イタリア人の新進ジャズ・シンガー。黒の簡便なドレスを着用、右足内側足首上に小さなタトゥーあり。けっこう、イタリア人ぽい(って、変な形容だが)30歳代だろうピアノ・トリオを従えてのもの。彼ら、「恋人よ我に帰れ」の際に複数のリズム・パターンをいったりきたりという面白いアレンジをとっていたが、普段から一緒にやっている単位なんだろうな。そういえば、リチャルディとピアニストはレパートリーのなかから何を歌うかをその場で相談して決めていた感もあった。この晩、取り上げたのは少し渋めのスタンダードが中心で、彼女は全て英語で歌う。ノリとしてはもろにジャズ一直線という感じだが、真正面からがんがん歌うというタイプではなく、醒めた感じ、ときに突き放した感じを与えつつしっとり歌う人。ゆえに、テンポはゆったり目のものが多く、ボサ調もいくつか。ちょい低音目のひんやりした声質もそうした印象を高めるか。イタリアの醒めたため息、なんちって。アンコール曲ではスキャットもかます。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。今日は土用の丑の日。終演後に誘われて、うなぎ屋に行く。さすがに混んでいる。その当日に鰻を食べるのは初めて。夏の風物詩か……。江戸時代からある風習なはずで、少し、江戸時代に思いはワープ。