エミ・マイヤー。SNO
2011年6月5日 音楽 この前のグリーンルーム・フェスティヴァル(5月21日)のときも綺麗な服をきていたが、この晩もそれは同様。友達がつくったものらしい。スラっとした体躯なので、映えますね。
ウッド・ベース奏者とドラマーを従えての、パフォーマンス。途中、一部はピアノから離れて、中央でマイクを持って歌ったりもした。そして、最後のほうにはヒートウェイヴの山口洋(2006年9月24日)がギターでくわわる。彼、マイヤーの表現に沿った伴奏を上手につけていてビックリ。入って2曲目となる曲の伴奏はコラの音みたいに聞こえた? わあ。山口というとロケンロール&ボブ・ディランな佇まいをイメージするが、その頑なノリはいろんな見聞や経験を経た末にフォーカスしたものであるというのを実感できて、ぼくは高揚した。本人はあまり上手く絡めなかったと少しヘコんでいたようだが。
アンコール(の2度目だったか)は、山口と中川敬(2011年3月26日、他)が作った「満月の夕」(2011年4月13日、参照)を一緒にやる。なんでも、エミ・マイヤーは今回のツアーにおける焼津で山口とダブル・ビル公演をし、その際に彼が歌った「満月の夕」に魅了され、自分でも歌いたいと思うようになったという。この曲ではそれまでギター弾きに専念していた山口も控え目に歌う。やっぱ、なかなかウルっとこさせる曲……。渋谷・クラブクアトロ。
そして、すぐ近くのbar issheeにいって、装置の庄司広光、ドラムの沼直也(2009年10月18日、他)、ギターその他の大島輝之(2006年10月19日、2010年9月11日)のトリオ・ギグを見る。けっこう場数をこなしているはずのインプロ・ユニットなはずで、三者がそれぞれの持ち味や発想傾向を自在に重ね合う。うまく書き留められないが、書き留めようとも思わない、そんな音が舞う。
<今日のアフター>
その後、近くでやっていた打ち上げに合流。エミちゃんの両親もライヴに合わせてシアトルからやってきていて、少しお話しする。なるほど、この素敵な両親にして、この娘ありなのか。二作目をだしたばかりで変わらず話題を呼ぶフリート・フォクシーズはシアトルのバンドで彼女よりちょい年上か。もしかして知っているかもと思い彼女に聞いたら、直接的な面識はないそう。
ウッド・ベース奏者とドラマーを従えての、パフォーマンス。途中、一部はピアノから離れて、中央でマイクを持って歌ったりもした。そして、最後のほうにはヒートウェイヴの山口洋(2006年9月24日)がギターでくわわる。彼、マイヤーの表現に沿った伴奏を上手につけていてビックリ。入って2曲目となる曲の伴奏はコラの音みたいに聞こえた? わあ。山口というとロケンロール&ボブ・ディランな佇まいをイメージするが、その頑なノリはいろんな見聞や経験を経た末にフォーカスしたものであるというのを実感できて、ぼくは高揚した。本人はあまり上手く絡めなかったと少しヘコんでいたようだが。
アンコール(の2度目だったか)は、山口と中川敬(2011年3月26日、他)が作った「満月の夕」(2011年4月13日、参照)を一緒にやる。なんでも、エミ・マイヤーは今回のツアーにおける焼津で山口とダブル・ビル公演をし、その際に彼が歌った「満月の夕」に魅了され、自分でも歌いたいと思うようになったという。この曲ではそれまでギター弾きに専念していた山口も控え目に歌う。やっぱ、なかなかウルっとこさせる曲……。渋谷・クラブクアトロ。
そして、すぐ近くのbar issheeにいって、装置の庄司広光、ドラムの沼直也(2009年10月18日、他)、ギターその他の大島輝之(2006年10月19日、2010年9月11日)のトリオ・ギグを見る。けっこう場数をこなしているはずのインプロ・ユニットなはずで、三者がそれぞれの持ち味や発想傾向を自在に重ね合う。うまく書き留められないが、書き留めようとも思わない、そんな音が舞う。
<今日のアフター>
その後、近くでやっていた打ち上げに合流。エミちゃんの両親もライヴに合わせてシアトルからやってきていて、少しお話しする。なるほど、この素敵な両親にして、この娘ありなのか。二作目をだしたばかりで変わらず話題を呼ぶフリート・フォクシーズはシアトルのバンドで彼女よりちょい年上か。もしかして知っているかもと思い彼女に聞いたら、直接的な面識はないそう。
バラケ・シソコ&ヴァンサン・セガール
2011年6月6日 音楽 マリのコラ奏者とフランスのチェロ奏者、まったく出自の異なるミュージシャンと楽器がナチュラルに重なり合う、デュオのグループ。偶然出会い、ウマがあって、余暇に一緒に家でお手合わせするようになったのが発端であるというが、まさに肩の凝らない、寛いだ繊細表現を聞かせたな。表参道・カイ。
まずは、セガールの視野の広い、技に富んだチェロ演奏にびっくり。こんなに豊かに幅広いチェロ演奏する人がいるんだァ。なんでも出来そう、マイラ・アンドラーテ(2007年10月25日)、ヴァネッサ・パラディ、レイ・レマらパリに拠点を置く人から、カルリーニョス・ブラウン(2000年4月30 日)、スティング(2000年10月16日)、セザリア・エヴォラ、ブラッカリシャス、エルヴィス・コステロ(2011年3月1日、他)まで、いろんなレコーディングに参加しているのにも納得。それに較べると、シソコのコラ演奏は楽器自体のプリミティヴな構造もあって幅の狭さを感じるが、やはりコラ奏者としては破格に洗練されている人と言えるだろう。やる曲はソシコ作のほうが多い。
繰り返しのフレーズ音(コラが基調になる場合がおおいか)を基本において、無理なく音を重ねあって行く、と書けるだろうパフォーマンス。うーぬ。それは軽やかで、俗っぽくなく多分にノーブルで、ときに機微に富んでいる。ふむふむ、コレはあまり聞いたことのないタイプの音楽であり、存在していい、クロスオーヴァーした洗練和みの音楽だと思った。2人のリーダー作は『チェンバー・ミュージック』(米国ではシックス・ディグリーズからだされている)とタイトル付けされているが、なるほど、それはもう一つの室内音楽たりえている。MCはセガールが担当。それによれば、サイモン・ジェフスのペンギン・カフェ・オーケストラを参照したところはあったようで、それにも納得。80年代初頭に日本のポリドールでそれを売って社内実績をあげた人物が現在ユニヴァーサル・ミュージュックの日本CEOを務めていますね。
後半2曲とアンコール1曲で、清水靖晃(2000年12月16日、2006年9月26日、2010年2月27日)がくわわり、さすがの協調、個性発揮を見せる。本当にテナー・サックスの技量自体もそうだけど、彼もしなやかに枠超えしちゃう名人、なり。一緒に録音しても面白そうと思った。
<このところのSNS>
まるっきりその手のものに弱く、自ら動いたことはないが、知人の誘いにより(そういうのを受けるのは腰が軽い)、ミクシーも、トゥイッターも、フェイスブックも入っている。うち、頭の二つは休業状態。ミクシーなんてパスワードを忘れちゃってて自分でここ3年ぐらい開いてもいない。ま、フェイスブックもそうなるはずだったんだが、ここ1ヶ月強ほど友達希望がけっこう来ていてビックリ。ある先輩に写真ぐらい入れなよと言われ、ならとクラーク志織さんが描いてくれた絵を載せたら、それ以降、そこそこ賑やかなことになっている。目に訴える力ってすごいんだな。かといって、自分から書き込むとかはしないので(その仕方も良くわからない)、自分から友達希望を出す事は今のところはしていないが。一つびっくりするのは、<友達かも>という本部からの情報に、かつて付き合いがあった人の名前があること。で、その案内で、今は海外に住んでいるんだと知ったりもするのだが、どういう回路でその人とぼくが知り合いであると推測するのか。友達がダブっているならもちろん理解できるのだが、一切友達の重なりがないのに、ひょっこりそういう案内が来るとビビります。
まずは、セガールの視野の広い、技に富んだチェロ演奏にびっくり。こんなに豊かに幅広いチェロ演奏する人がいるんだァ。なんでも出来そう、マイラ・アンドラーテ(2007年10月25日)、ヴァネッサ・パラディ、レイ・レマらパリに拠点を置く人から、カルリーニョス・ブラウン(2000年4月30 日)、スティング(2000年10月16日)、セザリア・エヴォラ、ブラッカリシャス、エルヴィス・コステロ(2011年3月1日、他)まで、いろんなレコーディングに参加しているのにも納得。それに較べると、シソコのコラ演奏は楽器自体のプリミティヴな構造もあって幅の狭さを感じるが、やはりコラ奏者としては破格に洗練されている人と言えるだろう。やる曲はソシコ作のほうが多い。
