インキュバス

2004年3月3日
 日本武道館。なんと、アリーナは椅子なしのスタンディン
グ。そんなの、コンサートのために武道館に来だしてから初
めて見る光景だ。なんでも、初めての瞬間を認識するのは、
ちょっとうれしいものではありますね。で、初めて来た武道
館のコンサートを思い出そうとするが、まるっきり思い出せ
ない。うーむ、なんだったのかなー。

 日本にはフェスを含め複数回やって来ているはずだが、ぼ
くは彼らを今回初めて見る。米国の混合ヘヴィ系に入るバン
ドだけど、多彩な顔を持つバンドであり、あれれれというと
ころをいろいろと見せたとは書けるか。まず、冒頭のほうで
思い浮かべたのはザ・ポリス。ドラマーがとってもスチュワ
ート・コープランドの影響が強い叩き方をしているせいもあ
って。ザ・ポリスのような豊かな奥行きを持つポップ・バン
ドがあの頃(70年代後期)はああなり、今だとこういう音楽
性を持つんだナ、な〜んて感じさせられたりも。ドレッド頭
の黒人DJがいたり、黒人ベーシストはなんとザ・ルーツ(
2002年12月29日、2003年12月2日)にいた人だ(そうだ)っ
たり、途中でヴォーカルのブランドン・ボイドはジャンベを
叩いたり。それ、物凄く凡庸な使い方でがっかりではあった
が。

 そのボイドのまっすぐさ加減は認めよう。いいシンガーだ
と思う。曲もいろいろと工夫したいる感じが伺えるし、演奏
陣の腕前もなかなかだ。だけど、そのぶん破天荒さはあまり
感じさせず、かなり行儀のいいバンドという印象も得た。実
演に触れながら、なんかこの人たち刺青がなさそう、とも思
う。風俗としてのロックではなく、音楽としてのロックにヤ
ラれた人たちのバンド、というか。それ、否定的に書いてい
るわけではありません。ぼくも学生時代は、そういうノリの
ところ少しはあったと思うもの。偶然だが、途中からボイド
は上半身ハダカになったけど、刺青なかったな。まあ、ぼく
が年相応のムスメの親だったら、すさんだ刺青野郎のコンサ
ートに行かれるよりはこっちのほうがさぞかし安心できちゃ
うんだろーな。なんて、突拍子もないことも、この公演を見
ながら思った。