映画「ロード・オブ・カオス」
2021年2月2日 音楽 スキャンダラスなノルウェーの暗黒メタル・バンドを題材に置く、2018年イギリス/スウェーデン/ノルウェー映画(原題:Lords of Chaos )を見る。市ヶ谷・日本シネアーツ社試写室、3月下旬よりロードショウされる。
自損の性癖を持つ初期に在籍したスウェーデン人シンガーが猟銃自殺し、それを宣伝材料に使い、さらには後から入ったベーシストが共同創設者であるギタリストを刺殺してしまった、メイヘムという実在のバンドを扱う。その殺されてしまったギタリストの視点で語られる本(「ブラック・メタルの血塗られた歴史」という邦題で日本語訳書籍も出ているよう)をインスピレーションに置くもので、実際のミュージシャンたちを役者が演じている。
監督と脚本は、1965年生まれの長髪スウェーデン人であるジョナス・アーカランド。もともとメタル・バンドのドラマーをしていて、その後音楽PVを作るようになり、1998年にはマドンナ(2005年12月7日)の映像でグラミー賞を受賞。その後も、ポール・マッカートニー(2018年10月31日)やストーンズ(2003年3月15日)、レディ・ガガほか大物のPVを作っているようだ。その一方、2002年以降は映画を何作も撮っている。劇中音楽を担当しているのは、シガー・ロス(2003年4月14日、2005年7月31日、2006年4月5日、2010年8月8日)。アーカランドは彼らのPVも撮っている。
門外漢にはギャグとしか思えない偽悪の姿勢を取るブラック・メタルの不条理性を芯に起き、どこか純だったりもするどろどろした青春群像を描く。しかし、殺されるギタリストはお父さんの援助でレコード屋を開いたり、殺すほうのベーシスト(彼はお酒を飲めない)はお母さんからお金をかりてレコーディングをしたり。そんな不遇ではない普通の青年たちがどんどんあらぬ方に転がっていってしまう人生の奇想天外な綾のようなものが映画の主題としてあるのか。ただし、自殺したスウェーデン人歌手は本当に危なくもイっている青年として描かれていて、ギタリストが彼と出会わなかったら、メイヘムの悲劇はなかったのではないか。その世界で評判を呼ぶこともなかったかもしれないが。
そういう筋を追う、アーカランド監督の映像作りの手腕は高い。どんなストーリーであってもそれなりに見せる力量を持つと思わせる。また、ミュージシャン時代に得た機微が活かされている部分もあるだろう。血の出るシーンはリアルすぎ、それゆえの18禁作品であるのだろうか。
劇中の会話などは、英語。本来、バンド内会話は自国語でなされていたとは思うが、ぼくの知っている欧州人はすべからく英語を普通に話すし違和感はない。会話には、ファックやシットと言う単語がたくさん。柱となる役者はスウェーデン人シンガー役を除いてみんなアメリカ人。主役のギタリストを演じるのは、「ホーム・アローン」のマコーレ・カルキンの弟のロリー・カルキン。気の弱そうな兄ちゃんがひょんなことでイケイケな人間になる役にはかなり合う。主撮影地はブダペストのようだ。
ブラック・メタルというジャンルが確固としてヘヴィ・メタルにあることや、その初期にメイヘムという北の重要バンドがいたことは、この映画を知るまで知らなかった。でも、ウィキペディアにもちゃんと載っている。そのメイヘアは1983年結成ながら陣容については不安定で、度重なるメンバー変更やコア・メンバーの死で解散もしたが、暖簾分けのような感じで続けられ、日本にも何度か来ているよう。映画はまだアナログ・レコードの時代であり、携帯電話は出てこない。
基本気候のいい時期に撮影されているようで、北欧の寒さや日照の短さを伝える映像はない。だが、北欧でメタル(と、ここでは一言で語ってしまう)が盛んなのは同地のそうしたどうにもならない気候が導く閉塞した日常が導いているところもあるのではないか。とともに、あちらの悪ぶる青年のメタル志向は北欧型ヤンキー症候群であるのかもと思う。
メイヘムの書籍の映像権を日本人プロデューサーが持っており、当初は園子温が映画を監督する話もあったということが配布資料で示唆される。なるほど、事実は小説よりも奇なりの実在の事件をベースに置く彼の「冷たい熱帯魚」と重なる部分はある? アーカランドには、その日本人から話が持ちかけられたよう。
▶過去の、マドンナ
http://43142.diarynote.jp/200512091117210000/
▶︎過去の、ポール・マッカートニー
https://43142.diarynote.jp/201811011655349966/
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)。15日
https://43142.diarynote.jp/201904200941516964/ ストーンズ展
▶過去の、シガー・ロス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 4.14
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200604071341360000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
<今日は、アースリート>
試写場の検温、36.1度。その後の施設は36.6度と36.5度。渋谷に向かう電車で、親子連れが前に座っている。お母さんのほうは、手にハンド・メイドらしき鬼のお面を持っている。黄色と黒色のツー・トーンのツノは2本ではなく1本。鬼ってそうだったっけ? これは幼稚園児(かな?)の娘さんが作ったものなのかな。そっか、節分か。ほのぼの。
その3時間後の帰宅時。もう、疲労困憊。タクシー乗る、一歩手前。ちょい飲んでいることや、運動不足だけでは説明がつかない? で、後ろに手を組んで歩行。ちょい歩きやすい。スピード・スケートの選手はそういうポーズをするよなあ……。年長者もしぞうな仕草だけど。
