オマール・ソーサ
2004年8月2日 午後一に東京に戻ってきて、健康第一と思って昼寝したら、仕事をする時間
がなくなってお出かけの時間。南青山・ブルーノート東京。セカンド。2時間
ぐらいやったんではないか。新作『ムラートス』が良いフュージョンの典型の
ような仕上がりだったが、それに倣い今回の実演はちとまったりしてんなと思
わせる部分も。とはいえ、そこはソーサ、いろんな差し込みと妄想が入ってい
るわけであり、それと隣り合わせの快楽もあるわけだが。今回はウード奏者が
入っているのがポイントと言えるかもしれないが、その奏者は歌パートでは少
し目立つもののその演奏はあまり聞こえず。ヴォーカリストやラッパーを立て
て、芸術は爆発だァ的に迫る前回のとき(2001年8月24日、2002年7月22日)
のほうがぼくの好みではあったか。でも、やっぱ来るたびに何かを与える人で
はありますね。会場にはフジ・ロックにも出演したビル・ラズウェルもいた。
がなくなってお出かけの時間。南青山・ブルーノート東京。セカンド。2時間
ぐらいやったんではないか。新作『ムラートス』が良いフュージョンの典型の
ような仕上がりだったが、それに倣い今回の実演はちとまったりしてんなと思
わせる部分も。とはいえ、そこはソーサ、いろんな差し込みと妄想が入ってい
るわけであり、それと隣り合わせの快楽もあるわけだが。今回はウード奏者が
入っているのがポイントと言えるかもしれないが、その奏者は歌パートでは少
し目立つもののその演奏はあまり聞こえず。ヴォーカリストやラッパーを立て
て、芸術は爆発だァ的に迫る前回のとき(2001年8月24日、2002年7月22日)
のほうがぼくの好みではあったか。でも、やっぱ来るたびに何かを与える人で
はありますね。会場にはフジ・ロックにも出演したビル・ラズウェルもいた。
フジ・ロック・フェスティヴァル ’04/30日~8月1日
2004年7月29日 3日間券しか発売せず非難轟々(3日間券しか売り出さないのなら、2日ぶ
んの値段でそれを販売するのが、人の道だとは思うが。採算が合わないのなら
、そうも言ってはいられないが)、入りが悪いと伝えられていたが、けっこう
なもんじゃん。これ以上、混むとぼくはヤだな。
初日、昼下がりグリーンにいたら、トンボが沢山飛んでいて和む。毎年そう
のかな? ぼく、例年あまり昼間のグリーンの出し物を見ないのでよく分から
ない。今年は、ラティーナ(5000字も書いてしまった)、ブルース&ソウル・
レコーズ、スイングジャーナルと、非ロック系の音楽雑誌に、それぞれの分野
の出演アーティストのことを中心に書くことになっている。その事実を見ても
、本当にそれだけ同フェスの出演者の幅が広がっているということなんだろー
な。
それなりの日差しがあった(でも、晴天とはいえなかったよな)3日目の天
候がいいと皆さん仰っていたが、ぼくは曇天でたまーに細かい雨が散るときも
あった1日目が一番好み。砂埃が飛ばないのは本当に良い。フジ・ロックのそ
れ、相当酷いから。とにかく、直射日光がイヤ。汗かくし、体力は奪われるし
。ぼく、日光を浴びるんだったら、別の場所、シチュエーションで受けたい。
なんて、考えるのはワガママに年を取った証拠か。
年々PA音も良くなるし、多くのアクトはそれぞれ、美味しく楽しめた。い
ろんな部分で、来て良かったあと思える。それから、フード・コート(オアシ
ス)のところにある、飛び入り的にアーティストが出る苗場食堂はなかなか。
日本人のファンク・バンドがとっても楽しかったりとか、さっと通りすぎ様に
触れるといいなってバンドが複数やっていたと思う。実は、ぼくの今年のベス
トはそこに出た、コロムビア出身者がアメリカで組んでいるバジェナード(ク
ンビア)5人組のヴェリー・ビー・ケアフル。いやあ、偶然そのパフォーマン
スに触れ浮かれた。オトは違うが、嬉しさは去年のエル・グラン・シエンシオ
なみ。彼らは場外のザ・パレス・オブ・ワンダーのテントにも出たようだが。
ちょっと別口といった感じでノンビリやっている感じもあるアバロン・フィー
ルドのステージも、サンパウロとか“選抜渋さ”(最終日、グリーン最後の“大
型渋さ”はすごい盛り上がり。昨年の見事な汚名返上?)とか出てたときは凄
い人だかり。本当に、いろんな選択肢があって、嬉しい。そして、今後も変な
人いっぱい出してほしい。
んの値段でそれを販売するのが、人の道だとは思うが。採算が合わないのなら
、そうも言ってはいられないが)、入りが悪いと伝えられていたが、けっこう
なもんじゃん。これ以上、混むとぼくはヤだな。
初日、昼下がりグリーンにいたら、トンボが沢山飛んでいて和む。毎年そう
のかな? ぼく、例年あまり昼間のグリーンの出し物を見ないのでよく分から
ない。今年は、ラティーナ(5000字も書いてしまった)、ブルース&ソウル・
レコーズ、スイングジャーナルと、非ロック系の音楽雑誌に、それぞれの分野
の出演アーティストのことを中心に書くことになっている。その事実を見ても
、本当にそれだけ同フェスの出演者の幅が広がっているということなんだろー
な。
それなりの日差しがあった(でも、晴天とはいえなかったよな)3日目の天
候がいいと皆さん仰っていたが、ぼくは曇天でたまーに細かい雨が散るときも
あった1日目が一番好み。砂埃が飛ばないのは本当に良い。フジ・ロックのそ
れ、相当酷いから。とにかく、直射日光がイヤ。汗かくし、体力は奪われるし
。ぼく、日光を浴びるんだったら、別の場所、シチュエーションで受けたい。
なんて、考えるのはワガママに年を取った証拠か。
年々PA音も良くなるし、多くのアクトはそれぞれ、美味しく楽しめた。い
ろんな部分で、来て良かったあと思える。それから、フード・コート(オアシ
ス)のところにある、飛び入り的にアーティストが出る苗場食堂はなかなか。
日本人のファンク・バンドがとっても楽しかったりとか、さっと通りすぎ様に
触れるといいなってバンドが複数やっていたと思う。実は、ぼくの今年のベス
トはそこに出た、コロムビア出身者がアメリカで組んでいるバジェナード(ク
ンビア)5人組のヴェリー・ビー・ケアフル。いやあ、偶然そのパフォーマン
スに触れ浮かれた。オトは違うが、嬉しさは去年のエル・グラン・シエンシオ
なみ。彼らは場外のザ・パレス・オブ・ワンダーのテントにも出たようだが。
ちょっと別口といった感じでノンビリやっている感じもあるアバロン・フィー
ルドのステージも、サンパウロとか“選抜渋さ”(最終日、グリーン最後の“大
型渋さ”はすごい盛り上がり。昨年の見事な汚名返上?)とか出てたときは凄
い人だかり。本当に、いろんな選択肢があって、嬉しい。そして、今後も変な
人いっぱい出してほしい。
7月25日(月)
BLUSE & JAZZ EXPLOSION in Hibiya
高円寺にある次郎吉の開店30周年を祝うイヴェント。山下洋輔や近藤等則か
ら金子マリまで、縁のある人達が本当にいろいろ出演(ディジュリデゥを吹く
店主も)。まあ、それだけ歴史と内実を持っているということなんだろうな。
会場となった日比谷野外音楽堂は満員。この日のと同じイヴェンターが毎年
5月に組んでいる「ジャパン・ブルーズ・カーニヴァル」(2000年5月28日、
2003年5月25日)より入りがいい。わ。へえ。ただ、内容のほうは全面的には
ニッコリできず。ミュージャンの組み合わせ、楽曲/音楽傾向選択など、?印
を感じたりも。出演者たち、とくに楽屋が一番めでたく、楽しいというイヴェ
ントですね、これ。途中まで見て、敬愛する大先輩の誕生会に駆けつける。お
めでとうございます。
7月27日(火)
コジカナツル。藤井郷子3+1
まず、目黒のブルーズ・アレイ・ジャパンでコジカナツルという、アコース
ティックなジャズ・トリオを見る。ただ、通常のジャズで終わりたくないとい
う意識(それはベースの金澤英明が一番強いよう)や経験(ピアノの小島良喜
:2000年11月16日とドラムの鶴谷智生は普段ポップ・アーティストのバッキン
グもいろいろとこなしていて、それがプラスに働いているところもあるか)か
ら、妙な具体性や立ちを獲得しているところが彼らのポイントと言っていいか。
いい意味での、ちゃらさもある。ライヴの前に取材をしたら、変わらないでい
るジャズ観に対する反発のしぐあいがMMW(2004年1月24日他)のそれと重
なるのでほんの少し驚く。音楽性はあまり重なりませんが。
ファースト・セットを見て、新宿ピットインに移動。着くとちょうど休憩中。
で、これが、あれれというぐらいの満員。藤井自身も「2年分のお客さんが来
ちゃってどうしよう」みたいなお茶目なMCをしていたが。NYの腕利きを迎
えたバンドの顔ぶれは2002年8月5日のときと同じ。こちらはつっぱった、あ
る意味理想主義を貫く(だからこそ、王道から離れる部分も多々出てくる)ジ
ャズ。やっぱり、創意ある本物がきっちりとミュージシャンシップを懸けたジ
ャズは凄いとも感じる。ずっと坊主頭で求道者的な面持ちもあった田村夏樹(
tp) の髪が伸びていて、とっつぁん坊主的風貌になっていた。
7月28日(水)
ザ・ダーティ・ダズン・ブラス・バンド。
前回(2002年7月30日)のときも書いているが、やっぱ白人ギターは余分だ
よなあ。と思いつつ、やっぱダーティ・ダズンはダーティ・ダズンじゃあと思
ってしまうところもあるのだが。相変わらず、客席側は相当な盛り上がり具合
。アンコールで、スティーヴィ・ワンダーの「迷信」のヒップなカヴァーも。
それ、リード・ヴォールを気分出して取ったのはギター氏でした。南青山・ブ
ルーノート東京。セカンド。
BLUSE & JAZZ EXPLOSION in Hibiya
高円寺にある次郎吉の開店30周年を祝うイヴェント。山下洋輔や近藤等則か
ら金子マリまで、縁のある人達が本当にいろいろ出演(ディジュリデゥを吹く
店主も)。まあ、それだけ歴史と内実を持っているということなんだろうな。
会場となった日比谷野外音楽堂は満員。この日のと同じイヴェンターが毎年
5月に組んでいる「ジャパン・ブルーズ・カーニヴァル」(2000年5月28日、
2003年5月25日)より入りがいい。わ。へえ。ただ、内容のほうは全面的には
ニッコリできず。ミュージャンの組み合わせ、楽曲/音楽傾向選択など、?印
を感じたりも。出演者たち、とくに楽屋が一番めでたく、楽しいというイヴェ
ントですね、これ。途中まで見て、敬愛する大先輩の誕生会に駆けつける。お
めでとうございます。
7月27日(火)
コジカナツル。藤井郷子3+1
まず、目黒のブルーズ・アレイ・ジャパンでコジカナツルという、アコース
ティックなジャズ・トリオを見る。ただ、通常のジャズで終わりたくないとい
う意識(それはベースの金澤英明が一番強いよう)や経験(ピアノの小島良喜
:2000年11月16日とドラムの鶴谷智生は普段ポップ・アーティストのバッキン
グもいろいろとこなしていて、それがプラスに働いているところもあるか)か
ら、妙な具体性や立ちを獲得しているところが彼らのポイントと言っていいか。
いい意味での、ちゃらさもある。ライヴの前に取材をしたら、変わらないでい
るジャズ観に対する反発のしぐあいがMMW(2004年1月24日他)のそれと重
なるのでほんの少し驚く。音楽性はあまり重なりませんが。
ファースト・セットを見て、新宿ピットインに移動。着くとちょうど休憩中。
で、これが、あれれというぐらいの満員。藤井自身も「2年分のお客さんが来
ちゃってどうしよう」みたいなお茶目なMCをしていたが。NYの腕利きを迎
えたバンドの顔ぶれは2002年8月5日のときと同じ。こちらはつっぱった、あ
る意味理想主義を貫く(だからこそ、王道から離れる部分も多々出てくる)ジ
ャズ。やっぱり、創意ある本物がきっちりとミュージシャンシップを懸けたジ
ャズは凄いとも感じる。ずっと坊主頭で求道者的な面持ちもあった田村夏樹(
tp) の髪が伸びていて、とっつぁん坊主的風貌になっていた。
7月28日(水)
ザ・ダーティ・ダズン・ブラス・バンド。
前回(2002年7月30日)のときも書いているが、やっぱ白人ギターは余分だ
よなあ。と思いつつ、やっぱダーティ・ダズンはダーティ・ダズンじゃあと思
ってしまうところもあるのだが。相変わらず、客席側は相当な盛り上がり具合
。アンコールで、スティーヴィ・ワンダーの「迷信」のヒップなカヴァーも。
それ、リード・ヴォールを気分出して取ったのはギター氏でした。南青山・ブ
ルーノート東京。セカンド。
矢野顕子/20日。J+B/22日
2004年7月20日7月20日(火)
矢野顕子
アンソニー・ジャクソンとクリフ・アーモンドという米国人リズム・セクシ
ョンを率いてのもの。MCによれば、この顔ぶれでやるようになって9年目に
なるという。南青山・ブルーノート東京、セカンド。
彼女のパフォーマンスに接するのは10年以上ぶり。で、久しぶりに触れ、そ
の歌い方やピアノとの相乗のあり方など、最初のころと変わりないじゃんと思
う。ようは、彼女たる個性はすでにデビュー時には見事なぐらい完成されてい
たのだなと痛感。やっぱ、天賦の才を持っていたのだと思う。ぼくが血気盛ん
な洋楽少年だったころ、気になっていた本当に数少ない日本人アーティスト。
で、ぼくが大好きな彼女のアルバムはやっぱり1枚目の『ジャパニーズ・ガー
ル』。その鮮やかさ、天真爛漫さは残念ながら今はない。だが、腕のたつリズ
ムを介して、成熟した私なりの歌の紐解き方を求めているのは間違いではない
と思う。
7月22日(木)
J+B
乗せてくよん、という話があり、急遽ヨコハマ行き。そのため、横においや
ったあることが後に大きな負担になるとはそのときは思いもよらなかった。な
んて、思わせぶりなこと、書いたりして。暑さのせいです。新しいBMWのミ
ニ・クーパーに同乗。旧ミニと比べると、普通の常用車。比較的安いし、マニ
ュアル・シフト好きのぼくとしては、考慮に値するクルマだが。赤レンガのモ
ーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。海風は気持ち良かった。海辺はいい
なあ。
この晩は、マティーニ(注文するたびに、ドライなのねときっちり念を押す
)をぐびぐび。見てたら、ギターの絡み方などから、デレク&ザ・ドミノズの
ことを思い出す。その、もう少しファンキーでメロウでもある、インスト表現
。あとで、ちょっとその感想を伝えたら、ギタリスト陣はそれを意識している
ところありそう。キーボードの森俊之がメンバーに入って5人組になっていた
。
矢野顕子
アンソニー・ジャクソンとクリフ・アーモンドという米国人リズム・セクシ
ョンを率いてのもの。MCによれば、この顔ぶれでやるようになって9年目に
なるという。南青山・ブルーノート東京、セカンド。
彼女のパフォーマンスに接するのは10年以上ぶり。で、久しぶりに触れ、そ
の歌い方やピアノとの相乗のあり方など、最初のころと変わりないじゃんと思
う。ようは、彼女たる個性はすでにデビュー時には見事なぐらい完成されてい
たのだなと痛感。やっぱ、天賦の才を持っていたのだと思う。ぼくが血気盛ん
な洋楽少年だったころ、気になっていた本当に数少ない日本人アーティスト。
で、ぼくが大好きな彼女のアルバムはやっぱり1枚目の『ジャパニーズ・ガー
ル』。その鮮やかさ、天真爛漫さは残念ながら今はない。だが、腕のたつリズ
ムを介して、成熟した私なりの歌の紐解き方を求めているのは間違いではない
と思う。
7月22日(木)
J+B
乗せてくよん、という話があり、急遽ヨコハマ行き。そのため、横においや
ったあることが後に大きな負担になるとはそのときは思いもよらなかった。な
んて、思わせぶりなこと、書いたりして。暑さのせいです。新しいBMWのミ
ニ・クーパーに同乗。旧ミニと比べると、普通の常用車。比較的安いし、マニ
ュアル・シフト好きのぼくとしては、考慮に値するクルマだが。赤レンガのモ
ーション・ブルー・ヨコハマ。セカンド。海風は気持ち良かった。海辺はいい
なあ。
この晩は、マティーニ(注文するたびに、ドライなのねときっちり念を押す
)をぐびぐび。見てたら、ギターの絡み方などから、デレク&ザ・ドミノズの
