まず、渋谷・クラブクアトロでマデリン・ペルーを見る。ユニヴァーサル
・ミュージックがわざわざ打った公演、この大人のヴォーカル表現は売れる
と大いに踏んでいるんだろうな。ぜんぜんステージ上の姿が見えなかった昨
年の来日公演(2005年5月10日)と異なりばっちり見える。バッキングは
キーボード、縦ベース、ドラム。キーボード奏者はピアノも弾くが、オルガ
ンを弾いたときのほうがより印象的。と思ったら、MCで紹介れた名前は、
ジョシュア・レッドマン(2003年1月16日)やビル・フリゼール(2006年5
月14日)でブルーノート公演に同行しているサム・ヤエルだ。ノラ・ジョ
ーンズもお気に入りのヤエルはペルーのアルバムに参加しているが、リズム
隊の人たちもそうなのだろうか。

 その3人による、腹6分目のように非常に抑制されたバッキング音になぜ
か感心。だって、それがちょい醒めた彼女の歌(ギターを持って歌う場合が
多い)に合う。へえ、こんな妙味を持つ人であったのか。その感じにルック
ス(大昔から見ると、痩せたという印象を得る)やちょい斜に構えたような
キャラも合っていて、こりゃなかなかのタレントではないかと思った次第。
不思議に今っぽい、誘いがあった。昔から知っているが、初めてペルーを心
底いいと思ったナ。終盤はスタンダードっぽい歌を歌って、彼女がジャズ畑
出身であることを認識させる。

 そして、深夜に南青山・マンダラへ。この8月11日にもやっている、恒例
<ナッシン・バット・ザ・ミッドナイト・スペシャル>。この晩は、沼澤、
スザーノ、モウラに加え、エマーソン北村(2003年3月11日、他)と大
儀見元(2006年2月16日、7月10日、他)が加わる。ようは、打楽器系奏
者3人と鍵盤系奏者が2人という内訳のセッション。沼澤とスザーノ以外に
打楽器奏者が入ることは珍しいような……。

 当初、キーボード奏者二人によるニュー・エイジ風の調べから、打楽器奏
者が入っていき、演奏は加速度を増し、いろいろと局面を鮮やかに変えてい
く。2時間ほどの、ノンストップ・セッション演奏。音に絡む映像は迫田遙
(2006年5月30日、他)。ステージ背景に映る絵と天井部に映る絵は同じ
ものながら映り方が違うなと思ったら、3つのプロジェクターを使っている
とか。なるほど。