繰り返しのフレーズ音(コラが基調になる場合がおおいか)を基本において、無理なく音を重ねあって行く、と書けるだろうパフォーマンス。うーぬ。それは軽やかで、俗っぽくなく多分にノーブルで、ときに機微に富んでいる。ふむふむ、コレはあまり聞いたことのないタイプの音楽であり、存在していい、クロスオーヴァーした洗練和みの音楽だと思った。2人のリーダー作は『チェンバー・ミュージック』(米国ではシックス・ディグリーズからだされている)とタイトル付けされているが、なるほど、それはもう一つの室内音楽たりえている。MCはセガールが担当。それによれば、サイモン・ジェフスのペンギン・カフェ・オーケストラを参照したところはあったようで、それにも納得。80年代初頭に日本のポリドールでそれを売って社内実績をあげた人物が現在ユニヴァーサル・ミュージュックの日本CEOを務めていますね。
後半2曲とアンコール1曲で、清水靖晃(2000年12月16日、2006年9月26日、2010年2月27日)がくわわり、さすがの協調、個性発揮を見せる。本当にテナー・サックスの技量自体もそうだけど、彼もしなやかに枠超えしちゃう名人、なり。一緒に録音しても面白そうと思った。
<このところのSNS>
まるっきりその手のものに弱く、自ら動いたことはないが、知人の誘いにより(そういうのを受けるのは腰が軽い)、ミクシーも、トゥイッターも、フェイスブックも入っている。うち、頭の二つは休業状態。ミクシーなんてパスワードを忘れちゃってて自分でここ3年ぐらい開いてもいない。ま、フェイスブックもそうなるはずだったんだが、ここ1ヶ月強ほど友達希望がけっこう来ていてビックリ。ある先輩に写真ぐらい入れなよと言われ、ならとクラーク志織さんが描いてくれた絵を載せたら、それ以降、そこそこ賑やかなことになっている。目に訴える力ってすごいんだな。かといって、自分から書き込むとかはしないので(その仕方も良くわからない)、自分から友達希望を出す事は今のところはしていないが。一つびっくりするのは、<友達かも>という本部からの情報に、かつて付き合いがあった人の名前があること。で、その案内で、今は海外に住んでいるんだと知ったりもするのだが、どういう回路でその人とぼくが知り合いであると推測するのか。友達がダブっているならもちろん理解できるのだが、一切友達の重なりがないのに、ひょっこりそういう案内が来るとビビります。
香月さやか、Mucho、柴田亮太郎
2011年6月7日 音楽 「日本人ってすごいよね。自分が好きな事や興味ができると気軽に外に飛び出して、その中枢に入りこんでいる。どこに行ってもそういう日本人はいて、それを目の当たりにすると、日本人にはかなわないと思っちゃう」といういうようなことを大昔にインタヴューしたさい言っていたのは、シンガポール発のグローバル視点を持つキッチュなポップ・ミュージック表現で一世を風靡したディック・リー。その後、シンガポールのソニー・ミュージックだかのお偉方にも就く彼だが、英国留学経験もあり、人一倍しなやかなでもある彼がそう思うのかと、軽い違和感をぼくは覚えたことがあった。でも、ヴァイオリニストの香月さやか(2011年1月21日)はまさしく、そういう行動力を持つ、かなわないなあー的な日本人と言う事ができるんだろう。彼女はキューバ音楽にやられてキューバに住んで流儀を獲得するとともに様々な人と付き合いを重ね、その後も日本とキューバを行き来している。ついでに、その人脈の流れから、ニューエイジ・ミュージックの大スターのヤニーのツアーに参加する機会を持ち、お大尽楽旅を経験したこともあった。
青山・プラッサオンゼ。生ギター奏者を従えて(うち、柴田はフラメンコ系の奏者)のくだけたギグ。キューバ曲だけでなく、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(2007年9月26日、他)に入れるじゃんと思わせるジプシー調の曲をやったり。けっこう、歌も歌う。自己アルバムはSAYAKA名義で出している彼女はこの秋に来日するオマーラ・ポルトゥオンド(2001年2月9日)の来日公演にも参加するという。
<今日の備忘録>
10月8日に慶事があることを告げられる。万難を排して行きます、と言ったものの、父の七回忌もそのあたり。あちゃー、ぜんぶ母親にまかせっぱなし。こうやって書いておくと、きっと重なることはなくなるはず? おまじない、じゃ。
青山・プラッサオンゼ。生ギター奏者を従えて(うち、柴田はフラメンコ系の奏者)のくだけたギグ。キューバ曲だけでなく、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(2007年9月26日、他)に入れるじゃんと思わせるジプシー調の曲をやったり。けっこう、歌も歌う。自己アルバムはSAYAKA名義で出している彼女はこの秋に来日するオマーラ・ポルトゥオンド(2001年2月9日)の来日公演にも参加するという。
<今日の備忘録>
10月8日に慶事があることを告げられる。万難を排して行きます、と言ったものの、父の七回忌もそのあたり。あちゃー、ぜんぶ母親にまかせっぱなし。こうやって書いておくと、きっと重なることはなくなるはず? おまじない、じゃ。
アート・リンゼイ、大友良英
2011年6月8日 音楽 パンク・ニューウェイヴ旋風が吹き荒れていた70年代後半のNYには、パンク、フリー・ジャズ/ノイズ、ファンクとかを駄々っ子のように重ね合わせようとした一団がいて、それは<ノー・ウェイヴ>と呼ばれもしたが、アート・リンゼイ(当時は、DNAというバンドをやっていた。彼はザ・ラウンジ・リザーズのデビュー作にも参加)はまさにそうしたなかから出てきた最たるスター(1999年12月9日、2002年9月9日、2004年11月21日)と言えるか。オ−ネット・コールマン一派や彼に傾倒しなかったら、90年代上半期に4社からだしたコンピ・シリーズ『フリー・ファンク』を組む事もなかったかもなー。ちょうど、組んでいたときに来日が重なったことがあり、彼に選曲リストを見せて、感想をもとめたこともあったな。
渋谷・デュオ。ショウの一部は完全ソロ。アンビシャス・ラヴァーズを組んでいたとき(87年ごろ?)に、六本木のロマニシェス・カフェでソロ・パフォーマンスのギグをやったことがあったが、彼のソロ演奏に触れるのはそれ以来だ。まったくチューニングしない12弦ギター(弦の数が多い方が楽器音の厚み/インバクトを得る事ができ、また偶発的な音ヴァリエーションは増える)を無勝手流にかき鳴らしたり爪弾いたりするというのは、あのときと同様。四半世紀前のときはアンプのイコライザーを中抜き(高音と低音の音比重をあげていて、音の立ち/扇情性を増させていた)にしていたが、今回はどうだったのだろう。少し、使用エフェクターは増えていたのかな? そりゃ長年やっているぶん、ギターの狼藉音表出方策のヴァリエーションは増えているが、年とったぶんだけ瞬発力は減り、こっちもいろいろと接してきているぶん予定調和な感覚は残念ながら増していると感じちゃうところはあったと思う。ただ前はインストの比重が高かったところ、今回はすべての曲/塊で詠唱と言いたくなる彼ならではの漂う歌をかましてくれたわけで(その際、ギターは打楽器音のように入れられるわけね)、それはまた新たな感興を生むに至っていたか。歌はポルトガル語か英語にて、ポルトガル語曲はけっこう有名なブラジル曲も歌ったようだ。その歌とギターのかみあいは妙な個体のゆらぎ、オリジナルな存在の発露を感じさせてくれるわけで、すっこーんと枠を抜けたしなやかさ/ちゃらんぽらんの素敵を受け手に与えたはず。やっぱ、華奢でお洒落な人だけど、我が道を行く芯の太さは相当なものだよなー。ブライアン・イーノからデイヴィッド・バーン、坂本龍一まで、いろんな人から頼りにされるのは、そんな部分も大きいのではないか。
そして、2部はリンゼイと大友良英(2009年5月31日、他)のデュオ。2人の顔合わせは、今回が初めてだそう。世代的に大友も<ノー・ウェイヴ>体験を持つはずで、そっちのほうに怒濤の流れ込みを見せる?かと、一抹の期待をしたが、一部ノイジーな重なりを見せはするものの、それはなし。基本は、一部で見せたリンゼイのパフォーマンスがあり、その曲(調)を敏感に察知する大友が調性を持ちつつ寄り添い、そこからやんわり発展するという感じ。1曲目の大友の演奏はビル・フリゼール(2011年1月30日、他)みたいだった。けっこう、リンゼイは思いつきで曲を噛ます〜横の譜面立てに沢山歌詞カードをおいていて、どっしよーかーという感じで選んでいた〜ので、大友は次は何が出てくるのか戦々恐々のところあったみたい。でも、経験豊かで研ぎすまされた彼は愛たっぷり、相手役をこなす。途中、「オレも歌っているんだから、オモエも歌えと言われてブルーなんですけど。しょうがないんで、昔のフォーク・ソングを歌います」というようなことを言って、大友は1曲訥々と歌う。味、ある。それ識者によれば、加川良の曲であるそう。
<今日の初めて>
なんとアート・リンゼイは開演時間よりも2分ほど早くステージに出てきて、パフォーマンスを始める。時間きっかりという人は過去いたはずだが、早く出てきた人は初めて接するような。18歳までブラジルで育ち、ここ10年強はきっちりブラジルに住んでいるはずのアートではあり、かなりすちゃらかした部分も持つ(そのため、結婚しバイーア居住だったところ、奥様から三行半を突きつけられ、現在はリオ住まいになったみたい)が、時間の部分においてはきっちりせっかち?