ことを思い出す。その、もう少しファンキーでメロウでもある、インスト表現
。あとで、ちょっとその感想を伝えたら、ギタリスト陣はそれを意識している
ところありそう。キーボードの森俊之がメンバーに入って5人組になっていた
。
ケヴィン・リトル
2004年7月16日 米国アトンティックと契約したことで、カリブ海にある非常に小さな国、セ
ントヴィンセントから世界に飛び出したシンガー。その音楽性はかなりラガに
寄っているが、本人はレゲエ・シンガーと呼ばれるのをいやがり、ソカ(ソウ
ル・カリプソ)のシンガーだと自認しているのだという。
サウンド担当者とDJ(ヒップホップ表記なら、DJとMC)、そして数人
の女性ダンサーを従えてのもの。明快さが人気を得た要因か。客側が歌う曲も
あった。やっぱ、ソカ調の曲のほうがいい感じに聞こえるかな。伸びやかな歌
声は意外にもサウンドに埋もれがち、だがそれはPAの責任でもあるか。次の
約束ありで、最後まで見れませんでしたが。渋谷・デュオ・ミュージック・エ
クスチェンジ。かなり混んでて、会場気温が高かったア。
ントヴィンセントから世界に飛び出したシンガー。その音楽性はかなりラガに
寄っているが、本人はレゲエ・シンガーと呼ばれるのをいやがり、ソカ(ソウ
ル・カリプソ)のシンガーだと自認しているのだという。
サウンド担当者とDJ(ヒップホップ表記なら、DJとMC)、そして数人
の女性ダンサーを従えてのもの。明快さが人気を得た要因か。客側が歌う曲も
あった。やっぱ、ソカ調の曲のほうがいい感じに聞こえるかな。伸びやかな歌
声は意外にもサウンドに埋もれがち、だがそれはPAの責任でもあるか。次の
約束ありで、最後まで見れませんでしたが。渋谷・デュオ・ミュージック・エ
クスチェンジ。かなり混んでて、会場気温が高かったア。
ブルース・エクスプロージョン(14日)。ジョイス(15日)
2004年7月15日7月14日(水)
ブルース・エクスプロージョン
バンド名の冒頭に付けられていたジョン・スペンサーが取れて、ただのブル
ース・エクスプロージョンになるのだとか。でも、今回のより三者が緊密に関
与しあっているぞというパフォーマンスに触れるとそれも納得ですね。
ぼくにとっては重要バンドの一つだが、この<ライヴ三昧>を書くようにな
ってから彼らをちゃんと見るのは、今回がたぶん初めてとなるのか。へーえ(
自分でもとっても意外)。新作プロモ来日に合わせてのひょっこりライヴで、
場所は原宿・アストロホール。当然、すぐに売り切れとかで相当混み合うこと
を覚悟していったら、過剰にはチケットを売らなかったようで意外に隙間があ
り、ニッコリ聞ける。ビンボー臭いっていうのとも違うんだが、彼らは狭い閉
塞した場というか、緊密な距離関係を持てる場というのがやっぱりハマるな。
もともと広い会場でも、ステージ上ですごい近寄ってパフォームする連中でも
あるし。
『ダメイジ』という9月に出る新作は多様に迫る、かなりの傑作。同作を聞
いて思ったのは、向こう見ずな感じに一部いい意味での成熟が重なり、ひいて
はそれが堂々〜本道感を導き、曲によってはジミ・ヘンドリックス・エクスペ
リエンスやストーンズ、T・レックスとかのちゃんとエッジの効いた現代版だ
ァといった感想を持たせるに至っていること。チンピラはどんどん豊かに、逞
しくなっている。それと、ブルーズと硬派ソウルのエッセンスをきっちりと引
き継ごうとする意思も、より出るようになったんじゃないか。
7月15日(木)
ジョイス
ボディの中が空洞になったモダンな感じのギター(すまん、説明でけん)を
爪弾きながら、悠々、凛と風情で、清々しくパフォーマンスを進めていく。キ
ーボードレスのバンド(ベースはアップライト中心)も秀逸。それが適切なこ
ともあって、エレクトリックな音などは採用していないのに、彼女の表現が非
常にコンテンポラリーなものに聞こえるのにはかなり感心。クラリネット/ア
ルト、フルート/アルト/縦笛の二人の管楽器奏者は流麗に絡み、それはショ
ーロを思い出させる。ちゃんと今を泳いでいながら、一方では伝統との繋がり
も感じさせる……素敵だなあ。
途中で、「二人の若いシンガーを紹介します。偶然、私の娘です」とMC。
彼女の来日公演はいつもそれなりの大御所や才人を伴ってのものなのだが、今
回は娘であるクララ・モレーノとアナ・マルティンスが同行。まず、マルティ
ンスが出てきて2、3曲をお母さんたちと一緒にやって、そこにモレーノが加
わり1曲やったあとに(3人が和気あいあいと歌う風情はマル)、ジョイスと
マルティンスが下がり、モレーノのパフォーマンス。両腕に刺青をしている彼
女は、テルミンみたいな音を出す手をかざして音を変えるシンセ関連機器を扱
いつつクールに歌う。まあ、ジョイスから見れば二人ともマンガみたいなもの
だが、接してイヤになるものではない。しかし、二人の娘は外見が似ていない
。情報にうといのだが、こりゃ父親が違うのだナと判断しましたが。
そして、またジョイス単独のパフォーマンスに戻る。先に紹介したMCは日
本語によるもの。実は、日本語を勉強しているとかで、MCの多くを彼女は日
本語でやった。去年の来日時にインタヴューしたときはそんな素振りを見せな
かったから、それはこの1年以内のことなのだろうか。
かなり楽しめ、かなり満ち足りた気持ちになれたショウ。南青山・ブルーノ
ート東京、セカンド。ここ10年、彼女は毎年初夏にブルーノートにやってきて
いるが、それも大いに納得でした(実はこのブラジルの名シンガー・ソングラ
イターを見るのは、本当に久しぶり。日程が会わなくて、取材をした去年も見
れなかったし……)。
ブルース・エクスプロージョン
バンド名の冒頭に付けられていたジョン・スペンサーが取れて、ただのブル
ース・エクスプロージョンになるのだとか。でも、今回のより三者が緊密に関
与しあっているぞというパフォーマンスに触れるとそれも納得ですね。
ぼくにとっては重要バンドの一つだが、この<ライヴ三昧>を書くようにな
ってから彼らをちゃんと見るのは、今回がたぶん初めてとなるのか。へーえ(
自分でもとっても意外)。新作プロモ来日に合わせてのひょっこりライヴで、
場所は原宿・アストロホール。当然、すぐに売り切れとかで相当混み合うこと
を覚悟していったら、過剰にはチケットを売らなかったようで意外に隙間があ
り、ニッコリ聞ける。ビンボー臭いっていうのとも違うんだが、彼らは狭い閉
塞した場というか、緊密な距離関係を持てる場というのがやっぱりハマるな。
もともと広い会場でも、ステージ上ですごい近寄ってパフォームする連中でも
あるし。
『ダメイジ』という9月に出る新作は多様に迫る、かなりの傑作。同作を聞
いて思ったのは、向こう見ずな感じに一部いい意味での成熟が重なり、ひいて
はそれが堂々〜本道感を導き、曲によってはジミ・ヘンドリックス・エクスペ
リエンスやストーンズ、T・レックスとかのちゃんとエッジの効いた現代版だ
ァといった感想を持たせるに至っていること。チンピラはどんどん豊かに、逞
しくなっている。それと、ブルーズと硬派ソウルのエッセンスをきっちりと引
き継ごうとする意思も、より出るようになったんじゃないか。
7月15日(木)
ジョイス
ボディの中が空洞になったモダンな感じのギター(すまん、説明でけん)を
爪弾きながら、悠々、凛と風情で、清々しくパフォーマンスを進めていく。キ
ーボードレスのバンド(ベースはアップライト中心)も秀逸。それが適切なこ
ともあって、エレクトリックな音などは採用していないのに、彼女の表現が非
常にコンテンポラリーなものに聞こえるのにはかなり感心。クラリネット/ア
ルト、フルート/アルト/縦笛の二人の管楽器奏者は流麗に絡み、それはショ
ーロを思い出させる。ちゃんと今を泳いでいながら、一方では伝統との繋がり
も感じさせる……素敵だなあ。
途中で、「二人の若いシンガーを紹介します。偶然、私の娘です」とMC。
彼女の来日公演はいつもそれなりの大御所や才人を伴ってのものなのだが、今
回は娘であるクララ・モレーノとアナ・マルティンスが同行。まず、マルティ
ンスが出てきて2、3曲をお母さんたちと一緒にやって、そこにモレーノが加
わり1曲やったあとに(3人が和気あいあいと歌う風情はマル)、ジョイスと
マルティンスが下がり、モレーノのパフォーマンス。両腕に刺青をしている彼
女は、テルミンみたいな音を出す手をかざして音を変えるシンセ関連機器を扱
いつつクールに歌う。まあ、ジョイスから見れば二人ともマンガみたいなもの
だが、接してイヤになるものではない。しかし、二人の娘は外見が似ていない
。情報にうといのだが、こりゃ父親が違うのだナと判断しましたが。
そして、またジョイス単独のパフォーマンスに戻る。先に紹介したMCは日
本語によるもの。実は、日本語を勉強しているとかで、MCの多くを彼女は日
本語でやった。去年の来日時にインタヴューしたときはそんな素振りを見せな
かったから、それはこの1年以内のことなのだろうか。
かなり楽しめ、かなり満ち足りた気持ちになれたショウ。南青山・ブルーノ
ート東京、セカンド。ここ10年、彼女は毎年初夏にブルーノートにやってきて
いるが、それも大いに納得でした(実はこのブラジルの名シンガー・ソングラ
イターを見るのは、本当に久しぶり。日程が会わなくて、取材をした去年も見
れなかったし……)。
レイチェル・マヤガタ
2004年7月7日 プライヴェイト・ミュージック/RCAからデビューした、日本人の血を引
く新進の米国人女性シンガー・ソングライター。この前にリリースされたスタ
ー満載のトゥーツ&ザ・メイタルズの『トゥルー・ラヴ』にもなぜかフィーチ
ャーされていた人でもある。
小一時間のコンヴェンション・ライヴ。渋谷・デュオ。良く見えなかったん
だけど、なるほどまっとうなパフォーマー。ちゃんとした曲をちゃんと披露で
きる人。声もドスが効いているというか、存在感のある枯れ声を持つ。興味深
いのは、ピアノ(本人)、ヴァイオリン、チェロ、ギター、ドラムという編成
。で、ヴァイオリンとチェロの存在がよく効いていて、静謐に曲趣を盛り上げ
、へえと思わせられた。見識あり。ただ、最後の曲の弦音はプリセット音で、
もしかすると他の曲も?と思わせるものがあり、その幕切れは非常にシラけさ
せるものではあったな。
マイクの前に立ち手ぶらで歌った曲もあるが(ギターを手にした曲も1曲)
、それだと中庸度が物凄くアップ。絶対に、ピアノを弾きながら歌うべき人で
すね。写真と比べると、ルックスは良くない。二の腕太い。ファッションのセ
ンスも??? でも、いいタレント。見てくれやイメージに頼らないポップ・
パフォーマーがいてもいいじゃん、なんてこともしっかり思いました。
く新進の米国人女性シンガー・ソングライター。この前にリリースされたスタ
ー満載のトゥーツ&ザ・メイタルズの『トゥルー・ラヴ』にもなぜかフィーチ
ャーされていた人でもある。
小一時間のコンヴェンション・ライヴ。渋谷・デュオ。良く見えなかったん
だけど、なるほどまっとうなパフォーマー。ちゃんとした曲をちゃんと披露で
きる人。声もドスが効いているというか、存在感のある枯れ声を持つ。興味深
いのは、ピアノ(本人)、ヴァイオリン、チェロ、ギター、ドラムという編成
。で、ヴァイオリンとチェロの存在がよく効いていて、静謐に曲趣を盛り上げ
、へえと思わせられた。見識あり。ただ、最後の曲の弦音はプリセット音で、
もしかすると他の曲も?と思わせるものがあり、その幕切れは非常にシラけさ
せるものではあったな。
マイクの前に立ち手ぶらで歌った曲もあるが(ギターを手にした曲も1曲)
、それだと中庸度が物凄くアップ。絶対に、ピアノを弾きながら歌うべき人で
すね。写真と比べると、ルックスは良くない。二の腕太い。ファッションのセ
ンスも??? でも、いいタレント。見てくれやイメージに頼らないポップ・
パフォーマーがいてもいいじゃん、なんてこともしっかり思いました。
映画『ソウル・オブ・マン』。UA
2004年7月6日 UAの公演は昔に一度見たことがある。デビューしてそんなにたっていない
ころ、場所は渋谷のオンエア・ウェストだったっけ。この日は、クラシック用
会場の錦糸町・墨田トリフォニーホール。本人もここでできたのを喜んでたみ
たいね。
解放感のあるステージ上にメンバーたちとともにあっさりと出てきて、アカ
ペラから始まりすうっと伴奏陣が音を入れる。ギター、キーボード/バスクラ
、リード、トランペット、生ベース、ドラムスという布陣。三管楽器が付くの
が肝か。ジャズ的な流動性/発展性、各種エスノ音楽応用の脱西欧規格ノリを
介したサウンドのもと、声をそれに対峙させるというよりは巧みに踊らせる。
いろんな歌い方、声を聞かせたりも。歌唱じたいはとっても上手い人とは思わ
ないが、様々な面白い音楽語彙や担い手を引きつけ、自分が核になって統合さ
せちゃう。それはOK、すごいとぼくは思う。
それにしてもサックスをいろいろと吹き分ける菊地成孔はやっぱり素晴らし
い吹き手。なんか、サウンドに広がる感じや風穴をいろいろと開けていた。そ
のバンド音は塊感があまりなく、とりとめなく拡散していく感じがあったが、
それは意図的なものなのか。それとも、会場の音響特性も影響しているのか。
なんにせよ、アコースティック・ベースはもう少しいい音で鳴らしてほしかっ
た。
いろいろと“目”と“臍”のあるパフォーマンス。前半はAJICO(2001
年3月19日)曲を含む過去作からのピックアップ曲をやり、後半は新作『SU
N』からの曲をやる。多少の落差はあるが、この編成ヴァージョンのものにな
ってい、違和感はほぼない。しかし、やっぱり新作の曲は難しいというか、と
りとめもない曲調ね。パっと聞いただけじゃ、覚えられない。彼女は胸を張っ
て、思うまま闊歩しようとしているナと改めて思った。しかし、MCをしない
のは本当にいいなあ。
錦糸町に来る前に、渋谷の東芝エンターテイメント試写室で、ヴィム・ヴェ
ンダーズの『ソウル・オブ・マン』を見る。昨年、米国のお上が“イアー・オ
ブ・ザ・ブルース”と決めたことで、マーティン・スコッセッシが号令かけて
、いろんな監督に撮らせたなかの一本。おれ、スコセッシもヴェンダースもと
もに思い入れのない人なんで、別になんの期待もしなかったけど、これはなか
なかでした。相当に、良かったな。詳しくは書かないが(雑誌用に原稿を書か
なければならないのだが、気分だけを煽るような感じで、ちゃんとデーターを
紹介しない配付資料にはムカっ)、映像の作り手として胸を張ったブルーズに
対する思い入れのまっとうな発露がそこにはあった。とくに偉い、と思わせら
れたのは、単音垂れ流しギター・ソロのためのブルーズ・フォーマットではな
く、ちゃんと情感としてのブルーズに着目していたこと。それから、この映画
の柱に据えられたブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムズ
、J.B.ルノアーという三故人のカヴァーをやるロック有名人(ジョンスペ、ベ
ック、ルー・リード他。他に、カサンドラ・ウィルソン等も)たちの演奏の聞
き応えのあること。情感としてのブルーズ・バンドを組みたくなった。ああ。
ころ、場所は渋谷のオンエア・ウェストだったっけ。この日は、クラシック用
会場の錦糸町・墨田トリフォニーホール。本人もここでできたのを喜んでたみ
たいね。
解放感のあるステージ上にメンバーたちとともにあっさりと出てきて、アカ
ペラから始まりすうっと伴奏陣が音を入れる。ギター、キーボード/バスクラ
、リード、トランペット、生ベース、ドラムスという布陣。三管楽器が付くの
が肝か。ジャズ的な流動性/発展性、各種エスノ音楽応用の脱西欧規格ノリを
介したサウンドのもと、声をそれに対峙させるというよりは巧みに踊らせる。
いろんな歌い方、声を聞かせたりも。歌唱じたいはとっても上手い人とは思わ
ないが、様々な面白い音楽語彙や担い手を引きつけ、自分が核になって統合さ
せちゃう。それはOK、すごいとぼくは思う。
それにしてもサックスをいろいろと吹き分ける菊地成孔はやっぱり素晴らし
い吹き手。なんか、サウンドに広がる感じや風穴をいろいろと開けていた。そ
