この晩はまず先に書いたdba のすぐ側にあるスナッグ・ハーバー(ちゃ
んとレストランを持つ、ちょい大人っぽいジャズ系のヴェニュー)で、ネヴ
ィル・ブラザーズのチャールズ・ネヴィル(2000年1月12日)の娘のシャー
メイン・ネヴィル。10ドルか15ドル。ピアノ、キーボード、アコースティッ
ク・ベース、ドラム、ギターがサポート。“&フレンズ”となっていて、と
きにアコーディオン奏者や男女シンガーも加わる。もろにジャズっぽいこと
もやれば(「キャラヴァン」他、ベタなジャズ・スタンダードも歌う)、もう
少しポピュラーというかルイジアナっぽい色彩も感じるところもあるし、微
妙というか、なかなか不思議なテイスト。過剰に歌のうまい人ではないのは
すぐに了解できた。大昔、来日したことがあったずだが、どんな音楽性であ
ったっけ。

 そして、またメイプル・リーフへ。リバース・ブラス・バンド(2004年9
月17日)は毎火曜に出ているらしい。10ドル。すごい混んでる。すぐ近くに
は24時間営業のコーヒー・ハウスがあったが、観光客というよりは地元の学
生が騒ぎに来ているという感じ。細長〜いハコで(奥には、プール・バーが
またあったりする)、ステージはそんなに広くないのだが、よくグループ全
員がステージ上に納まったな。なんでも、レイ・チャールズの伝記映画『レ
イ』(2004年11月15日)の1シーンやビヨンセ(2001年6月25日、2006
年9月4日)の「デ・ジャ・ヴ」のヴィデオ・クリップがここで撮られたそう。
この晩の彼らは、ダーティー・ダズン・ブラス・バンドが新作でやっていた
マーヴィン・ゲイの「インナーシティ・ブルース」を演奏したりも。意識し
て? 偶然? ......雄々しい、胸を張った今のニューオリンズ・ブラス・バ
ンド表現で同地最後の晩を終える。なかなか、よろしいんではないでしょう
か。

 何日かいると、ニューオリンズの特殊性/エキゾ性というのが身にしみる
。まず、なんといっても食い物が特殊だし(けっこう、好奇心あるクチだと
思うが、他の人が言うほどケイジャン料理を美味しいとは思わない。喜んで
食うけど)、建物の感じも違う(フレンチクォーターではなんかの撮影を複
数回見た)。そして、やはりマルディグラという時期にいることも大きいの
だろうけど、流儀や風情が他のどの米国の都市とも違い、超然とあるように
感じるのだ。隣のテキサス州に行けばメキシコ色が濃く入り込んでいるが、
それはLA他の都市でも感じることができるし。それに、カリブやフランス
など、いろんな文化の尻尾がここには絡みあっている。そういえば、他の大
都市に行くと日本人をはじめ、東洋系の人ともすぐにすれちがうが、ニュー
オリンズではそういうことがない(フェスの期間は別だろうけど)。ここの
ところ、ヴェトナム系の人が増えているようだが。やっぱり、日本人は少な
いのね。そりゃ、日本からの直行便がないはずだ。