うわああ。あの人が登場したとたん、一瞬にしてぼくの感情のメーターは振り切れた。やっぱ、この人はすごいっ。えも言われぬ感情がこみ上げて、俺は誇らし気にごんごん身体を揺らし、思いっきり声を上げちゃったよお。多分、09年でこの晩が、ライヴを見て一番弾けちゃった時になるんじゃないのか。
六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。前回はルーファスの一員として来日したイケ面スムース・ジャズ系白人マルチ・プレイヤー(トロンボーン、キーボード、電気ベースを主に扱う)のカルバートソン(2008年11月10日)をリーダーとするグループの出演。彼の今のところの新作『ブリンギング・バック・ザ・ファンク』(GRP)はJB系(ブーツィ&キャットフィッシュ・コリンズ。メイシオ・パーカー、フレッド・ウェズリー)、P-ファンク系(バーニー・ウォレル、リック・ガードナー。コリンズ兄弟とパーカーとウェズリーはこっちにももちろん入りますね)、EW&F系(モウリス・ホワイト、ラリー・ダン、ビル・マイヤーズ、シェルドン・レイノルズ、モリス・プレジャー)、タワー・オブ・パワー系(グレッグ・アダムズ)やスライ&ザ・ファミリー・ストーン系(ラリー・グラハム)やプリンス系(リッキー・ピーターン、マイケル・ブランド)やその他(デイヴィッド・T・ウォーカー;彼はモータウン系とする事も可能か、ミュージック・ソウルチャイルド)ら、いろんな逸材をちょこまか呼んでいたアルバム。……で、今回の来日公演(リーダーとしては初のものとなる?)はそのアルバムに参加していた名人を含んでいるのがポイントだ。
バンドの編成は、キーボードとトロンボーンを主に扱うカルバートソン、キーボード2(うち、一人がラリー・ダン)、ギター/歌(シェルドン・レイノルズ)、電気べース、テナー・サックス/歌、トランペット、ドラムという布陣。で、カルバートソン曲やEW&F曲などを屈託なくやっていく。EW&Fのオリジナル・メンバーで曲もモウリス・ホワイトと書いたりもしたダンは全然老けないな。演奏はいてもいなくてもそれほど問題はないと思えたが、途中でホワイトのようにカリンバをいい感じで爪弾いたりも。もう一人のEW&F関係者、90年前後からずっとコア・メンバーとして活躍したシェルドン・レイノルズは少し痩せたかな。彼はジミ・ヘンドリックス財産管理団体公認/義理の娘のジェイニー・ヘンドリックス制作のヘンドリックス・トリビュート作『パワー&ソウル』(P、EC、EW&F、サンタナ、スティング、シー・ロー、ミュージック・ソウルチャイルド他、参加)でも重要な役割を果たしているが(もしかして、彼ってジェイニー・ヘンドリックスと関係が近いんだっけ?)、左利き用のギターを逆さに持ち弾いていた。なお、カルバートソンと大分歳のいったトランペッター以外、出演者はアフリカン。で、MCで解ったのだが、トランぺッターはカルバートソンの父親だった。なんか、彼と後で話しちゃったけど、息子と一緒に来れてほこらしげ。
でも、口悪く言えば、ここまでは余興みたいなもの。40分強その体制でやった後、ショウの感じは一変する。ラリー・グラハムの登場だァ! 2階から真っ白いスーツと帽子を身につけたグラハムさんがさあっと登場、見栄を切る。鮮やか、千両役者! 生理的に、後光が射している。音を出す前からノックアウトされちゃい、それだけでぼくはもう血がのぼっちゃった。眼鏡はかけているが、変わらずスリムで格好いい。もうプロで、スターだあって、無条件に感じさせられる。キャラに長けたイケてるミュージシャンはこうじゃなくっちゃと痛感させる、つっぱりや芸能感覚がそこには山ほどあった。
