ソウライヴ・ウィズ・レジー・ワッツ
2004年4月1日 南青山・ブルーノート。今回のソウライヴ(2000年8月12日、20
01年3月1、2日、2002年3月26日、2003年3月31日)は、なんと
シアトルのロッキン・ファンク・バンドのマクチューブのシンガー
/キーボーディストで、ソロ作も一枚出しているレジー・ワッツを
伴ってのもの。マックチューブの2枚目がソウライヴが所属するヴ
ェロアからリイッシューされたのが縁で、今回の抱き合わせツアー
となったのだろう。
あたまの2、3曲はソウライヴだけの演奏。そして、それ以後は
デカいアフロ・ヘア(もう、10年ぐらいやってるそう)がトレード
・マークのレジー・ワッツが加わるのだが部分的ではなく、ずうっ
と出っぱなし。しかも、ノリとしてはレジー・ワッツが主役でソウ
ライヴはバック・バンドといった感じ。だが、それがまた良かった
のだ。ワッツさん、身体も太かったが、地声がまた太い。それが、
実に味と説得力を持つ。思った以上に、いい歌手。曲のブリッジ部
では、コントローラーを用い歌声をコーラス風に加工したりもする
。そこらへんは、コンポーザーやキーボーディストとしても才を発
揮する人ならではという感じも少しする。で、バッキングに回った
ソウライヴの演奏がまた新鮮でなかなか。なかなか有意義な共演ギ
グでした。
01年3月1、2日、2002年3月26日、2003年3月31日)は、なんと
シアトルのロッキン・ファンク・バンドのマクチューブのシンガー
/キーボーディストで、ソロ作も一枚出しているレジー・ワッツを
伴ってのもの。マックチューブの2枚目がソウライヴが所属するヴ
ェロアからリイッシューされたのが縁で、今回の抱き合わせツアー
となったのだろう。
あたまの2、3曲はソウライヴだけの演奏。そして、それ以後は
デカいアフロ・ヘア(もう、10年ぐらいやってるそう)がトレード
・マークのレジー・ワッツが加わるのだが部分的ではなく、ずうっ
と出っぱなし。しかも、ノリとしてはレジー・ワッツが主役でソウ
ライヴはバック・バンドといった感じ。だが、それがまた良かった
のだ。ワッツさん、身体も太かったが、地声がまた太い。それが、
実に味と説得力を持つ。思った以上に、いい歌手。曲のブリッジ部
では、コントローラーを用い歌声をコーラス風に加工したりもする
。そこらへんは、コンポーザーやキーボーディストとしても才を発
揮する人ならではという感じも少しする。で、バッキングに回った
ソウライヴの演奏がまた新鮮でなかなか。なかなか有意義な共演ギ
グでした。
エル・ネグロ&ロビー・ウイズ・デイヴ・ヴァレンティン
2004年4月5日 キップ・ハンラハン絡みのプロジェクトにおけるツイン・ドラム
・コンビ(2000年1月12日、2001年5月15日、2003年8月9日)で注目
を集めた、キューバン・ネイティヴ実践派とアメリカン学究派(?
)のでこぼこ二人組がリーダーシップを取る出し物。すでにアルバ
ムを2枚出しているが(1枚目の02作のほうがずっと出来が良い)
、その求めるところは、ウマの合うミュージシャンとの有機的なや
りとりを介して自分たちの根っこと今のヴァイヴや視点を重ね合わ
せた混沌音楽を送りだす……ということになるか。2002年7月24日
のライヴはやはりそのノリでの実演でしたね。蛇足だが、本欄では
他に2002年12月27日の項でも触れている(エル・ネグロは、2002年
10月3日も)。おお、オレいっぱい彼らのこと見てるな。でも、こ
こ2年ぐらい彼らは本当に度々日本に来ているから、ぼくが見てな
いときもそれなりにあるはずだが。
南青山・ブルーノート東京。二管、六弦ベース、鍵盤、打楽器、
そして性格な良さそうな二人のシンガー(女性はラテン系。ラップ
主体の黒人男性は、マライア・キャリーのツアーでも来ていたらし
い:2003年7月6日)という編成にて。楽器奏者はみんな上手い。
主役のお二人は一緒にドラムをどかどか叩く曲は少なくて、どちら
かはドラム・セットから離れ、肩掛け式のランプラー(25個ぐらい
のボタンがついていて、手打ちで打ち込み音のような音を出す)を
扱う。
話は前後するが、特別ゲストとして3曲目からラテン・ジャズの
大御所フルート奏者デイヴ・ヴァレンティンが加わる。意外に、外
見はそんなに爺になってはおらず。で、とってもエンターテインメ
ント精神ある人ね。ただ、やはり音楽的にはかなり離れている。で
も、そこは暗黙の了解とラテンの鼓動が繋ぐ鷹揚さで、コレデイイ
ノダという感じで控えめに重なる。両者、楽屋ではどんな感じなの
か。
ともあれ、ラテン、ヒップホップ、ジャズ(とくに、管のアンサ
ンブルは電気マイルス的ね)、R&Bなどを自在に重ねた音楽を繰
り出す。ぼくは十二分に楽しみました。
・コンビ(2000年1月12日、2001年5月15日、2003年8月9日)で注目
を集めた、キューバン・ネイティヴ実践派とアメリカン学究派(?