のバンド音は塊感があまりなく、とりとめなく拡散していく感じがあったが、
それは意図的なものなのか。それとも、会場の音響特性も影響しているのか。
なんにせよ、アコースティック・ベースはもう少しいい音で鳴らしてほしかっ
た。
いろいろと“目”と“臍”のあるパフォーマンス。前半はAJICO(2001
年3月19日)曲を含む過去作からのピックアップ曲をやり、後半は新作『SU
N』からの曲をやる。多少の落差はあるが、この編成ヴァージョンのものにな
ってい、違和感はほぼない。しかし、やっぱり新作の曲は難しいというか、と
りとめもない曲調ね。パっと聞いただけじゃ、覚えられない。彼女は胸を張っ
て、思うまま闊歩しようとしているナと改めて思った。しかし、MCをしない
のは本当にいいなあ。
錦糸町に来る前に、渋谷の東芝エンターテイメント試写室で、ヴィム・ヴェ
ンダーズの『ソウル・オブ・マン』を見る。昨年、米国のお上が“イアー・オ
ブ・ザ・ブルース”と決めたことで、マーティン・スコッセッシが号令かけて
、いろんな監督に撮らせたなかの一本。おれ、スコセッシもヴェンダースもと
もに思い入れのない人なんで、別になんの期待もしなかったけど、これはなか
なかでした。相当に、良かったな。詳しくは書かないが(雑誌用に原稿を書か
なければならないのだが、気分だけを煽るような感じで、ちゃんとデーターを
紹介しない配付資料にはムカっ)、映像の作り手として胸を張ったブルーズに
対する思い入れのまっとうな発露がそこにはあった。とくに偉い、と思わせら
れたのは、単音垂れ流しギター・ソロのためのブルーズ・フォーマットではな
く、ちゃんと情感としてのブルーズに着目していたこと。それから、この映画
の柱に据えられたブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムズ
、J.B.ルノアーという三故人のカヴァーをやるロック有名人(ジョンスペ、ベ
ック、ルー・リード他。他に、カサンドラ・ウィルソン等も)たちの演奏の聞
き応えのあること。情感としてのブルーズ・バンドを組みたくなった。ああ。
アンジェラ・ジョンソン
2004年7月1日 赤レンガのモーション・ブルー・ヨコハマ(セカンド)。米国の女性R&
Bシンガー。ただ歌うだけの人だと思ったら、キーボードを弾きながらぐい
ぐいとバンドとコーラス二人を引っ張っていく。うわあ。思っていた以上に
自前度数が高く、自立していて、プログレッシヴな人という印象を得ました
。もちろん、才ある人ということも。アルバム収録曲の作曲クレジットを見
たことなかったけど、このパフォーマンスを見れば、自分の曲をやっている
ことが判る。ゴスペルや往年のサザン・ソウル風な要素を巧みに差し込んだ
曲もあり。けっこう難しい曲をやるが(1度や2度聞いただけでは覚えられ
ない感じ)、それは目標を高く持ち、才気あればこそ。歌自体に関しては、
声は出ているもののそれほど個性的とは思わないが、これだけ統括的な行き
方をできる人、本当に素晴らしいとぼくは思った。もう少し、バンドが良か
ったなら……。また、来たら見たい。
Bシンガー。ただ歌うだけの人だと思ったら、キーボードを弾きながらぐい
ぐいとバンドとコーラス二人を引っ張っていく。うわあ。思っていた以上に
自前度数が高く、自立していて、プログレッシヴな人という印象を得ました
。もちろん、才ある人ということも。アルバム収録曲の作曲クレジットを見
たことなかったけど、このパフォーマンスを見れば、自分の曲をやっている
ことが判る。ゴスペルや往年のサザン・ソウル風な要素を巧みに差し込んだ
曲もあり。けっこう難しい曲をやるが(1度や2度聞いただけでは覚えられ
ない感じ)、それは目標を高く持ち、才気あればこそ。歌自体に関しては、
声は出ているもののそれほど個性的とは思わないが、これだけ統括的な行き
方をできる人、本当に素晴らしいとぼくは思った。もう少し、バンドが良か
ったなら……。また、来たら見たい。
ジャネット・ケイ、オマー、スリラー・U
2004年6月28日 バンドはジャネット・ケイのそれが通しで出ていて、スリラー・U(ルッ
クスがなにげに良い、好青年ね)、オマー(2001年3月25日)、ジャネット
・ケイと続く。オマーはジャネット・ケイのプロデュースをやったりしてい
るので途中で絡んだりも。だが、ポップなレゲエということでは、Uとケイ
のほうが重なる部分あり。その二人は本当に歌は上手い。さすがと思わせる
ものはあったナ。やはりフロントに立つ人が多すぎ、各人のパフォーマンス
にもう少しじっくり接したかったという気はしたか。それから、いい人とい
えば皆そうなんだが、ちょっと聞き手に媚を売りすぎのような気がした。ホ
テルのラウンジ・ショウのような案配になっちゃっていたところあったもの
。ブルーノート東京、ファースト。
クスがなにげに良い、好青年ね)、オマー(2001年3月25日)、ジャネット
・ケイと続く。オマーはジャネット・ケイのプロデュースをやったりしてい
るので途中で絡んだりも。だが、ポップなレゲエということでは、Uとケイ
のほうが重なる部分あり。その二人は本当に歌は上手い。さすがと思わせる
ものはあったナ。やはりフロントに立つ人が多すぎ、各人のパフォーマンス
にもう少しじっくり接したかったという気はしたか。それから、いい人とい
えば皆そうなんだが、ちょっと聞き手に媚を売りすぎのような気がした。ホ
テルのラウンジ・ショウのような案配になっちゃっていたところあったもの
。ブルーノート東京、ファースト。
クリスティーナ・ブランコ
2004年6月27日 ポルトガルのファドの女性歌手で、青山・草月ホール。オーディエンスの
年齢層、高し。2部構成で、あわせて約1時間半。ポルトガル・ギター(高
目の音を出す)、ガット・ギター、ギター型のベース、3人のおっさん(割
りと小綺麗な)弦楽器奏者をバックにしてのもの。
おお、写真よりもだいぶ太めの人ですね。けっこう、上品な持ち味。総じ
ては、ポルトガル哀愁のフォークロアという感じ。そんなに、ファドのこと
知らないんですけど……。繊細さを出したいのかもしれないが、PAはもう
少しヴォーカルの声を大きくしてもいいかもしれない。開演前に彼女のメッ
セージや歌詞要約が記された印刷物を配付していたが、彼女は英語でいろい
ろと曲の背景を説明し、半数以上の曲ではステージ後方上部の横長スクリー
ンに、歌に合わせて歌詞が映し出される。丁寧な設定。それ、いい。やっぱ
、送り手が歌詞の内容を重視するならば。1曲、すごい高尚な言い回しなが
ら、けっこうエッチな歌詞と取れるものがあり、ぼくはクスクス笑ってしま
った。
背景に効果的に出される歌詞を見ながら、ぼくはいろいろ考えてしまった
な。かつてのフォークロア的な表現、往年のポップ・ミュージックはもっと
歌詞に重きがかかっていたはず。それが、(乱暴に言ってしまうが)ロック
時代になって、サウンドの比重が増し、どんどん歌詞の妙味の占める割合が
低くなっていった。もちろん、ロック界にもいい詩人は沢山いるが、大方の
歌詞はどーでもいいくだらないもの。でも、かっこいいサウンド/ビートや
全体のインパクトがあれば、にっこり聞けてしまう。旧時代の音楽か、それ
とも今様の音楽かは、どのぐらい歌詞の占める比重が高いかといういうこと
にも表れるのではないのか。そして、ワールド・ミュージック的な聞き方は
きわめてロック的、現代的な非米英圏音楽の聞き方なのだと思う。だって、
聞き手は自分の異なる文化(言語)を持つ表現に歌詞を越えた部分の面白さ
やインパクトを感じ、横にあるポップ・ミュージックと同様に愛でちゃう、
というのがワールド・ミュージック受容のあり方であるのだから。
そんなふうにいろいろと考えが飛んだのは、先(6月20日)のダーヴィッ
シュのジョーダン嬢の発言が頭にあったからかもしれない。「ステージで歌
詞の内容の説明をしたりするけど、まず耳に入ってくる直感で聞いちゃえば
いいのよ。私もワールド・ミュージックを聞くけど歌詞の内容はよく知らず
に楽しんでいるもの。それに、自分勝手な解釈のほうが、本来の意味よりも
鮮やかで素敵だったりすることもあるし。私の曲の説明を聞いて、そんな普
通の意味だったのかとがっかりするんじゃないか、なんて思うこともあるワ
(笑)」
年齢層、高し。2部構成で、あわせて約1時間半。ポルトガル・ギター(高
目の音を出す)、ガット・ギター、ギター型のベース、3人のおっさん(割
りと小綺麗な)弦楽器奏者をバックにしてのもの。
おお、写真よりもだいぶ太めの人ですね。けっこう、上品な持ち味。総じ
ては、ポルトガル哀愁のフォークロアという感じ。そんなに、ファドのこと
知らないんですけど……。繊細さを出したいのかもしれないが、PAはもう
少しヴォーカルの声を大きくしてもいいかもしれない。開演前に彼女のメッ
セージや歌詞要約が記された印刷物を配付していたが、彼女は英語でいろい
ろと曲の背景を説明し、半数以上の曲ではステージ後方上部の横長スクリー
ンに、歌に合わせて歌詞が映し出される。丁寧な設定。それ、いい。やっぱ
、送り手が歌詞の内容を重視するならば。1曲、すごい高尚な言い回しなが
ら、けっこうエッチな歌詞と取れるものがあり、ぼくはクスクス笑ってしま
った。
背景に効果的に出される歌詞を見ながら、ぼくはいろいろ考えてしまった
な。かつてのフォークロア的な表現、往年のポップ・ミュージックはもっと
歌詞に重きがかかっていたはず。それが、(乱暴に言ってしまうが)ロック
時代になって、サウンドの比重が増し、どんどん歌詞の妙味の占める割合が
低くなっていった。もちろん、ロック界にもいい詩人は沢山いるが、大方の
歌詞はどーでもいいくだらないもの。でも、かっこいいサウンド/ビートや
全体のインパクトがあれば、にっこり聞けてしまう。旧時代の音楽か、それ
とも今様の音楽かは、どのぐらい歌詞の占める比重が高いかといういうこと
にも表れるのではないのか。そして、ワールド・ミュージック的な聞き方は
きわめてロック的、現代的な非米英圏音楽の聞き方なのだと思う。だって、
聞き手は自分の異なる文化(言語)を持つ表現に歌詞を越えた部分の面白さ
やインパクトを感じ、横にあるポップ・ミュージックと同様に愛でちゃう、
というのがワールド・ミュージック受容のあり方であるのだから。
そんなふうにいろいろと考えが飛んだのは、先(6月20日)のダーヴィッ
シュのジョーダン嬢の発言が頭にあったからかもしれない。「ステージで歌
詞の内容の説明をしたりするけど、まず耳に入ってくる直感で聞いちゃえば
いいのよ。私もワールド・ミュージックを聞くけど歌詞の内容はよく知らず
に楽しんでいるもの。それに、自分勝手な解釈のほうが、本来の意味よりも
鮮やかで素敵だったりすることもあるし。私の曲の説明を聞いて、そんな普
通の意味だったのかとがっかりするんじゃないか、なんて思うこともあるワ
(笑)」
6月19日/ジ・オーディナリー・ボーイズ、6月20日/ダーヴィッシュ
2004年6月20日6月19日(土)
ジ・オーディナリー・ボーイズ
ここのところ、梅雨にも係わらず、晴天が続く。昼下がり、駒沢競技場で
JFLの試合を見る。ああ、サタデイ・イン・ザ・パーク。佐川急便東京と
ザスパ草津の試合。Jリーグの試合もやっているためもあってか、入場者は
千人もいない。応援団は草津のほうがはるかに多い。のんびり。会場に飲み
物販売はなく、ハーフ・タイムに向かいの体育館にビールを買いにいく。そ
れなりの試合。しかし、これら駒沢の施設は1964年に開催されたオリンピッ
クのために作られたものが、改修を受けつつ、そのままあるわけだ。ああ年
月って、進歩って……。
公園近くで(アンナ・ミラーズなくなってたな。って、大分前から?)で
昼間からそれなりに飲んじゃって、夜に渋谷・デュオ・ミュージック・エク
スチェンジ。出演者は英国新進4人組のジ・オーディナリー・ボーイズ。な
かなかの入り。が、この会場はその上にO・イーストがあるだけに、鬼のよ
うに太い柱が客席中央部に複数ある。スタンディングの場合、その柱より後
ろに立つとばっちり視界が妨げられて困ってシマウマな会場ですね。ゆった
り椅子席だけ(当初、このハコはそういう触れ込みだったはず)な場合はま
だ椅子の置き方でだいぶ調整できるのかもしれないが。なお、先日(6月11
日)のコモン公演のアンコールのときステージ上に乱入者ありで、そいつが
ステージ背景の白い部分に黒スプレーで落書きをしたのだが、それは綺麗に
なっていた。
で、肝心のジ・オーディナリー・ボーイズに関しては、あまり好印象を抱
けず。そのデビュー作を聞いたときもそれほど印象には残らなかったんだが、
曲の出来、各人の力量ともに(とくに、ヴォーカルはアピール度が薄いよう
なあ)パっとしない。一番いいのは、アルバムにも入っていたザ・スペシャ
ルズの「リトル・ビッチ」のカヴァー。これの曲やったときだけはぼくもニ
コニコ。でも、それじゃあまずいだろ? ただ、やはりカヴァーの「サマー
タイム・ブルーズ」をザ・フーのと言わずにエディ・コクランのと言ったの
には頷く。ともあれ、あまり日本に紹介されなくてもいいバンドなのではな
いかという気持ちを確かにした。ああ年月って、進歩って……。.
6月20日(日)
ダーヴィッシュ
いろいろ発展を見せる、アイリッシュ・トラッド・グループ。渋谷・クラ
ブクアトロ。2002年暮れ(12月8日)以来の来日。ところで、リーダー格の
ブライアン・マクドーナ(マンドーラ担当)に、ポップのほうので聞いてい
るのはと問うと、なんとまずレディオヘッドの名前が出てきた。紅一点シン
ガーのキャシー・ジョーダンはニーナ・シモンやビリー・ホリデイやアリサ
・フランクリンやジョニ・ミッチェルやミッシェル・ショックト(ディラン
やコーエンなど男性ミュージシャンの名も上がったけど)の名が。そんな人
達が、一方で根っこと繋がろう、確固とした根っこがあること愛でる行為と
して、その集団表現があるわけだ。ちょっと行くところあり、途中までしか
見ていませんが。
ジ・オーディナリー・ボーイズ
ここのところ、梅雨にも係わらず、晴天が続く。昼下がり、駒沢競技場で
JFLの試合を見る。ああ、サタデイ・イン・ザ・パーク。佐川急便東京と
ザスパ草津の試合。Jリーグの試合もやっているためもあってか、入場者は
千人もいない。応援団は草津のほうがはるかに多い。のんびり。会場に飲み
物販売はなく、ハーフ・タイムに向かいの体育館にビールを買いにいく。そ
れなりの試合。しかし、これら駒沢の施設は1964年に開催されたオリンピッ
クのために作られたものが、改修を受けつつ、そのままあるわけだ。ああ年
月って、進歩って……。
公園近くで(アンナ・ミラーズなくなってたな。って、大分前から?)で
昼間からそれなりに飲んじゃって、夜に渋谷・デュオ・ミュージック・エク
スチェンジ。出演者は英国新進4人組のジ・オーディナリー・ボーイズ。な
かなかの入り。が、この会場はその上にO・イーストがあるだけに、鬼のよ
うに太い柱が客席中央部に複数ある。スタンディングの場合、その柱より後
ろに立つとばっちり視界が妨げられて困ってシマウマな会場ですね。ゆった
り椅子席だけ(当初、このハコはそういう触れ込みだったはず)な場合はま
だ椅子の置き方でだいぶ調整できるのかもしれないが。なお、先日(6月11
日)のコモン公演のアンコールのときステージ上に乱入者ありで、そいつが
ステージ背景の白い部分に黒スプレーで落書きをしたのだが、それは綺麗に
なっていた。
で、肝心のジ・オーディナリー・ボーイズに関しては、あまり好印象を抱
けず。そのデビュー作を聞いたときもそれほど印象には残らなかったんだが、
曲の出来、各人の力量ともに(とくに、ヴォーカルはアピール度が薄いよう
なあ)パっとしない。一番いいのは、アルバムにも入っていたザ・スペシャ
ルズの「リトル・ビッチ」のカヴァー。これの曲やったときだけはぼくもニ
コニコ。でも、それじゃあまずいだろ? ただ、やはりカヴァーの「サマー
タイム・ブルーズ」をザ・フーのと言わずにエディ・コクランのと言ったの
には頷く。ともあれ、あまり日本に紹介されなくてもいいバンドなのではな
いかという気持ちを確かにした。ああ年月って、進歩って……。.
