牧山純子

2010年2月17日 音楽
 寒い。家から出るとき、なんか雪が降りそうで、傘を携帯する(翌日、午前中にクルマに乗ろうとしたら、フロント・ガラスに雪がそれなりに積もっていたア)。かつては、雪が降るとうれしくてうれしくてしょうがなかった。本当に犬のように外に出かけたくなったし、スタッドレス・タイヤ履きっぱなしのオフ・ロードの車に乗っていた(一時はスキーにハマっていたりもしました)ためもあり、ごんごん周辺ドライヴもしたなあ。が、今は車の車高も低くなったし、ぜんぜんうれしくない。迷惑千万、とも思っちゃう。わー、凄い変化。これも、歳をとった証拠かしら。シクシク。

 ジャズ・ヴァイオリン奏者(2008年12月15日、他)の新作をフォロウするツアーの最終日、六本木・スイートベイジル139。で、そんな天候ながら、フル・ハウス。ちゃんと顧客を獲得しているな。ここは大昔、東風(トンプー)という小洒落た中華系レストラン(YMOの同名曲は、ここから来たハズ)があった場所だナなぞと、寒い寒いと心の中でこぼしつつ駅から会場に向かうとき、ふと思い出す。かつて、雪が降った日に行ったことがあったからか。六本木周辺は中華の店が多いという印象をぼくは持つが、昔たまに使っていたのは、鳥居坂ガーデン(けっこう、飯倉片町交差点より。それもだいぶ前になくなったな)にあった温室のような建物を用いたやはりお洒落な中華屋。なつかしいなあ。あの頃は、今ほどは飲んでなかったよなー。

 なんて、昔のことを書きたくなったのは、牧山の演奏がそういうビターではない記憶を蘇らせるような、そしてその反すうを許すような、ふくよかなスウィートネスや誘いを持っていたからではないのか。クリヤマコト(ピアノ)、納浩一(縦ベース)、大槻英宣(ドラム)のサポートを受け手のもので、その設定のなかで、ヴァイオリンという楽器が抱える持ち味/世界観をうまく出していたとも書けるだろう。編成は純ジャズそのものだが、選曲や色づけはちょっとした工夫に富んだもので、それもうまく働いていたのか。演奏していたのは、自作曲やいろんな属性を持つ他人曲。スヌーピー(漫画「ピーナッツ」)・ソングの「ライナス・アンド・ルーシー」(作曲は、西海岸派ピアニストのヴィンス・グアラルディ。デイヴィッド・ベノアのヴァージョンが知られるか)がとってもいい曲なのを深く再認識。アンコールはゴスペル調で、第九の有名旋律を紐解く。意外に、合うんだなー。