)のでこぼこ二人組がリーダーシップを取る出し物。すでにアルバ
ムを2枚出しているが(1枚目の02作のほうがずっと出来が良い)
、その求めるところは、ウマの合うミュージシャンとの有機的なや
りとりを介して自分たちの根っこと今のヴァイヴや視点を重ね合わ
せた混沌音楽を送りだす……ということになるか。2002年7月24日
のライヴはやはりそのノリでの実演でしたね。蛇足だが、本欄では
他に2002年12月27日の項でも触れている(エル・ネグロは、2002年
10月3日も)。おお、オレいっぱい彼らのこと見てるな。でも、こ
こ2年ぐらい彼らは本当に度々日本に来ているから、ぼくが見てな
いときもそれなりにあるはずだが。
南青山・ブルーノート東京。二管、六弦ベース、鍵盤、打楽器、
そして性格な良さそうな二人のシンガー(女性はラテン系。ラップ
主体の黒人男性は、マライア・キャリーのツアーでも来ていたらし
い:2003年7月6日)という編成にて。楽器奏者はみんな上手い。
主役のお二人は一緒にドラムをどかどか叩く曲は少なくて、どちら
かはドラム・セットから離れ、肩掛け式のランプラー(25個ぐらい
のボタンがついていて、手打ちで打ち込み音のような音を出す)を
扱う。
話は前後するが、特別ゲストとして3曲目からラテン・ジャズの
大御所フルート奏者デイヴ・ヴァレンティンが加わる。意外に、外
見はそんなに爺になってはおらず。で、とってもエンターテインメ
ント精神ある人ね。ただ、やはり音楽的にはかなり離れている。で
も、そこは暗黙の了解とラテンの鼓動が繋ぐ鷹揚さで、コレデイイ
ノダという感じで控えめに重なる。両者、楽屋ではどんな感じなの
か。
ともあれ、ラテン、ヒップホップ、ジャズ(とくに、管のアンサ
ンブルは電気マイルス的ね)、R&Bなどを自在に重ねた音楽を繰
り出す。ぼくは十二分に楽しみました。
クラスターTU
2004年4月10日 キング・クリムゾン絡みリズム・セクションと、アコーディオン(
ボタン式)奏者、そしてサンプラー音担当者(なんか、ターンテーブ
ルみたいな形の装置を用いる)による、インスト主体の4人組。アコ
ーディオン奏者以外の3人は横にアップルのラップトップ・コンピュ
ーターを置く。アコーディオン奏者も足元にはエフェクターがずらり。
お、おもしろい。トレイ・ガンは10弦のスティックを使用。ドラマ
ーのパット・マステロットもときに普通じゃない使い方も見せたりも
するし、他の二人は扱う楽器自体が通常のロック楽器ではないし、本
当に見ていて飽きない。もうキョロキョロ、ステージを見ちゃいまし
た。加工ヴォイスもときに担当するアコーディオン奏者は髪形や恰好
まで風情ある興味深いもので、なんかいいなあ、ああいうの。やっぱ、
芸(術)の道を思うまま進んでいるんだから普通の恰好してたってし
ょうがないじゃん、っていう意思あふれる? ぼーっとした曲には少
し飽きる部分もあったけど、ふむふむと頷きながら見てしまいました。
会場後方にもスピーカーを配し、後ろからも音が露骨に聞こえる局
面もあったりして、それもときに効果的。とかなんとか、俺たちはこ
うする、みたいなところが横溢していた、大人のロック・ビヨンド表
現を展開。渋谷・エッグマン。
ボタン式)奏者、そしてサンプラー音担当者(なんか、ターンテーブ
ルみたいな形の装置を用いる)による、インスト主体の4人組。アコ
ーディオン奏者以外の3人は横にアップルのラップトップ・コンピュ
ーターを置く。アコーディオン奏者も足元にはエフェクターがずらり。
お、おもしろい。トレイ・ガンは10弦のスティックを使用。ドラマ
ーのパット・マステロットもときに普通じゃない使い方も見せたりも
するし、他の二人は扱う楽器自体が通常のロック楽器ではないし、本
当に見ていて飽きない。もうキョロキョロ、ステージを見ちゃいまし
た。加工ヴォイスもときに担当するアコーディオン奏者は髪形や恰好
まで風情ある興味深いもので、なんかいいなあ、ああいうの。やっぱ、
芸(術)の道を思うまま進んでいるんだから普通の恰好してたってし
ょうがないじゃん、っていう意思あふれる? ぼーっとした曲には少
し飽きる部分もあったけど、ふむふむと頷きながら見てしまいました。
会場後方にもスピーカーを配し、後ろからも音が露骨に聞こえる局
面もあったりして、それもときに効果的。とかなんとか、俺たちはこ
うする、みたいなところが横溢していた、大人のロック・ビヨンド表
現を展開。渋谷・エッグマン。
ボー・ディッドリー
2004年4月12日 見れるだけで嬉しいっとなる、リヴィング・リジェンド。ブルーズ
〜R&Bをコペルニクス展開させてもう一つのイナセな米国黒人ビー
ト表現を作った、元祖ロックンロール三人衆のうちの一人。ボー・デ
ィッドリー(1928年生まれ)。チャック・ベリー(1926年生まれ)。
リトル・リチャード(1935年生まれ)。前者二人は複数回見ているが
、リトル・リチャードだけ生は見たことないのだな。うえん。横浜赤
レンガ・モーション・ブルー・ヨコハマ。
まずは、バック・バンドが出てくるわけだが、ありゃあ。ベース、
キーボード、サイド・ギター、ドラム。うち、ギター奏者とドラマー
は日本人。チャック・ベリーがそうするように、きっとこちらで雇っ
たのだろう。で、驚かされたのは、本国から連れてきたと思われるベ
