INO Hidefumi。里アンナ×佐々木俊之
2021年5月26日 音楽 一つ目の会場は六本木・ビルボードライブ東京、15時からのファースト・ショウを見る。ヴォーカルとエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)の猪野秀史のほか、鳴り物とバックグラウンド・ヴォーカルとメロトロンの小森宏子、ベースの伊賀航、ドラムとコーラスをたまに入れる北山ゆう子による。
いつだったか、ぬぼーとした歌が入る彼の曲を聴いて、どこか細野晴臣(2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日ち2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年10月25日、2017年11月13日)を思い浮かべたことがあったが、今回やはり落ち着いてはいるものの、その歌声を聞いて御大を思い浮かべるところはなかった。しかし、フェンダー・ローズの音色を介する大人のいいシンガー・ソングライターであるという思いをしっかり得る。淡々としたそれはどこかエヴァーグリーンな落ち着いた誘いも与えてくれるのだが、一方でどこか今様な手触りも持つ部分もある。とくに、伊賀が鍵盤ベースを弾く場合はそういう味を強めた。
大昔のアナログ時代の夢のハイテック楽器(?)たるメロトロンがステージ上に置いてあるのを見るのは初めてに近いか。音が入ったテープ群を音源にすることで、ストリングス他いろんな音色を出すことを可能にした1960年代に発明された鍵盤楽器と言っていいのかな。ステージにあったのは銀色のボディを持つ2オクターヴ分ぐらいしかないような小さなものできっと後期型なのだろうが、Mellotronという商標名がボディに印刷されるとともに、それとは別に“M ”という文字が煌々と赤く輝いている。いろいろ権利が移り、今も作っているという話も聞いたことがあるような気もするが、その小さなメロトロンは見た目は古くない。音の方はいえば、柔らかさがあるような気もしたが、シンセサイザーでも代用できるでしょと言う感じのものではあった。あ、ギターみたいな音を加えるときもあったな。
だが、そのメロトロンの威力(?)を感じた曲が一つ。それはなんと、10cc(2010年5月23日、2015年1月23日)の有名美曲「アイム・ノット・イン・ラヴ」のカヴァーだった。ピアノのフレイズもテンポも代えているのだが、印象的な中間部はわりと原曲に近くなり、そこでメロトロン音が活きる(ような気がした)。とにかく嬉しいカヴァー。思わず、帰宅して、その曲が入っていた『オリジナル・サウンドトラック』(マーキュリー、1975年)を聞き返してしまった。こんど、アナログを回すときに息抜き曲として使うおうかな。
途中で、ゲストの高野寛(2006年6月27日、2007年8月11日、2014年11月27日)が出てきて、2曲歌う。新型コロナ禍ゆえの配信で共演したことが縁となっているようだ。また、アンコールの最後の曲でも高野は出てくる。そして、一緒にやったのは、ザ・ピートルズの曲中、もっともスタンダード・ソング的な風雅さに満ち満ちた子守歌「グッド・ナイト」。これもだいぶアレンジを変えていたが、INOはリリースされたばかりの『In Dreams』(Innocent)のクローザーにこの曲を置いている。ザ・ビートルズは『ホウイト・アルバム』(アップル、1968年)の最後にこの浮世離れした曲を置いた。
▶過去の、細野晴臣
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201011250550109951/
http://43142.diarynote.jp/201208201258419318/
http://43142.diarynote.jp/201209181238434594/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130129
http://43142.diarynote.jp/?day=20130807
http://43142.diarynote.jp/201108101635051749/
http://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
http://43142.diarynote.jp/201410301511243448/
http://43142.diarynote.jp/201711141337544172/
▶過去の、10cc
https://43142.diarynote.jp/201006031536173725/
https://43142.diarynote.jp/201501251406119601/
▶過去の、10ccにいたロル・クリーム
http://43142.diarynote.jp/201208091454209002/
▶過去の、高野寛
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708161531410000 GANGA ZUMBA