で、階段を下り、舞台にあがる。基本はグラハムとバック・バンド(べース奏者は打楽器を叩く)というノリでショウは進められる。白いベースからはマイクがにょきと出ていて、彼のトレードマーク仕様のそれ。それで、いくら動いてもベースを弾きながら歌えるワケだ。ベースはシールドレス、そんなこんなで音質は悪くなるはずだが、そんなのカンケーねー、思うまま動いてべースを弾け歌える事(←それが、お客にとって一番喜んでもらえることなのだという考えがくっきり透けて見える)が大切なのだと、彼は全身で言っていた。ああ、なんて素敵な事! もう、ほれぼれ。で、また2階行って、カウンターにあがって演奏したりとか(ちゃんと事前に会場の作りを把握し、策を練ったんだろう)、すべて俺様で、存在感ありまくり。さすが、スライ&ザ・ファミリー・ストーン時代に天才スライ・ストーンと張り合った(で、彼より目立ちたくなって脱退して、グラハム・セントラル・ステイションを結成する)いうのもよく解る。曲は、グラハム・セントラル・ステーション時代やバラーディアーになって当たりをとった80年代のころのものは(たぶん)やらず、スライ&ザ・ファミリー・ストーン時代の曲をやる。なんにせよ、黒人音楽/ファンクをどうしようもなく得難いものとする掛け替えのないカケラの数々に触れ、ぼくは昇天! あー、音楽好きで良かったと、舞い上がった頭のなかで反芻しまくりましたよ。彼が出てきて、40分ぐらいはやったのかな。最後は、彼を先頭に会場内を練り歩く。
感情が爆発したまま、南青山・ブルーノート東京へ。出演者はここのところほぼ毎年見ているブラジルのシンガー/ギタリストのジョイス(2004年7月15日、2005年7月13日、2007年7月24日、2008年9月7日)。会場入りしてから30分ぐらいは間もあいたし、ゆったりこちらは見たのだが、今回のジョイスは近年の公演のなかで、一番瑞々しい情感に溢れていたのではないか。やー、充実していたなー。
昨年来日のときと同じ名人級リズム・セクションに加え、今回はトランぺッターが加わる。ブラジルのスタジオ界でもけっこう売れっ子の人らしいが、硬軟いろんな吹き方で、彼女の清新弾き語り表現をサポート。なんか、いい感じ。彼はけっこう強く吹く場合もあるが、ジョイスの芯ある表現はそれに負けない。かなり、いいコンビネーション。途中から、ジョアン・ドナート(2008年8月22日、2009年6月7日)が加わり、味あるピアノ音をつけ、ときに歌ったりも。何も言うことはありません。彼女たちは、いろんな扉をノックしていた。
六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。前回はルーファスの一員として来日したイケ面スムース・ジャズ系白人マルチ・プレイヤー(トロンボーン、キーボード、電気ベースを主に扱う)のカルバートソン(2008年11月10日)をリーダーとするグループの出演。彼の今のところの新作『ブリンギング・バック・ザ・ファンク』(GRP)はJB系(ブーツィ&キャットフィッシュ・コリンズ。メイシオ・パーカー、フレッド・ウェズリー)、P-ファンク系(バーニー・ウォレル、リック・ガードナー。コリンズ兄弟とパーカーとウェズリーはこっちにももちろん入りますね)、EW&F系(モウリス・ホワイト、ラリー・ダン、ビル・マイヤーズ、シェルドン・レイノルズ、モリス・プレジャー)、タワー・オブ・パワー系(グレッグ・アダムズ)やスライ&ザ・ファミリー・ストーン系(ラリー・グラハム)やプリンス系(リッキー・ピーターン、マイケル・ブランド)やその他(デイヴィッド・T・ウォーカー;彼はモータウン系とする事も可能か、ミュージック・ソウルチャイルド)ら、いろんな逸材をちょこまか呼んでいたアルバム。……で、今回の来日公演(リーダーとしては初のものとなる?)はそのアルバムに参加していた名人を含んでいるのがポイントだ。