渋谷・デュオ。ショウの一部は完全ソロ。アンビシャス・ラヴァーズを組んでいたとき(87年ごろ?)に、六本木のロマニシェス・カフェでソロ・パフォーマンスのギグをやったことがあったが、彼のソロ演奏に触れるのはそれ以来だ。まったくチューニングしない12弦ギター(弦の数が多い方が楽器音の厚み/インバクトを得る事ができ、また偶発的な音ヴァリエーションは増える)を無勝手流にかき鳴らしたり爪弾いたりするというのは、あのときと同様。四半世紀前のときはアンプのイコライザーを中抜き(高音と低音の音比重をあげていて、音の立ち/扇情性を増させていた)にしていたが、今回はどうだったのだろう。少し、使用エフェクターは増えていたのかな? そりゃ長年やっているぶん、ギターの狼藉音表出方策のヴァリエーションは増えているが、年とったぶんだけ瞬発力は減り、こっちもいろいろと接してきているぶん予定調和な感覚は残念ながら増していると感じちゃうところはあったと思う。ただ前はインストの比重が高かったところ、今回はすべての曲/塊で詠唱と言いたくなる彼ならではの漂う歌をかましてくれたわけで(その際、ギターは打楽器音のように入れられるわけね)、それはまた新たな感興を生むに至っていたか。歌はポルトガル語か英語にて、ポルトガル語曲はけっこう有名なブラジル曲も歌ったようだ。その歌とギターのかみあいは妙な個体のゆらぎ、オリジナルな存在の発露を感じさせてくれるわけで、すっこーんと枠を抜けたしなやかさ/ちゃらんぽらんの素敵を受け手に与えたはず。やっぱ、華奢でお洒落な人だけど、我が道を行く芯の太さは相当なものだよなー。ブライアン・イーノからデイヴィッド・バーン、坂本龍一まで、いろんな人から頼りにされるのは、そんな部分も大きいのではないか。
そして、2部はリンゼイと大友良英(2009年5月31日、他)のデュオ。2人の顔合わせは、今回が初めてだそう。世代的に大友も<ノー・ウェイヴ>体験を持つはずで、そっちのほうに怒濤の流れ込みを見せる?かと、一抹の期待をしたが、一部ノイジーな重なりを見せはするものの、それはなし。基本は、一部で見せたリンゼイのパフォーマンスがあり、その曲(調)を敏感に察知する大友が調性を持ちつつ寄り添い、そこからやんわり発展するという感じ。1曲目の大友の演奏はビル・フリゼール(2011年1月30日、他)みたいだった。けっこう、リンゼイは思いつきで曲を噛ます〜横の譜面立てに沢山歌詞カードをおいていて、どっしよーかーという感じで選んでいた〜ので、大友は次は何が出てくるのか戦々恐々のところあったみたい。でも、経験豊かで研ぎすまされた彼は愛たっぷり、相手役をこなす。途中、「オレも歌っているんだから、オモエも歌えと言われてブルーなんですけど。しょうがないんで、昔のフォーク・ソングを歌います」というようなことを言って、大友は1曲訥々と歌う。味、ある。それ識者によれば、加川良の曲であるそう。
<今日の初めて>
なんとアート・リンゼイは開演時間よりも2分ほど早くステージに出てきて、パフォーマンスを始める。時間きっかりという人は過去いたはずだが、早く出てきた人は初めて接するような。18歳までブラジルで育ち、ここ10年強はきっちりブラジルに住んでいるはずのアートではあり、かなりすちゃらかした部分も持つ(そのため、結婚しバイーア居住だったところ、奥様から三行半を突きつけられ、現在はリオ住まいになったみたい)が、時間の部分においてはきっちりせっかち?
南青山・ブルーノート東京で、35年のキャリアを持つ著名ブラジリアン・フュージョン・グループのショウを見る。ファースト・ショウ、かなりの客の入り。キーボード、電気ベース、ドラム(ちょい披露したパンデイロのソロ、うれし)、彼らはオリジナル・メンバーであったのかな。ブラジル的機微と、米国的グルーヴ/フュージョン的ハーモニー感覚を重ねたインスト主体表現を届ける。オリジナルに加え、ジョビン「3月の雨」なども披露。けっこういい年をしたおじちゃんたち、悠々のステージングなり。
<今日のメール>
元ジャネイのジーン・ベイラー(2007年12月13日)から、唐突の案内メールが届く。この17日の20時にフィラデルフィアのリンカーン・ノワールというところで、ジャズ・ルーツに立ちかえった無料のショウを行なうよし。添付されていた写真も容色おとろえていないし、もう一発花を開かせてほしいが。
<今日のメール>
元ジャネイのジーン・ベイラー(2007年12月13日)から、唐突の案内メールが届く。この17日の20時にフィラデルフィアのリンカーン・ノワールというところで、ジャズ・ルーツに立ちかえった無料のショウを行なうよし。添付されていた写真も容色おとろえていないし、もう一発花を開かせてほしいが。
すんごく、愛とココロのあるショウだったな。もうウキウキ、ポカポカした気持ちになれました。
熟練ブルース歌手/ギタリスト(2006年7月23日)が若手のファンク系バンド複数と重なり、これまで彼が歌わなかったろうソウル/ポップ曲をカヴァーするという新作『黒くなれ』のリリースを祝う公演。目黒・ブルースアレイ。同作をプロデュースしたキーボード奏者のSWING-Oをバンド・リーダーに、録音に関わっていたMountain Mocha Kilimanjaro(2008年5月30日、2010年5月23日)他のバンドの選抜群者7人(三管)によるサポートなり。で、驚いたのは、その寄せ集めバンドの音/佇まいの良さ。それ、アルバムで聞かれるものより、ずっとぼくの耳にはグっと来た。偉大な先輩にハジかかせちゃいけねえと、けっこうリハもやったのかな。あと、フフフとなれたのはMC(とバッキング・ヴォーカル)もこなしたSWING-Oの気安くも実直なノリ。たぶん、ぼくは彼に初めて接すると思うが、いい感じを出す人だった。なんでも、40代の彼が上の世代(近藤)と下の世代(伴奏陣)をつなぐ意図もアルバムにはあったという。彼、ローズ、オルガン音を代用させるノード・エレクトロ、ピアノを用いていたが、それは昨日のアジムスのホセ・ロベルト・ベルトラミと同じ。
還暦を迎えてしまった近藤は若々しく、チャーミング。声も良く出ている。当然、歌い口はアーシーでもあるんだが、そうでありつつ澄んだ情感を聞き手に与えるのは彼の大きな美点だと再確認。途中、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」ではアルバムでバッキングしていた女性4人組バンドのズクナシの面々がソウル・シスターな格好で出てきて、歌をつける。この晩の前座は、米国ツアーを3月にやった彼女たちがやったはず。本編しか見れず、とっても残念。
ステージ上のミュージシャン間で、ステージと客席側とで、熱い気持ちの交歓があり。ぼくは無形の音楽の素敵をたっぷり実感した。
<今日の感慨>
高揚し流れた先で、もう1年たつんですねー、と言われる。へ? サッカーのW杯のことであった。そっかー、昨年の今頃は家でTVが見れないもんだから、TV放映をもとめてジプシー化していたんだよなー。6月11日から7月11日にかけての本欄の原稿もけっこうそれに触れているもんなー。1ヶ月もワールドカップ主体の生活を送ったのか。気張っていたな、オレ(笑い)。まあ、試合結果に一喜一憂していたのは多くの来日ミュージシャンも同じだったわけだが。今年は梅雨入りは早かったが、雨量は少ない。また、暑さも昨年からみれば、控え目なり。
熟練ブルース歌手/ギタリスト(2006年7月23日)が若手のファンク系バンド複数と重なり、これまで彼が歌わなかったろうソウル/ポップ曲をカヴァーするという新作『黒くなれ』のリリースを祝う公演。目黒・ブルースアレイ。同作をプロデュースしたキーボード奏者のSWING-Oをバンド・リーダーに、録音に関わっていたMountain Mocha Kilimanjaro(2008年5月30日、2010年5月23日)他のバンドの選抜群者7人(三管)によるサポートなり。で、驚いたのは、その寄せ集めバンドの音/佇まいの良さ。それ、アルバムで聞かれるものより、ずっとぼくの耳にはグっと来た。偉大な先輩にハジかかせちゃいけねえと、けっこうリハもやったのかな。あと、フフフとなれたのはMC(とバッキング・ヴォーカル)もこなしたSWING-Oの気安くも実直なノリ。たぶん、ぼくは彼に初めて接すると思うが、いい感じを出す人だった。なんでも、40代の彼が上の世代(近藤)と下の世代(伴奏陣)をつなぐ意図もアルバムにはあったという。彼、ローズ、オルガン音を代用させるノード・エレクトロ、ピアノを用いていたが、それは昨日のアジムスのホセ・ロベルト・ベルトラミと同じ。