https://43142.diarynote.jp/201412011305372891/
その後、南青山・ZIMAGINEに行き、三線と竪琴を弾きながら歌う里アンナ(2015年6月3日、2015年10月24日、2018年11月21日)とドラムの佐々木俊之のデュオ・ユニットの実演を見る。里が生まれ育った奄美の島唄をそのオリジナルな持ち味を損なわずに今に持ってこようとするこのユニットは、すでに2作のアルバムを出している。
1曲めは、里は無伴奏で歌う。うわ、地声デカく、通り過ぎ。その後、演奏部にも留意するデュオ・パフォーマンスを二人は繰り広げるのだが、この晩は比較的臨機応変に、インプロヴィゼーショナルな行き方を取ったと言う。里は大きさの異なる竪琴(弦数は20弦ちかいか?)を用いるがチューニングは変えてある。一方、なんら奄美のフォークロアのワープをなんら違和感なく助ける佐々木はスネアを二つ起き、小さなシンバルも二つセッティング。それは、いつもの設定ではなく、今回はそうしてみたとのこと。二人で共演を重ねていき、その都度その都度、表現は育っているのだと思う。日経新聞電子版にライヴ評を書くので、このへんにしておく。
▶里アンナ
http://43142.diarynote.jp/201506070801066234/
https://43142.diarynote.jp/201510251330372218/
https://43142.diarynote.jp/201811220902106520/
<今日の、いろいろ>
ビルボードライブ東京に行くのは、まじ久しぶり。お店のあるミッドタウンが(ぼくの触れた限り)店舗枠が空いたりもしておらず、営業がなされていることに安堵を覚える。しかし緊急事態宣言のおり、ファースト・ショウが15時開演というのは、ぼくはまるっきり構わないが、テレワークの勤め人を見込んでのものなのだろうか? もうすぐ退社する広報の佐藤くん、お世話になりました。
次のライヴまで時間があったので、西麻布にオフィスを置く知人がやっているインディ・レコード会社に寄る。テレワークなぞは一切していない、というので。メールでやりとりはあったが、会うのは久しぶり。よもやま話に花が咲く。彼から、知人がコロナになったことを教えられる。文化的にはラディカルだが、人間的には真面目で穏健な人とぼくは思っていたので、驚いた。入院もしたそう。感染源を特定はできないものの、しいてあげるなら地元の飲み屋かと言っているとか。
その後、また歩いて、南青山のZIMAGINEというお初の店にいったのが、おお。ブルーノート東京に何度か行ったことがある人なら認知している人がけっこういると思うのだが、そこのセカンド・ショウが終わった時間でも営業をしている女性靴の安売り路面販売店(どうやら、今は閉店したよう)と同じ白いビルの地下にそのヴェニューはあった。ステージには小さいグランド・ピアノやフェンダー・ローズも置いてあった。
そこそこ歩いたつもりだったが、1万歩はいかず。ちぇ。スーパームーンも見えんかった。外で携帯見ないようにしているためもあるが、今月0.4ギガしか使っていない。
いつだったか、ぬぼーとした歌が入る彼の曲を聴いて、どこか細野晴臣(2009年10月12日、2010年4月15日、2010年11月21日、2011年8月7日ち2012年8月12日、2012年9月5日、2013年1月29日、2013年8月7日、2013年8月11日、2014年10月25日、2017年11月13日)を思い浮かべたことがあったが、今回やはり落ち着いてはいるものの、その歌声を聞いて御大を思い浮かべるところはなかった。しかし、フェンダー・ローズの音色を介する大人のいいシンガー・ソングライターであるという思いをしっかり得る。淡々としたそれはどこかエヴァーグリーンな落ち着いた誘いも与えてくれるのだが、一方でどこか今様な手触りも持つ部分もある。とくに、伊賀が鍵盤ベースを弾く場合はそういう味を強めた。
大昔のアナログ時代の夢のハイテック楽器(?)たるメロトロンがステージ上に置いてあるのを見るのは初めてに近いか。音が入ったテープ群を音源にすることで、ストリングス他いろんな音色を出すことを可能にした1960年代に発明された鍵盤楽器と言っていいのかな。ステージにあったのは銀色のボディを持つ2オクターヴ分ぐらいしかないような小さなものできっと後期型なのだろうが、Mellotronという商標名がボディに印刷されるとともに、それとは別に“M ”という文字が煌々と赤く輝いている。いろいろ権利が移り、今も作っているという話も聞いたことがあるような気もするが、その小さなメロトロンは見た目は古くない。音の方はいえば、柔らかさがあるような気もしたが、シンセサイザーでも代用できるでしょと言う感じのものではあった。あ、ギターみたいな音を加えるときもあったな。
