<日本の伝統音楽祭>と表題された公演で、2組の女性出演者を擁する。王子・北トピア、つつじホール。
まず出てきたのは、津軽三味線を基に置く、女性三味線奏者二人による輝&輝。Kikiと読むらしい。似ているものの違う柄の着物を着ており、お二人は兵庫県と愛知県の出身で東京で活動している、と言っていたか。MCでは、言葉の最後が“まーす”と音引きが入る場合が多い。お年頃? ま、ぼくも簡便なメールではよくそうしているナ。お茶目さや柔らかさを出すために。10年ものキャリアを持つと言っていたが、20代に見える。そして、その世代性を全面に出したユニットと言えるだろう。
全インストゥルメンタル、けっこうオリジナルをやったりもしている。二人の三味線の出音の違いに、留意している感じもあり。ユニゾンで弾いたり、アンサンブルを奏でたり、それこそサイド・ギターとリード・ギターという関係のように演奏してみたり。ギター・デュオの形を三味線デュオに置き換えた、という説明もできなくはないだろう。民謡曲の場合は、掛け声を入れたりもした。
休憩を置いて、松田美緒(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日、2014年2月9日、2014年6月16日、2015年11月18日、2018年9月21日)が出てくる。ギタリストの渥美幸裕とのデュオにてのもの。ポルトガル語圏の音楽的誘いをしなやかに自分化することで異彩を放ってきた彼女だが、2014年発表の移民などにより日本の種が国外で芽を出した楽曲を探求するCDブック『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』(アルテス、2014年)以降は<旅する日本の歌>にも目を向ける活動も行なっていて、世界的フリー・ジャズ・ドラマーでもあり、ずっと地に足をつけた日本人としての生きた音楽を標榜する土取利行とのブラジル移民の歌を探求するプロジェクトを持ったり、大分県の民謡化される前の伝承曲を探した『おおいたのうた』(エンカント、2019年)をリリースなど、彼女はより自らの属性を見直す活動にも鋭意着手している。10年前だったらこんな表題の公演に出るなんて思わなかった、みたいなことを、彼女は冒頭のNCで言ったりもしましたね。
そして、松田は日本語で歌い出す。おお、無敵。一発で、そう思ってしまった。我々のどこかに眠っている歌心や情緒を見つけて、それを彼女の才気を介して、今のものとして会場に満ち渡らせる。その所作の堂々さ、味わい深さと言ったなら。ポルトガルと関係のあった長崎に眠る2曲と、大分県の同様に埋もれつつある民謡を2曲づつ、など。気と実のある質量感と確かな着眼点が溢れる。今まで接した彼女のライヴのなかで一番、その喉力をぼくは感じた。とともに、ホールに似合う人でもあると思った。女性に用いる言葉ではないかもしれないが、やはり正真正銘の“大人”ですね。
2014年作に収録された人気曲という、日本に統治されていた時代のミクロネシア諸島のパラオで日本人の男性と恋に落ちた現地の女性によって作られ、1950年代に小笠原の父島に伝えられたという「レモングラス」はイントロだけ聞くと、そのままザ・ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ア・ダイモンド」を歌いたくなる? また、日本魚船の遠洋漁業の中継地となり、日本人との私生児も珍しくない(byセザリオ・エヴォラ。島民は日本人に悪い感情は持っていないそう)カーボ・ヴェルデの“最高だよ”という日本語が入ったアフリカでは有名であるという軽快曲も披露した。その曲、エヴォラも歌っている。
ところで、2014作にせよ2019年作にせよ、ピアノの伴奏が主となるものであったが、この日はアコースティック・ギターが十全に寄り添う。ガット・ギターぽい形ながら、スティール弦が張られていたのではないか。高尚ぽくも倍音が綺麗で、かといって場合によってはパーカッシヴだったり棘っぽい弾き方をする彼、いい奏者だな。ピアノ伴奏の場合はどこか唱歌っぽいスクエアさが出てしまう場合があったが、それも皆無でとてもいい組み合わせではないかと思った。
アンコールの2曲めは、先発の輝&輝も出てきて、一緒にやった。
▶過去の、松田美緒
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201010191403189326/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140209
http://43142.diarynote.jp/?day=20140616
https://43142.diarynote.jp/201809221638262424/
<今日の、あれれ>
気持ちのいい日。梅雨前の快適さを味わう。やだなー、今年は梅雨入りが早く、長引く、なんてことも言われているナ。でも、家にいることが多いはずで、まいっかと考えるのがヘルシーかな。昼上がりに目黒で知人とランチ、そこからだと、地下鉄一本で王子まで行ける。もしかして、お酒飲めるかとドリンク・メニューを見たら、擬似ビール、擬似赤ワインなどのアイテムが並ぶ。真面目なお店だった。視界に入る、ワイン・セラーがなやましい。しょうがねえ、初めてノンアルコール・ビールを飲んだ。感想は言わずもがな。
目黒から南北線に乗るのは、サッカーの日韓ワールドカップの埼玉スタジアムでの準決勝を見に行っていらい。そういうことは忘れないんだな。行きの車中のことも、いまだ頭に浮かぶ。前回は都電を使って向かった王子の北トピアはほぼ2年ぶり。だが、場内のことはすでにしっかり忘れていて、つつじホールに行くはずが、当初間違って、さくらホールの方に入ってしまった。あらあ。ホワイエに子供たちとその親が山ほどいる。好奇心からステージを一瞥したら、綺麗な照明とともに中央にオブジェが置かれていたが、あれはなんの催しであったのか。それって、開演前だったのか、開演後であったのか。てへへと、横にあるつつじホールに入り直す。万が一のために、座ったシート番号と連絡先の記入シートの提出を退出時に求められました。