還暦を迎えてしまった近藤は若々しく、チャーミング。声も良く出ている。当然、歌い口はアーシーでもあるんだが、そうでありつつ澄んだ情感を聞き手に与えるのは彼の大きな美点だと再確認。途中、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」ではアルバムでバッキングしていた女性4人組バンドのズクナシの面々がソウル・シスターな格好で出てきて、歌をつける。この晩の前座は、米国ツアーを3月にやった彼女たちがやったはず。本編しか見れず、とっても残念。
ステージ上のミュージシャン間で、ステージと客席側とで、熱い気持ちの交歓があり。ぼくは無形の音楽の素敵をたっぷり実感した。
<今日の感慨>
高揚し流れた先で、もう1年たつんですねー、と言われる。へ? サッカーのW杯のことであった。そっかー、昨年の今頃は家でTVが見れないもんだから、TV放映をもとめてジプシー化していたんだよなー。6月11日から7月11日にかけての本欄の原稿もけっこうそれに触れているもんなー。1ヶ月もワールドカップ主体の生活を送ったのか。気張っていたな、オレ(笑い)。まあ、試合結果に一喜一憂していたのは多くの来日ミュージシャンも同じだったわけだが。今年は梅雨入りは早かったが、雨量は少ない。また、暑さも昨年からみれば、控え目なり。
Tokyo Boot Up_New Music Bowl Vol.4
2011年6月17日 音楽 昨年から始まった、米国サウス・バイ・サウスウェストのような東京発の音楽見本市(2010年9月3日、参照)のプリ・イヴェントで、5組の新進が出るもの。新宿・マーズ。
会場に着くと、2番目の出演者であるような、生ギター弾き語りの女性がやっている。ぼくの好みとはあまりにかけ離れていて(でも、真っすぐな情緒は零れでていたかな)、以後もこういう音楽性の出演者が出てくるのかと危惧したら、続く3組は完全に洋楽と横並びの音を聞かせるバンドで、とってもにっこり。
次に出てきたのは、Arisa Safu and the Rovers。伸びやかな風情を持つ女性シンガー/ギタリストをフロントに置く5人組で、なんと選任のハーモニカ奏者がいる! それだけで、J.ガイルズ・バンドやウォーが大好きなぼくのメーターはあがる。で、そんな彼女らは勘所をおさえたアーシィなロックを、なんとも瑞々しく送り出す。いいじゃないかっ。で、最初B1Fから見下ろす感じで見ていたんだが、こりゃたまらんと下のステージ・フロアに降り、真正面から受けとめる。すげえ、1曲でぼくのココロをつかんじゃったゾ。曲も作っているArisa嬢はインターナショナル・スクールを経てモントリオールの大学を出ているそうで作る曲は英詞を用いるが、普遍的なものとばっちり繋がった表現は地に足をつけつつキラキラ輝いていて、これは良い。昨年のフジ・ロックにも出ているようだが、ぼくがレコード会社のA&Rなら速攻で取っちゃうと思った。後で2010年制作の4曲入りCDを聞いたら過剰にのぼせ上がるものではなかったが、それも日々成長している証左であるだろうし、ライヴのほうが数段魅力的である(実演のほうが、黒っぽくも感じる)ほうが前途有望ではないか。
続く、Metro Orgenは米国のスリル・ジョッキーからアルバムを出しているんですよと聞かされても、そうかと思ってしまう4人組。先のバンドより、よりコンテンポラリーな地点で洋楽に感化された自分たちの音を作ろうとしている連中と言えそうで、それにも好印象。ギターの2人が男性で(リード・ヴォーカルはうち一人が取る)、ベースとドラムが女性という編成も魅力的。2002年結成というからそれなりにキャリアはありそうだが、バンド活動に疲弊していると見受けられる部分も皆無だし、これも応援するにたる。その『EDEN』という新作も良く練られている。
そして、この晩の最後の出演者はcounterpartsというギター・バンド。これももろに洋楽的な音(少し、マンチェ系?)を送り出す連中で頷く。昨年の同イヴェントで海外関係者から評価がたかったという話にも納得。そのバンド音志向への共感度は前の二つより少し落ちるが、彼らの場合、トリを務めるのを納得させるような線の太さ〜押しだしの明晰さのようなものを感じさせてくれたな。それも、バンド力、なり。
皆さん、意気にもえて、頑張っていらっしゃる。ちょっと見ただけでも感心しっぱなしなんだから、現在やっぱり日本の魅力的な若手バンドは多いんだろうなーと思わずにはいられない。ま、主宰団体のセレクションも当を得ているのかもしれないが。ともあれ、本当にそれを追おうとするなら、気が遠くなる作業であるとも痛感。ぼくは洋楽中心で書いているものでポリポリという狡いエクスキューズが頭のなかに渦巻いた(本当は、そんなの区別するべきではないよね)が、邦楽をメインに仕事をしている方々、一体どうしているのだろう。
ともあれ、見れて有意義と思わずにはいられず。同プリ・イヴェントの次回は7月7日だそう。そして、今年は10月23〜25日にわたって、正イヴェントは開かれるという。
http://tokyobotup.jp/
<今日の、新宿>
会場に行くために、ひさしぶりに歌舞伎町にはいる。足を踏み入れるのは、新宿にリキッドルームがあったころ以来だから、8年ぶりぐらいか。驚いたことに、まだリッキッド・ルームの建物はあった。閉館となったコマ劇場もまわりに策が作られつつ、まだあった。新宿は基本、ぼくにはなんの縁もない街……。
会場に着くと、2番目の出演者であるような、生ギター弾き語りの女性がやっている。ぼくの好みとはあまりにかけ離れていて(でも、真っすぐな情緒は零れでていたかな)、以後もこういう音楽性の出演者が出てくるのかと危惧したら、続く3組は完全に洋楽と横並びの音を聞かせるバンドで、とってもにっこり。
次に出てきたのは、Arisa Safu and the Rovers。伸びやかな風情を持つ女性シンガー/ギタリストをフロントに置く5人組で、なんと選任のハーモニカ奏者がいる! それだけで、J.ガイルズ・バンドやウォーが大好きなぼくのメーターはあがる。で、そんな彼女らは勘所をおさえたアーシィなロックを、なんとも瑞々しく送り出す。いいじゃないかっ。で、最初B1Fから見下ろす感じで見ていたんだが、こりゃたまらんと下のステージ・フロアに降り、真正面から受けとめる。すげえ、1曲でぼくのココロをつかんじゃったゾ。曲も作っているArisa嬢はインターナショナル・スクールを経てモントリオールの大学を出ているそうで作る曲は英詞を用いるが、普遍的なものとばっちり繋がった表現は地に足をつけつつキラキラ輝いていて、これは良い。昨年のフジ・ロックにも出ているようだが、ぼくがレコード会社のA&Rなら速攻で取っちゃうと思った。後で2010年制作の4曲入りCDを聞いたら過剰にのぼせ上がるものではなかったが、それも日々成長している証左であるだろうし、ライヴのほうが数段魅力的である(実演のほうが、黒っぽくも感じる)ほうが前途有望ではないか。
続く、Metro Orgenは米国のスリル・ジョッキーからアルバムを出しているんですよと聞かされても、そうかと思ってしまう4人組。先のバンドより、よりコンテンポラリーな地点で洋楽に感化された自分たちの音を作ろうとしている連中と言えそうで、それにも好印象。ギターの2人が男性で(リード・ヴォーカルはうち一人が取る)、ベースとドラムが女性という編成も魅力的。2002年結成というからそれなりにキャリアはありそうだが、バンド活動に疲弊していると見受けられる部分も皆無だし、これも応援するにたる。その『EDEN』という新作も良く練られている。