6月20日(日)
ダーヴィッシュ
いろいろ発展を見せる、アイリッシュ・トラッド・グループ。渋谷・クラ
ブクアトロ。2002年暮れ(12月8日)以来の来日。ところで、リーダー格の
ブライアン・マクドーナ(マンドーラ担当)に、ポップのほうので聞いてい
るのはと問うと、なんとまずレディオヘッドの名前が出てきた。紅一点シン
ガーのキャシー・ジョーダンはニーナ・シモンやビリー・ホリデイやアリサ
・フランクリンやジョニ・ミッチェルやミッシェル・ショックト(ディラン
やコーエンなど男性ミュージシャンの名も上がったけど)の名が。そんな人
達が、一方で根っこと繋がろう、確固とした根っこがあること愛でる行為と
して、その集団表現があるわけだ。ちょっと行くところあり、途中までしか
見ていませんが。
6月13日(日)/オーガニック・グルーヴ(クリッターズ・バギン)
2004年6月14日 シアトルのクリターズ・バギン(2000年7月19日)を主役に置いての、お
なじみのイヴェント(1999年6月12日、2000年7月19日、2000年9月14日、
2000年12月17日、2001年6月10日、2002年6月23日)、代官山のザ・ボール
・ルームにて。あまり音楽の出し物には使われない会場だが(確か、大昔エ
ピックがヒューマン・ネイチャーというオーストラリアのコーラス・グルー
プのコンヴェンションを打ったことがあったはず)、二つのフロアを用いて
のイヴェントになっていた。
クリッターズ・バギンの演奏は2回まわし。1時間強の一回目が終わりD
Jタイムになり、上のフロアにエレヴェイターに乗って上がると、そちらは
テーブル/椅子があったりとゆっくり出来るスペースになっていた。そちら
には日本人の8人編成のガムランのグループ(後半、ダンサー付き)が演奏
(他にも、ライヴ出演者はいたよう)。衣装もそれなり。で、音のほうも形
になっていて、そのままいちゃったな。クリッターズ・バギンのメンバーも
ちょっと聞いてました。EYEなんかが回した前日土曜は今日よりも絶対に
混み合って窮屈だったかもしれないが、この日の入りなら気儘にまったりも
できるし、なかなかいい設定ではなかったか。ただし、飲み物販売はもう少
し力を入れてほしい。酒事情が悪くて、バギンの2回目の途中でぼくは会場
を出ざるを得ませんでした。
映像を流しての、ジャズ・ロック的なインスト演奏。売れっ子ドラマーの
マット・チェインバレンを外す別編成でブラック・フレイムズ(2002年9月
7日)と名乗り来日したこともクリッターズ・バギンだが、やっぱりこの顔
ぶれはいいなとのこと。なんか煮え切らないところもぼくは感じたものの。
彼らは新作をローパドープから出したばかりだが、ライヴに触れたあと聞い
たほうが良く感じる。そこにある、含みが分かりやすくなった。翌日、取材
したが、旧エディ・ブリッケルのボヘミアンズのチェンバレンとブラッド・
ハウザーは穏健にヤッピー系顔つき。スケーリックは親しみやすい。そして
、マイク・ディロンは少しヤバ目な感じを与える人。みんなシアトルに住ん
でいるのかと思ったらバラバラ、今スケーリックは主にブルックリン、ハウ
ザーとマイク・ディロンはオースティン、チェンバレンはシアトルとか。例
によって、みんなジャム・バンドという言葉には相当辟易している。不思議
と思えるぐらいに。とくに、スケーリック(彼の旧未発表マテリアルをまと
めた『レフト・フォー・デッド・イン・シアトル』は相当な傑作)は。
ユーロが始まってしまった。生活が不規則になるなあ。欧州から戻ってい
ろいろ連絡とるうちに遊ぶ用事もいっぱい入れてしまったしなー。むーん。
なじみのイヴェント(1999年6月12日、2000年7月19日、2000年9月14日、
2000年12月17日、2001年6月10日、2002年6月23日)、代官山のザ・ボール
・ルームにて。あまり音楽の出し物には使われない会場だが(確か、大昔エ
ピックがヒューマン・ネイチャーというオーストラリアのコーラス・グルー
プのコンヴェンションを打ったことがあったはず)、二つのフロアを用いて
のイヴェントになっていた。
クリッターズ・バギンの演奏は2回まわし。1時間強の一回目が終わりD
Jタイムになり、上のフロアにエレヴェイターに乗って上がると、そちらは
テーブル/椅子があったりとゆっくり出来るスペースになっていた。そちら
には日本人の8人編成のガムランのグループ(後半、ダンサー付き)が演奏
(他にも、ライヴ出演者はいたよう)。衣装もそれなり。で、音のほうも形
になっていて、そのままいちゃったな。クリッターズ・バギンのメンバーも
ちょっと聞いてました。EYEなんかが回した前日土曜は今日よりも絶対に
混み合って窮屈だったかもしれないが、この日の入りなら気儘にまったりも
できるし、なかなかいい設定ではなかったか。ただし、飲み物販売はもう少
し力を入れてほしい。酒事情が悪くて、バギンの2回目の途中でぼくは会場
を出ざるを得ませんでした。
映像を流しての、ジャズ・ロック的なインスト演奏。売れっ子ドラマーの
マット・チェインバレンを外す別編成でブラック・フレイムズ(2002年9月
7日)と名乗り来日したこともクリッターズ・バギンだが、やっぱりこの顔
ぶれはいいなとのこと。なんか煮え切らないところもぼくは感じたものの。
彼らは新作をローパドープから出したばかりだが、ライヴに触れたあと聞い
たほうが良く感じる。そこにある、含みが分かりやすくなった。翌日、取材
したが、旧エディ・ブリッケルのボヘミアンズのチェンバレンとブラッド・
ハウザーは穏健にヤッピー系顔つき。スケーリックは親しみやすい。そして
、マイク・ディロンは少しヤバ目な感じを与える人。みんなシアトルに住ん
でいるのかと思ったらバラバラ、今スケーリックは主にブルックリン、ハウ
ザーとマイク・ディロンはオースティン、チェンバレンはシアトルとか。例
によって、みんなジャム・バンドという言葉には相当辟易している。不思議
と思えるぐらいに。とくに、スケーリック(彼の旧未発表マテリアルをまと
めた『レフト・フォー・デッド・イン・シアトル』は相当な傑作)は。
ユーロが始まってしまった。生活が不規則になるなあ。欧州から戻ってい
ろいろ連絡とるうちに遊ぶ用事もいっぱい入れてしまったしなー。むーん。
6月10日/パーミー、MAF。6月11日/コモン
2004年6月13日(6月3日からの続き)90年代中期にEW&Fの日本ツアーに同行取材し
たことがあり、その内側を見ることができていろいろと得難たい体験だナと
思ったことがあったけど、ああいうお大尽ツアーとは別の感興〜ワビサビが
あって、何かと得ることが多かった。やっぱり、そういうの知っているのと
いないのでは……。それにしても、たまの旅や非日常は刺激的にて甘美。幸
せを感じた。
6月10日(木)
パーミー、MAF
タイの新進二組が出る公演、渋谷・O−イースト。満員なのにはびっくり
。この前のアーニー・ディフランコ(3月6日)なんかより入りがいいよ〜ん。
まず、女性のラッパー二人と男性DJ(実は日本人とか)からなるMAF
。一人は小太りなキャラ立ち系、もう一人はほっそり美少女系。と、そんな
対比を活かしつつ、屈託なく。ラップはタイ語、MCは英語が中心。他愛な
いけどニコっと見れちゃう。旬のものに私たちは目一杯体当たりしているの
よという、風情がなんとなくあったかな。先の項(5月9日)で久保田麻琴
さんによるモータウン・トリビュート盤のことに触れているが、彼はコーラ
スや管楽器のカブせをクアラルンプールとシンガポールで行っている。それ
は、同地のほうが仕事が早く進むからだそう。アジアの現場に精通し融通が
効く彼ならではのアプローチだが、「アメリカで録る以上に色合いがいい、
たとえば同じオレンジ色でも発色が違う」、と彼はそれについて言っていた
りも。なるほど、それは彼女たちにも当てはまるかもしれない。40分弱のパ
フォーマンス。
そして、美形のバーミー。タイとベルギーのハーフで、オーストラリア育
ち(実は、東南アジアとオーストラリアは近い。ブリスベンに行ったとき、
食べ物屋のメニューにおいてタイ・カレーがけっこうポピュラーで、その距
離的な近さを実感できた)だそうだが、なるほど綺麗じゃん。ギター2、キ
ーボード、ベース、ドラムという生バンド(そこそこ若そう)を率いての実
演。もう、最初から観客側の盛り上がりがすごいととともに、多くの人が一
緒にタイ語の歌詞を歌ったりして、相当な割合でお客はタイの人なのだと了
解。ほんと、現地では物凄い人気なのだというのも一発で納得。彼女はいろ
んな曲調の曲を歌う。臍にはピアス。恰好の趣味もいい。MCは英語。歌は
特筆すべきものではない。だけど、ステージのアクションとか、進め方は非
常に堂にいったもので、デビューしてそれほど経たない人とは思えない。彼
女は初々しくも、プロだった。可愛らしく、堂々と、溌剌に。好きな体位は
***なんてあっけらかんと言いそうなさばけたノリも持つし、かといって
下品にならず。たっぷり1時間半ものショウ。
アラニス・モリセット(1999年4月24日、2002年3月22日)やクランベリ
ーズが好きと伝えられる彼女だが、なるほど髪の長さはかつてのアラニスの
影響? 終盤、宇田多、エヴァネッセンス、クランベリーズのカヴァーも。
ふうん、クランベリーズのドロレス嬢の歌い口を一生懸命真似してきたんだ
ね。
そこそこ、見れた。で、ちょっと先入観をなくせば、日本の一部のアイド
ルもそれなりに楽しめてしまうのかとも少し思った、か、な。でも、異国の
人だと妙な生々しさが消えるから楽だよな……。タイと言えば、グランドE
X’という男性4人組バンドのことを思い出す。15年前ぐらいにバンコクの
カッセット屋さんでお店の人に勧められて買ったのだが、その一曲がかなり
秀逸なモンド曲なの。ザ・ナックの「マイシャローナ」とザ・ビートルズの
「ア・ハード・デイズ・ナイト」を絶妙にくっつけて、それをタイ語で歌っ
ているという脳味噌とろけそーな曲。うはは。
6月11日(金)
コモン
渋谷・デュオ・ミュージック・エクスチェンジ。さすが、かなり入ってい
ました。
アルバムでは工夫を凝らしたバンド音を自在に採用する彼だが、DJ一人
を従え、1MCでずんずん進むというもの。うわあ、潔い。というか、ここ
までシンプルな有名ヒップホッパーのパフォーマンスって珍しいのではない
か。でも、いろいろな面で感心させ、聞かす。前日との対比もあるだろう、
やっぱり本場は本場で強いなあと思う。やっぱり、スキルと、流儀の積み重
ねと創意工夫のある、まっとうなヒップホップのパフォーマンス。力のある
、まっとうな人。頭も良さそう。そんな人が、ああいうはみ出した『エレク
トリック・サーカス』のような(ぼく好みの)ブツも作ってしまうというの
も、とっても興味深い。次のアルバムは一体どういうものになるのか。所属
するMCAがなくなったが、そのままユニヴァーサルに残るようだ。
最低限の設定の実演ながら臨機応変、妙味あり。肉声とビートの効果的な
掛け合わせを介しての確かな気持ちの表出あって、おおここには確かな芸能
アート・フォームがあるゾとも思ってしまった。
たことがあり、その内側を見ることができていろいろと得難たい体験だナと
思ったことがあったけど、ああいうお大尽ツアーとは別の感興〜ワビサビが
あって、何かと得ることが多かった。やっぱり、そういうの知っているのと
いないのでは……。それにしても、たまの旅や非日常は刺激的にて甘美。幸
せを感じた。
6月10日(木)
パーミー、MAF
タイの新進二組が出る公演、渋谷・O−イースト。満員なのにはびっくり
。この前のアーニー・ディフランコ(3月6日)なんかより入りがいいよ〜ん。
まず、女性のラッパー二人と男性DJ(実は日本人とか)からなるMAF
。一人は小太りなキャラ立ち系、もう一人はほっそり美少女系。と、そんな
対比を活かしつつ、屈託なく。ラップはタイ語、MCは英語が中心。他愛な
いけどニコっと見れちゃう。旬のものに私たちは目一杯体当たりしているの
よという、風情がなんとなくあったかな。先の項(5月9日)で久保田麻琴
さんによるモータウン・トリビュート盤のことに触れているが、彼はコーラ
スや管楽器のカブせをクアラルンプールとシンガポールで行っている。それ
は、同地のほうが仕事が早く進むからだそう。アジアの現場に精通し融通が
効く彼ならではのアプローチだが、「アメリカで録る以上に色合いがいい、
たとえば同じオレンジ色でも発色が違う」、と彼はそれについて言っていた
りも。なるほど、それは彼女たちにも当てはまるかもしれない。40分弱のパ
フォーマンス。
そして、美形のバーミー。タイとベルギーのハーフで、オーストラリア育
ち(実は、東南アジアとオーストラリアは近い。ブリスベンに行ったとき、
食べ物屋のメニューにおいてタイ・カレーがけっこうポピュラーで、その距
離的な近さを実感できた)だそうだが、なるほど綺麗じゃん。ギター2、キ
ーボード、ベース、ドラムという生バンド(そこそこ若そう)を率いての実
演。もう、最初から観客側の盛り上がりがすごいととともに、多くの人が一
緒にタイ語の歌詞を歌ったりして、相当な割合でお客はタイの人なのだと了
解。ほんと、現地では物凄い人気なのだというのも一発で納得。彼女はいろ
んな曲調の曲を歌う。臍にはピアス。恰好の趣味もいい。MCは英語。歌は
特筆すべきものではない。だけど、ステージのアクションとか、進め方は非
常に堂にいったもので、デビューしてそれほど経たない人とは思えない。彼
女は初々しくも、プロだった。可愛らしく、堂々と、溌剌に。好きな体位は
***なんてあっけらかんと言いそうなさばけたノリも持つし、かといって
下品にならず。たっぷり1時間半ものショウ。
アラニス・モリセット(1999年4月24日、2002年3月22日)やクランベリ
ーズが好きと伝えられる彼女だが、なるほど髪の長さはかつてのアラニスの
影響? 終盤、宇田多、エヴァネッセンス、クランベリーズのカヴァーも。
ふうん、クランベリーズのドロレス嬢の歌い口を一生懸命真似してきたんだ
ね。
そこそこ、見れた。で、ちょっと先入観をなくせば、日本の一部のアイド
ルもそれなりに楽しめてしまうのかとも少し思った、か、な。でも、異国の
人だと妙な生々しさが消えるから楽だよな……。タイと言えば、グランドE
X’という男性4人組バンドのことを思い出す。15年前ぐらいにバンコクの
カッセット屋さんでお店の人に勧められて買ったのだが、その一曲がかなり
秀逸なモンド曲なの。ザ・ナックの「マイシャローナ」とザ・ビートルズの
「ア・ハード・デイズ・ナイト」を絶妙にくっつけて、それをタイ語で歌っ