バンドの編成は、キーボードとトロンボーンを主に扱うカルバートソン、キーボード2(うち、一人がラリー・ダン)、ギター/歌(シェルドン・レイノルズ)、電気べース、テナー・サックス/歌、トランペット、ドラムという布陣。で、カルバートソン曲やEW&F曲などを屈託なくやっていく。EW&Fのオリジナル・メンバーで曲もモウリス・ホワイトと書いたりもしたダンは全然老けないな。演奏はいてもいなくてもそれほど問題はないと思えたが、途中でホワイトのようにカリンバをいい感じで爪弾いたりも。もう一人のEW&F関係者、90年前後からずっとコア・メンバーとして活躍したシェルドン・レイノルズは少し痩せたかな。彼はジミ・ヘンドリックス財産管理団体公認/義理の娘のジェイニー・ヘンドリックス制作のヘンドリックス・トリビュート作『パワー&ソウル』(P、EC、EW&F、サンタナ、スティング、シー・ロー、ミュージック・ソウルチャイルド他、参加)でも重要な役割を果たしているが(もしかして、彼ってジェイニー・ヘンドリックスと関係が近いんだっけ?)、左利き用のギターを逆さに持ち弾いていた。なお、カルバートソンと大分歳のいったトランペッター以外、出演者はアフリカン。で、MCで解ったのだが、トランぺッターはカルバートソンの父親だった。なんか、彼と後で話しちゃったけど、息子と一緒に来れてほこらしげ。
でも、口悪く言えば、ここまでは余興みたいなもの。40分強その体制でやった後、ショウの感じは一変する。ラリー・グラハムの登場だァ! 2階から真っ白いスーツと帽子を身につけたグラハムさんがさあっと登場、見栄を切る。鮮やか、千両役者! 生理的に、後光が射している。音を出す前からノックアウトされちゃい、それだけでぼくはもう血がのぼっちゃった。眼鏡はかけているが、変わらずスリムで格好いい。もうプロで、スターだあって、無条件に感じさせられる。キャラに長けたイケてるミュージシャンはこうじゃなくっちゃと痛感させる、つっぱりや芸能感覚がそこには山ほどあった。
で、階段を下り、舞台にあがる。基本はグラハムとバック・バンド(べース奏者は打楽器を叩く)というノリでショウは進められる。白いベースからはマイクがにょきと出ていて、彼のトレードマーク仕様のそれ。それで、いくら動いてもベースを弾きながら歌えるワケだ。ベースはシールドレス、そんなこんなで音質は悪くなるはずだが、そんなのカンケーねー、思うまま動いてべースを弾け歌える事(←それが、お客にとって一番喜んでもらえることなのだという考えがくっきり透けて見える)が大切なのだと、彼は全身で言っていた。ああ、なんて素敵な事! もう、ほれぼれ。で、また2階行って、カウンターにあがって演奏したりとか(ちゃんと事前に会場の作りを把握し、策を練ったんだろう)、すべて俺様で、存在感ありまくり。さすが、スライ&ザ・ファミリー・ストーン時代に天才スライ・ストーンと張り合った(で、彼より目立ちたくなって脱退して、グラハム・セントラル・ステイションを結成する)いうのもよく解る。曲は、グラハム・セントラル・ステーション時代やバラーディアーになって当たりをとった80年代のころのものは(たぶん)やらず、スライ&ザ・ファミリー・ストーン時代の曲をやる。なんにせよ、黒人音楽/ファンクをどうしようもなく得難いものとする掛け替えのないカケラの数々に触れ、ぼくは昇天! あー、音楽好きで良かったと、舞い上がった頭のなかで反芻しまくりましたよ。彼が出てきて、40分ぐらいはやったのかな。最後は、彼を先頭に会場内を練り歩く。
感情が爆発したまま、南青山・ブルーノート東京へ。出演者はここのところほぼ毎年見ているブラジルのシンガー/ギタリストのジョイス(2004年7月15日、2005年7月13日、2007年7月24日、2008年9月7日)。会場入りしてから30分ぐらいは間もあいたし、ゆったりこちらは見たのだが、今回のジョイスは近年の公演のなかで、一番瑞々しい情感に溢れていたのではないか。やー、充実していたなー。
昨年来日のときと同じ名人級リズム・セクションに加え、今回はトランぺッターが加わる。ブラジルのスタジオ界でもけっこう売れっ子の人らしいが、硬軟いろんな吹き方で、彼女の清新弾き語り表現をサポート。なんか、いい感じ。彼はけっこう強く吹く場合もあるが、ジョイスの芯ある表現はそれに負けない。かなり、いいコンビネーション。途中から、ジョアン・ドナート(2008年8月22日、2009年6月7日)が加わり、味あるピアノ音をつけ、ときに歌ったりも。何も言うことはありません。彼女たちは、いろんな扉をノックしていた。