ース奏者と鍵盤奏者が50才を過ぎてるだろう初老女性(しかも、非黒
人)であったこと。うは。なんか、変てこ、酔狂な感じは非常に出て
いた。
そのバッキング陣にてトレイド・マークのジャングル・ビートを押
し出す。キーボード奏者は演奏せずに、両手でマラカスをシェイクす
る。そしてボーさんが登場、なんと彼も手にとっても小さなマラカス
を持っていて、振っている。フフフ。ニューオリンズのセカンド・ラ
インとの近似性も指摘される(実際、彼の出身地ミシシッピ州マッコ
ムはニューオリンズとけっこう近い)ジャングル・ビートの影にラテ
ンあり。彼はどういう経緯でマラカス活用を始めたのか、約34秒思い
を巡らす。
で、椅子に座って、やはりトレイド・マークの長方形型のギターを
手にする。非常に持ちづらいはずで、完全に見てくれ優先のそれ。や
っぱ、酔狂。そして、妙なリヴァーブがかかりまくり、破綻もいろい
ろとあるギター・ソロをどんな曲でも悠々とかます。もうちょっと歌
ってほしいところではあったが。でも、たまに出てくる歌は非常に滋
味あり。じわん。終盤にやった、リフ一発のファンク曲には非常にP
−ファンクなるものを感じる。P−ファンクはボーさんに通ず、か。
最後になるとずっと椅子に座ってパフォームしていた彼が突然立ち上
がり、ドラマーのところにいき、ドラマーが叩く横で一緒にフロア・
タムを延々と叩きはじめる。どんどこどんどこどんどこ。なんか、そ
れエスコーラ・ジ・サンバのビートみたいに聞こえてきて、ディッド
リー表現の奥にあるオールマイティ性(?)に驚く。ととともに、や
はり音楽はまずビートありきなのだ、世のイナセな表現はつきつめる
ところアフリカの因子を内に持ちつづけるものなのだと思わずにはい
られず。
なんか杜撰なところはズサンだったが、本当に嬉しいもの、得難い
ものを見せてくれた実演……。
〜R&Bをコペルニクス展開させてもう一つのイナセな米国黒人ビー
ト表現を作った、元祖ロックンロール三人衆のうちの一人。ボー・デ
ィッドリー(1928年生まれ)。チャック・ベリー(1926年生まれ)。
リトル・リチャード(1935年生まれ)。前者二人は複数回見ているが
、リトル・リチャードだけ生は見たことないのだな。うえん。横浜赤
レンガ・モーション・ブルー・ヨコハマ。
まずは、バック・バンドが出てくるわけだが、ありゃあ。ベース、
キーボード、サイド・ギター、ドラム。うち、ギター奏者とドラマー
は日本人。チャック・ベリーがそうするように、きっとこちらで雇っ
たのだろう。で、驚かされたのは、本国から連れてきたと思われるベ
ース奏者と鍵盤奏者が50才を過ぎてるだろう初老女性(しかも、非黒
人)であったこと。うは。なんか、変てこ、酔狂な感じは非常に出て
いた。
そのバッキング陣にてトレイド・マークのジャングル・ビートを押
し出す。キーボード奏者は演奏せずに、両手でマラカスをシェイクす
る。そしてボーさんが登場、なんと彼も手にとっても小さなマラカス
を持っていて、振っている。フフフ。ニューオリンズのセカンド・ラ
インとの近似性も指摘される(実際、彼の出身地ミシシッピ州マッコ
ムはニューオリンズとけっこう近い)ジャングル・ビートの影にラテ
ンあり。彼はどういう経緯でマラカス活用を始めたのか、約34秒思い
を巡らす。
で、椅子に座って、やはりトレイド・マークの長方形型のギターを
手にする。非常に持ちづらいはずで、完全に見てくれ優先のそれ。や
っぱ、酔狂。そして、妙なリヴァーブがかかりまくり、破綻もいろい
ろとあるギター・ソロをどんな曲でも悠々とかます。もうちょっと歌
ってほしいところではあったが。でも、たまに出てくる歌は非常に滋
味あり。じわん。終盤にやった、リフ一発のファンク曲には非常にP
−ファンクなるものを感じる。P−ファンクはボーさんに通ず、か。
最後になるとずっと椅子に座ってパフォームしていた彼が突然立ち上
がり、ドラマーのところにいき、ドラマーが叩く横で一緒にフロア・
タムを延々と叩きはじめる。どんどこどんどこどんどこ。なんか、そ
れエスコーラ・ジ・サンバのビートみたいに聞こえてきて、ディッド
リー表現の奥にあるオールマイティ性(?)に驚く。ととともに、や
はり音楽はまずビートありきなのだ、世のイナセな表現はつきつめる
ところアフリカの因子を内に持ちつづけるものなのだと思わずにはい
られず。
なんか杜撰なところはズサンだったが、本当に嬉しいもの、得難い
ものを見せてくれた実演……。
ザ・ヴォン・ボンディーズ
2004年4月13日 今話題性大の、デトロイトのガレージ・ロック・バンド。当然、先
に来日したザ・ダートボムズ(2004年2月4日)とも関係を持つ(新
作でもメンバーに部分制作してもらっている)。彼らはマイケル・ジ
ャクソンの「スリラー」が流された後に登場する。
まずなんと言っても、男性二人女性二人という、そのメンバー構成
がよろしい。女性が軽めのバック・コーラスを取るときは、一気にニ
ュー・ウェイヴっぽい風情が出る。やっぱり、ニュー・ウェイヴって
いうのは女性進出の機会を大いに与えたムーヴメントでもあったんで
しょうね。
レコードで聞けるまんまの、がちんこ実演。彼らもレトロではある
んだろうけど、ぼくはあんましそういう感じは受けず。十分に今のも
の、というか、ぼくにとってはドキドキさせるまっとうな生っぽいロ