ているという脳味噌とろけそーな曲。うはは。
6月11日(金)
コモン
渋谷・デュオ・ミュージック・エクスチェンジ。さすが、かなり入ってい
ました。
アルバムでは工夫を凝らしたバンド音を自在に採用する彼だが、DJ一人
を従え、1MCでずんずん進むというもの。うわあ、潔い。というか、ここ
までシンプルな有名ヒップホッパーのパフォーマンスって珍しいのではない
か。でも、いろいろな面で感心させ、聞かす。前日との対比もあるだろう、
やっぱり本場は本場で強いなあと思う。やっぱり、スキルと、流儀の積み重
ねと創意工夫のある、まっとうなヒップホップのパフォーマンス。力のある
、まっとうな人。頭も良さそう。そんな人が、ああいうはみ出した『エレク
トリック・サーカス』のような(ぼく好みの)ブツも作ってしまうというの
も、とっても興味深い。次のアルバムは一体どういうものになるのか。所属
するMCAがなくなったが、そのままユニヴァーサルに残るようだ。
最低限の設定の実演ながら臨機応変、妙味あり。肉声とビートの効果的な
掛け合わせを介しての確かな気持ちの表出あって、おおここには確かな芸能
アート・フォームがあるゾとも思ってしまった。
6月2日(水)、3日(木)/ROVO
2004年6月11日 前日からケルン。そして、この日はクンターブンカー・ミュライムという
ヴェニューでのライヴ。元々は防空壕のために作られた建物だそうだが、外
見や中の感じは作りのしっかりした立派な箱という感じ。そこにはギャラリ
ーみたいなものもあり、ホールのスケジュールを見ると、連日いろいろとラ
イヴをやっているようだ。この日は彼らがメイン・アクトで、ケルン日本文
化会館が主催となるもの。それ耳慣れないかもしれないが、国際交流基金(
独立行政法人)が日本の文化を紹介しようとする目的で海外に置く会館/事
務所の一つだそうで、そこは普段からいろいろな日本人の文化的所作を現地
の人に提供しているようだが、ROVOの公演をバックアップするとはやる
なあ。その音楽性ならばスタンディングの会場がいいだろうということで、
わざわざこの会場を借りたとのこと。話は飛ぶが、会場で買った飲み物の瓶
をカウンターに戻すと50セント返してくれるのには、おおドイツだなと思う。
前座についたのは、ズー(ZU)という、イタリアのロッキッシュな狼藉
ジャズ・バンド。9時過ぎにまず彼らが演奏を始めたのだが、こりゃ良い。
バリトン/アルト・サックスと、電気ベースとドラムというトリオ編成(ず
っとその編成のようだが、後述する新作は、そこにもう一人リード奏者が加
わっている)にて。のっけの感想は、ハードコアな歌なしのモーフィンとい
うもの。それから、メルスを体験したばかりということもあり、82年に同レ
ーベルから華々しくデビューしたオディーン・ポープ(テナー)のはみ出し
トリオ表現(リズムはジェラルド・ビーズリー:3月24日とコーネル・ロチ
ェスター)の今様世代表現という感想も得たかな。他にも80年代初頭のジェ
イムズ・ブラッド・ウルマーの偏執的なリズムの畳みかけを思い出させたり
、良質な冒険ロック系アクトの飛翔感やいびつさを感じさせたりも。なんに
せよ、発想も技法もいろいろと豊富で、俺たちは自分たちのやり方で世間に
波風たてる音楽をぶちかましたいという意思が漲る。まっとうにして明晰な
フリー・ジャズの語彙とロックの狼藉/変調語彙と拮抗がそこにあった。
30歳前後の彼らは、なんでもザ・ルインズや大友良英らとは一緒にツアー
を回ったことがあり(メンバーはボアダムズのことも知っていて、その山本
精一を擁するROVOとの共演を喜んでいた)、この11月に来日するそうな
ので要チェック! 米国にも進出していて(ユージン・チャドボーンとは特
に親しいようだ)、01年盤『igneo 』はスティーヴ・アルビニのエンジニア
リングでシカゴで録られている。また、新作の『Radial』はカルテットとし
てのズーの演奏が半分と、残りはハミット・ドレイク(5月31日)らのカル
テットであるスピースウェイヴの共演曲で、そっちではサン・ラーやAEO
CやP−ファンクの曲をカヴァーしている。
そんなズーに続いて、ROVOの実演。場所も違えば、持ち時間も違うの
で、メルスとはかなり異なる感じで、実演はぐびぐび進んでいく。バンドは
、音楽は、まさに生き物……そんな当たり前の事実に気持ちよく触れる。入
りはいまいちだったけど、美味しいライヴの磁場は生まれていたはずだ。こ
の日はステージ背景がバックが白い壁なので映像も映る。アンコールを終え
たときは12時ぐらいにはなっていたか。
翌3日、電車でアムステルダムへ。ちょっとうとうとして起きたらオラン
ダに入っていて、本当に土地が平坦なのに驚く。アムスに近づくと線路ぞい
にアヤックスのホーム・スタジアムがあって胸がときめく。かなり前にスキ
ポール空港に乗換えでは寄ったことはあるが、ちゃんと足を踏み入れるのは
初めて。さすが、ドイツよりサバけているとすぐに感じられるし、英語も通
じやすいし、こっちのほうが過ごしやすいかなと直感的に思う。運河の水は
見た目はきたない。
この日の公演会場は、キャンディ・ダルファのお父さんハンス・ダルファ
ーがかつてマネイジャーをしていたこともある、同地の有名ヴェニューのパ
ラディソ。教会だったものを改造したらしい立派な作りを持つ。オランダで
外タレがやる最たる会場とのことでアムスのリキッドルームみたいな印象を
持っていたが、思っていた以上に重厚で広い。楽屋などは地下にあるが、本
当にいくつもの部屋があり、迷路みたいだ。階段とかには、このハコの出演
者告知ポスターが張ってあって、ノーナ・ヘンドリックス、そして(キャプ
テン・ビーフハートの、ビーフハート抜きの)マジック・バンドのそれが並
んで張ってあって、嬉しくなる。その近くには、ハード・ロック・カフェが
あった。
ROVOはサブのステージに出る。広いメインのステージのほうの出演者
はなんとサンフランシスコのオルタナ重鎮、タキシードムーン(こっちに出
るのは、彼らだけのよう)。懐かしい。昔、ライナーノーツを書いたことを
思い出した。上部のほうから彼らのリハを少し覗く。管楽器を持ち替えたり
しつつ、淡々と大人のやり口で広がりを求めん、ということをやっていた、
かな。
サブのホールもそこそこの広さがあり、ROVOはそこに最初のバンドと
して登場。アタマから客の入りもなかなかで、観客の反応も良好。環境の良
さもあり、この日のパフォーマンスがこれまでの欧州編のなかでは一番良か
ったのではないか。少なくても、ぼくはそう。煽情的にぐいぐいと鼓舞する
力とすうっと気持ち良く力を抜かせるようなメロウネス、その美味しい交錯
を存分に体で受ける。今があり、エッジがあり、桃源郷があり……それらは
確かな人間が重なり合った末に広がっていくのだとという実感がたまらなく
嬉しい。こんなの、おまえらの周辺には重なるものがないだろとも短絡的に
思い、威張りたくなる。開演前にたまたま立ち話をしたパラディソのスタッ
フにROVOの説明をしたら、面白そうだから覗きに行くよと言っていたが
、その彼がぼくを見てニコリと親指を立てる。一番目のバンドながら、RO
VOはアンコールにも応えた。「彼らのことは知らなかったけど、クール!
日本には凄いバンドがいるんだね」、分別ありそうな30オトコはぼくにそ
う話しかけてきた。また別の女性は、「繊細で人間的だけどハイテックで、
瞑想的でもある。とっても多様な、インクレディブルなバンド!」と言う。
オランダ人たち、きっと東洋の神秘を目いっぱい実感したに違いない。
ROVOの後はアメリカのザ・サンバーンド・アンド・オブ・ザ・マンバ
ー、そしてノー・ネック・ブルース・バンドが出たはず。前者だけ少し見た
が、儀式っぽいのりで、なんか聞く者を引きつけるぐだぐだ感覚のサイケ・
ギター・ロックを展開。その次のバンドも同様の音楽性を持つようで、この
日は異国のサイケ〜奥に含みある嵐の感覚を持つバンドを集めたとなるのか
しらん。次のバンドの音を聞きつつ、ROVOは非常な精緻さ、得難い飛翔
感やメロウさと裏返しの鋭利さを持っていることを再確認。その後、1時ぐ
らいに玄関の横を通ったのだが、各ライヴは終わっているはずなのに列をな
している。ここ、深夜はクラブ営業をしているらしい。
翌朝、ROVO一行とは別れ、帰途につく。よく飲み、よく食い、時間は
少ないながら良く寝て、なかなか元気な旅だったなあ。ROVOは翌日ベル
ギーのブリュッセルでギグを行ったあと渡米し、NYとシスコで公演を行う
という。いろいろなことあり。当然のことながら、バンドのツアー、特に海
外のそれに触れるとやっぱりいろんな機微を感じる。(*この項次の日に少し続く)
ヴェニューでのライヴ。元々は防空壕のために作られた建物だそうだが、外
見や中の感じは作りのしっかりした立派な箱という感じ。そこにはギャラリ
ーみたいなものもあり、ホールのスケジュールを見ると、連日いろいろとラ
イヴをやっているようだ。この日は彼らがメイン・アクトで、ケルン日本文
化会館が主催となるもの。それ耳慣れないかもしれないが、国際交流基金(
独立行政法人)が日本の文化を紹介しようとする目的で海外に置く会館/事
務所の一つだそうで、そこは普段からいろいろな日本人の文化的所作を現地
の人に提供しているようだが、ROVOの公演をバックアップするとはやる
なあ。その音楽性ならばスタンディングの会場がいいだろうということで、
わざわざこの会場を借りたとのこと。話は飛ぶが、会場で買った飲み物の瓶
をカウンターに戻すと50セント返してくれるのには、おおドイツだなと思う。
前座についたのは、ズー(ZU)という、イタリアのロッキッシュな狼藉
ジャズ・バンド。9時過ぎにまず彼らが演奏を始めたのだが、こりゃ良い。
バリトン/アルト・サックスと、電気ベースとドラムというトリオ編成(ず
っとその編成のようだが、後述する新作は、そこにもう一人リード奏者が加
わっている)にて。のっけの感想は、ハードコアな歌なしのモーフィンとい
うもの。それから、メルスを体験したばかりということもあり、82年に同レ
ーベルから華々しくデビューしたオディーン・ポープ(テナー)のはみ出し
トリオ表現(リズムはジェラルド・ビーズリー:3月24日とコーネル・ロチ
ェスター)の今様世代表現という感想も得たかな。他にも80年代初頭のジェ
イムズ・ブラッド・ウルマーの偏執的なリズムの畳みかけを思い出させたり
、良質な冒険ロック系アクトの飛翔感やいびつさを感じさせたりも。なんに
せよ、発想も技法もいろいろと豊富で、俺たちは自分たちのやり方で世間に
波風たてる音楽をぶちかましたいという意思が漲る。まっとうにして明晰な
フリー・ジャズの語彙とロックの狼藉/変調語彙と拮抗がそこにあった。
30歳前後の彼らは、なんでもザ・ルインズや大友良英らとは一緒にツアー
を回ったことがあり(メンバーはボアダムズのことも知っていて、その山本
精一を擁するROVOとの共演を喜んでいた)、この11月に来日するそうな
ので要チェック! 米国にも進出していて(ユージン・チャドボーンとは特
に親しいようだ)、01年盤『igneo 』はスティーヴ・アルビニのエンジニア
リングでシカゴで録られている。また、新作の『Radial』はカルテットとし
てのズーの演奏が半分と、残りはハミット・ドレイク(5月31日)らのカル
テットであるスピースウェイヴの共演曲で、そっちではサン・ラーやAEO
CやP−ファンクの曲をカヴァーしている。
そんなズーに続いて、ROVOの実演。場所も違えば、持ち時間も違うの
で、メルスとはかなり異なる感じで、実演はぐびぐび進んでいく。バンドは
、音楽は、まさに生き物……そんな当たり前の事実に気持ちよく触れる。入
りはいまいちだったけど、美味しいライヴの磁場は生まれていたはずだ。こ
の日はステージ背景がバックが白い壁なので映像も映る。アンコールを終え
たときは12時ぐらいにはなっていたか。
翌3日、電車でアムステルダムへ。ちょっとうとうとして起きたらオラン
ダに入っていて、本当に土地が平坦なのに驚く。アムスに近づくと線路ぞい
にアヤックスのホーム・スタジアムがあって胸がときめく。かなり前にスキ
ポール空港に乗換えでは寄ったことはあるが、ちゃんと足を踏み入れるのは
初めて。さすが、ドイツよりサバけているとすぐに感じられるし、英語も通
じやすいし、こっちのほうが過ごしやすいかなと直感的に思う。運河の水は
見た目はきたない。
この日の公演会場は、キャンディ・ダルファのお父さんハンス・ダルファ
ーがかつてマネイジャーをしていたこともある、同地の有名ヴェニューのパ
ラディソ。教会だったものを改造したらしい立派な作りを持つ。オランダで
外タレがやる最たる会場とのことでアムスのリキッドルームみたいな印象を
持っていたが、思っていた以上に重厚で広い。楽屋などは地下にあるが、本
当にいくつもの部屋があり、迷路みたいだ。階段とかには、このハコの出演
者告知ポスターが張ってあって、ノーナ・ヘンドリックス、そして(キャプ
テン・ビーフハートの、ビーフハート抜きの)マジック・バンドのそれが並
んで張ってあって、嬉しくなる。その近くには、ハード・ロック・カフェが
あった。
ROVOはサブのステージに出る。広いメインのステージのほうの出演者
はなんとサンフランシスコのオルタナ重鎮、タキシードムーン(こっちに出
るのは、彼らだけのよう)。懐かしい。昔、ライナーノーツを書いたことを
思い出した。上部のほうから彼らのリハを少し覗く。管楽器を持ち替えたり
しつつ、淡々と大人のやり口で広がりを求めん、ということをやっていた、
かな。
サブのホールもそこそこの広さがあり、ROVOはそこに最初のバンドと
して登場。アタマから客の入りもなかなかで、観客の反応も良好。環境の良
さもあり、この日のパフォーマンスがこれまでの欧州編のなかでは一番良か
ったのではないか。少なくても、ぼくはそう。煽情的にぐいぐいと鼓舞する
力とすうっと気持ち良く力を抜かせるようなメロウネス、その美味しい交錯
を存分に体で受ける。今があり、エッジがあり、桃源郷があり……それらは
確かな人間が重なり合った末に広がっていくのだとという実感がたまらなく
嬉しい。こんなの、おまえらの周辺には重なるものがないだろとも短絡的に
思い、威張りたくなる。開演前にたまたま立ち話をしたパラディソのスタッ
フにROVOの説明をしたら、面白そうだから覗きに行くよと言っていたが
、その彼がぼくを見てニコリと親指を立てる。一番目のバンドながら、RO
VOはアンコールにも応えた。「彼らのことは知らなかったけど、クール!
