おー、これは興味深い陣容だなー。ピアニストの大西順子(1999年10月9日、2007年9月7日、2010年9月30日、2010年12月22日、2011年2月25日、2011年8月6日、2015年9月6日、2018年2月8日)に純ジャズ(あの故レイ・ブラウンにとても気に入られた)とヒップ・ホップをまたにかけるドラマーのカリーム・リギンス(2005年9月15日、2015年9月6日)と、カリームが何かと一緒に組むダブル・ベースのロバート・ハースト(2010年10月21日 )というリズム隊がついているんだもの。リギンスがプロデュースしたキャンディス・スプリングス(2016年5月25日、2016年9月8日)の昨年作『インディゴ』(ブルーノート)やストーン・スロウ発のリギンスのビート・アルバム諸作にもハーストは入っていますね。考えてみれば、大西は『フライジャル』(サムシング・エルス、1998年)でカリーム・リギンスを起用し、そのリリース時に大西にインタヴューしたときに彼はヒップホップも行けるんですよと聞いて、ぼくはリギンスのことをきっちり頭に刻んだよな。ハーストはハーストで、1992年コロムビア発のデビュー作(ウィントン・マルサリスのバンドにいたことからの同所リリースか)以来、いろいろとリーダー作を出しているなー。

 日本人の大西とデトロイト在住のリズム・セクションが組むから、ジャトロイトと名付けたとのこと。で、冒頭の2曲はリギンス曲と、デトロイト在住ドラマーのローレンス・ウィリアムズ作で同地在住ジャズ・マンにとってはスタンダード的との曲をやる。リギンズの曲は淡々と単一シークエンスをくりかえして行くような曲で、さりげなくもさりげあり。

 今のヴァイブも持つアフリカン・アメリカンのリズム隊を擁することで、大西のとぐろを巻くような強い質感を持つピアニズムが全開になるのかと思えば、さにあらず。リズム隊は過剰に尖らない従来のジャズ流儀を踏む感じで演奏し、大西は大西で曲趣をかみしめるかのように、弾きこまない方向で指を躍らせる。その様に触れ、彼女がリギンスとハーストに気を許し、一緒にやることを軽やかに楽しんでいると、ぼくは判断した。

 アンコールは、まず大西が「オール・ブルース」を弾き出す。おお、最後は大スタンダードで決めますかと思えば、ハーストがスライ・ストーン(2008年8月31日、2008年9月2日、2010年1月20日)の曲(見た後に飲んだら、曲名失念しちゃった)の有名リフを弾き出し、3人で1コードで流れていく。途中から、ハーストはスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の「サー・デューク」のベース・リフに変えた。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

▶過去の、大西順子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/octber1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200709131138020000/
http://43142.diarynote.jp/201010030952428017/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/201102261254532443/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110806
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/
https://43142.diarynote.jp/201802091845433242/
▶︎過去の、ロバート・ハースト
https://43142.diarynote.jp/201010221631583852/
▶過去の、カリーム・リギンズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050915
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
▶過去の、カリーム・リギンズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050915
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
▶︎過去の、キャンディス・スプリングス
http://43142.diarynote.jp/201605260923093422/
http://43142.diarynote.jp/201609201655127640/
▶過去の、スライ・ストーン
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/200809071428140000/
http://43142.diarynote.jp/201001211346277187/
http://43142.diarynote.jp/201505201630381899/ 映画
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/

<今日の、連想>
 いろいろ名前を出すリギンスが、いまだデトロイト在住であると聞いてびっくり。実のところ、“モーター・タウン”といえばR&B以降のブツの印象が大きく、ぼくは同地とジャズを結びつけて考えたことはあまりなかった。アンプ・フィドラー(2004年9月25日、2005年7月30日、2012年12月9日、2016年11月29日、2017年2月9日、2018年12月11日)のように強いデトロイト愛を表明する逸材もいるしなあ。ときに、フィドラーがジャズ・ピアノ・アルバムを作るとしたら、今晩の二人と組むのはありかもともふと思った。
▶︎過去の、アンプ・フィドラー
http://43142.diarynote.jp/200409280745560000/
http://43142.diarynote.jp/200508060616450000/
http://43142.diarynote.jp/201212140959573710/
http://43142.diarynote.jp/?day=20161129
https://43142.diarynote.jp/201702100924466798/
https://43142.diarynote.jp/201812121252088734/ インタヴューも