御年80歳でブルーノート・レコードから初めてリーダー作を出したドラマーが、ルイス・ヘイズだ(2015年1月9日)。なんて書き方は、ヴィー・ジェイ、スティープル・チェイス、タイムレス、32ジャズ、キャンディド他、いろいろなレーベルから20枚ほどのリーダー作を出している名奏者に失礼となりますね。
デトロイトで10代からプロ活動をしていた彼が19歳のときにホレス・シルヴァー(ブルーノートのスターであり、社長のアルフレッド・ライオンが最後までつきあいを持った唯一のミュージシャンとも言われますね)から連絡を受けてNYに向かい数年間彼のバンドに在籍してレコードにもしっかり入っていたという経歴を持つヘイズだが、その2017年新作『Serenade For Horace』は表題にあるようにホレス・シルヴァーへ捧げたもので、すべて彼の曲をやっている。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。ヘイズ以下の構成員は、前回公演とまったく同じ。そして、ヘイズ自身が筆頭プロデューサーとして名を出している『Serenade For Horace』の録音メンバーも、このクインテットにトランぺッターのジョシュ・エヴァンスを入れた陣容で録音している。
まっとうな、ジャズ。あまり、新作の内容をくまない、、、。例により1曲15分はたっぷりとやり、その大枠は前回公演と同じながら、今回のほうが強く聞こえた。ピアノ、テナー、ベース奏者はヘイズの半分以下の年齢だろうが、とくにベーシストは信頼しているようでレコーディング時のアレンジは一緒に考え、ピアニストは彼の紹介なようで、テナー・サックス奏者は子供ころから知っているそう。そのテナーくん(最初のMCは振られて、彼がしていた)は威風堂々、今回は丁寧にして、雄々しさも出していた。ヴァイブのスティーヴ・ ネルソンの出張るパートは今回ふえていたかもしれぬ。
しかし、ルイスは元気。これぞ王道のジャズ・ドラムという演奏を小気味良く、存在感たっぷりに聞かせる。会場にいた、ジャズ・ドラムを叩き、普段いいドラマーにもいろいろと接しているはずの知人も驚嘆。聞きにきてよかったー、と申しておりました。
▶︎過去の、ルイス・ヘイズ ジャズ・コミュニケイターズ
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
<翌日の、楽しい時間>
御大に昼下がりに、ホテルでインタヴュー。今作はブルーノートから出す事に意義があった、そう。実は、彼のマネージャーはデクスター・ゴードンの奧さんだった人(ヨーロッパ人だろう、白人の気安いおばあちゃん)で、やり手のよう。ブルーノートから出るには彼女の働きがあったようで、最終的にはデトロイト出身でもある現ブルーノート社長のドン・ワズ(2013年2月15日)がOKを出した。『Serenade For Horace』には1曲グレゴリー・ポーター(2013年3月6日、2013年9月6日)が参加しているが、それは彼のディレクションだ。キャノンボール・アダリー、オスカー・ピーターソン、ウェス・モンゴメリーからジョン・コルトレーンやセシル・テイラーのレコーディングにまで関与している彼、印象に残っている録音者をあげてと言ったら、ラヴィ・シャンカールとジョン・リー・フッカーの名前を出す。「アンユージャルなものが好きなんだ」、そう。マイルス・デイヴィスみたいなメガネをオフではかけていて、格好もちゃらい目のルイスさん。オシャレは好きだそう。健康にはなにも気遣っていないとのことだが、演奏の何時間も前からウォームアップをすることを心掛けているようだ。
なお、彼のバンド名として出されているジャズ・コミュニケイターズという名称は昔使ったことがあるものの、今は使っていないときっぱり言っていた。
▶過去の、ドン・ワズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130215
▶︎過去の、グレゴリー・ポーター
http://43142.diarynote.jp/201303070815313472/
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
デトロイトで10代からプロ活動をしていた彼が19歳のときにホレス・シルヴァー(ブルーノートのスターであり、社長のアルフレッド・ライオンが最後までつきあいを持った唯一のミュージシャンとも言われますね)から連絡を受けてNYに向かい数年間彼のバンドに在籍してレコードにもしっかり入っていたという経歴を持つヘイズだが、その2017年新作『Serenade For Horace』は表題にあるようにホレス・シルヴァーへ捧げたもので、すべて彼の曲をやっている。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。ヘイズ以下の構成員は、前回公演とまったく同じ。そして、ヘイズ自身が筆頭プロデューサーとして名を出している『Serenade For Horace』の録音メンバーも、このクインテットにトランぺッターのジョシュ・エヴァンスを入れた陣容で録音している。