日本には凄いバンドがいるんだね」、分別ありそうな30オトコはぼくにそ
う話しかけてきた。また別の女性は、「繊細で人間的だけどハイテックで、
瞑想的でもある。とっても多様な、インクレディブルなバンド!」と言う。
オランダ人たち、きっと東洋の神秘を目いっぱい実感したに違いない。
ROVOの後はアメリカのザ・サンバーンド・アンド・オブ・ザ・マンバ
ー、そしてノー・ネック・ブルース・バンドが出たはず。前者だけ少し見た
が、儀式っぽいのりで、なんか聞く者を引きつけるぐだぐだ感覚のサイケ・
ギター・ロックを展開。その次のバンドも同様の音楽性を持つようで、この
日は異国のサイケ〜奥に含みある嵐の感覚を持つバンドを集めたとなるのか
しらん。次のバンドの音を聞きつつ、ROVOは非常な精緻さ、得難い飛翔
感やメロウさと裏返しの鋭利さを持っていることを再確認。その後、1時ぐ
らいに玄関の横を通ったのだが、各ライヴは終わっているはずなのに列をな
している。ここ、深夜はクラブ営業をしているらしい。
翌朝、ROVO一行とは別れ、帰途につく。よく飲み、よく食い、時間は
少ないながら良く寝て、なかなか元気な旅だったなあ。ROVOは翌日ベル
ギーのブリュッセルでギグを行ったあと渡米し、NYとシスコで公演を行う
という。いろいろなことあり。当然のことながら、バンドのツアー、特に海
外のそれに触れるとやっぱりいろんな機微を感じる。(*この項次の日に少し続く)
5月30日(日)、31日(月)/メルス・ニュー・ジャズ・フェスティヴァル
2004年6月10日 (30日の項からの続き)そして、この晩(30日)は公園内ながら20分離れ
た場所にある大きなスケート場で、“アフリカン・ダンス・ナイト”と称さ
れたオールナイトの催しも行われる。やはり近年、同祭で毎年開かれている
ものらしく、今年はボンゴ・マフィン(南ア)、グナワ・ディフュージョン
(アルジェリア)、エムゼクゼク(南ア)、アフリカン・レゲエの有名担い
手のラッキー・デューベ(南アフリカ)という4組が出演。ちんたら会場に
着いたときには、一番手のボンゴ・マフィンはすでに終わっていて、暫くす
ると大所帯のグナワ・ディフュージョンが登場。おお、レゲエを中心にヒッ
プホップやその他の混合表現をやるバンド。ときにプリミティヴな民族弦楽
器を用いるときも。音楽性が曲ごとに開きすぎの感じはあるが、アルジェリ
アのマヌー・チャオ・バンドてな趣もあって、にっこり聞けちゃう。続く、
エムゼクゼクにゃ大笑い。パンフに載ってた写真があまりにバカバカしくて
見たいと思ったのだが、想像を超えるナンセンス具合。3人組で、力のない
2人のシンガーと盛り上げMC役がその構成員で、音は20年前のプリセット
のディスコ・トラックのようなカラオケのみ。とにかく、その覆面を被った
MCが超トホホな馬鹿キャラ。爆笑あるのみ。よくこんなのメルス、呼んだ
な。3曲聞いて(それ以上はあまり触れてもしょうがないと、感じさせもし
たか)満足して帰りました。それから、本会場のほうはほとんどアフリカ系
の人は見かけなかったが、こちらはさすがにそれなりにいました。
最終日となる4日目。
11時から、セッションを見る。いろんな出演バンドの選抜プレイヤーが出
るなか、この日はいろんな人達に混ざりROVOの山本精一、芳垣安洋(1月
21日、他) が参加。オーガナイザーのほうから、誰と誰でやってと言われる
だけで、あとはぶっつけ本番であるという。二人はそれぞれ4回ぐらいはス
テージに登場したか(うち、2回は二人一緒の組だったかな)。飄々と、逞
しかったです。
そして、本ステージ。まずは、編曲者/指揮のコリン・タウンズ率いるド
イツのNDRビッグ・バンド。“フランク・ザッパズ・ホット・リックス(
アンド・ファニー・スメルズ)”と題された出し物。ようは、ザッパの曲を
やるジャズ・ビッグ・バンド。期待したほどではなかった。
続いて、ECMからアルバムを出しているノルウェー人のピアニスト、ケ
ティル・ビョルンスタド率いるグループ。ノルウェーといえば、我々のよう
な人間にとってはまずはジャズランドとなるが、この人はまったく別の室内
楽的な道を行く人。ぼくはほとんど聞かなかったが、女性ヴォーカル他を用
いてのパフォーマンスをやっていたようだ。
3番手はビル・ブルーフォードのシャズ・バンド、アースワークス。ブラフ
ォードは英国人的に興味深い人だし(2回やったことがあるが、インタヴュ
ーしてもかなり面白い)、いいドラマーだと思うが、ここのところのアース
ワークスはアルバムを聞いてもぼくは全然楽しめない。凝った、いろいろと
ワザの効いてる曲をやっているのかもしれないが、いまいち心に響かない。
それは、ライヴ演奏を聞いてもぼくには同様。だが、山本精一さんは、ここ
に出た他のバンドには混ざれそうだけど、彼らの場合はすごい曲をやってい
て加わるのは無理、というような言い方で絶賛してました。
ブルーフォードの演奏が終わると、ダーク・テントで勝井祐二のソロ(2004
年1月21日)。なのだが……、そのテントの横の方にある出演者控えのスペ
ースでこの日のトリのブラス・バンドがぶうぶうと延々、練習を始めてしま
う。主催者側はそれを止めず、彼はその音がばんばん聞こえるなかでのソロ
・パフォーマンスを強いられてしまった。これじゃ瞑想的な場での利点もク
ソもあったものではない。とっても気の毒。聞くほうにとっても、ストレス
の掛かりまくり。でも、プロな彼は最善を尽くそうとする。繊細にしてスマ
ートな彼だが、雑草の強さを垣間見たような気がした?
メイン・テントでウェイン・クレイマーもメンバーに入っているエクスマ
ーズエクス(と読むのかな? XmarsX)。これは、ある種のロック感
覚も持つ、ストロングなパンク・ジャズを展開。無条件に胸がすく。途中か
ら、先出“ソウル・ソニック・サーカス”のような曲芸が加わる。加わらな
くても良かったとは思うが、“ソウル・ソニック・サーカス”はこれをラフ
にセッション化し、曲芸を主役にしたということも出来るかな。そして、最
後の曲では、病院を抜け出てきたらしい片腕を吊ったマーズ・ウィリアムス
が登場しブロウ。本来なら、この出し物も彼が主役となるものだった(後か
ら調べたら、ちゃんとこのグループ名でアルバムを出していた)。
再び、ダーク・ステージ。当初は、NYアンダーグラウンド・シーンの名
リード奏者ネッド・ローゼンバーグがソロで吹く予定だった。だが、お昼の
セッションのときに声をかけたそうで、芳垣安洋が入ってのデュオ演奏とな
る。そういう鷹揚さ、臨機応変さはジャズである。ふむふむ。力量拮抗、渡
り合う。醒めた、つっぱりアリ。
そして、最後は、ぶっちゃけブラス音が大饗宴しての、大ダンス大会(出
し物によっては、アリーナ部の椅子は取り払われ、スタンディングになる)
。まずは、ザ・ニッティング・ファクトリー・ワークスやジョン・ゾーンの
ツァディックから10枚ぐらいは平気にアルバムを出しているトランペット奏
者フランク・ロンドンのクレツマー・ブラス・オールスターズ(7人組)が
出てきて演奏し、途中から入れ代わって、セルビアのボバン・マルコヴィッ
チ・オーケスター(11人)の演奏になる。基本的に、ともに血沸き踊るジプ
シー&バルカン風味の哀愁ブラス表現と言えるか。ぼくは来日公演を行って
いる、ルーマニアのタラフ・ハイドゥークス(2000年5月21日、2001年9月
2日)やマケドニアのコチャニ・オーケスター(2001年9月2日)らの実演
を思い出した(蛇足だが、ルーマニアの同系ブラス・バンドのファンファー
レ・チャカリーアを扱った、ドイツ制作のドキュメンタリー映画『炎のジプ
シー・プラス 地図にない村から』がこの夏に公開されます)。似たような
バックグラウンドを持つだろうボバン・マルコヴィチ・オーケスターは、タ
ラフたちと比べるとそれなりに洗練された印象を与える(リハのとき、彼ら
は確かクラフトワークの曲を練習していた! 本編では披露しなかったが)
。なんか打楽器の(ドラムを)分散させた使い方はニューオリンズのブラス
・バンドを思い出させたりもするし。最後のほうは両バンドが一緒にブカブ
カと演奏。このセット、“ブラスの隣人”というタイトルも付けられていた
ようだ。
た場所にある大きなスケート場で、“アフリカン・ダンス・ナイト”と称さ
れたオールナイトの催しも行われる。やはり近年、同祭で毎年開かれている
ものらしく、今年はボンゴ・マフィン(南ア)、グナワ・ディフュージョン
(アルジェリア)、エムゼクゼク(南ア)、アフリカン・レゲエの有名担い
手のラッキー・デューベ(南アフリカ)という4組が出演。ちんたら会場に
着いたときには、一番手のボンゴ・マフィンはすでに終わっていて、暫くす
ると大所帯のグナワ・ディフュージョンが登場。おお、レゲエを中心にヒッ
プホップやその他の混合表現をやるバンド。ときにプリミティヴな民族弦楽
器を用いるときも。音楽性が曲ごとに開きすぎの感じはあるが、アルジェリ
アのマヌー・チャオ・バンドてな趣もあって、にっこり聞けちゃう。続く、
エムゼクゼクにゃ大笑い。パンフに載ってた写真があまりにバカバカしくて
見たいと思ったのだが、想像を超えるナンセンス具合。3人組で、力のない
2人のシンガーと盛り上げMC役がその構成員で、音は20年前のプリセット
のディスコ・トラックのようなカラオケのみ。とにかく、その覆面を被った
MCが超トホホな馬鹿キャラ。爆笑あるのみ。よくこんなのメルス、呼んだ
な。3曲聞いて(それ以上はあまり触れてもしょうがないと、感じさせもし
たか)満足して帰りました。それから、本会場のほうはほとんどアフリカ系
の人は見かけなかったが、こちらはさすがにそれなりにいました。
最終日となる4日目。
11時から、セッションを見る。いろんな出演バンドの選抜プレイヤーが出
るなか、この日はいろんな人達に混ざりROVOの山本精一、芳垣安洋(1月
21日、他) が参加。オーガナイザーのほうから、誰と誰でやってと言われる
だけで、あとはぶっつけ本番であるという。二人はそれぞれ4回ぐらいはス
テージに登場したか(うち、2回は二人一緒の組だったかな)。飄々と、逞
しかったです。
そして、本ステージ。まずは、編曲者/指揮のコリン・タウンズ率いるド
イツのNDRビッグ・バンド。“フランク・ザッパズ・ホット・リックス(
アンド・ファニー・スメルズ)”と題された出し物。ようは、ザッパの曲を
やるジャズ・ビッグ・バンド。期待したほどではなかった。
続いて、ECMからアルバムを出しているノルウェー人のピアニスト、ケ
ティル・ビョルンスタド率いるグループ。ノルウェーといえば、我々のよう
な人間にとってはまずはジャズランドとなるが、この人はまったく別の室内
楽的な道を行く人。ぼくはほとんど聞かなかったが、女性ヴォーカル他を用
いてのパフォーマンスをやっていたようだ。
3番手はビル・ブルーフォードのシャズ・バンド、アースワークス。ブラフ
ォードは英国人的に興味深い人だし(2回やったことがあるが、インタヴュ
ーしてもかなり面白い)、いいドラマーだと思うが、ここのところのアース
ワークスはアルバムを聞いてもぼくは全然楽しめない。凝った、いろいろと
ワザの効いてる曲をやっているのかもしれないが、いまいち心に響かない。
それは、ライヴ演奏を聞いてもぼくには同様。だが、山本精一さんは、ここ
に出た他のバンドには混ざれそうだけど、彼らの場合はすごい曲をやってい
て加わるのは無理、というような言い方で絶賛してました。
ブルーフォードの演奏が終わると、ダーク・テントで勝井祐二のソロ(2004
年1月21日)。なのだが……、そのテントの横の方にある出演者控えのスペ
ースでこの日のトリのブラス・バンドがぶうぶうと延々、練習を始めてしま
う。主催者側はそれを止めず、彼はその音がばんばん聞こえるなかでのソロ
・パフォーマンスを強いられてしまった。これじゃ瞑想的な場での利点もク
ソもあったものではない。とっても気の毒。聞くほうにとっても、ストレス
の掛かりまくり。でも、プロな彼は最善を尽くそうとする。繊細にしてスマ
ートな彼だが、雑草の強さを垣間見たような気がした?
メイン・テントでウェイン・クレイマーもメンバーに入っているエクスマ
ーズエクス(と読むのかな? XmarsX)。これは、ある種のロック感
覚も持つ、ストロングなパンク・ジャズを展開。無条件に胸がすく。途中か
ら、先出“ソウル・ソニック・サーカス”のような曲芸が加わる。加わらな
くても良かったとは思うが、“ソウル・ソニック・サーカス”はこれをラフ
にセッション化し、曲芸を主役にしたということも出来るかな。そして、最
後の曲では、病院を抜け出てきたらしい片腕を吊ったマーズ・ウィリアムス
が登場しブロウ。本来なら、この出し物も彼が主役となるものだった(後か
ら調べたら、ちゃんとこのグループ名でアルバムを出していた)。
再び、ダーク・ステージ。当初は、NYアンダーグラウンド・シーンの名
リード奏者ネッド・ローゼンバーグがソロで吹く予定だった。だが、お昼の
セッションのときに声をかけたそうで、芳垣安洋が入ってのデュオ演奏とな
る。そういう鷹揚さ、臨機応変さはジャズである。ふむふむ。力量拮抗、渡
り合う。醒めた、つっぱりアリ。
そして、最後は、ぶっちゃけブラス音が大饗宴しての、大ダンス大会(出
し物によっては、アリーナ部の椅子は取り払われ、スタンディングになる)
。まずは、ザ・ニッティング・ファクトリー・ワークスやジョン・ゾーンの
ツァディックから10枚ぐらいは平気にアルバムを出しているトランペット奏
者フランク・ロンドンのクレツマー・ブラス・オールスターズ(7人組)が
出てきて演奏し、途中から入れ代わって、セルビアのボバン・マルコヴィッ
チ・オーケスター(11人)の演奏になる。基本的に、ともに血沸き踊るジプ
シー&バルカン風味の哀愁ブラス表現と言えるか。ぼくは来日公演を行って
いる、ルーマニアのタラフ・ハイドゥークス(2000年5月21日、2001年9月
2日)やマケドニアのコチャニ・オーケスター(2001年9月2日)らの実演
を思い出した(蛇足だが、ルーマニアの同系ブラス・バンドのファンファー
レ・チャカリーアを扱った、ドイツ制作のドキュメンタリー映画『炎のジプ
シー・プラス 地図にない村から』がこの夏に公開されます)。似たような
バックグラウンドを持つだろうボバン・マルコヴィチ・オーケスターは、タ
ラフたちと比べるとそれなりに洗練された印象を与える(リハのとき、彼ら
は確かクラフトワークの曲を練習していた! 本編では披露しなかったが)
。なんか打楽器の(ドラムを)分散させた使い方はニューオリンズのブラス
・バンドを思い出させたりもするし。最後のほうは両バンドが一緒にブカブ
カと演奏。このセット、“ブラスの隣人”というタイトルも付けられていた
ようだ。
5月31日(日)/メルス・ニュー・ジャズ・フェスティヴァル
2004年6月9日 3日目。フェス一番の山場となる日。
この日は午後2時からのメインの出し物から見る。まず、イヴリン・グレ
ニーという英国人女性パーカッション奏者とフレッド・フリスのデュオ。大
がかりにセッティングされた打楽器を扱う彼女はなんと難聴であるのだとか
。びっくり。両者はいろいろと交信しあいながら、音という不定型な糸を紡
いでいく、といった感じの演奏をじっくり聞かせる。
静謐な潤いが客席側にもたらされたあと、Collectif Slang というとって
も若いフランスの5人組。出だしの曲は間違いなく菊地雅章の「ススト」を
応用してのもの。技術も経験もまだ半端だが、でも発想はほほえましく、頑
張れと声をかけたくなる。
そして、やはり本場は違うと思わせたのが、今回フェスの臨時編成による
ネッド・ローゼンバークのダブル・バンド。2リード、2エレキ・ベース、
2ドラム。もう一曲目はもろに、オーネット・コールマンのプライムタイム
・バンドのり。プライムタイムは『オブ・ヒューマン・フィーリングス』(
ぼくは、これがプライム・タイムのベスト作と思う)のころは2ギター、2
ベース、2ドラムだった。まあローゼンバングのは、それ以前にオーネット
のダブル・カルテットが引き金になっているのだろうけど。オーネットの精
神、やり口を引き継ぐ者に悪いものなし(基本的に)。ぼくのココロは踊っ
た。
巨大テントの横には、小さな公演テントが併設してある。ダーク・テント
だかブラック・テントだか(もう、忘れている)呼ばれているもので、入口
を閉じるとその中は本当に真っ暗。盲人の気持ちになって音楽に触れてみよ
うという提案のもと出来たものという。へえ。演奏者はソロかデュオにて。
横のメイン・ステージの演奏の合間にそれは行われる。で、ローゼンバーグ
の演奏のあとにここで、ROVOの勝井裕二と岡部洋一のデュオ演奏が披露
される。やっぱ、演奏者の様子が見えたほうがいいナ(って、このテントの
設営意味を理解していない)、もう一つの小規模演奏の場としてこれはあり
。
一方、メイン・テントのほうではポルトガルのFernado Lamerinhasという
中年の生ギター弾き語りシンガーが、バンドを率いて登場。ポルトガルのポ
ップスにカエターノ・ヴェローゾ的なものをはじめとする、今様の意義あり
ポップ流儀やジャズ的な跳ねを穏健に少々加えている、と書けるか。聞いて
もいいけど、聞かなくてもいい。ジャズ的要素の重ね方はやはりポルトガル
のマリオ・ジョアン(2003年6月17日)を思い出させる部分も。
ヒュー・レイン(フリー・ジャズ系列にありつつ、フレッド・ウェズリー
やカール・デンソンなどとも付き合いを持つ洒落の判るトランペッター。ア
ンソニー・グラクストンやAEOC系とも親しいのでシカゴ・ベースなのか
な)が中心となったザ・リヴェレイション・トリオ。リズムはハル・ラッセ
ルのNRDアンサンブルのメンバーだったこともあるケント・ケスラーと、
やはりシカゴ・フリー・シーンの辣腕ドラマーのハミッド・ドレイク(一時
は、ビル・ラズウェルと懇意にもしていた)。で、これが素晴らしい聞き味
を持つ三位一体演奏で興奮。もう、強い、潔い、尊い。これぞ、ジャズ!