そして、この晩の最後の出演者はcounterpartsというギター・バンド。これももろに洋楽的な音(少し、マンチェ系?)を送り出す連中で頷く。昨年の同イヴェントで海外関係者から評価がたかったという話にも納得。そのバンド音志向への共感度は前の二つより少し落ちるが、彼らの場合、トリを務めるのを納得させるような線の太さ〜押しだしの明晰さのようなものを感じさせてくれたな。それも、バンド力、なり。
皆さん、意気にもえて、頑張っていらっしゃる。ちょっと見ただけでも感心しっぱなしなんだから、現在やっぱり日本の魅力的な若手バンドは多いんだろうなーと思わずにはいられない。ま、主宰団体のセレクションも当を得ているのかもしれないが。ともあれ、本当にそれを追おうとするなら、気が遠くなる作業であるとも痛感。ぼくは洋楽中心で書いているものでポリポリという狡いエクスキューズが頭のなかに渦巻いた(本当は、そんなの区別するべきではないよね)が、邦楽をメインに仕事をしている方々、一体どうしているのだろう。
ともあれ、見れて有意義と思わずにはいられず。同プリ・イヴェントの次回は7月7日だそう。そして、今年は10月23〜25日にわたって、正イヴェントは開かれるという。
http://tokyobotup.jp/
<今日の、新宿>
会場に行くために、ひさしぶりに歌舞伎町にはいる。足を踏み入れるのは、新宿にリキッドルームがあったころ以来だから、8年ぶりぐらいか。驚いたことに、まだリッキッド・ルームの建物はあった。閉館となったコマ劇場もまわりに策が作られつつ、まだあった。新宿は基本、ぼくにはなんの縁もない街……。
マリーナ・ショウ(2003年6月11日)は<R&Bとジャズ>とか<野卑さと洗練>というような極に片足づつ置き、腰をぐいぐいグラインドさせているような42年生まれのアフリカ系シンガーだ。そんな彼女をアイデンティファイする有名作が、当時新進であったベナード・アイグナーがプロデュースした『フー・イズ・ディス・ビッチ、エニウェイ?』(ブルーノート、74年)。同作の再評価気運の高さからか、彼女はオリジナル作に参加していた著名奏者を集めたライヴをやっていて、ここのところその設定で毎年来日している。六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。
バンドの構成員は、ピアノ/電気ピアノのラリー・ナッシュ、ギターのデイヴィッド・T・ウォーカー(2010年12月11日、他)、ベースのチャック・レイニー(え、ぼくが生で彼を見るのは初めて? まさか。でも、記憶にない。奏者紹介のさい、拍手が一番大きかったのが彼だったかも)、ハーヴィ・メイソン(2010年7月9日、他)という面々。かつてのアルバムにはビル・メイズ(2011年3月26日。名前は出していないが、フィル・ウッズ・カルテットでピアノを弾いていたのは彼)やデレク&ザ・ドミノズやトラフィックに入ったこともあったドラマーのジム・ゴードンをはじめ、他にもプレイヤーは参加していたが、その奏者選択はなんとなく納得ですね。ロスのユナイテッド・アーティスツ傘下に置かれ、ジョージ・バトラーが上に立った体制での当時のブルーノートにおいて、T・ウォーカーやレイニーやメイソンは殆どハウス・ミュージシャンという感じであった。
というわけで、披露した半数強の曲は『フー・イズ・ディス・ビッチ、エニウェイ?』に入っていた曲。同作は女性のサバけたしたたかさを出すような他愛ない男女の会話「ストリート・ウォーキング・ウーマン」で幕を開けるが、2曲目でショウはメイソンと共にそれを臨機応変に再現。そのとき、ナッシュはBGM風にピアノを弾いたが、その曲はリヴァーサイド・レーベルからリーダー作を出していたヴァイブラフォン奏者のジョニー・リトルの「ソウル・タイム」。リトルともどもそんなに有名な曲ではないと思うが、93年に組んだソウル・ジャズのコンピ盤シリーズ<ソウル・ソサエティ>の『スウィート・アン・サワー』(ビクター)でこの曲をぼくは選んだことがあった……。
歌も演奏も手慣れたもん、無理なく、いい感じ。T-ウォーカーはソロ・パートで大張り切り。素晴らしいっ。そして、マリーナ・ショウの歌い方はいい意味で我が道を行く気分屋さんぽいノリが出ていて、きっと歌詞もノリで歌い飛ばしているんだなろうなーと思わずにはいられず。だが、そういう<いい加減>さも米国黒人音楽の美徳なのだ。と、彼女の存在感ある歌はそう実感させますね。そういえば、マリーナ・ショウは歌っていてキブンで別の曲をちょい歌ったりもしたが、そういう“引用”は大昔からジャズ器楽奏者は頻繁にやっていたこと。ヒップポップのサンプリングはずっと引き継がれてきたアフリカン・アメリカン芸であるのだと鮮やかに示唆する部分もあって、いろんな部分で満たされた気持ちになった。
<今日の車内広告>
帰りの地下鉄、車内広告を見ていたら、セゾン保険の自動車保険の広告がドアの窓にペタリと張られている。昔からあるのかもしれないが、西武も乗り出しているのか。ソニーが保険業に参入したときにも驚いたが、ホケン業ってそんなにもうかるの? 安そうだった(念入りに調べてないので、そういう書き方になる)ので、自動車保険はソニー損保のものに入っているワタシではありますが。
バンドの構成員は、ピアノ/電気ピアノのラリー・ナッシュ、ギターのデイヴィッド・T・ウォーカー(2010年12月11日、他)、ベースのチャック・レイニー(え、ぼくが生で彼を見るのは初めて? まさか。でも、記憶にない。奏者紹介のさい、拍手が一番大きかったのが彼だったかも)、ハーヴィ・メイソン(2010年7月9日、他)という面々。かつてのアルバムにはビル・メイズ(2011年3月26日。名前は出していないが、フィル・ウッズ・カルテットでピアノを弾いていたのは彼)やデレク&ザ・ドミノズやトラフィックに入ったこともあったドラマーのジム・ゴードンをはじめ、他にもプレイヤーは参加していたが、その奏者選択はなんとなく納得ですね。ロスのユナイテッド・アーティスツ傘下に置かれ、ジョージ・バトラーが上に立った体制での当時のブルーノートにおいて、T・ウォーカーやレイニーやメイソンは殆どハウス・ミュージシャンという感じであった。
というわけで、披露した半数強の曲は『フー・イズ・ディス・ビッチ、エニウェイ?』に入っていた曲。同作は女性のサバけたしたたかさを出すような他愛ない男女の会話「ストリート・ウォーキング・ウーマン」で幕を開けるが、2曲目でショウはメイソンと共にそれを臨機応変に再現。そのとき、ナッシュはBGM風にピアノを弾いたが、その曲はリヴァーサイド・レーベルからリーダー作を出していたヴァイブラフォン奏者のジョニー・リトルの「ソウル・タイム」。リトルともどもそんなに有名な曲ではないと思うが、93年に組んだソウル・ジャズのコンピ盤シリーズ<ソウル・ソサエティ>の『スウィート・アン・サワー』(ビクター)でこの曲をぼくは選んだことがあった……。
歌も演奏も手慣れたもん、無理なく、いい感じ。T-ウォーカーはソロ・パートで大張り切り。素晴らしいっ。そして、マリーナ・ショウの歌い方はいい意味で我が道を行く気分屋さんぽいノリが出ていて、きっと歌詞もノリで歌い飛ばしているんだなろうなーと思わずにはいられず。だが、そういう<いい加減>さも米国黒人音楽の美徳なのだ。と、彼女の存在感ある歌はそう実感させますね。そういえば、マリーナ・ショウは歌っていてキブンで別の曲をちょい歌ったりもしたが、そういう“引用”は大昔からジャズ器楽奏者は頻繁にやっていたこと。ヒップポップのサンプリングはずっと引き継がれてきたアフリカン・アメリカン芸であるのだと鮮やかに示唆する部分もあって、いろんな部分で満たされた気持ちになった。
<今日の車内広告>
帰りの地下鉄、車内広告を見ていたら、セゾン保険の自動車保険の広告がドアの窓にペタリと張られている。昔からあるのかもしれないが、西武も乗り出しているのか。ソニーが保険業に参入したときにも驚いたが、ホケン業ってそんなにもうかるの? 安そうだった(念入りに調べてないので、そういう書き方になる)ので、自動車保険はソニー損保のものに入っているワタシではありますが。
