フォールズ

2008年7月28日
 英国オックスフォードの新進5人組、今年2度目の来日。先の公演を見た信頼できる同業者から、「なんで見なかったの、絶対気に入るバンドだよ」と言われたのだが、なるほどこれは面白いロック・バンドだ。ヴォーカルとギター(ギリシャ出身だそう)、ギター、キーボード、ベース、ドラム(スネアやタムを腱鞘炎になるんじゃないのと思わす勢いで叩く)、という編成。冒頭は延々、楽器音を重ね合うインスト演奏。それらはけっこう仕掛け/構成を感じさせるものだが、プログレッシヴ・ロック的な不毛さは皆無。それらは、決まったことをやるにしても、なんか弾き手の素のエモーションと直結していると思わせるものがあったから。と、ぼくは書きたくなるな。

 土着性と浮遊感を併せ持つギターのフレイズをミニマル的に重ね、そこにどすこいな情緒を持つ跳ね気味のドラム音が骨格を強化し、その上に誘いを持つ歌が乗せられる。黒人ミュージシャンをサポートで雇い、一番アフリカっぽい事をしようとしていた時期のトーキング・ヘッズをその根に置いているんじゃないか、なんて思わせるところも。なんにせよ、他の同世代グループとは重ならない創意と心意気ありまくりのバンドで、ぼくはおおいに拍手。恵比寿・リキッドルーム。