で、そんな演奏に満員の観客は大盛り上がり。最後はスタンディング・オヴ
ェイション。す、すげえ。フリー・ジャズに山のようなお客がこれでもかと
称賛を送る。おお、これぞ、ぼくが長年思い描いていたメルスの美しい光景
だァ!ととんでもなく興奮する。いやあ、本当に素晴らしい光景だった。
だが、ハイライトはその後に訪れた。この日のトリにはなんとペルウブの
デイヴィッド・トーマスがリフレクションズ・イン・ザ・ミラーマンという
ユニットを率いて登場、これが常軌を逸して素晴らしいものだった。
ハゲでデブ、世の醜悪なものをことごとく引き受けているようなトーマス
なのだが、もう赤いエプロンをした恰好から、“響き”のある音楽的なサウ
ンドと存在感のある肉声とアーティストが持つバカヤロ精神が溶け合う一大
絵巻表現といいたくなる音まで、やはり喝采を叫びたくなるぐらい普通じゃ
なく、そうでありつつとんでもなく味を感じさせる。それらは、きっちりと
トーマス自身が細部までをコントロールしているのだなと思わせるのにも脱
帽。
歪んだ精神が秀でた音楽性、そして確かな経験〜成熟を通して昇華された
、生理的に澄んでて、どうしようもなくロックでもある独自表現。えもいわ
れぬ雰囲気、情感がじわじわじわと押し寄せる。すごすぎ。こんなこととこ
の人しかできない。
バンドの内訳は、キース・モリーン(ギター、エレクトロニクス)とアン
ディ・ディアグム(トンペット、エレクトロニクス)はここ10年ほどトーマスと一緒にやっている人たちで前者は最近ではフランク・ブラックのアルバ
ムに入っていて、後者はとスペースヘッズやジェイムズ他のメンバーでもあ
るよう。また、トランペットとキーボードを担当するマイケル・コスグーヴ
はエイリアン・アーント・ファームにいる人で、補助シンガーで参加のジャ
ッキー・レヴィン(この人も見た目、強力)はクッキング・ヴァイナル他か
らいろんなリーダー作を出している人物で、トマースとはお互いのアルバム
に参加しあう関係にある。
壮絶。音が終わると同時に、ステージを照らす照明が落とされる。素晴ら
しい。彼はアンコールにも応えてくれたが、これでぴしゃりと終わったほう
が余韻はよりあったかも。終演後、関係者用の飲み食いテントでビール飲み
ながらよかったァと居残っていたら、突然うぉーと叫んで、ぬっと姿を表し
、すぐに去っていった男が。それ、トーマスでした。いやあ、何から何まで
期待を裏切らない変人。彼のセットに、相当高額払ってもいいとぼくは思っ
た。
この日は午後2時からのメインの出し物から見る。まず、イヴリン・グレ
ニーという英国人女性パーカッション奏者とフレッド・フリスのデュオ。大
がかりにセッティングされた打楽器を扱う彼女はなんと難聴であるのだとか
。びっくり。両者はいろいろと交信しあいながら、音という不定型な糸を紡
いでいく、といった感じの演奏をじっくり聞かせる。
静謐な潤いが客席側にもたらされたあと、Collectif Slang というとって
も若いフランスの5人組。出だしの曲は間違いなく菊地雅章の「ススト」を
応用してのもの。技術も経験もまだ半端だが、でも発想はほほえましく、頑
張れと声をかけたくなる。
そして、やはり本場は違うと思わせたのが、今回フェスの臨時編成による
ネッド・ローゼンバークのダブル・バンド。2リード、2エレキ・ベース、
2ドラム。もう一曲目はもろに、オーネット・コールマンのプライムタイム
・バンドのり。プライムタイムは『オブ・ヒューマン・フィーリングス』(
ぼくは、これがプライム・タイムのベスト作と思う)のころは2ギター、2
ベース、2ドラムだった。まあローゼンバングのは、それ以前にオーネット
のダブル・カルテットが引き金になっているのだろうけど。オーネットの精
神、やり口を引き継ぐ者に悪いものなし(基本的に)。ぼくのココロは踊っ
た。
巨大テントの横には、小さな公演テントが併設してある。ダーク・テント
だかブラック・テントだか(もう、忘れている)呼ばれているもので、入口
を閉じるとその中は本当に真っ暗。盲人の気持ちになって音楽に触れてみよ
うという提案のもと出来たものという。へえ。演奏者はソロかデュオにて。
横のメイン・ステージの演奏の合間にそれは行われる。で、ローゼンバーグ
の演奏のあとにここで、ROVOの勝井裕二と岡部洋一のデュオ演奏が披露
される。やっぱ、演奏者の様子が見えたほうがいいナ(って、このテントの
設営意味を理解していない)、もう一つの小規模演奏の場としてこれはあり
。
一方、メイン・テントのほうではポルトガルのFernado Lamerinhasという
中年の生ギター弾き語りシンガーが、バンドを率いて登場。ポルトガルのポ
ップスにカエターノ・ヴェローゾ的なものをはじめとする、今様の意義あり
ポップ流儀やジャズ的な跳ねを穏健に少々加えている、と書けるか。聞いて
もいいけど、聞かなくてもいい。ジャズ的要素の重ね方はやはりポルトガル
のマリオ・ジョアン(2003年6月17日)を思い出させる部分も。
ヒュー・レイン(フリー・ジャズ系列にありつつ、フレッド・ウェズリー
やカール・デンソンなどとも付き合いを持つ洒落の判るトランペッター。ア
ンソニー・グラクストンやAEOC系とも親しいのでシカゴ・ベースなのか
な)が中心となったザ・リヴェレイション・トリオ。リズムはハル・ラッセ
ルのNRDアンサンブルのメンバーだったこともあるケント・ケスラーと、
やはりシカゴ・フリー・シーンの辣腕ドラマーのハミッド・ドレイク(一時
は、ビル・ラズウェルと懇意にもしていた)。で、これが素晴らしい聞き味
を持つ三位一体演奏で興奮。もう、強い、潔い、尊い。これぞ、ジャズ!
で、そんな演奏に満員の観客は大盛り上がり。最後はスタンディング・オヴ
ェイション。す、すげえ。フリー・ジャズに山のようなお客がこれでもかと
称賛を送る。おお、これぞ、ぼくが長年思い描いていたメルスの美しい光景
だァ!ととんでもなく興奮する。いやあ、本当に素晴らしい光景だった。
だが、ハイライトはその後に訪れた。この日のトリにはなんとペルウブの
デイヴィッド・トーマスがリフレクションズ・イン・ザ・ミラーマンという
ユニットを率いて登場、これが常軌を逸して素晴らしいものだった。
ハゲでデブ、世の醜悪なものをことごとく引き受けているようなトーマス
なのだが、もう赤いエプロンをした恰好から、“響き”のある音楽的なサウ
ンドと存在感のある肉声とアーティストが持つバカヤロ精神が溶け合う一大
絵巻表現といいたくなる音まで、やはり喝采を叫びたくなるぐらい普通じゃ
なく、そうでありつつとんでもなく味を感じさせる。それらは、きっちりと
トーマス自身が細部までをコントロールしているのだなと思わせるのにも脱
帽。
歪んだ精神が秀でた音楽性、そして確かな経験〜成熟を通して昇華された
、生理的に澄んでて、どうしようもなくロックでもある独自表現。えもいわ
れぬ雰囲気、情感がじわじわじわと押し寄せる。すごすぎ。こんなこととこ
の人しかできない。
バンドの内訳は、キース・モリーン(ギター、エレクトロニクス)とアン
ディ・ディアグム(トンペット、エレクトロニクス)はここ10年ほどトーマスと一緒にやっている人たちで前者は最近ではフランク・ブラックのアルバ
ムに入っていて、後者はとスペースヘッズやジェイムズ他のメンバーでもあ
るよう。また、トランペットとキーボードを担当するマイケル・コスグーヴ
はエイリアン・アーント・ファームにいる人で、補助シンガーで参加のジャ
ッキー・レヴィン(この人も見た目、強力)はクッキング・ヴァイナル他か
らいろんなリーダー作を出している人物で、トマースとはお互いのアルバム
に参加しあう関係にある。
壮絶。音が終わると同時に、ステージを照らす照明が落とされる。素晴ら
しい。彼はアンコールにも応えてくれたが、これでぴしゃりと終わったほう
が余韻はよりあったかも。終演後、関係者用の飲み食いテントでビール飲み
ながらよかったァと居残っていたら、突然うぉーと叫んで、ぬっと姿を表し
、すぐに去っていった男が。それ、トーマスでした。いやあ、何から何まで
期待を裏切らない変人。彼のセットに、相当高額払ってもいいとぼくは思っ
た。
5月28日(土)/メルス・ニュー・ジャズ・フェスティヴァル
2004年6月8日 このフェスはでかいドーム型の会場がメインで、そこでゆったりしたスケ
ージュールのもと、約1時間の枠(けっこう、みんなはみ出す)で演奏する
。とともに、土、日、月はそのメイン会場パフォーマンスが始まる前に公園
の端のほうにある音楽学校のホールで、特別性の出し物が二つ提供される。
それは、11時から2時間強。一つが、“ロスト・イグザイル・VI”と名付け
られたフェス出演者たちによる玉石混合一発セッションであり、もう一つが
“ソウル・ソニック・サーカス”というアクロバット大道芸と腕利き多数の
セッション・オーケストラの掛け合わせ出し物。
で、この日はソウルソニック・サーカスをまずチェック。犬までメンバー
に記されていてどうなるやらと思ったら……。ロブ・ワッサーマンからDJ
ロジック(2000年8月11〜13日、他)まで、いろんな人が10人強ずらり。と
きにアブストラクトな演奏に合わせて、天井から吊るされている紐を用いる
曲芸を中心に、音楽と芸の拮抗ショウが展開される。メルスは同祭だけの出
し物が組まれたりもするようで、これもそうらしい。単純に楽しく、興味深
い。アリです。それが終わったあと、もう一つのセッション会場のほうを覗
く。トパーズのリズム隊大活躍。いろんな奏者の順列組み合わせ。3、4、
5人の組み合わせあたりが中心。同フェスの通は、この午前中セッションを
まず楽しみにしているという話もなるほどと頷けます。
そして、メイン会場に戻り(その行き帰りの風景がまた楽しい)、2時か
らの出し物を見る。まずはフランスのジャズ・オーケストラ、Le Sacre du
Tympan。最初、ステージ裏のほうで聞いてて素人くさいベースだなと思った
ら、その人が作曲/指揮役を担うリーダー。気持ちは判らなくもないが、フ
ランス人はイモだと言われてもしかたがない集合演奏でした。
そして4時近くになって、ROVOが登場。やっぱ、どきどきする。裏で
は不十分なセッティッグでの開始を余儀なくされるなどあったようだが、緊
張感ある音で突っ走る。この日は晴天でテント上部が開けられ、プロジェク
ター映像が薄くしか映らなかったりもするが、誰でもないROVOのうねり
つつ疾走し、紋様を描いていくような音はメルスの地でも異彩を放ち、それ
だけで多くの人の耳を射るものではなかったか。百戦錬磨なメンバーたちは
、あらゆる負荷をはねのける強さ、シャープさを持っていたはずだ。どんな
地からジャンプしようと、ジャンプしたらそれは美しい放物線を描く。ジャ
ンプしちゃったら、ROVOの勝ちだ。見てて、ザマーミロ、という気持ち
も沸き上がる。終演後、アンコールを求める多大な拍手。だが、場内音楽が
流されてアンコールはなし。すると、今回のフェス初のブーイングがおこる
。そうだそうだ。丸い小屋の空気を、ROVOは確実に入れ換えた。
続いては、けっこう世界進出しているみたいな、モンゴルの近くの生まれ
の女性歌手のSainkho Namtchylak。顔は加藤登紀子みたいだ。NYダウンタ
ウン派のネッド・ローゼンバーグ(彼女のアルバムに複数参加している)や
ロシア人しらいサンプラー担当者やドラマー(この二人は普段一緒にやって
いる人達か)のサポートを得て、彼女は同地の伝統的歌唱法をインプロ要素
やモダン志向と掛け合わせようとする。うーん。途中で耳に入れるのをパス
。如何にビョークは実があり、聞いてて心に入ってくるかを思い知らされる
。その後、ドイツ人とアメリカ人によるカルテットが出たはずだが、街中に
ご飯を食べに行っていて見ていない。
8時すぎにレバノンのラッパーのClotaire Kを見る。黒人補助ラッパー
、ベースとドラムのリズム隊、そしてDJを従えてのステージ。普通のヒッ
プホップみたいな曲調のものもあるが、それであっても生リズム・セクショ
ンが付くそれはがちんこ〜がらっぱちに聞こえ、ぼくはOKを出す。で、そ
れだけじゃなく、半分近くの曲でClotaire Kはウードを弾きながらラップを
し、またDJもそれっぽい女性声や楽器音をインサートしちゃう。うはは、
かなり聞きどころある、おいしい担い手なんではないか。うふふ。
そして、最後はマーズ・ウィリアムス率いるリキッド・ソウル(DJロジ
ック付き)。今年度の同フェスのポスターの絵柄は彼のでっかい写真を掲げ
たものであるなど、さしずめ今回のメイン出演者という観もあるウィリアム
スは米国白人ジャズ史に名を太字で残さなければならない大偉人ハル・ラッ
セルのNRGアンサンブルのメンバーだったサックス奏者だが、なんとこっ
ちに着てから交通事故に会ったとかで欠席。だけど、もうリキッド・ソウル
自体は10年近く活動を維持しているわけで、それほど支障はないと思われる
。ところで、メルス出演者にリキッド・ソウルの名を見つけたときには我が
目を疑った。ぼくの認識においては(数年前に斑尾のジャズ祭に出演したこ
とがあった)、ときにラッパーをフィーチャーしての芸のないシアッド・ジ
ャズ/ファンク・フュージョン・バンドであったから。ただ、ウィリアムス
の出自はシカゴのフリー・ジャズにあるわけで、何か新しい展開があるのか
と思ったら、既知どおりのパフォーマンスで拍子抜け。15年前ならいざ知ら
ず、今どきこんなこと大見得きってやられても……。ちょっと、イラついた
。でも、客には大受けでした。汝、左も右も寛容に愛しなさい……、か。
ージュールのもと、約1時間の枠(けっこう、みんなはみ出す)で演奏する
。とともに、土、日、月はそのメイン会場パフォーマンスが始まる前に公園
の端のほうにある音楽学校のホールで、特別性の出し物が二つ提供される。
それは、11時から2時間強。一つが、“ロスト・イグザイル・VI”と名付け
られたフェス出演者たちによる玉石混合一発セッションであり、もう一つが
“ソウル・ソニック・サーカス”というアクロバット大道芸と腕利き多数の
セッション・オーケストラの掛け合わせ出し物。
で、この日はソウルソニック・サーカスをまずチェック。犬までメンバー
に記されていてどうなるやらと思ったら……。ロブ・ワッサーマンからDJ
ロジック(2000年8月11〜13日、他)まで、いろんな人が10人強ずらり。と
きにアブストラクトな演奏に合わせて、天井から吊るされている紐を用いる
曲芸を中心に、音楽と芸の拮抗ショウが展開される。メルスは同祭だけの出
し物が組まれたりもするようで、これもそうらしい。単純に楽しく、興味深
い。アリです。それが終わったあと、もう一つのセッション会場のほうを覗
く。トパーズのリズム隊大活躍。いろんな奏者の順列組み合わせ。3、4、
5人の組み合わせあたりが中心。同フェスの通は、この午前中セッションを
まず楽しみにしているという話もなるほどと頷けます。
そして、メイン会場に戻り(その行き帰りの風景がまた楽しい)、2時か
らの出し物を見る。まずはフランスのジャズ・オーケストラ、Le Sacre du
Tympan。最初、ステージ裏のほうで聞いてて素人くさいベースだなと思った
ら、その人が作曲/指揮役を担うリーダー。気持ちは判らなくもないが、フ
ランス人はイモだと言われてもしかたがない集合演奏でした。