まず出てきたのは、津軽三味線を基に置く、女性三味線奏者二人による輝&輝。Kikiと読むらしい。似ているものの違う柄の着物を着ており、お二人は兵庫県と愛知県の出身で東京で活動している、と言っていたか。MCでは、言葉の最後が“まーす”と音引きが入る場合が多い。お年頃? ま、ぼくも簡便なメールではよくそうしているナ。お茶目さや柔らかさを出すために。10年ものキャリアを持つと言っていたが、20代に見える。そして、その世代性を全面に出したユニットと言えるだろう。
全インストゥルメンタル、けっこうオリジナルをやったりもしている。二人の三味線の出音の違いに、留意している感じもあり。ユニゾンで弾いたり、アンサンブルを奏でたり、それこそサイド・ギターとリード・ギターという関係のように演奏してみたり。ギター・デュオの形を三味線デュオに置き換えた、という説明もできなくはないだろう。民謡曲の場合は、掛け声を入れたりもした。
休憩を置いて、松田美緒(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日、2014年2月9日、2014年6月16日、2015年11月18日、2018年9月21日)が出てくる。ギタリストの渥美幸裕とのデュオにてのもの。ポルトガル語圏の音楽的誘いをしなやかに自分化することで異彩を放ってきた彼女だが、2014年発表の移民などにより日本の種が国外で芽を出した楽曲を探求するCDブック『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』(アルテス、2014年)以降は<旅する日本の歌>にも目を向ける活動も行なっていて、世界的フリー・ジャズ・ドラマーでもあり、ずっと地に足をつけた日本人としての生きた音楽を標榜する土取利行とのブラジル移民の歌を探求するプロジェクトを持ったり、大分県の民謡化される前の伝承曲を探した『おおいたのうた』(エンカント、2019年)をリリースなど、彼女はより自らの属性を見直す活動にも鋭意着手している。10年前だったらこんな表題の公演に出るなんて思わなかった、みたいなことを、彼女は冒頭のNCで言ったりもしましたね。
そして、松田は日本語で歌い出す。おお、無敵。一発で、そう思ってしまった。我々のどこかに眠っている歌心や情緒を見つけて、それを彼女の才気を介して、今のものとして会場に満ち渡らせる。その所作の堂々さ、味わい深さと言ったなら。ポルトガルと関係のあった長崎に眠る2曲と、大分県の同様に埋もれつつある民謡を2曲づつ、など。気と実のある質量感と確かな着眼点が溢れる。今まで接した彼女のライヴのなかで一番、その喉力をぼくは感じた。とともに、ホールに似合う人でもあると思った。女性に用いる言葉ではないかもしれないが、やはり正真正銘の“大人”ですね。
2014年作に収録された人気曲という、日本に統治されていた時代のミクロネシア諸島のパラオで日本人の男性と恋に落ちた現地の女性によって作られ、1950年代に小笠原の父島に伝えられたという「レモングラス」はイントロだけ聞くと、そのままザ・ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ア・ダイモンド」を歌いたくなる? また、日本魚船の遠洋漁業の中継地となり、日本人との私生児も珍しくない(byセザリオ・エヴォラ。島民は日本人に悪い感情は持っていないそう)カーボ・ヴェルデの“最高だよ”という日本語が入ったアフリカでは有名であるという軽快曲も披露した。その曲、エヴォラも歌っている。
ところで、2014作にせよ2019年作にせよ、ピアノの伴奏が主となるものであったが、この日はアコースティック・ギターが十全に寄り添う。ガット・ギターぽい形ながら、スティール弦が張られていたのではないか。高尚ぽくも倍音が綺麗で、かといって場合によってはパーカッシヴだったり棘っぽい弾き方をする彼、いい奏者だな。ピアノ伴奏の場合はどこか唱歌っぽいスクエアさが出てしまう場合があったが、それも皆無でとてもいい組み合わせではないかと思った。
アンコールの2曲めは、先発の輝&輝も出てきて、一緒にやった。
▶過去の、松田美緒
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201010191403189326/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140209
http://43142.diarynote.jp/?day=20140616
https://43142.diarynote.jp/201809221638262424/
<今日の、あれれ>
気持ちのいい日。梅雨前の快適さを味わう。やだなー、今年は梅雨入りが早く、長引く、なんてことも言われているナ。でも、家にいることが多いはずで、まいっかと考えるのがヘルシーかな。昼上がりに目黒で知人とランチ、そこからだと、地下鉄一本で王子まで行ける。もしかして、お酒飲めるかとドリンク・メニューを見たら、擬似ビール、擬似赤ワインなどのアイテムが並ぶ。真面目なお店だった。視界に入る、ワイン・セラーがなやましい。しょうがねえ、初めてノンアルコール・ビールを飲んだ。感想は言わずもがな。
目黒から南北線に乗るのは、サッカーの日韓ワールドカップの埼玉スタジアムでの準決勝を見に行っていらい。そういうことは忘れないんだな。行きの車中のことも、いまだ頭に浮かぶ。前回は都電を使って向かった王子の北トピアはほぼ2年ぶり。だが、場内のことはすでにしっかり忘れていて、つつじホールに行くはずが、当初間違って、さくらホールの方に入ってしまった。あらあ。ホワイエに子供たちとその親が山ほどいる。好奇心からステージを一瞥したら、綺麗な照明とともに中央にオブジェが置かれていたが、あれはなんの催しであったのか。それって、開演前だったのか、開演後であったのか。てへへと、横にあるつつじホールに入り直す。万が一のために、座ったシート番号と連絡先の記入シートの提出を退出時に求められました。