ック表現として存在しました。最後のほうにMCで、ギターウルフ賞
賛をしたりも。渋谷・クラブクアトロ。
に来日したザ・ダートボムズ(2004年2月4日)とも関係を持つ(新
作でもメンバーに部分制作してもらっている)。彼らはマイケル・ジ
ャクソンの「スリラー」が流された後に登場する。
まずなんと言っても、男性二人女性二人という、そのメンバー構成
がよろしい。女性が軽めのバック・コーラスを取るときは、一気にニ
ュー・ウェイヴっぽい風情が出る。やっぱり、ニュー・ウェイヴって
いうのは女性進出の機会を大いに与えたムーヴメントでもあったんで
しょうね。
レコードで聞けるまんまの、がちんこ実演。彼らもレトロではある
んだろうけど、ぼくはあんましそういう感じは受けず。十分に今のも
の、というか、ぼくにとってはドキドキさせるまっとうな生っぽいロ
ック表現として存在しました。最後のほうにMCで、ギターウルフ賞
賛をしたりも。渋谷・クラブクアトロ。
フランク・マッコム
2004年4月15日 オハイオ州クリーブランドの生まれ育ちで、一時はフィリーに身を
置き、今はLAに住むシンガー/ピアニスト。大手ソニーとインディ
から、ダニー・ハサウェイ的な持ち味を持つ2枚のアルバムを発表し
ている。
ハサウェイっぽい味を受けられればOKと思って行ったら、想像し
える以上にジャジーにピアノ/エレピを弾くのが好きな人で(翌日に
取材したら、ハービー・ハンコックとチック・コリアのフリーク。シ
ンガーだとアリサ・フランクリンが一番共感持っているよう)あれれ
。インスト曲も少なくないし、歌っている時間よりもピアノを弾いて
いる時間のほうが確実に長い。ピアノを弾くと、ハンコックっぽいフ
レイズがいろいろと出でくるが、10代から現場で活動してきた彼は独
学で技量を得てきたという。とはいえ、ピアノだけだとわざわざ聞く
価値はそれほど認められないわけで、もっと歌ってほしいなとは素直
に思った。取材のときは(30分と短い時間だったし)さすがそれをス
トレートには伝えられず、少し遠回しに歌を聞きたがっている人がい
っぱいいるからね、と伝えておく。
バンドはギター、電気ベース、ドラム。ベーシストは4月上旬にシ
ーラ・Eのバッキングで来日していたレイモンド・マッキンリーがそ
のまま日本に滞在し、加わっている(2002年8月12日のシーラ・Eも
彼。また、2003年2月11日や2001年6月29日のエディ・M〜沼澤尚が
らみのブルーノート東京公演も同様に)。なかなかシャープな叩き味
を見せた女性ドラマーはフォーリー(やはりクリーブランド生まれの
、リード・ベーシスト。晩年マイルス・バンドに在籍し、モージャズ
から珠玉リーダー作あり)のバンドで演奏していた人だそう。
会場は横浜赤レンガ・モーション・ブルー・ヨコハマ。初日にも係
わらず、けっこう混んでいた。会場では知っている人となんか沢山あ
って、へ〜えこんなこともあるんだという感じ。
置き、今はLAに住むシンガー/ピアニスト。大手ソニーとインディ
から、ダニー・ハサウェイ的な持ち味を持つ2枚のアルバムを発表し
ている。
ハサウェイっぽい味を受けられればOKと思って行ったら、想像し
える以上にジャジーにピアノ/エレピを弾くのが好きな人で(翌日に
取材したら、ハービー・ハンコックとチック・コリアのフリーク。シ
ンガーだとアリサ・フランクリンが一番共感持っているよう)あれれ
。インスト曲も少なくないし、歌っている時間よりもピアノを弾いて
いる時間のほうが確実に長い。ピアノを弾くと、ハンコックっぽいフ
レイズがいろいろと出でくるが、10代から現場で活動してきた彼は独
学で技量を得てきたという。とはいえ、ピアノだけだとわざわざ聞く
価値はそれほど認められないわけで、もっと歌ってほしいなとは素直
に思った。取材のときは(30分と短い時間だったし)さすがそれをス
トレートには伝えられず、少し遠回しに歌を聞きたがっている人がい
っぱいいるからね、と伝えておく。
バンドはギター、電気ベース、ドラム。ベーシストは4月上旬にシ
ーラ・Eのバッキングで来日していたレイモンド・マッキンリーがそ
のまま日本に滞在し、加わっている(2002年8月12日のシーラ・Eも
彼。また、2003年2月11日や2001年6月29日のエディ・M〜沼澤尚が
らみのブルーノート東京公演も同様に)。なかなかシャープな叩き味
を見せた女性ドラマーはフォーリー(やはりクリーブランド生まれの
、リード・ベーシスト。晩年マイルス・バンドに在籍し、モージャズ
から珠玉リーダー作あり)のバンドで演奏していた人だそう。
会場は横浜赤レンガ・モーション・ブルー・ヨコハマ。初日にも係
わらず、けっこう混んでいた。会場では知っている人となんか沢山あ
って、へ〜えこんなこともあるんだという感じ。
レディオヘッド
2004年4月18日 ちょっと外で和むのにはベストの気候。爽やかに日がさし、湿度は
低め。それだけで、幸せを感じるなあ。
千葉県・幕張メッセ(5時開演。明るい時間だと、場内上部から光
がいっぱい漏れ、非常に集中しずらい)。客、1万人ぐらいはいたの
かな? 彼らは昨年のサマーソニック(2003年7月3日)に出演し、
物凄く好評を受けたが、ぼくはその裏で“なんちゃってドアーズ”を
見ていたので、その前の来日時の横浜アリーナ(2001年10月4日)い
