わははは。台湾アーティスト、デビューぢゃ。

 1976年米国NY州ロチェスター生まれでバークリー音楽大学なんかにも通っ
た、日本でも人気の(6月には、鈴木京香と共演した映画も公開されるよう)
このハンサム・ガイのことを、ぼくは最近まで認知していなかった。だけど、
CD聞いたらけっこうすごいんだよね。基本はR&B/ヒップホップがメイン
・ストリームたる時代のポップ・ミュージックなんだけど、自作派の人でかな
りの作曲能力を持っているし、ときにアジア的な要素も巧みに入れていて眩し
いミクスチャー感覚を感じさせてくれたりもするのだ……。

 で、きらびやかな、アイドル的でもあるショウを渋谷・NHKホールで見た
。客はおばはんは多くなく、若目の女性が多かった(ように思う)。とうぜん
黄色い声援が飛び、いろんな色の蛍光スティックやメッセージ・シート(ちょ
うど、彼は30歳になったみたい)を持つ人も少なくない。そんななか、いたた
まれなくなるかとも思ったのだが、これがかなりいい感じで見れたのだな。そ
れは、一重に彼がやはりいい曲を次々に繰り出してくるから。どこかで聞いた
感じのものもあるのだが、ぼくの見立てでは作曲能力はベイビーフェイスより
上ではないか、と。

 出だしのころ、パっと見て思ったのは、プリンスのこと好きなのかな? な
んか、ちょっとした声の出し具合とかから。バッキング陣は、音楽監督のキー
ボード、ギター、ベース、ドラム、パーカョション、コンピューター担当。そ
して、ダンサーが男性四人、女性二人だったか。バンドは西洋人も複数入って
いたが(打楽器の人は中近東名だった)、もう少しバシっとした重厚感のある
音を出してほしいところ。また、当初は本人の歌も少し弱いかもと感じたが、
ハードディスクのバック・コーラスを使うことはあっても、すべてを自分の生
の声で2時間を通したのは褒めていいとぼくは思った。とかなんとか、一番劣
っていると感じたのはダンサーたちのスキルだったな。

 ステージ設定や音楽傾向は手を変え、品を変え。彼は歌ったり(ラップも少
々)、踊ったりするだけでなく、ときにピアノを弾いたり(弾き語りみたいな
ときも)、ヴァイオリンを弾いたり、ドラムを叩いたり、ギターを弾いたり。
さすが、音楽大学出身者ネ。あと、台湾かどこかの伝統的な弦楽器を弾いたり
もしたが、期待したほどはエイジアンな要素は高くなかった。でも、繰り返し
になるが、次々に送りだされる曲はどれも完成度の高いものであり、ぼくは今
度はどんな曲が出てくるのとドキドキしながら聞けた。MCは英語や日本語な
どの併用。プロでしたね。

 今回、ひさしぶりにNHKホールに行って感じたのはいくら改装などのメイ
ンテナンスはちゃんと行われていたとしても、過剰に古さを感じさせないハコ
だなあということ。だって、間違いなく築35年近くたっているはず。確か、ロ
ック・アーティストで同所で最初にコンサートをやったのは、73年ごろのジェ
スロ・タルだったはず。もちろんそれを見てはいないが、『パッション・プレ
イ』というアルバム・タイトルとともに、ぼくはそのニュースを記憶の襞に留
めている。それともその後、改築されているのかな。