渋谷・クラブクアトロ。ベティ・ラヴェットがゲストということで、途中
でソウライヴに混じって数曲歌うのかと思ったら、自分のバンドのもと1時
間近いショウをきっちり見せる。現在はアンタイとディールを持つ(マイケ
ル・フランティだのメイヴィス・ステイプルズだの、エピタフ傘下のアンタ
イはここのところ黒い逸材といろいろ契約しているなあ)、60才ぐらいには
なっているだろう、この豪快型R&Bシンガーも朝霧ジャム参加組だ。
                  
 白人で組まれたバンドはちょっとなあと感じさせる部分もあった(ソウラ
イヴのバッキングで歌ったら、どんな感じになるかと思わずにはいれれず)
が、当人は歌(かなり、喉に負担がかかりそうな歌唱法を見せていたが、ち
ゃんと声が出て、音程も確か)にせよ、MC(「次はジョー・サイモンの曲
よ。でも、私のほうが良く歌えるけど」とか、「今、46才。(え、そんな若
いワケは思ったら)、業界に入ってからね」と落としたり)にせよ、ステー
ジ運びにせよ(ステージからフロアに降りたりも)、なかなかでした。バン
ド音がけっこうロックぽいときもあり、総じてはティナ・ターナーと重なる
味を放出していたと言えるか。

 その後、ソウライヴ(2000年8月12日、2001年2月1〜2日、2003年3月
31日、2004年4月1日、2005年7月30日、他)が登場。新作ではトゥーサ
ンというシンガーを加えて4人組のソウル・バンドとしての姿を見せた彼らだ
が、3人でのインスト表現もそれなりに聞かせて、全体としては歌入りと歌
なしの比率は五分五分という感じだったかな。演奏は豪快だが、少し荒くな
ったなあと思わせられるところもあった。一方、トゥーサンが入る歌曲(ロ
ッキン・ソウルと言いたくなる、がちんこした質感の曲が主)はぼくにとっ
ては起爆力大。実は、ラヴェットの後だと彼の不備も目立つ(音程や声に内
在する強さ、など)が、そんなの関係ねえって感じで鼓舞され、ぼくはぐい
ぐい身体を揺らしてしまった。楽しかったァ。めでたし、めでたし。彼らは
前作からコンコード/スタックスを通してアルバムを出しているが、人気の
ある日本では別会社からのリリース。米国コンコードで新生スタックスの新
録部門を担当するコリン・スタンバック(その前はヴァージンでザ・ネプチ
ューンズやケイリスを担当)はソウライヴが現代のブッカー・T&ザ・MG
ズ(かつての、スタックスのハウス・バンド)みたいな存在になるのを期待
する、なーんてことを会ったときに言っていたっけ。

 そして、六本木に移り、ビルボードライブ東京(セカンド)で途中からと
なってしまったが、NYのギタリストのジョン・トロペイ(2004年1月27日
)の演奏を聞く。ギター、オルガン、リズム隊、サックスが腹八分目で重な
るわけだが、絶妙なプレイヤー間のコンビネーションや抑制されたなかから
浮かび上がる綾やひっかかりの存在には自分が驚くほど感服。これは、NY
のある種のミュージシャン・サークルならではの“微妙な良さ”があると言
わざるを得ない。なんでも、トロペイは普段オレはフュージョン・ギタリス
トじゃない、R&Bギタリストだと言っているそうだが。