そして4時近くになって、ROVOが登場。やっぱ、どきどきする。裏で
は不十分なセッティッグでの開始を余儀なくされるなどあったようだが、緊
張感ある音で突っ走る。この日は晴天でテント上部が開けられ、プロジェク
ター映像が薄くしか映らなかったりもするが、誰でもないROVOのうねり
つつ疾走し、紋様を描いていくような音はメルスの地でも異彩を放ち、それ
だけで多くの人の耳を射るものではなかったか。百戦錬磨なメンバーたちは
、あらゆる負荷をはねのける強さ、シャープさを持っていたはずだ。どんな
地からジャンプしようと、ジャンプしたらそれは美しい放物線を描く。ジャ
ンプしちゃったら、ROVOの勝ちだ。見てて、ザマーミロ、という気持ち
も沸き上がる。終演後、アンコールを求める多大な拍手。だが、場内音楽が
流されてアンコールはなし。すると、今回のフェス初のブーイングがおこる
。そうだそうだ。丸い小屋の空気を、ROVOは確実に入れ換えた。
続いては、けっこう世界進出しているみたいな、モンゴルの近くの生まれ
の女性歌手のSainkho Namtchylak。顔は加藤登紀子みたいだ。NYダウンタ
ウン派のネッド・ローゼンバーグ(彼女のアルバムに複数参加している)や
ロシア人しらいサンプラー担当者やドラマー(この二人は普段一緒にやって
いる人達か)のサポートを得て、彼女は同地の伝統的歌唱法をインプロ要素
やモダン志向と掛け合わせようとする。うーん。途中で耳に入れるのをパス
。如何にビョークは実があり、聞いてて心に入ってくるかを思い知らされる
。その後、ドイツ人とアメリカ人によるカルテットが出たはずだが、街中に
ご飯を食べに行っていて見ていない。
8時すぎにレバノンのラッパーのClotaire Kを見る。黒人補助ラッパー
、ベースとドラムのリズム隊、そしてDJを従えてのステージ。普通のヒッ
プホップみたいな曲調のものもあるが、それであっても生リズム・セクショ
ンが付くそれはがちんこ〜がらっぱちに聞こえ、ぼくはOKを出す。で、そ
れだけじゃなく、半分近くの曲でClotaire Kはウードを弾きながらラップを
し、またDJもそれっぽい女性声や楽器音をインサートしちゃう。うはは、
かなり聞きどころある、おいしい担い手なんではないか。うふふ。
そして、最後はマーズ・ウィリアムス率いるリキッド・ソウル(DJロジ
ック付き)。今年度の同フェスのポスターの絵柄は彼のでっかい写真を掲げ
たものであるなど、さしずめ今回のメイン出演者という観もあるウィリアム
スは米国白人ジャズ史に名を太字で残さなければならない大偉人ハル・ラッ
セルのNRGアンサンブルのメンバーだったサックス奏者だが、なんとこっ
ちに着てから交通事故に会ったとかで欠席。だけど、もうリキッド・ソウル
自体は10年近く活動を維持しているわけで、それほど支障はないと思われる
。ところで、メルス出演者にリキッド・ソウルの名を見つけたときには我が
目を疑った。ぼくの認識においては(数年前に斑尾のジャズ祭に出演したこ
とがあった)、ときにラッパーをフィーチャーしての芸のないシアッド・ジ
ャズ/ファンク・フュージョン・バンドであったから。ただ、ウィリアムス
の出自はシカゴのフリー・ジャズにあるわけで、何か新しい展開があるのか
と思ったら、既知どおりのパフォーマンスで拍子抜け。15年前ならいざ知ら
ず、今どきこんなこと大見得きってやられても……。ちょっと、イラついた
。でも、客には大受けでした。汝、左も右も寛容に愛しなさい……、か。
5月28日(金)〜5月31日/メルス・ニュー・ジャズ・フェスティヴァル
2004年6月6日 2003年8月29日の項でちらりと触れているが、80年代初頭の独メルス・レ
コードには大いにハマった。あの頃のその音はある種ぼくの音楽観に楔を打
っているところが間違いなくある。そして、そのレーベルを生むきっかけと
なった同地のニュー・ジャズ・フェスティヴァル(今年で33回目を数える)
にもぼくは強い幻想をずうっと抱いてきていた。
そこに今年はROVO(2000年7月29日他)が堂々出演、回りの人間が行
くというのでそれに突如便乗してしまったワタシ(再来年のワールド・カッ
プ時渡独の予習にもなる、とも少し考えたか)。ちょうど5月下旬に、知人
が留学しているインドネシアの古都ジョグジャ(郊外はホタルが綺麗なんだ
ってサ)、そしてジャカルタに遊びに行こうとしていたので、割りとすんな
りと時間の工面は出来てしまった。
26日、ROVOご一行と渡独させていただく。フランクフルトから陸路、比較
的オランダに近い田舎街のメルス(の近郊)へ。メールス市の街おこしフェ
ス。28日から4日間、ドイツにおけるゴールデン・ウィークにそれは行われる。
同市の非常に大きな公園の一画にバカでかいテント(サーカス用のものなん
だろうな)が設営され、公園の芝生という芝生がキャンプ・スペースになり、
公園の小路にはものすごい数の売店が軒を連ねる。当然、万単位となるだ
ろう数の人が集まっていて、思うまま寛いでいる。フェス抜きで楽しんでいる
人いて、お祭りだあ。まあ、バーク・フェス(2000年8月11〜13日)なんか
とも結構ノリは重なるが、大きな違いは集まっている人達の年齢がこちらは
実に幅広いこと。親に連れられたコドモから年寄りまで、本当に様々。そして、
その風景は本当に健全に思える。
で、初日の27日。この日は小手調べ的(?) に、夕方から(といっても、こ
の時期、サマータイムもあって10時にならないと暗くならないが)の始まり
。トップにやるのはデイヴィッド・マレイのキューバン・ビッグ・バンド。
マレイはメルスに頻繁に出演する同フェスの顔役ミュージシャンの一人であ
るようだが、明日はオランダに行く予定とのことで、初日トップの出番にな
ったのだろう。このビッグ・バンド、マレイ以外はキューバのミュージシャ
ンとか。うーん、実際の演奏のほうはぼくにはよく判らない。ラテンの美点
を消し去り、かといってジャズ的な何かを効果的に加味していた感じでもな
いし……。なんて、彼が日本語を解する人だと書きにくいが。ぼくのことを
覚えていたし(2003年8月9日)。
続いては、トパーズ。その名を見て、ヴェロア・レコードから出ているN
Yのファンク・フュージョン・バンドだと思ってしまった。そしたら、同じ
トパーズでもジョン・ゾーン関連レーベル他からリーダー作を出しているN
Yボーダーレス界の主任チェロ奏者であるエリック・フリードランダーのカ
ルテット。で、ほうと膝を打ちたくなる、美味しい癖と即興性を有すること
をやる。リズム・セクションはNY在住のようである、日本人のタケイシ兄
弟。弟はビル・フリゼール的なのりでベースを扱い、兄は床に直に座って特
殊ドラム・キットを叩く、といったように変則的なコンビネーションを見せ
る二人は各日のセッション(後述します)やネッド・ローゼンバーグのダブ
ル・バンドにも加わるなど、連日大活躍。二人は確かな個性で前線を飄々と
闊歩していた。
3番目はドイツ人のヘルゲ・シュナイダー。ソロでいろんな楽器を扱いつ
つ、インプロ精神と諧謔に富んだ大道芸的パフォーマンスを披露。同国MT
V(多くは米英のバンドのものが流される) で彼のクリップが流れてもいた
ので、ドイツではそれなりに知られる人なのだろう。
4番目は、イスラエルのジ・アラブ・オーケストラ・オブ・ナザレス。彼
らはジャズとはまるで関係なく、伝統をたっぷりと受けた大衆歌謡表現を聞
かせる。演奏陣は正装し、そこに女性歌手が入ったりも。音楽的には日本に
やってきたエスマ(2001年9月21日)と重なると感じる部分も。スイスのモ
ントルー・ジャズ・フェスは物凄く前からワールド・ミュージック系アクト
が多く出ていたが、今のメルスも同様であるようだ。異文化にある、新奇さ
を与える表現に観衆は大拍手。いろんな層の人が、ナチュラルに鷹揚に、枠
の外にある音楽、はみ出した音楽をそれもあっていいじゃないのという感じ
で愛でる姿勢を実感。そして、それこそが、このフェスを33年間も続けるこ
とを支えるものなのだろう。
売店ではフリー系、はみ出し系を中心とするCD、レコードが販売されて
いる。それもまたメルスらしい。中古は安価なので買い占めたくなる。すで
に3度ここに出演し、多大な好評を博している渋さ知らズの不破大輔や一部
ダンサー陣も今回会場には顔を見せている。「フワサン」といろんなドイツ
人が彼に話しかけてきたりしてて、本当に渋さはメルスの名物アクトになっ
ているのだなと肌で実感。来年は彼らがまた出る予定だそうだ。
コードには大いにハマった。あの頃のその音はある種ぼくの音楽観に楔を打
っているところが間違いなくある。そして、そのレーベルを生むきっかけと
なった同地のニュー・ジャズ・フェスティヴァル(今年で33回目を数える)
にもぼくは強い幻想をずうっと抱いてきていた。
そこに今年はROVO(2000年7月29日他)が堂々出演、回りの人間が行
くというのでそれに突如便乗してしまったワタシ(再来年のワールド・カッ
プ時渡独の予習にもなる、とも少し考えたか)。ちょうど5月下旬に、知人
が留学しているインドネシアの古都ジョグジャ(郊外はホタルが綺麗なんだ
ってサ)、そしてジャカルタに遊びに行こうとしていたので、割りとすんな
りと時間の工面は出来てしまった。
26日、ROVOご一行と渡独させていただく。フランクフルトから陸路、比較
的オランダに近い田舎街のメルス(の近郊)へ。メールス市の街おこしフェ
ス。28日から4日間、ドイツにおけるゴールデン・ウィークにそれは行われる。
同市の非常に大きな公園の一画にバカでかいテント(サーカス用のものなん
だろうな)が設営され、公園の芝生という芝生がキャンプ・スペースになり、
公園の小路にはものすごい数の売店が軒を連ねる。当然、万単位となるだ
ろう数の人が集まっていて、思うまま寛いでいる。フェス抜きで楽しんでいる
人いて、お祭りだあ。まあ、バーク・フェス(2000年8月11〜13日)なんか
とも結構ノリは重なるが、大きな違いは集まっている人達の年齢がこちらは
実に幅広いこと。親に連れられたコドモから年寄りまで、本当に様々。そして、
その風景は本当に健全に思える。
で、初日の27日。この日は小手調べ的(?) に、夕方から(といっても、こ
の時期、サマータイムもあって10時にならないと暗くならないが)の始まり
。トップにやるのはデイヴィッド・マレイのキューバン・ビッグ・バンド。
マレイはメルスに頻繁に出演する同フェスの顔役ミュージシャンの一人であ
るようだが、明日はオランダに行く予定とのことで、初日トップの出番にな
ったのだろう。このビッグ・バンド、マレイ以外はキューバのミュージシャ
ンとか。うーん、実際の演奏のほうはぼくにはよく判らない。ラテンの美点
を消し去り、かといってジャズ的な何かを効果的に加味していた感じでもな
いし……。なんて、彼が日本語を解する人だと書きにくいが。ぼくのことを
覚えていたし(2003年8月9日)。
続いては、トパーズ。その名を見て、ヴェロア・レコードから出ているN
Yのファンク・フュージョン・バンドだと思ってしまった。そしたら、同じ
トパーズでもジョン・ゾーン関連レーベル他からリーダー作を出しているN
Yボーダーレス界の主任チェロ奏者であるエリック・フリードランダーのカ
ルテット。で、ほうと膝を打ちたくなる、美味しい癖と即興性を有すること
をやる。リズム・セクションはNY在住のようである、日本人のタケイシ兄
弟。弟はビル・フリゼール的なのりでベースを扱い、兄は床に直に座って特
殊ドラム・キットを叩く、といったように変則的なコンビネーションを見せ
る二人は各日のセッション(後述します)やネッド・ローゼンバーグのダブ
ル・バンドにも加わるなど、連日大活躍。二人は確かな個性で前線を飄々と
闊歩していた。
3番目はドイツ人のヘルゲ・シュナイダー。ソロでいろんな楽器を扱いつ
つ、インプロ精神と諧謔に富んだ大道芸的パフォーマンスを披露。同国MT
V(多くは米英のバンドのものが流される) で彼のクリップが流れてもいた
ので、ドイツではそれなりに知られる人なのだろう。
4番目は、イスラエルのジ・アラブ・オーケストラ・オブ・ナザレス。彼
らはジャズとはまるで関係なく、伝統をたっぷりと受けた大衆歌謡表現を聞
かせる。演奏陣は正装し、そこに女性歌手が入ったりも。音楽的には日本に
やってきたエスマ(2001年9月21日)と重なると感じる部分も。スイスのモ
ントルー・ジャズ・フェスは物凄く前からワールド・ミュージック系アクト
が多く出ていたが、今のメルスも同様であるようだ。異文化にある、新奇さ
を与える表現に観衆は大拍手。いろんな層の人が、ナチュラルに鷹揚に、枠
の外にある音楽、はみ出した音楽をそれもあっていいじゃないのという感じ
で愛でる姿勢を実感。そして、それこそが、このフェスを33年間も続けるこ
とを支えるものなのだろう。
売店ではフリー系、はみ出し系を中心とするCD、レコードが販売されて
いる。それもまたメルスらしい。中古は安価なので買い占めたくなる。すで
に3度ここに出演し、多大な好評を博している渋さ知らズの不破大輔や一部
ダンサー陣も今回会場には顔を見せている。「フワサン」といろんなドイツ
人が彼に話しかけてきたりしてて、本当に渋さはメルスの名物アクトになっ
ているのだなと肌で実感。来年は彼らがまた出る予定だそうだ。
デレク・トラックス・バンド
2004年5月20日 ジ・オールマン・ブラザーズのドラマーのブッチ・トラックスの甥であ
り、5年前から同バンドのメンバーでもある、スライド・ギターの若手名
手のバンド。4年前に、MMWに最近いいのはと聞いたときに、彼の名前
が返ってきたのが、ぼくにとっては彼を認知するきっかけだった。
毎年開かれている“ブルース・カーニヴァル”の一環での公演。なるほ
どジャム・バンド・ミュージック界の人気者らしく、テーパーも数人。キ
ーボード/フルート、ベース、ドラム、そしてインスト主体表現ながら専
任シンガーも一人。本人とベーシスト以外は、肌の色が濃い。ドラマーは
この18日亡くなったジャズ・ドラム巨人、エルヴィン・ジョーンズ追悼の
発言をしたりも。
なるほど堂にいった、こなれた、ブルーズ・ロック・ビヨンド。だが、
ときに不思議な浮遊感を感じさせたり。それ美味しい揺れや、押しの弱い
淡白さとも繋がるのだが、そういう事も含めて、世代のようなものを感じ
させたか。渋谷・クラブクアトロ。
り、5年前から同バンドのメンバーでもある、スライド・ギターの若手名
手のバンド。4年前に、MMWに最近いいのはと聞いたときに、彼の名前
が返ってきたのが、ぼくにとっては彼を認知するきっかけだった。
毎年開かれている“ブルース・カーニヴァル”の一環での公演。なるほ
どジャム・バンド・ミュージック界の人気者らしく、テーパーも数人。キ
ーボード/フルート、ベース、ドラム、そしてインスト主体表現ながら専
任シンガーも一人。本人とベーシスト以外は、肌の色が濃い。ドラマーは
この18日亡くなったジャズ・ドラム巨人、エルヴィン・ジョーンズ追悼の
発言をしたりも。
なるほど堂にいった、こなれた、ブルーズ・ロック・ビヨンド。だが、
ときに不思議な浮遊感を感じさせたり。それ美味しい揺れや、押しの弱い
淡白さとも繋がるのだが、そういう事も含めて、世代のようなものを感じ
させたか。渋谷・クラブクアトロ。