チャカ・カーン(2008年6月5日、他)を送り出したルーファス(2008年12月4日、2010年1月20日)はけっこうオルタナティヴなバンドだったと思う。型破りな若年アフリカ系女性歌手(カーンのことですね)をフロントにたてた白黒混合編成を持つ集団で、77年ごろまでの内実は一筋縄ではいかないロッキン・ソウル・バンドというものだった。で、それゆえファンになったろうスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日)は74年に「テル・ミー・サムシング・グッド」をプレゼントしたりもしたのだ。話はズレるが、その2、3年前には、ジェフ・ベック(2009年2月6日)に「迷信」を贈っていますね。あの曲、似たような時期にワンダーのヴァージョンも発表されているが、元々はかっとび具合を愛でたワンダーがベックのために書いた曲なのだ。
そんなわけだから、ルーファスは才豊かなミュージシャンが在籍し、特にプロデューサー的資質に恵まれた人が多かった。ドラマーのアンドレ・フィッシャー(一時は、MCAレコードの副社長にもなったはず)、ドラマーのジョン・ロビンソン、鍵盤のデイヴィッド“ホウク”ウォリンスキらは、一頃はほんとうに制作者として華々しかったな。ルネ&アンジェラを制作したこともあったベースのボビー・ワトソンは一時期日本の音楽界でプロデュース活動していたことがあって、宮沢りえにデイヴィッド・ボウイの75年全米1位曲「フェイム」(ボウイとジョン・レノンとアルロス・アロマーの共作)の日本語詞曲(「GAME」)を歌わせたっけ。
そんななか、トニー・メイデンは純粋なプレイヤー型ミュージシャンだったが、それゆえ彼はルーファスに在籍しつつ、ビリー・プレストン、ジ・アイズレー・ブラザーズ(2004年3月1日、他)、カーク・ウェイラム(2011年2月28日)、アル・ジャロウ(2003年3月13日)など、いろんな人のアルバムでギターを弾いていたりもする。現在のルーファスはメイデンが100%掌握するバンドであり、それによりガチっとした黒い芯や明快なファンキーさをだすようになった。そして、音楽的に賢い彼はチャカ・カーンの穴を埋めるのに複数のシンガーをカラフルに配する方策はアリと考えていて、このところの来日公演はいろんなシンガーを連れてきているわけだ。
そして、今回は<ザ・ドウターズ・オブ・ファンク>という名目のもと、前回同行した自分の娘(アマンダ・メイデン)とカーンの娘(インディラ・カーン)に加え、スライ・ストーンの娘であるファン・ロビンソン・ストーンの3人のヴォーカル陣のもと、ショウを行なった。メイデンも過去同様、随所で歌う。曲はルーファスの有名曲(それをカーンの娘が歌うだけで、うれしくなる)を中心に。途中、アコースティック・ギターを手に取り、アコースティック調で行くパートもあり。その際、日本の被災を受けて作った「ホールド・オン・トゥ・ア・フレンド」という新曲もアマンダ・メイデンのリードで披露した。
スライ・ストーンの娘は他の2人のシンガーがかなり小柄なので、少し大きく見える。スライは背が低いが、お母さんは大きな人なのだろうか。年齢は20代半ばあたり? 最初サングラスをしていて、そのときはツっぱって見えて、ザップ・ママのマリー・ドルヌ(2004年12月16日)に似ていると思った。でも、途中からそれを取ったら、朗らかな感じで可愛らしい。スライ・ストーンの74年作『スモール・トーク』(エピック)のジャケット・カヴァーは、彼と妻の白人女優キャスリーン・シルヴァと生まれてそんなにたたない息子のポートレイト。2人はすぐに離婚し、ファン・ロビンソンはその後のスライ・ストーンがより人間をやめるようになってからの娘と考えられるが。そういえば、オリジナル・メンバーのシンシア・ロビンソン(トランペット。2008年9月1、2日)との間にも子供をもうけたという話もあるが、どうなのか。ともあれ、前半に偉大なスライ・ストーンの娘とファンが紹介されて「サンキュー」が始まり、彼女がリード・ヴォーカルを取るかと思ったら、皆で歌う。ありゃりゃ。その後も、彼女だけはリードのパートを与えられず、他の2人より実力が劣るのかと思ったが、アンコール最後のスライ・ストーン曲「アイ・ワナ・テイク・ユー・ハイヤー」で彼女はようやくリード・ヴォーカルを取った! なんだあ、別に問題なく歌えるじゃん。ホっとした。……やっぱ、楽しかったなー。
なお、今回はメイデンと同じオリジナル・メンバーである白人キーボード奏者であるケヴィン・マーフィーは体調不良で同行キャンセル。が、彼は過去の実演でも控え目に鍵盤を押さえているだけなので、実害はゼロであったと思う。彼はルーファス作以外に入っているアルバムが殆どないという、ルーファス一直線の人ではあるけれど。
<ここのところの、アンジェロ>
CDリリース/販売がどんずまりになったミレニアムにおいて、米国で話題になったCDリリースの方策/販売会社が、2003年から活動を始めている<アーティストシェア>と言えるだろう。
ようは、このアーティストがこうこうしかじかなアルバムを作りたいという告知を、<アーティストシェア>を通して出して出資者を募る。そのアーティスト/内容に賛同した聞き手は出資するよーんのメールをおくり、設定予算にそれが達するとアーティストはレコーディングし、CDを製作する。面白いのは、出資額にべらぼうに幅があって、一番低いほうの額は音や付属マテリアルのダウンロード権やCDが送られるだけだが(<アーティストシェア>のビジネスはネット配信や通販ビジネスの一般化を下敷きにするものと言えるだろう)、高額だとエグゼクティヴ・プロデューサーとして名前が出せたり、レコーディングに立ち会えたり、はてはライヴ・ショウに楽屋訪問を含むV.I.P.招待やプライヴェイトの実演を受けられるものまで、それはアーティストによっていろんな特典がもうけられていること。一言で言えば、ネット時代のパトロン制度ですね。
本国ではけっこう注目を受け、クラシックからポップまでいろんなアーティストが<アーティストシェア>を通してアルバムを出しているようだが、ぼくが認知している<アーティストシェア>作品はマリア・シュナイダー(同社発の07年作がグラミー賞を取って、アーティストシェアの知名度を高めた)、ジム・ホール(2005年1月18日)、クオン・ブー(2002年9月19日)、ダニーロ・ペレス(2004年2月9日、他)、カート・ローゼンウィンケル(2010年3月12日、他)、ジェフ・キーザー(2005年1月18日)、ジェラルド・クレイトン(彼のCDはアーティスシェアのロゴをまといつつ、ユニヴァーサル系列エマーシィからリリースされた。2009年9月3日、他)らのジャズ・ミュージシャンのものだけ。だが、近年は<アーティストシェア>方式が一般にそれなりに知名度を得たためもあってか、その回路を自分流にアレンジし、個人単位でCDリリース賛同者を求めている人も散見される。
そして、ここからが本題なのだが、フィッシュボーン(2007年4月6日、他)のアンジェロ・ムーアも<キックスターター>(音楽に限らずいろんな商行為達成のために見返りを明記し、資金調達達成を仲介するよう)を用いて、ドクター・マッドヴァイブ(2009年11月25 日)名義の新作を作るために目標$25.000にて出資者を募っている。25ドルから10.000ドル以上(これだと、LAへの航空券/宿つきのもと、ムーアによる誠心誠意の接待が受けられる)まで、10段階に出資額が設定されていますね。この夏に久しぶりの来日公演を果たすフィッシュボーンだが、現在のところ目標額の10分の1弱の調達。締め切りは来月22日のようだ。
http://www.kickstarter.com/projects/137991710/dr-maddvibe-brings-you-the-angelo-show
フィッシュボーンは東京スカパラダイスオーケストラが主宰するトーキョー・スカジャンボリー(今年は8月6日)にも出演するが、スカパラの8月アタマ売りのミニ・アルバムにはアンジェロが歌う「All Good Ska is One」を収録。なだけでなく、本田圭祐が出ているコカコーラ社アクエリアスのTV-CFでその曲が使われているらしい。ぼくんちでは地上波が映らないので未確認だが、アンジェロの歌声がTVから毎日流れる……うわあ、なんて夢のような素敵なことなんだあ!