自損の性癖を持つ初期に在籍したスウェーデン人シンガーが猟銃自殺し、それを宣伝材料に使い、さらには後から入ったベーシストが共同創設者であるギタリストを刺殺してしまった、メイヘムという実在のバンドを扱う。その殺されてしまったギタリストの視点で語られる本(「ブラック・メタルの血塗られた歴史」という邦題で日本語訳書籍も出ているよう)をインスピレーションに置くもので、実際のミュージシャンたちを役者が演じている。
監督と脚本は、1965年生まれの長髪スウェーデン人であるジョナス・アーカランド。もともとメタル・バンドのドラマーをしていて、その後音楽PVを作るようになり、1998年にはマドンナ(2005年12月7日)の映像でグラミー賞を受賞。その後も、ポール・マッカートニー(2018年10月31日)やストーンズ(2003年3月15日)、レディ・ガガほか大物のPVを作っているようだ。その一方、2002年以降は映画を何作も撮っている。劇中音楽を担当しているのは、シガー・ロス(2003年4月14日、2005年7月31日、2006年4月5日、2010年8月8日)。アーカランドは彼らのPVも撮っている。
門外漢にはギャグとしか思えない偽悪の姿勢を取るブラック・メタルの不条理性を芯に起き、どこか純だったりもするどろどろした青春群像を描く。しかし、殺されるギタリストはお父さんの援助でレコード屋を開いたり、殺すほうのベーシスト(彼はお酒を飲めない)はお母さんからお金をかりてレコーディングをしたり。そんな不遇ではない普通の青年たちがどんどんあらぬ方に転がっていってしまう人生の奇想天外な綾のようなものが映画の主題としてあるのか。ただし、自殺したスウェーデン人歌手は本当に危なくもイっている青年として描かれていて、ギタリストが彼と出会わなかったら、メイヘムの悲劇はなかったのではないか。その世界で評判を呼ぶこともなかったかもしれないが。
そういう筋を追う、アーカランド監督の映像作りの手腕は高い。どんなストーリーであってもそれなりに見せる力量を持つと思わせる。また、ミュージシャン時代に得た機微が活かされている部分もあるだろう。血の出るシーンはリアルすぎ、それゆえの18禁作品であるのだろうか。
劇中の会話などは、英語。本来、バンド内会話は自国語でなされていたとは思うが、ぼくの知っている欧州人はすべからく英語を普通に話すし違和感はない。会話には、ファックやシットと言う単語がたくさん。柱となる役者はスウェーデン人シンガー役を除いてみんなアメリカ人。主役のギタリストを演じるのは、「ホーム・アローン」のマコーレ・カルキンの弟のロリー・カルキン。気の弱そうな兄ちゃんがひょんなことでイケイケな人間になる役にはかなり合う。主撮影地はブダペストのようだ。
ブラック・メタルというジャンルが確固としてヘヴィ・メタルにあることや、その初期にメイヘムという北の重要バンドがいたことは、この映画を知るまで知らなかった。でも、ウィキペディアにもちゃんと載っている。そのメイヘアは1983年結成ながら陣容については不安定で、度重なるメンバー変更やコア・メンバーの死で解散もしたが、暖簾分けのような感じで続けられ、日本にも何度か来ているよう。映画はまだアナログ・レコードの時代であり、携帯電話は出てこない。
基本気候のいい時期に撮影されているようで、北欧の寒さや日照の短さを伝える映像はない。だが、北欧でメタル(と、ここでは一言で語ってしまう)が盛んなのは同地のそうしたどうにもならない気候が導く閉塞した日常が導いているところもあるのではないか。とともに、あちらの悪ぶる青年のメタル志向は北欧型ヤンキー症候群であるのかもと思う。
メイヘムの書籍の映像権を日本人プロデューサーが持っており、当初は園子温が映画を監督する話もあったということが配布資料で示唆される。なるほど、事実は小説よりも奇なりの実在の事件をベースに置く彼の「冷たい熱帯魚」と重なる部分はある? アーカランドには、その日本人から話が持ちかけられたよう。
▶過去の、マドンナ
http://43142.diarynote.jp/200512091117210000/
▶︎過去の、ポール・マッカートニー
https://43142.diarynote.jp/201811011655349966/
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)。15日
https://43142.diarynote.jp/201904200941516964/ ストーンズ展
▶過去の、シガー・ロス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-4.htm 4.14
http://43142.diarynote.jp/?day=20050731
http://43142.diarynote.jp/200604071341360000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
<今日は、アースリート>
試写場の検温、36.1度。その後の施設は36.6度と36.5度。渋谷に向かう電車で、親子連れが前に座っている。お母さんのほうは、手にハンド・メイドらしき鬼のお面を持っている。黄色と黒色のツー・トーンのツノは2本ではなく1本。鬼ってそうだったっけ? これは幼稚園児(かな?)の娘さんが作ったものなのかな。そっか、節分か。ほのぼの。
その3時間後の帰宅時。もう、疲労困憊。タクシー乗る、一歩手前。ちょい飲んでいることや、運動不足だけでは説明がつかない? で、後ろに手を組んで歩行。ちょい歩きやすい。スピード・スケートの選手はそういうポーズをするよなあ……。年長者もしぞうな仕草だけど。