らいとなる。
響き、蠢く、今の美意識あふれるロックを堂々、存分に送りだす。
すごいナ。少なくても2年半前のそれと比較すると、彼らはいろんな
面で前進していた。そりゃ感動度/衝撃度では、『キッドA』で示し
た新世界を初めて(日本の)ライヴの場で開こうとした横アリ公演の
ほうが確実に勝っていたと思う。だが、純粋なパフォーマンスとして
は、よりアブストラクト路線を消化し、有機的なライヴ音に移してい
た今回のほうがより完成度の高いものだったと断言できる。当然のこ
とながら、アグレッシヴ度や飛翔度なんかも今回のほうが上。本当に
プロで、研ぎ澄まされた実演。それから、愛想は売らないが、ちょっ
とした仕種にプロとしての自負やファンを大事にする気持ちが現れて
いるのことにも感心した。
静か目の曲で、ギターがもろにジャズ・ギターの爪弾き方をしてい
るなど、芸が細かいというか、ちゃんと腕も立つ。2回のアンコール
を含めて、ちょうど2時間のショウ。ステージ左右には細長い長方形
のモニター・ヴィジョンが。決して見やすいものはなかったが、ピア
ノを弾くヨークを上方から納めるカットを流したりとか、ときにおい
しい情報はあり。そういう心配り、これだけの大会場公演だと必要だ
と思った。
低め。それだけで、幸せを感じるなあ。
千葉県・幕張メッセ(5時開演。明るい時間だと、場内上部から光
がいっぱい漏れ、非常に集中しずらい)。客、1万人ぐらいはいたの
かな? 彼らは昨年のサマーソニック(2003年7月3日)に出演し、
物凄く好評を受けたが、ぼくはその裏で“なんちゃってドアーズ”を
見ていたので、その前の来日時の横浜アリーナ(2001年10月4日)い
らいとなる。
響き、蠢く、今の美意識あふれるロックを堂々、存分に送りだす。
すごいナ。少なくても2年半前のそれと比較すると、彼らはいろんな
面で前進していた。そりゃ感動度/衝撃度では、『キッドA』で示し
た新世界を初めて(日本の)ライヴの場で開こうとした横アリ公演の
ほうが確実に勝っていたと思う。だが、純粋なパフォーマンスとして
は、よりアブストラクト路線を消化し、有機的なライヴ音に移してい
た今回のほうがより完成度の高いものだったと断言できる。当然のこ
とながら、アグレッシヴ度や飛翔度なんかも今回のほうが上。本当に
プロで、研ぎ澄まされた実演。それから、愛想は売らないが、ちょっ
とした仕種にプロとしての自負やファンを大事にする気持ちが現れて
いるのことにも感心した。
静か目の曲で、ギターがもろにジャズ・ギターの爪弾き方をしてい
るなど、芸が細かいというか、ちゃんと腕も立つ。2回のアンコール
を含めて、ちょうど2時間のショウ。ステージ左右には細長い長方形
のモニター・ヴィジョンが。決して見やすいものはなかったが、ピア
ノを弾くヨークを上方から納めるカットを流したりとか、ときにおい
しい情報はあり。そういう心配り、これだけの大会場公演だと必要だ
と思った。
テリー・キャリア
2004年4月19日 前回の来日(2002年5月21日)でもうばっちりいい気分を味わい、
超笑顔になった私。今回も感動させていただきました。南青山・ブル
ーノート東京。
いい曲、いいメッセージ、いい歌声、いい伴奏。前回と同じ楽器編
成ながら、リズム・セクションは変更されていた。ドラマーはフラン
ス人女性で今回でやるのが3度目とか。楽曲は30年前の曲も。本人に
確認したら、やる曲はリストをキーボード奏者が持っていて、そのな
かからギター奏者なども交えどれをやろうかなっと決めているという
。ライヴの最中にもひょいっと変えるそう。
しかし、音楽的な才能とともに、本当にいい人間性を持つ人である
のが伝わってきて(だからこその、あの歌詞!)、得難い気持ちにな
れる。一時、引退していたのは娘をちゃんと育てるため(娘と二人生
きるため、なんて言っていたから、父子家庭だったのだろうか)、な
んてのも泣かせるよな。その娘さんも今は小学校の先生をやっている
そう。きっと、素晴らしい教師なんだろうな。
それにしても、その声量たっぷりの素晴らしい声を聞いていると、
彼のアンプラグド聞きてえ。と、思わずにはいられず。今回はモーシ
ョン・ブルー・ヨコハマでもやるようだが、ノー・マイクでやっちゃ
えばいいのに。彼なら間違いなく出来る、と思わずにはいられず。
超笑顔になった私。今回も感動させていただきました。南青山・ブル
ーノート東京。
いい曲、いいメッセージ、いい歌声、いい伴奏。前回と同じ楽器編
成ながら、リズム・セクションは変更されていた。ドラマーはフラン
ス人女性で今回でやるのが3度目とか。楽曲は30年前の曲も。本人に
確認したら、やる曲はリストをキーボード奏者が持っていて、そのな
かからギター奏者なども交えどれをやろうかなっと決めているという
。ライヴの最中にもひょいっと変えるそう。
しかし、音楽的な才能とともに、本当にいい人間性を持つ人である
のが伝わってきて(だからこその、あの歌詞!)、得難い気持ちにな
れる。一時、引退していたのは娘をちゃんと育てるため(娘と二人生
きるため、なんて言っていたから、父子家庭だったのだろうか)、な
んてのも泣かせるよな。その娘さんも今は小学校の先生をやっている
そう。きっと、素晴らしい教師なんだろうな。
それにしても、その声量たっぷりの素晴らしい声を聞いていると、