そんなわけだから、ルーファスは才豊かなミュージシャンが在籍し、特にプロデューサー的資質に恵まれた人が多かった。ドラマーのアンドレ・フィッシャー(一時は、MCAレコードの副社長にもなったはず)、ドラマーのジョン・ロビンソン、鍵盤のデイヴィッド“ホウク”ウォリンスキらは、一頃はほんとうに制作者として華々しかったな。ルネ&アンジェラを制作したこともあったベースのボビー・ワトソンは一時期日本の音楽界でプロデュース活動していたことがあって、宮沢りえにデイヴィッド・ボウイの75年全米1位曲「フェイム」(ボウイとジョン・レノンとアルロス・アロマーの共作)の日本語詞曲(「GAME」)を歌わせたっけ。
そんななか、トニー・メイデンは純粋なプレイヤー型ミュージシャンだったが、それゆえ彼はルーファスに在籍しつつ、ビリー・プレストン、ジ・アイズレー・ブラザーズ(2004年3月1日、他)、カーク・ウェイラム(2011年2月28日)、アル・ジャロウ(2003年3月13日)など、いろんな人のアルバムでギターを弾いていたりもする。現在のルーファスはメイデンが100%掌握するバンドであり、それによりガチっとした黒い芯や明快なファンキーさをだすようになった。そして、音楽的に賢い彼はチャカ・カーンの穴を埋めるのに複数のシンガーをカラフルに配する方策はアリと考えていて、このところの来日公演はいろんなシンガーを連れてきているわけだ。
そして、今回は<ザ・ドウターズ・オブ・ファンク>という名目のもと、前回同行した自分の娘(アマンダ・メイデン)とカーンの娘(インディラ・カーン)に加え、スライ・ストーンの娘であるファン・ロビンソン・ストーンの3人のヴォーカル陣のもと、ショウを行なった。メイデンも過去同様、随所で歌う。曲はルーファスの有名曲(それをカーンの娘が歌うだけで、うれしくなる)を中心に。途中、アコースティック・ギターを手に取り、アコースティック調で行くパートもあり。その際、日本の被災を受けて作った「ホールド・オン・トゥ・ア・フレンド」という新曲もアマンダ・メイデンのリードで披露した。
スライ・ストーンの娘は他の2人のシンガーがかなり小柄なので、少し大きく見える。スライは背が低いが、お母さんは大きな人なのだろうか。年齢は20代半ばあたり? 最初サングラスをしていて、そのときはツっぱって見えて、ザップ・ママのマリー・ドルヌ(2004年12月16日)に似ていると思った。でも、途中からそれを取ったら、朗らかな感じで可愛らしい。スライ・ストーンの74年作『スモール・トーク』(エピック)のジャケット・カヴァーは、彼と妻の白人女優キャスリーン・シルヴァと生まれてそんなにたたない息子のポートレイト。2人はすぐに離婚し、ファン・ロビンソンはその後のスライ・ストーンがより人間をやめるようになってからの娘と考えられるが。そういえば、オリジナル・メンバーのシンシア・ロビンソン(トランペット。2008年9月1、2日)との間にも子供をもうけたという話もあるが、どうなのか。ともあれ、前半に偉大なスライ・ストーンの娘とファンが紹介されて「サンキュー」が始まり、彼女がリード・ヴォーカルを取るかと思ったら、皆で歌う。ありゃりゃ。その後も、彼女だけはリードのパートを与えられず、他の2人より実力が劣るのかと思ったが、アンコール最後のスライ・ストーン曲「アイ・ワナ・テイク・ユー・ハイヤー」で彼女はようやくリード・ヴォーカルを取った! なんだあ、別に問題なく歌えるじゃん。ホっとした。……やっぱ、楽しかったなー。
なお、今回はメイデンと同じオリジナル・メンバーである白人キーボード奏者であるケヴィン・マーフィーは体調不良で同行キャンセル。が、彼は過去の実演でも控え目に鍵盤を押さえているだけなので、実害はゼロであったと思う。彼はルーファス作以外に入っているアルバムが殆どないという、ルーファス一直線の人ではあるけれど。
<ここのところの、アンジェロ>
CDリリース/販売がどんずまりになったミレニアムにおいて、米国で話題になったCDリリースの方策/販売会社が、2003年から活動を始めている<アーティストシェア>と言えるだろう。
ようは、このアーティストがこうこうしかじかなアルバムを作りたいという告知を、<アーティストシェア>を通して出して出資者を募る。そのアーティスト/内容に賛同した聞き手は出資するよーんのメールをおくり、設定予算にそれが達するとアーティストはレコーディングし、CDを製作する。面白いのは、出資額にべらぼうに幅があって、一番低いほうの額は音や付属マテリアルのダウンロード権やCDが送られるだけだが(<アーティストシェア>のビジネスはネット配信や通販ビジネスの一般化を下敷きにするものと言えるだろう)、高額だとエグゼクティヴ・プロデューサーとして名前が出せたり、レコーディングに立ち会えたり、はてはライヴ・ショウに楽屋訪問を含むV.I.P.招待やプライヴェイトの実演を受けられるものまで、それはアーティストによっていろんな特典がもうけられていること。一言で言えば、ネット時代のパトロン制度ですね。
本国ではけっこう注目を受け、クラシックからポップまでいろんなアーティストが<アーティストシェア>を通してアルバムを出しているようだが、ぼくが認知している<アーティストシェア>作品はマリア・シュナイダー(同社発の07年作がグラミー賞を取って、アーティストシェアの知名度を高めた)、ジム・ホール(2005年1月18日)、クオン・ブー(2002年9月19日)、ダニーロ・ペレス(2004年2月9日、他)、カート・ローゼンウィンケル(2010年3月12日、他)、ジェフ・キーザー(2005年1月18日)、ジェラルド・クレイトン(彼のCDはアーティスシェアのロゴをまといつつ、ユニヴァーサル系列エマーシィからリリースされた。2009年9月3日、他)らのジャズ・ミュージシャンのものだけ。だが、近年は<アーティストシェア>方式が一般にそれなりに知名度を得たためもあってか、その回路を自分流にアレンジし、個人単位でCDリリース賛同者を求めている人も散見される。
そして、ここからが本題なのだが、フィッシュボーン(2007年4月6日、他)のアンジェロ・ムーアも<キックスターター>(音楽に限らずいろんな商行為達成のために見返りを明記し、資金調達達成を仲介するよう)を用いて、ドクター・マッドヴァイブ(2009年11月25 日)名義の新作を作るために目標$25.000にて出資者を募っている。25ドルから10.000ドル以上(これだと、LAへの航空券/宿つきのもと、ムーアによる誠心誠意の接待が受けられる)まで、10段階に出資額が設定されていますね。この夏に久しぶりの来日公演を果たすフィッシュボーンだが、現在のところ目標額の10分の1弱の調達。締め切りは来月22日のようだ。
http://www.kickstarter.com/projects/137991710/dr-maddvibe-brings-you-the-angelo-show
フィッシュボーンは東京スカパラダイスオーケストラが主宰するトーキョー・スカジャンボリー(今年は8月6日)にも出演するが、スカパラの8月アタマ売りのミニ・アルバムにはアンジェロが歌う「All Good Ska is One」を収録。なだけでなく、本田圭祐が出ているコカコーラ社アクエリアスのTV-CFでその曲が使われているらしい。ぼくんちでは地上波が映らないので未確認だが、アンジェロの歌声がTVから毎日流れる……うわあ、なんて夢のような素敵なことなんだあ!
SOIL & “PIMP”SESSIONS+ハナレグミ。渋谷毅オーケストラ
2011年6月23日 音楽 恵比寿・リキッドルームで、SOIL & “PIMP”SESSIONS(2011年1月30日、他)とハナレグミ(2011年5月21日、他)の共演するパフォーマンスだけを見る。いちおう、SOIL公演にハナレグミがゲストという形だが、けっこう長々と絡んだんじゃないかな。SOILの全員を伴奏者にしハナレグミ曲を披露するだけでなく、管楽器奏者2人のサポートで歌ったり、リズム隊だけがバッキングしたり。いろいろ。なるほど、ウマがあって、いい関係を持っているのがよく判る。また、マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」を<いいネ!>と置き換え、気ままな日本語歌詞で披露したり、ブッカー・T・ジョーンズ(2010年2月8日、他)のピースフル曲「ジャマイカ・ソング」を披露したりも。その際、観客とのいい感じのやりとりもあって、近年いろんな人にカヴァーされる曲だと思うが、今晩のヴァージョンはぼくが触れた「ジャマイカ・ソング」のなかで一番幸せ度数が高かったんじゃないか。有意義なかさなり、有意義なライヴ、音楽の素敵がそこにあった。
その後は、代官山・晴れたら空に豆まいてで、ジャズ・ピアニスト率いるオーケストラの実演。セカンド・ショウから、見る。渋谷毅(2005年12月20日、他)、松風鉱一(2005年12月20日)、峰厚介(2009年1月22日、他)、津上研太(2006年10 月25日、他)、林栄一(2009年7月19日、他)、松本治(2005年2月19日、他)、石渡明廣、植村勝正、外山明(2007年1月27日)という、そうそうたる面々。悠々にして豊穣、そしてほんの少しのスパイスがきらりと光る。
<今日の、移動>
午後3時前に外出したら、とっても夏の日差し。わあああって、言いたくなる。まず、渋谷で小一時間、打ち合わせ。それから、ビクターが新たに売り出す<K2HD HQCD盤>試聴のため、青山ビクタースタジオに行く。外苑前駅からスタジオに向かおうとすると、ベルコモンズに入っているお店がファミリー・セールをやっているようで、歩道にオバサンたちの列。炎天下のもと、ごくろうなこと。スタジオでは、従来の盤との比較試聴が用意される。その差異は歴然なのだが、とにかく、いい装置でそれなりの音量で聞くのはまこと快感。ただし、スタジオ内、冷房ききすぎ。即、汗がひき、上着を着ることをしいられる。それについては、熱を発するキカイがあるから、と言う人がいたが。
