渋谷・文化村オーチャードホール。こういう公演なら、非常
に合っている。

 ニール・ラーセン(主にキーボード)、トム・ブレックライ
ン(ドラム)ら西海岸のフュージョン/セッション界の腕利き
をバックにしての、ジャズっぽい隙間や揺れ、鷹揚さを効果的
に応用してのパフォーマンス。それを見ながら、ローラ・ニー
ロ(マイク・マイニエリ、リチャード・デイヴィスやジョン・
トロペイ:2004年1月27日、他。そこで吹いていた女性リード
と女性ペット奏者はブッダが送りだした女性ブラス・ロック・
グループのアイシスにいた人たちだった)とジョニ・ミッチェ
ル(マイケル・ブレッカー、パット・メセニー、パストリアス
他)、それぞれにジャズ系奏者を鋭意起用したライヴ盤(77年
と80年)を思い出す。あれらとも回路は違うが、ジョーンズも
またジャズの尻尾をうまく自分のシンガー・ソングライター表
現とつなげている。そして、ニーロは既に鬼籍に入り、ミッチ
ェルも引退とあれば、ジョーンズの重要性はより増すというも
のではないか。

 終演後(1時間半強。アンコールはなしだった)って、知り
合いと飲みにいった先で話題になったのは、唯一若そうだった
小柄なサックス奏者が男か女かということ。ぼくは女性だと思
っていたが、若い男だと思っていたという人もいる。帽子被っ
て、顔を隠していたからな……。あと、ジョーンズのずんぐり
むっくりした体型も話題になったが、それは約20年前の来日公
演のときにもそういう感じだったので(スパッツを履いて立派
な下半身を強調していた)ぼくはあまり驚かなかった。奔放な
、どこか少女っぽい歌声はけっこうキープしてましたね。
 
 ブッシュに対する厳しい視点を散りばめた新作からの曲を中
心に過去の有名曲も披露。MCでもきっちりとブッシュ批判を
する。まっとうなアメリカ人の毅然とした、優れたライヴでし
た。