まっとうな、ジャズ。あまり、新作の内容をくまない、、、。例により1曲15分はたっぷりとやり、その大枠は前回公演と同じながら、今回のほうが強く聞こえた。ピアノ、テナー、ベース奏者はヘイズの半分以下の年齢だろうが、とくにベーシストは信頼しているようでレコーディング時のアレンジは一緒に考え、ピアニストは彼の紹介なようで、テナー・サックス奏者は子供ころから知っているそう。そのテナーくん(最初のMCは振られて、彼がしていた)は威風堂々、今回は丁寧にして、雄々しさも出していた。ヴァイブのスティーヴ・ ネルソンの出張るパートは今回ふえていたかもしれぬ。
しかし、ルイスは元気。これぞ王道のジャズ・ドラムという演奏を小気味良く、存在感たっぷりに聞かせる。会場にいた、ジャズ・ドラムを叩き、普段いいドラマーにもいろいろと接しているはずの知人も驚嘆。聞きにきてよかったー、と申しておりました。
▶︎過去の、ルイス・ヘイズ ジャズ・コミュニケイターズ
http://43142.diarynote.jp/201501131019359012/
<翌日の、楽しい時間>
御大に昼下がりに、ホテルでインタヴュー。今作はブルーノートから出す事に意義があった、そう。実は、彼のマネージャーはデクスター・ゴードンの奧さんだった人(ヨーロッパ人だろう、白人の気安いおばあちゃん)で、やり手のよう。ブルーノートから出るには彼女の働きがあったようで、最終的にはデトロイト出身でもある現ブルーノート社長のドン・ワズ(2013年2月15日)がOKを出した。『Serenade For Horace』には1曲グレゴリー・ポーター(2013年3月6日、2013年9月6日)が参加しているが、それは彼のディレクションだ。キャノンボール・アダリー、オスカー・ピーターソン、ウェス・モンゴメリーからジョン・コルトレーンやセシル・テイラーのレコーディングにまで関与している彼、印象に残っている録音者をあげてと言ったら、ラヴィ・シャンカールとジョン・リー・フッカーの名前を出す。「アンユージャルなものが好きなんだ」、そう。マイルス・デイヴィスみたいなメガネをオフではかけていて、格好もちゃらい目のルイスさん。オシャレは好きだそう。健康にはなにも気遣っていないとのことだが、演奏の何時間も前からウォームアップをすることを心掛けているようだ。
なお、彼のバンド名として出されているジャズ・コミュニケイターズという名称は昔使ったことがあるものの、今は使っていないときっぱり言っていた。
▶過去の、ドン・ワズ
http://43142.diarynote.jp/?day=20130215
▶︎過去の、グレゴリー・ポーター
http://43142.diarynote.jp/201303070815313472/
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映画「I Called Him MORGAN 私が殺したリー・モーガン」。HEATWAVE
2017年12月22日 音楽 公開中の、ブルーノート・レコードが送り出したスター・トランぺッターであるリー・モーガン(1938〜1972年)の長くはないプロ活動期のことを扱った2016年映画を見る。渋谷・UPLINK。基本は関係者発言映像やあり写真や映像などを構成したよくあるドキュメンタリーものと言えるのだが、“事実は小説よりも奇なり”なストーリーがあり、へ〜えとなるはず。そして、ひいては男と女の結びつきの妙や当時のジャズや黒人をとりまく環境もうっすらと浮かび上がる。まあ、モーガンのことを射殺してしまった婦人のヘレン・モーガンが亡くなる2ヶ月前に受けたインタヴューをもとにしたラリー・レニ・トーマスによる書籍「The Lady Who Shot Lee Morgan」(Kha Books、2014年2月に刊行)の内容を危ないところは少しボカしつつわりと忠実に追った映像作品でもあるので、まずは本のほうをほめるべきかもしれないが。
監督は、スウェーデン人のガスパー・コリン。ザ・ジャズ・メッセンジャーズの同僚のウェイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日、2014年9月7日、2015年9月6日)や、モーガンのバンドにいたベニー・モーピンやビリー・ハーパーら関係ミュージシャンから身近な言質をとるだけでなく、ラリー・レニ・トーマスにヘレン・モーガンのことを語らせたり、彼の書籍ではイケてる若い愛人として匿名的に書かれていた(はずの)女性も証言者として引っぱりだしたのは彼の功績。当然のことながら、トーマスがカセット・テープに収めたヘレンのインタヴュー肉声もいろいろと使われる。コリン監督は不世出のソウルフルなフリー・ジャズ・テナー・マンのアルバート・アイラー(彼は1970年に34歳で亡くなった。死体はNYのイースト川で見つかり、一般的には自殺と言われる)の伝記映画『My Name Is Albert Ayler』(2006)を手掛けてもいるそうで、それも見てみたいな。
使われる音楽は当然、一連のモーガン参加曲。なんか、トランペットが前にあるジャズっていいなとしっかり思わせられます。
▶過去の、ウェイン・ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
