ・ロック”なるもの? ロックやヒップホップをお上から教えてもらっていいのという素朴な疑問はともかく、それはリッチで人口の少ないルクセンブルグだから出来ることであり、そういう小回りの利き具合こそは同国の今の繁栄を導いているとも言えるかもしれない。同国のポップ・ミュージックを介しての中央ヨーロッパにおけるイニチアシヴの行方は、とっても興味をひかれるところではある。
ロッカル地区はホテルやショッピング施設や飲食施設も持ち、今は国内唯一の大学であるルクセングルグ大学もここに引っ越してきてしまった。大学に進む人は日本で他県の大学に進学するように他国の大学に進む人も多いそうだが、それはルクセンブルク人が何カ国語も覚えてしまうからでもある。TVのニュースなどはルクセンブルグ語でなされるそうだがフランス語とドイツ語、そして少し遅れる形で英語は覚えてしまうそう。そこらへんは他の一カ国語でも覚えるのにきゅうきゅうとしてしまう日本人の感覚とはまったく位相を別にするものと言うしかない。そのぶん、日本にはワビサビがある、日本食がある。あ、違うか? ともあれ、そんな多国語が併置される環境はポップ・ミュージックのありかたにも影響しないはずはないだろう。ルクセンブルグらしさ、それは国境のない現在のユーロ感覚の最大公約要素の抱え方にあるのではないか。なお、同国のバンドは英語で歌う担い手が多い。
<昨日と今日の、仕事>
そのロッカルのディレクターのサムさんや、ルクセンブルグの音楽を海外に紹介しようとする政府がお金を出している団体であるミュージックLXの皆さんに話をうかがうほか、7組のミュージシャン/バンドにインタヴュー。▶ホエン・エアリー・ミーツ・フェアリー:アイスランド人女性歌手を擁する3人組(取材は鍵盤ベーシストにする)。ケイト・ブッシュ・ミーツ・エレクトロニカ、てな聞き味。▶ミシェル・ライス:日本盤も出ている、俊英ジャズ・ピアニト。▶ノー・メタル・イン・ザ・バトル:ポスト・ロック・バンド。アフロ・ビート要素あり、トータスやフェラ・クティ愛好をもとに、自らのインストを展開。▶スカーレッド:ルクセンブルグはメタル・バンドが少なくなく、同国のトップ・バンド。シンガーが超カッコ良くてびっくり。▶ポル・ベラルディ:ベースシト、ヴァイブラフォンなど。いくつかのバンドを率い、視野の広い現代ジャズを見事に創出。▶パスカル・シューマッハ:何度も来日経験ありのヴァイブラフォン奏者(2014年3月11日、2015年12月4日)。▶ドリーム・キャッチャー:カントリーやケルトやジプシー要素も入れた同国の異色アコースティックなポップ・ロック・バンド。シンガーにインタヴューしたが、結構な顔役で、自らフリーの音楽フェスを主催したりもしている。
▶過去の、パスカル・シューマッハ
http://43142.diarynote.jp/201403131302543532/
http://43142.diarynote.jp/201512051303541884/