その後、馴染みの事務所とレコード会社にちょい寄りする。前者は冷房控え目、後者はかなりキツい。急に、今日から強くなったそうだが。ぼく、個人としては一昨年、昨年と基本冷房なしですごしているので、今年もそうするつもり。去年の猛暑をなんとかこなしたワタクシ、なんとかなるでしょう。
最後の店で、財布のなかの1万円札が消えていることに気付く。気のせい? なわきゃあなく、どこでなくした? 早くも、夏ボケか。今後が思いやられるが、他人に迷惑をかけないならば、良しとしよう。夜半の野外は、強めの風があってあつくはなかった。
その後は、代官山・晴れたら空に豆まいてで、ジャズ・ピアニスト率いるオーケストラの実演。セカンド・ショウから、見る。渋谷毅(2005年12月20日、他)、松風鉱一(2005年12月20日)、峰厚介(2009年1月22日、他)、津上研太(2006年10 月25日、他)、林栄一(2009年7月19日、他)、松本治(2005年2月19日、他)、石渡明廣、植村勝正、外山明(2007年1月27日)という、そうそうたる面々。悠々にして豊穣、そしてほんの少しのスパイスがきらりと光る。
<今日の、移動>
午後3時前に外出したら、とっても夏の日差し。わあああって、言いたくなる。まず、渋谷で小一時間、打ち合わせ。それから、ビクターが新たに売り出す<K2HD HQCD盤>試聴のため、青山ビクタースタジオに行く。外苑前駅からスタジオに向かおうとすると、ベルコモンズに入っているお店がファミリー・セールをやっているようで、歩道にオバサンたちの列。炎天下のもと、ごくろうなこと。スタジオでは、従来の盤との比較試聴が用意される。その差異は歴然なのだが、とにかく、いい装置でそれなりの音量で聞くのはまこと快感。ただし、スタジオ内、冷房ききすぎ。即、汗がひき、上着を着ることをしいられる。それについては、熱を発するキカイがあるから、と言う人がいたが。
その後、馴染みの事務所とレコード会社にちょい寄りする。前者は冷房控え目、後者はかなりキツい。急に、今日から強くなったそうだが。ぼく、個人としては一昨年、昨年と基本冷房なしですごしているので、今年もそうするつもり。去年の猛暑をなんとかこなしたワタクシ、なんとかなるでしょう。
最後の店で、財布のなかの1万円札が消えていることに気付く。気のせい? なわきゃあなく、どこでなくした? 早くも、夏ボケか。今後が思いやられるが、他人に迷惑をかけないならば、良しとしよう。夜半の野外は、強めの風があってあつくはなかった。
ベネズエラって石油がとれるので南米のなかでは裕福な国であるという事実は、この日初めて知った。だから、チャベス大統領は米国にたいして強気に出れるのか。
日本で唯一のベネズエラ音楽を演奏するアルパ(ハープ)奏者である吉澤陽子を、ベネズエラ愛好家たちが囲む出し物。南青山・プラッサオンゼ、出演者/グループの数も多かったが、お店はフル・ハウス。クアトロやマラカスなんかが活躍し、伸びやかな歌が入ったりも。同国の一番知られる曲は「コーヒー・ルンバ」のようだが、前のめりに進んで行って、リズムが余りそうなところイン・タイムで終わるみたいな感覚を持つ曲が多いなあ、なんても、見てて思う。
1部と2部は次々に出演者が交代でステージにあがり、3部はジャム・セッション。プロとアマの垣根もなく、同好の士がおおらかに愛着を重ね合う様に触れて、音楽を育もうとする日常と隣り合わせの場を目の当たりにしたという気持ちにもなったか。詳細は、次号のラティーナ誌で。
<今日のもやもや>
知人から、安くするので車かわない、と唐突に提案される。不可能な額ではない。前から、いいよねと、ほめていた車。スポーティな欧州車で、乗り回していたら、羽振りいいんだなと思われるそうなやつ。ハハハ。ネックはオートマティック車であること、長年マニュアル車にばっか乗っていて、オートマを運転するのがマジ恐い。やっぱ、渋滞してなきゃマニュアル車は運転していて楽しい。あまりとばさなくなってきた今のほうが快感を覚えるギア選択をフフフとするようになったりもしている。それ、燃費のことを考えたら×だが、逆にたまに目一杯エコ・ランを求めたりもし、それもまた楽しい。それに、今のっている車は当たりだったようで故障もあまりないし(でも、新車で購入し2万キロも走っていないのに、ディーラーからはタイミング・ベルトの交換を薦められている。15万円弱は高いなあ)、なんの不満も持っていない。とかなんとか、おそらく、購入話はスルーするだろう。とはいえ一方で、車種がハマー(知り合いの米国人は、愛着をこめてハンビーと呼ぶ)だったら、話に乗っちゃったりして。ヘヴィ・デューティなオフロード車はとっくに卒業したと思っていたが、最後にもう一花ぶぶいと(?)そっち系のクルマでカマしてみたい自分がいるのかも。ココロ、微妙に揺れる。
日本で唯一のベネズエラ音楽を演奏するアルパ(ハープ)奏者である吉澤陽子を、ベネズエラ愛好家たちが囲む出し物。南青山・プラッサオンゼ、出演者/グループの数も多かったが、お店はフル・ハウス。クアトロやマラカスなんかが活躍し、伸びやかな歌が入ったりも。同国の一番知られる曲は「コーヒー・ルンバ」のようだが、前のめりに進んで行って、リズムが余りそうなところイン・タイムで終わるみたいな感覚を持つ曲が多いなあ、なんても、見てて思う。
1部と2部は次々に出演者が交代でステージにあがり、3部はジャム・セッション。プロとアマの垣根もなく、同好の士がおおらかに愛着を重ね合う様に触れて、音楽を育もうとする日常と隣り合わせの場を目の当たりにしたという気持ちにもなったか。詳細は、次号のラティーナ誌で。
<今日のもやもや>
知人から、安くするので車かわない、と唐突に提案される。不可能な額ではない。前から、いいよねと、ほめていた車。スポーティな欧州車で、乗り回していたら、羽振りいいんだなと思われるそうなやつ。ハハハ。ネックはオートマティック車であること、長年マニュアル車にばっか乗っていて、オートマを運転するのがマジ恐い。やっぱ、渋滞してなきゃマニュアル車は運転していて楽しい。あまりとばさなくなってきた今のほうが快感を覚えるギア選択をフフフとするようになったりもしている。それ、燃費のことを考えたら×だが、逆にたまに目一杯エコ・ランを求めたりもし、それもまた楽しい。それに、今のっている車は当たりだったようで故障もあまりないし(でも、新車で購入し2万キロも走っていないのに、ディーラーからはタイミング・ベルトの交換を薦められている。15万円弱は高いなあ)、なんの不満も持っていない。とかなんとか、おそらく、購入話はスルーするだろう。とはいえ一方で、車種がハマー(知り合いの米国人は、愛着をこめてハンビーと呼ぶ)だったら、話に乗っちゃったりして。ヘヴィ・デューティなオフロード車はとっくに卒業したと思っていたが、最後にもう一花ぶぶいと(?)そっち系のクルマでカマしてみたい自分がいるのかも。ココロ、微妙に揺れる。
まず、前座で、タヒチ80の面々がアルバム・プロデュースしている仏人シンガー・ソングライターであるメディ・ザナードの個人プロジェクトであるフグが少しパフォーマンス。キーボードかギターによる、ほんわかポップ曲の弾き語り、1曲だけタヒチ80のリード・シンガーが出てきてギターを弾く。逆に、ザナードはタヒチ80のショウに鍵盤奏者として加わっていた。恵比寿・リキッドルーム。この3月下旬に予定されていた延期公演の仕切り直し、かなり混んでいた。
少し間を挟んで、フランスの洒脱ポップ・ロックの担い手、タヒチ80のショウがはじまる。何度も日本に来ていて一度ぐらいは見ているはずだが、いつ見たか思い出せない。ともあれ、その実演に触れてすぐに思い浮かんだ感想は、ほぼパーフェクト! 歌にしろ演奏にしろ、曲の水準にしろ、どれもが軽妙にして高レヴェル。わー、すげえ。アルバムで聞けるものよりもより立体的&精気に満ちているな。こんなにも、実力者たちだったなんて。かなり、感心。日経新聞の公演評(7/13、夕刊掲載予定)と重なるといけないので、このぐらいにしておく。
<今日の、疑問>
日暮れ前はだいたい家にいるが、在宅でも居間の照明を消すなど、節電意識は高めかと思う。ながら、PCだけは例外で、外出しているときでも基本スウィッチを入れっぱなしにしている。それ、マメにON/OFFやっているとPCの寿命が短くなると聞いたことがあるのと、画面を見たかったり、原稿を書きたいときに、すぐにそれが可能なほうが快適だから。が、知人から、PCはスリープ状態になっていてもけっこう電気は喰うはずと指摘され……。本当のところはどうなんだろう?
少し間を挟んで、フランスの洒脱ポップ・ロックの担い手、タヒチ80のショウがはじまる。何度も日本に来ていて一度ぐらいは見ているはずだが、いつ見たか思い出せない。ともあれ、その実演に触れてすぐに思い浮かんだ感想は、ほぼパーフェクト! 歌にしろ演奏にしろ、曲の水準にしろ、どれもが軽妙にして高レヴェル。わー、すげえ。アルバムで聞けるものよりもより立体的&精気に満ちているな。こんなにも、実力者たちだったなんて。かなり、感心。日経新聞の公演評(7/13、夕刊掲載予定)と重なるといけないので、このぐらいにしておく。
<今日の、疑問>
日暮れ前はだいたい家にいるが、在宅でも居間の照明を消すなど、節電意識は高めかと思う。ながら、PCだけは例外で、外出しているときでも基本スウィッチを入れっぱなしにしている。それ、マメにON/OFFやっているとPCの寿命が短くなると聞いたことがあるのと、画面を見たかったり、原稿を書きたいときに、すぐにそれが可能なほうが快適だから。が、知人から、PCはスリープ状態になっていてもけっこう電気は喰うはずと指摘され……。本当のところはどうなんだろう?