彼のアンプラグド聞きてえ。と、思わずにはいられず。今回はモーシ
ョン・ブルー・ヨコハマでもやるようだが、ノー・マイクでやっちゃ
えばいいのに。彼なら間違いなく出来る、と思わずにはいられず。
ジン・チ
2004年4月21日 ロベン・フォード(1999年8月28日)を中心とする、西海岸のロッ
クっぽいところもある、2枚のアルバムを出してもいるインスト中心
のトリオ・バンド。そして、今回はそこに西海岸の百戦錬磨のセッシ
ョン・ギタリスト、マイケル・ランドウが加わる(さらには、キーボ
ード奏者も)。南青山・ブルーノート東京。聞くところによると、夜
中から(いい席を録るために)並んだ人がいるそうだが、それはもし
かしてランドウのファンか。
とにかく、そんな話も頷けるぐらい、客の反応が熱狂的。パット・
メセニーのときも感じたが(2002年9月19日)、一部のフュージョン
系の聞き手ってファンとして率直な反応を出すなあ。
うわ、音がでかい。ここはサブ・ウーハーをPAに組み込んでいる
ということだが、この晩はそれを肌で感じたな。ドラムはフランク・
ザッパのバンドで活躍したヴィニー・カリウタ。彼が目鼻だちのくっ
きりしたリズムをどかすか叩く上に、2本のギターが泳ぐ。
初めて(と思う)生で触れるランドウにはへえ。やってと言えば、
クラペトンもベックもすぐできそうな感じ。彼は1曲で歌ったりもし
た。ただ、キーボード奏者には大きく疑問を感じる。別に目立つこと
やってないのに、邪魔と感じる部分も。でも、フォードはそれを気に
入ってメンバーに入れているのだろうし……。
途中、トイレに行くため席を立つと、後方においおいと反応する人
がいる。ありゃ、テリー・キャリアだ。横には白人女性マネイジャー
もいる(彼のマネイジメントは英国でやっている)。目敏く、ぼくを
見つけてくれた。ハグハグ。「ねえ、今回は“トーキョー・ムーン”
とは出会った?」。“トーキョー・ムーン”とは、彼の02年スタジオ
作に入っていた東京での反応に感激して作っただろう曲である。よう
は、今回の来日でも手応えを受けましたか、という意味合いでぼくは
彼に言った。そしたら、「次、次はね。モーション・ブルーではやる
よ」。ん? どうやら、彼は“トーキーョ・ムーン”はやらないの、
という意味に取ったよう。うるさいなかの会話とはいえ、もうぼくが
酔っぱらってのものとはいえ(でも、そのほうが調子いいときもある
しなあ)、なんだかなあ。これで、明日のギグで本当にやっちゃった
りしてなあ。行けねえんだよお。別なのに行くから。ともあれ、あん
たのアンプラグドが聞きたい。あなたの声はそれをやるべきだとも、
伝えておく。その後、彼と握手した手はずっとパフィームの臭いがプ
ーン。ハグしたぼくの首すじもそうだったのだったような。
クっぽいところもある、2枚のアルバムを出してもいるインスト中心
のトリオ・バンド。そして、今回はそこに西海岸の百戦錬磨のセッシ
ョン・ギタリスト、マイケル・ランドウが加わる(さらには、キーボ
ード奏者も)。南青山・ブルーノート東京。聞くところによると、夜
中から(いい席を録るために)並んだ人がいるそうだが、それはもし
かしてランドウのファンか。
とにかく、そんな話も頷けるぐらい、客の反応が熱狂的。パット・
メセニーのときも感じたが(2002年9月19日)、一部のフュージョン
系の聞き手ってファンとして率直な反応を出すなあ。
うわ、音がでかい。ここはサブ・ウーハーをPAに組み込んでいる
ということだが、この晩はそれを肌で感じたな。ドラムはフランク・
ザッパのバンドで活躍したヴィニー・カリウタ。彼が目鼻だちのくっ
きりしたリズムをどかすか叩く上に、2本のギターが泳ぐ。
初めて(と思う)生で触れるランドウにはへえ。やってと言えば、
クラペトンもベックもすぐできそうな感じ。彼は1曲で歌ったりもし
た。ただ、キーボード奏者には大きく疑問を感じる。別に目立つこと
やってないのに、邪魔と感じる部分も。でも、フォードはそれを気に
入ってメンバーに入れているのだろうし……。
途中、トイレに行くため席を立つと、後方においおいと反応する人
がいる。ありゃ、テリー・キャリアだ。横には白人女性マネイジャー
もいる(彼のマネイジメントは英国でやっている)。目敏く、ぼくを
見つけてくれた。ハグハグ。「ねえ、今回は“トーキョー・ムーン”
とは出会った?」。“トーキョー・ムーン”とは、彼の02年スタジオ
作に入っていた東京での反応に感激して作っただろう曲である。よう
は、今回の来日でも手応えを受けましたか、という意味合いでぼくは
彼に言った。そしたら、「次、次はね。モーション・ブルーではやる
よ」。ん? どうやら、彼は“トーキーョ・ムーン”はやらないの、
という意味に取ったよう。うるさいなかの会話とはいえ、もうぼくが
酔っぱらってのものとはいえ(でも、そのほうが調子いいときもある
しなあ)、なんだかなあ。これで、明日のギグで本当にやっちゃった
りしてなあ。行けねえんだよお。別なのに行くから。ともあれ、あん
たのアンプラグドが聞きたい。あなたの声はそれをやるべきだとも、
伝えておく。その後、彼と握手した手はずっとパフィームの臭いがプ
ーン。ハグしたぼくの首すじもそうだったのだったような。
ストリング・チーズ・インシデント