だが、そのメロトロンの威力(?)を感じた曲が一つ。それはなんと、10cc(2010年5月23日、2015年1月23日)の有名美曲「アイム・ノット・イン・ラヴ」のカヴァーだった。ピアノのフレイズもテンポも代えているのだが、印象的な中間部はわりと原曲に近くなり、そこでメロトロン音が活きる(ような気がした)。とにかく嬉しいカヴァー。思わず、帰宅して、その曲が入っていた『オリジナル・サウンドトラック』(マーキュリー、1975年)を聞き返してしまった。こんど、アナログを回すときに息抜き曲として使うおうかな。
途中で、ゲストの高野寛(2006年6月27日、2007年8月11日、2014年11月27日)が出てきて、2曲歌う。新型コロナ禍ゆえの配信で共演したことが縁となっているようだ。また、アンコールの最後の曲でも高野は出てくる。そして、一緒にやったのは、ザ・ピートルズの曲中、もっともスタンダード・ソング的な風雅さに満ち満ちた子守歌「グッド・ナイト」。これもだいぶアレンジを変えていたが、INOはリリースされたばかりの『In Dreams』(Innocent)のクローザーにこの曲を置いている。ザ・ビートルズは『ホウイト・アルバム』(アップル、1968年)の最後にこの浮世離れした曲を置いた。
▶過去の、細野晴臣
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201011250550109951/
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▶過去の、10cc
https://43142.diarynote.jp/201006031536173725/
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▶過去の、10ccにいたロル・クリーム
http://43142.diarynote.jp/201208091454209002/
▶過去の、高野寛
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708161531410000 GANGA ZUMBA
https://43142.diarynote.jp/201412011305372891/
その後、南青山・ZIMAGINEに行き、三線と竪琴を弾きながら歌う里アンナ(2015年6月3日、2015年10月24日、2018年11月21日)とドラムの佐々木俊之のデュオ・ユニットの実演を見る。里が生まれ育った奄美の島唄をそのオリジナルな持ち味を損なわずに今に持ってこようとするこのユニットは、すでに2作のアルバムを出している。
1曲めは、里は無伴奏で歌う。うわ、地声デカく、通り過ぎ。その後、演奏部にも留意するデュオ・パフォーマンスを二人は繰り広げるのだが、この晩は比較的臨機応変に、インプロヴィゼーショナルな行き方を取ったと言う。里は大きさの異なる竪琴(弦数は20弦ちかいか?)を用いるがチューニングは変えてある。一方、なんら奄美のフォークロアのワープをなんら違和感なく助ける佐々木はスネアを二つ起き、小さなシンバルも二つセッティング。それは、いつもの設定ではなく、今回はそうしてみたとのこと。二人で共演を重ねていき、その都度その都度、表現は育っているのだと思う。日経新聞電子版にライヴ評を書くので、このへんにしておく。
▶里アンナ
http://43142.diarynote.jp/201506070801066234/
https://43142.diarynote.jp/201510251330372218/
https://43142.diarynote.jp/201811220902106520/
<今日の、いろいろ>
ビルボードライブ東京に行くのは、まじ久しぶり。お店のあるミッドタウンが(ぼくの触れた限り)店舗枠が空いたりもしておらず、営業がなされていることに安堵を覚える。しかし緊急事態宣言のおり、ファースト・ショウが15時開演というのは、ぼくはまるっきり構わないが、テレワークの勤め人を見込んでのものなのだろうか? もうすぐ退社する広報の佐藤くん、お世話になりました。
次のライヴまで時間があったので、西麻布にオフィスを置く知人がやっているインディ・レコード会社に寄る。テレワークなぞは一切していない、というので。メールでやりとりはあったが、会うのは久しぶり。よもやま話に花が咲く。彼から、知人がコロナになったことを教えられる。文化的にはラディカルだが、人間的には真面目で穏健な人とぼくは思っていたので、驚いた。入院もしたそう。感染源を特定はできないものの、しいてあげるなら地元の飲み屋かと言っているとか。
その後、また歩いて、南青山のZIMAGINEというお初の店にいったのが、おお。ブルーノート東京に何度か行ったことがある人なら認知している人がけっこういると思うのだが、そこのセカンド・ショウが終わった時間でも営業をしている女性靴の安売り路面販売店(どうやら、今は閉店したよう)と同じ白いビルの地下にそのヴェニューはあった。ステージには小さいグランド・ピアノやフェンダー・ローズも置いてあった。
そこそこ歩いたつもりだったが、1万歩はいかず。ちぇ。スーパームーンも見えんかった。外で携帯見ないようにしているためもあるが、今月0.4ギガしか使っていない。