チューチョ・バルデス
2009年9月14日 音楽 かつてはイラケレという世界的存在のフュージョン・バンドを率いていたキューバ出身のジャズ・ピアニストの公演はウッド・ベース奏者(1曲だけ電気を用いる)、ドラマー、打楽器奏者を率いてのもの。やはりキューバ出身者と思われる彼らは、バルデスの後釜としてイラケレにも関与したこともあるオーランド“マラカ”バレの娯楽サルサ・グループ表現に関わっている奏者たちだという。とはいえ、ここでバルデスが悠々と繰り広げたのは、純ジャズでもラテン・ジャズでもない、いや両方の部分に重なりはするものの、前者ほど気取ったり尖ったりはせず、後者ほど快楽的/ダンサブルでもない、という、なかなか説明に困るピアノ・ミュージック。心から賛同できるかというと?の部分もなくはなかったものの、自分の文脈でラテンとジャズを行き来するストーリーを紡ぎたいという意思にはあふれていたと思う。パーカッション奏者はけっこうお客から拍手をもらっていたな。後半2曲には、バルデスの親族だろうおばさん女性歌手のマイラ・カイダ・バルデスが歌う。過去のチューチョ・バルデス関与作で歌っている彼女だが、これは笑えた。あんまし上手くない、でも悪びれず堂々歌い倒していく様(アクションも活発)は妙な風情や味を生んでいて。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。スペイン語は"v"を発音するとき英語のように唇を噛まないのでウ濁点は用いないと言われたことがあるので、ヴァルデスではなくバルデスと書いてみた。