2004年4月22日 青海・ゼップ東京。ほぼ、1年ぶりの来日(2003年4月12日)。…
…良かったな。バンドとしての生命線の重要な何かを持っているナと
思わずにはいられず。語彙の広がりは少し狭くなって、表現の間口を
広げずもう少しアメリン・ロック・バンドとしてのヴァリエーション
を開いていた感じもあったかな。無理にワールド・ミュージック的に
なるよりはそのほうが自然でぼくはより好ましく思う。
約1時間と約1時間半のセットを二つ。アンコールはなかった(と
思う)。1部の最後にはYO-KING が出てきたボブ・ディランの「マイ
・バック・ペイジズ」を日本語で歌う。なんでも、取材で前日に両者
は会って、なら出なよと、なったらしい。そういう敷居の低さはいい
よな。
しかし、ここのミラー・ボールは綺麗。真っ暗ななかにミラー・ボ
ールの光が散り、正面に落ちついた感じの照明を受けてぽっかり浮か
ぶチーズの面々の姿は思わず“夢のバンド" みたいだと酔っぱらった
頭で思ってしまった。公演終了後に知人と立ち話をしていたのだが、
会場が明るくなっても客がニコニコとずっといるし、会場の外にも人
が沢山ゆるゆるとたむろしている。そういう光景はあまり見れるもの
ではないし、そういうのに触れ、やっぱりチーズはいいバンドだなと
思った。彼らは翌日もここで。金曜だし、もっと盛り上がるんだろう
な。
…良かったな。バンドとしての生命線の重要な何かを持っているナと
思わずにはいられず。語彙の広がりは少し狭くなって、表現の間口を
広げずもう少しアメリン・ロック・バンドとしてのヴァリエーション
を開いていた感じもあったかな。無理にワールド・ミュージック的に
なるよりはそのほうが自然でぼくはより好ましく思う。
約1時間と約1時間半のセットを二つ。アンコールはなかった(と
思う)。1部の最後にはYO-KING が出てきたボブ・ディランの「マイ
・バック・ペイジズ」を日本語で歌う。なんでも、取材で前日に両者
は会って、なら出なよと、なったらしい。そういう敷居の低さはいい
よな。
しかし、ここのミラー・ボールは綺麗。真っ暗ななかにミラー・ボ
ールの光が散り、正面に落ちついた感じの照明を受けてぽっかり浮か
ぶチーズの面々の姿は思わず“夢のバンド" みたいだと酔っぱらった
頭で思ってしまった。公演終了後に知人と立ち話をしていたのだが、
会場が明るくなっても客がニコニコとずっといるし、会場の外にも人
が沢山ゆるゆるとたむろしている。そういう光景はあまり見れるもの
ではないし、そういうのに触れ、やっぱりチーズはいいバンドだなと
思った。彼らは翌日もここで。金曜だし、もっと盛り上がるんだろう
な。
デイヴィッド・シルヴィアン(24日)。ザ・べイカー・ブラザーズ(27日)
2004年4月27日4月24日(土)
デイヴィッド・シルヴィアン
昭和女子大の人見記念講堂。学生証にクレジット・カードを初めて
くっつけた学校だっけ。10年以上ぶりに行く。硬いお嬢さん女子大と
いう印象があるが、かつてはコンサートがあるときは構内に車を止め
させてくれるなどサバけた一面も。場内奥(下だったけな?)のほう
では確かビールも提供していたし。今もそうなのかな。
1時間50分ぐらいの実演。昨年出した、音響静謐冒険ポップの大傑
作『プレミッシュ』のノリを引き継ぐもの。ま、とっても“暗い”と
も言えるんだが、それを堂々開いてましたね。基本の淡い効果音/伴
奏音を出す人として、ジャパンからの同僚というか、弟のスティーヴ
・ジャンセンがつく。伴奏は彼だけ。一部はコーラスを付け、何曲も
で手弾きでドラム音(少し、セコい音色)を付けたりもし、そのとき
はキック経由でバス・ドラムの音を出す場合も。彼も秀でた才能をや
はり感じさせたな。
まだ青年ぽさを保つジャンセンに対しかなり中年ぽくなったシルヴ
ィアンではあるが、歌の存在感は凄い。暗黒とつながった、野太い声
(と言いたくなるぐらい、よく出ている)はとても存在感あり。新作
での、フリー・ジャズ・ギタリストのデレク・ベイリーとの共演曲も
コンピューターに落としてある音に合わせて我が道を行く感じで歌う
。そういう人が一時は化粧し、“ビック・イン・ジャパン”最たる存
在であったのだ。アンコール終了後嬉しそうな彼だったが、それは今
もあるていど変わらないのかな? ともあれ、ルックスには惹かれた
ことはなかったけど、ファンキーでもあったその初期から音楽は大好
きでした。
ステージにはもう一人、映像/音楽両刀で活躍する高木正勝が構
成員の3分の1という感じで上がっていて、背面に映し出される映像
をいろいろとオペレイトする(中盤は高木が退席して映像なしで進め
られた)。彼自身のクリップもまんま流していたりしたようだ。その
色彩感ある映像群は起伏の少ないパフォーマンスに新たな観点を加え
ていたものの、ぼくにはちょっとうざく感じる部分も。だが、彼を鋭
意起用したのはシルヴィアン自身だろうし、そこにはモノトーンの生
理的にはシンプルな自分の音楽だけでは客が飽きるだろう、客を突き
放しすぎるのはいかがなものかという本人の心持ちがあったのか……
。確かに『プレミッシュ』は実演向きではないのかと思わせるところも
あり、それも判らなくもないのだが、だとするとぼくは複雑に感じる
部分も。これぞ孤高の男の生きる道、これこそが私の今の音楽じゃあ
