スクリーモという呼称で語られる、今様激情ラウド系カナダ5人組。巧みな
強弱の付け方や視野の広さを持つ方向にある人達で、そんなにそっち方面に入
れ込んでいないぼくにもひっかかりのあるかも、なんて思いながら原宿・アス
トロホール。ここのビールは300 円。でかいカップでダブル売りとかしてくれ
るといいんだが。混んでて、買いに行きづらいのが常だから。

 ヴォーカル、ギター2、ベース、ドラムという布陣。面白いのは肉声担当者
は絶叫(と盛り上げ役)専門で、ちゃんとした歌はギタリストが歌うこと。で
、きっちりとかみ合った生のパスフォーマンスに接すると、レコード以上にい
ろんな襞を持っているバンドという感じも。ジェシー・ハリス(2002年12月21
日)のようなおとなしい好青年の顔をしたドラマーもなんかいい感じで好感度
アップ。延々と続くツアーの最中らしいが、フレッシュに楽しそうにやってい
て、忙しいぃ〜とちと暗くなっているぼくもやんわり和む。

 45分間見て、ROVO(2000年7月29日、2000年9月14日、2001年2月3日
、2004年5月28日、6月2日、6月3日、他)がやっている渋谷・アックスに
。アストロとアックス、車だと(拾いやすいんだな、またこれが)5分で移動
できるのでありがたい。入ったときがまだ2曲目だったようでなにより。キー
ボードの二分の一担当者の中西宏司が脱退で、7人でやるのはこの晩が最後な
のだという。多少、そういう感慨のもと演奏は進められたのか。今後はとりあ
えず6人編成でやっていくようだが、電気ヴァイオリンとキーボードは音色が
重なりろすいので、メロディ楽器音を整理し直すのは新たなステップに繋がる
と思う。

 へえっと新鮮だったのは、ときにマイルス・デイヴィスの電気表現的なもの
を感じた瞬間があったこと。まあ、彼らのインスピレーションの一つにあるも
のでもあるだろうが、過去はあまりそれを感じたことなかったんだが。そうい
えば、勝井祐二(2002年9月7日、2003年3月6日、2004年1月16日、2004年
5月31日、他)のヴァイオンリがアイリッシュ・フィドルを、益子樹(2003年
1月19日)のキーボードがフェラ・クティのオルガンを想起させる断片も。と
もあれ、大人の豊かで冒険心に富んだ感性や力量で、今の若造どもをも納得さ
せるテンションやひっかかりを持つインストゥメンタル表現を作り上げるとい
うその行き方はますます説得力を持ちえているのと思う。