午前10時からの試写に間に合うように電車に乗ったら、まだ少し通勤ラッシュの流れを引きずっていて、一気に徒労。毎日経験していると慣れちゃうんだろうけど、”朝電車”に普段は乗らずにすむ自分の境遇に感謝する。そして、京橋・映画美学校第一試写室で、「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」と邦題付けされた音楽系ドキュメンタリー映画を見る。主役はカナダのヴェテラン・ヘヴィ・メタル・バンドのアンヴィルで、映画は彼らがホワイト・スネイクやボン・ジョヴィらとステージをシェアした西武球場での“スーパー・ロック‘84 イン・ジャパン“というメタル系フェスのライヴ場面から始まる(へえ、こんな催しがあったんですね)。テロップは他の出演者はもの凄いセールスをあげたのに、アンヴィルだけは蚊帳の外であることを告げる。
監督は現在スピルバーグお気に入りの脚本家としてハリウッドで活躍する英国人のサーシャ・ガバシ。実は彼はもともとメタル小僧で、ロンドン公演をやった彼らと仲良くなり、高校2年の夏休みの時には彼らの北米ツアーにローディ同行したのだという。そんなガバシが20年ぶりにかつて胸を焦がしたメンバーに連絡を取ったことから、いまだアマチュアのような形で細々と活動を続けていたアンヴィル(古いメンバーは二人だけとなった)と付き合いが復活し、それがいまだバンドを続けたい彼らを描くドキュメンタリー映画に繋がって行く。
カナダでのしがない日常、突如わいたどたばたもした欧州ツアー、心機一転を求めた英国レコーディングなどの模様が、メンバーのリップス(歌、ギター)とロブ(ドラム)の重なりを中心に綴られる。実は、マイケル・ムーアやダスティン・ホフマン、同じカナダ人のキアヌ・リーヴスらの宣伝コメントが力入ったもので、それによってぼくの妄想は見る前に多大に膨んじゃったため、題材の勝利(+撮る人物が、その知己であるというのは強い)もあり素晴らしい音楽映画だとは思うが、過剰にはウルウルこなかった。が、ロックを続けて行くいろんな機微やその裏表が確かに収めらているわけで、ポップ音楽に興味を持っている人なら見て損はない。妙に和めたり、力をもらえるところもあるかもしれない。時間は80分強、見ているともう少し長く感じるが、このぐらいの長さだと楽だなあ。なお、効果音的な音楽はECM他にリーダー作を持ち、90年代はジャパン(デイヴィッド・シルヴィアン;2004年4月27日)の連中らとも付き合いを持ったNYボーダーレス系ギタリストのデイヴィッド・トーン(2000年8月16日)が担当している。
最後に置かれた映画のハイライト部は、アンヴィルが午前中に一番最初の出演アーティストとして登場した“ラウドパーク‘06”@幕張メッセ出演時の模様。おお、オフのシーンも含めてなんか日本は楽園のように描かれているゾ。とかなんとか、これを見ると、ぜんぜん趣味じゃなくてもアンヴィルのことを見たくなるのは確か。10月の映画の公開に合わせて、彼らは来日するそうだ。
夜はチャーリー・ヘイデン(2001年11月20日、2005年3月16日)の白昼夢的後ろ向きジャズ・コンボ、カルテット・ウェストの公演をブルーノート東京で見る。剛のイメージが強かったヘイデンが80年代中期過ぎから微笑みとともに組んでいる“和み”表現ユニットで、旧き良き時代のエンジェル・シティ=LAの風土を甘美に、ときに映像的に優しく描こうとするジャズをそれは送り出すと書けるのかな。今は和み系活動一辺倒になってしまったヘイデンだが(でも、新作にあたるカントリー&ウェスタン系ヴォーカル作は素晴らしい仕上がり)、結成当初はなかなかに切り口に視点を持ち、なかなかに斬新だった。
ゆったりウッド・ベースを弾くヘイデン(それ、ヘイデンと知らずに聞いたら、何の印象も残らないものかも)に加え、テナー・サックスのアーニー・ワッツ(2005年6月20日)、ピアノのアラン・ブロードベント(2006年6月2日)、ドラムのロドニー・グリーン(2000年11月1日)が趣味良く重なる。オーネット・コールマン曲などもやったものの(ときに、やんわりとアブストラクト傾向にかするときもあったけど)、基本はゆったりした穏健ジャズですすむ。演奏をはじまる前に、ヘイデンはけっこう感謝MCを長々とやったりも。
その後、六本木・ビルボードライブ東京に向かい、ちょうど50歳のスコティッシュ女性歌手(2002年3月20日)を見る。何度も一緒にやってきているだろうシンガー・ソングライターのブー・ヒューワディーン(1999年6月8日)やフェアグラウンド・アトラクション時代の同僚のロイ・ドッズ(ドラム)を含むバンド編成にて。アコーディオン奏者はアイルランドのドニゴール出身、ベーシストは全曲ウッド・ベースを使用。各同行奏者はみんな近年のリーダーのリーダー作に関与している人たちだ。
とにかく、気安くくだけたパフォーマンスを展開。手作り感覚であり自然体、と言えるか。やはり、彼女の歌には“軽妙な誘い”が導く手触りの良さががある。MCもとても開けっぴろげで予定メンバーには入ってなかったウクレレ奏者は今のボーイフンドとか。そう紹介しておきながら「今のところはね」と言ってみたり、その彼にキスを強要したりも。途中で、ウクレレを弾く青年と少し歌った二人の女性ら日本人の知り合いをステージにあげたりも。本編が終わり、「また出てくるのも面倒だから、2曲やっちゃうわ」とか言ってアンコール曲をやり始めたのだが、1曲だけで引っ込んじゃう。とっても本当に気分屋さん、でもそれこそが彼女の魅力を支えるものであるのは良く解りました。