と淡々と、傍若無人に行ってほしかったとも思うもの。そのドン・キ
ホーテぶりもシルヴィアンだとぼくは思うから。腹の底で世間に唾は
いてる(のを秀でた音楽として昇華し出せる)ところ、それが昔から
彼を好きだった理由だったのだなと、ぼくは再確認。ともあれ、途中
からはシルヴィアンは生ギターを持って歌ったりして(それ以外は歌
だけか、少しキーボードを触って歌う)、彼らしいことをスポイルし
ない親しみやすさが出たりもしていた。
4月27日(火)
ザ・ベイカー・ブラザーズ
P−ヴァインからリリースされて意外なセールスを上げているとい
う、英国の白人3人組ファンク・バンド。ちょっとジャジーでもある
。少し、ロックっぽいところもある。リズム隊とオルガンとギター両
刀奏者による編成で、ベース奏者もときにギターを弾いたりし、一部
の曲ではプリセット音も使用。また、半分近くの曲で、日本人サック
ス奏者が客演する。ダイと呼ばれていた彼、けっこういろんな吹き方
できる人でした。
3人、下手ではないがものすごく腕がたつわけではない。だが、米
国黒人とは別の回路でお気に入りのファンク表現(けっこう歌が入る
曲が多い)にニコニコと向かっているという感じがたっぷりあって、
ニコニコしながら見れる。好きなものに対しての、自分たちならでは
の差し込みの入れ方が上手い。人柄も良さそうなところも良かった。
渋谷・東京JZブラット。
デイヴィッド・シルヴィアン
昭和女子大の人見記念講堂。学生証にクレジット・カードを初めて
くっつけた学校だっけ。10年以上ぶりに行く。硬いお嬢さん女子大と
いう印象があるが、かつてはコンサートがあるときは構内に車を止め
させてくれるなどサバけた一面も。場内奥(下だったけな?)のほう
では確かビールも提供していたし。今もそうなのかな。
1時間50分ぐらいの実演。昨年出した、音響静謐冒険ポップの大傑
作『プレミッシュ』のノリを引き継ぐもの。ま、とっても“暗い”と
も言えるんだが、それを堂々開いてましたね。基本の淡い効果音/伴
奏音を出す人として、ジャパンからの同僚というか、弟のスティーヴ
・ジャンセンがつく。伴奏は彼だけ。一部はコーラスを付け、何曲も
で手弾きでドラム音(少し、セコい音色)を付けたりもし、そのとき
はキック経由でバス・ドラムの音を出す場合も。彼も秀でた才能をや
はり感じさせたな。
まだ青年ぽさを保つジャンセンに対しかなり中年ぽくなったシルヴ
ィアンではあるが、歌の存在感は凄い。暗黒とつながった、野太い声
(と言いたくなるぐらい、よく出ている)はとても存在感あり。新作
での、フリー・ジャズ・ギタリストのデレク・ベイリーとの共演曲も
コンピューターに落としてある音に合わせて我が道を行く感じで歌う
。そういう人が一時は化粧し、“ビック・イン・ジャパン”最たる存
在であったのだ。アンコール終了後嬉しそうな彼だったが、それは今
もあるていど変わらないのかな? ともあれ、ルックスには惹かれた
ことはなかったけど、ファンキーでもあったその初期から音楽は大好
きでした。
ステージにはもう一人、映像/音楽両刀で活躍する高木正勝が構
成員の3分の1という感じで上がっていて、背面に映し出される映像
をいろいろとオペレイトする(中盤は高木が退席して映像なしで進め
られた)。彼自身のクリップもまんま流していたりしたようだ。その
色彩感ある映像群は起伏の少ないパフォーマンスに新たな観点を加え
ていたものの、ぼくにはちょっとうざく感じる部分も。だが、彼を鋭
意起用したのはシルヴィアン自身だろうし、そこにはモノトーンの生
理的にはシンプルな自分の音楽だけでは客が飽きるだろう、客を突き
放しすぎるのはいかがなものかという本人の心持ちがあったのか……
。確かに『プレミッシュ』は実演向きではないのかと思わせるところも
あり、それも判らなくもないのだが、だとするとぼくは複雑に感じる
部分も。これぞ孤高の男の生きる道、これこそが私の今の音楽じゃあ
と淡々と、傍若無人に行ってほしかったとも思うもの。そのドン・キ
ホーテぶりもシルヴィアンだとぼくは思うから。腹の底で世間に唾は
いてる(のを秀でた音楽として昇華し出せる)ところ、それが昔から
彼を好きだった理由だったのだなと、ぼくは再確認。ともあれ、途中
からはシルヴィアンは生ギターを持って歌ったりして(それ以外は歌
だけか、少しキーボードを触って歌う)、彼らしいことをスポイルし
ない親しみやすさが出たりもしていた。
4月27日(火)
ザ・ベイカー・ブラザーズ
P−ヴァインからリリースされて意外なセールスを上げているとい
う、英国の白人3人組ファンク・バンド。ちょっとジャジーでもある
。少し、ロックっぽいところもある。リズム隊とオルガンとギター両
刀奏者による編成で、ベース奏者もときにギターを弾いたりし、一部
の曲ではプリセット音も使用。また、半分近くの曲で、日本人サック
ス奏者が客演する。ダイと呼ばれていた彼、けっこういろんな吹き方
できる人でした。
3人、下手ではないがものすごく腕がたつわけではない。だが、米
国黒人とは別の回路でお気に入りのファンク表現(けっこう歌が入る
曲が多い)にニコニコと向かっているという感じがたっぷりあって、
ニコニコしながら見れる。好きなものに対しての、自分たちならでは
の差し込みの入れ方が上手い。人柄も良さそうなところも良かった。
渋谷・東京JZブラット。