追記)リーダーのボーイフレンドは彼女の弟がいるトラッシュキャン・シナトラズ(2009年7月25日)のギタリストのジョン・ダグラス。なんでも。もう何年もつき合っていて、ファンの間では有名とか。また、二人の日本人女性はDEWというプロのユニットだそう。
監督は現在スピルバーグお気に入りの脚本家としてハリウッドで活躍する英国人のサーシャ・ガバシ。実は彼はもともとメタル小僧で、ロンドン公演をやった彼らと仲良くなり、高校2年の夏休みの時には彼らの北米ツアーにローディ同行したのだという。そんなガバシが20年ぶりにかつて胸を焦がしたメンバーに連絡を取ったことから、いまだアマチュアのような形で細々と活動を続けていたアンヴィル(古いメンバーは二人だけとなった)と付き合いが復活し、それがいまだバンドを続けたい彼らを描くドキュメンタリー映画に繋がって行く。
カナダでのしがない日常、突如わいたどたばたもした欧州ツアー、心機一転を求めた英国レコーディングなどの模様が、メンバーのリップス(歌、ギター)とロブ(ドラム)の重なりを中心に綴られる。実は、マイケル・ムーアやダスティン・ホフマン、同じカナダ人のキアヌ・リーヴスらの宣伝コメントが力入ったもので、それによってぼくの妄想は見る前に多大に膨んじゃったため、題材の勝利(+撮る人物が、その知己であるというのは強い)もあり素晴らしい音楽映画だとは思うが、過剰にはウルウルこなかった。が、ロックを続けて行くいろんな機微やその裏表が確かに収めらているわけで、ポップ音楽に興味を持っている人なら見て損はない。妙に和めたり、力をもらえるところもあるかもしれない。時間は80分強、見ているともう少し長く感じるが、このぐらいの長さだと楽だなあ。なお、効果音的な音楽はECM他にリーダー作を持ち、90年代はジャパン(デイヴィッド・シルヴィアン;2004年4月27日)の連中らとも付き合いを持ったNYボーダーレス系ギタリストのデイヴィッド・トーン(2000年8月16日)が担当している。
最後に置かれた映画のハイライト部は、アンヴィルが午前中に一番最初の出演アーティストとして登場した“ラウドパーク‘06”@幕張メッセ出演時の模様。おお、オフのシーンも含めてなんか日本は楽園のように描かれているゾ。とかなんとか、これを見ると、ぜんぜん趣味じゃなくてもアンヴィルのことを見たくなるのは確か。10月の映画の公開に合わせて、彼らは来日するそうだ。
夜はチャーリー・ヘイデン(2001年11月20日、2005年3月16日)の白昼夢的後ろ向きジャズ・コンボ、カルテット・ウェストの公演をブルーノート東京で見る。剛のイメージが強かったヘイデンが80年代中期過ぎから微笑みとともに組んでいる“和み”表現ユニットで、旧き良き時代のエンジェル・シティ=LAの風土を甘美に、ときに映像的に優しく描こうとするジャズをそれは送り出すと書けるのかな。今は和み系活動一辺倒になってしまったヘイデンだが(でも、新作にあたるカントリー&ウェスタン系ヴォーカル作は素晴らしい仕上がり)、結成当初はなかなかに切り口に視点を持ち、なかなかに斬新だった。
ゆったりウッド・ベースを弾くヘイデン(それ、ヘイデンと知らずに聞いたら、何の印象も残らないものかも)に加え、テナー・サックスのアーニー・ワッツ(2005年6月20日)、ピアノのアラン・ブロードベント(2006年6月2日)、ドラムのロドニー・グリーン(2000年11月1日)が趣味良く重なる。オーネット・コールマン曲などもやったものの(ときに、やんわりとアブストラクト傾向にかするときもあったけど)、基本はゆったりした穏健ジャズですすむ。演奏をはじまる前に、ヘイデンはけっこう感謝MCを長々とやったりも。
その後、六本木・ビルボードライブ東京に向かい、ちょうど50歳のスコティッシュ女性歌手(2002年3月20日)を見る。何度も一緒にやってきているだろうシンガー・ソングライターのブー・ヒューワディーン(1999年6月8日)やフェアグラウンド・アトラクション時代の同僚のロイ・ドッズ(ドラム)を含むバンド編成にて。アコーディオン奏者はアイルランドのドニゴール出身、ベーシストは全曲ウッド・ベースを使用。各同行奏者はみんな近年のリーダーのリーダー作に関与している人たちだ。
とにかく、気安くくだけたパフォーマンスを展開。手作り感覚であり自然体、と言えるか。やはり、彼女の歌には“軽妙な誘い”が導く手触りの良さががある。MCもとても開けっぴろげで予定メンバーには入ってなかったウクレレ奏者は今のボーイフンドとか。そう紹介しておきながら「今のところはね」と言ってみたり、その彼にキスを強要したりも。途中で、ウクレレを弾く青年と少し歌った二人の女性ら日本人の知り合いをステージにあげたりも。本編が終わり、「また出てくるのも面倒だから、2曲やっちゃうわ」とか言ってアンコール曲をやり始めたのだが、1曲だけで引っ込んじゃう。とっても本当に気分屋さん、でもそれこそが彼女の魅力を支えるものであるのは良く解りました。
追記)リーダーのボーイフレンドは彼女の弟がいるトラッシュキャン・シナトラズ(2009年7月25日)のギタリストのジョン・ダグラス。なんでも。もう何年もつき合っていて、ファンの間では有名とか。また、二人の日本人女性はDEWというプロのユニットだそう。