その後、渋谷・duoで、山口洋率いるHEATWAVEを見る。山口(2006年9月24日、2011年6月5日、2011年12月6日、2011年12月12日)個人のパフォーマンスは何度か見ているものの、バンドで見るのは初めて。ヴォーカルとギターの山口に加え、ベースの渡辺圭一、ドラムの池畑潤二、キーボードの細海魚。とっても、バンドの音だった。彼らはこの4日後にセルフ・カヴァーの2枚組『Your Songs』(マスタード)をリリース。そのこともあり、今回のライヴは彼らの歩みをくくり、そこから新たに一歩前に進まんという位置づけもあったのかな。
たっぷり、3時間ぐらいやった? 太い歌声はぜんぜんヘロったりせず、本当にストロング。無骨なようでいて、ときにお洒落と思わせるコード使いがあるのは洋楽ベースであることを伝えるか。エレックトリック・ギターを持つほうの曲を聞き、ニール・ヤング(2001年7月28日)のパンク路線みたいなの、やらないかなあとふと思った。歌詞確認のためか(でも、ほとんど見ていなかったような)譜面台を置いていたのはいただけない。MCでわざわざ言及していたジョー・ストラマー(2000年1月17日、2001年11月2日)は置いていないよ。
1度目のアンコールので披露したのは、彼と中川敬(1999年12月16日、2011年3月26日、他)が書いた、わずか数年でスタンダード・ソングになったしまった観もある「満月の夕べ」。実はこの曲、天下のECMレコードの2018年2月新譜、原盤番号ECM2574のShinya Fukumori Trioの『For 2 Akis』でカヴァーされています。
▶︎過去の、山口洋
http://43142.diarynote.jp/?day=20060924
http://43142.diarynote.jp/?day=20110605
http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/
http://43142.diarynote.jp/201112191500441741/
▶過去の、ニール・ヤング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm
▶︎過去の、ジョー・ストラマー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200706162323290000/
▶︎過去の、中川敬/ソウル・フラワー・ユニオン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/201103271555032719/
<今日の、発見>
アップリンクの通り向かいのビルは統一教会の建物であるのを初めて知る。ぼくの学生のころはとても悪評高かった記憶がある(青山学院大学が特にむしばまれているという風評もあった)が、今はあまり話を聞かなくなってしまったな。それは他のカルトがのしてきているということだろうか。統一教会と言うと、信者同士が無理矢理指名されて合同結婚式をあげさせられるのが有名だが(通りに面したヴィジョンでその模様が紹介されていたので、今もそれは変わらないのだろう)、婚活で入会するという話はきかないな。はは。
ところで、リー・モーガンと言えば、1963年軽快曲「サイドワインダー」でよく知られる。あのシングル・ヒット曲はよくジャズ・ロックの走りと言われるが、はたしてそうか? だって、63年と言えば、ブラック・ミュージックをベースとしたロックがでかかったころ。ロックを応用したというよりは、チャック・ベリーらの黒人ロックンロールやソウル・ミュージックの8ビートを咀嚼した曲と解釈したほうが適切ではないか。ただ、あの曲には妙な軽さや切れがあり、それはこの後に台頭するロック・ビートと重なるところもあった。そして、それこそは、イケてる都会派ジャズ・マンが持つ粋が導いたものであったのだ。ぼくは、ずっとそう思っている。
監督は、スウェーデン人のガスパー・コリン。ザ・ジャズ・メッセンジャーズの同僚のウェイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日、2014年9月7日、2015年9月6日)や、モーガンのバンドにいたベニー・モーピンやビリー・ハーパーら関係ミュージシャンから身近な言質をとるだけでなく、ラリー・レニ・トーマスにヘレン・モーガンのことを語らせたり、彼の書籍ではイケてる若い愛人として匿名的に書かれていた(はずの)女性も証言者として引っぱりだしたのは彼の功績。当然のことながら、トーマスがカセット・テープに収めたヘレンのインタヴュー肉声もいろいろと使われる。コリン監督は不世出のソウルフルなフリー・ジャズ・テナー・マンのアルバート・アイラー(彼は1970年に34歳で亡くなった。死体はNYのイースト川で見つかり、一般的には自殺と言われる)の伝記映画『My Name Is Albert Ayler』(2006)を手掛けてもいるそうで、それも見てみたいな。
使われる音楽は当然、一連のモーガン参加曲。なんか、トランペットが前にあるジャズっていいなとしっかり思わせられます。
▶過去の、ウェイン・ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/201404161959228005/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
その後、渋谷・duoで、山口洋率いるHEATWAVEを見る。山口(2006年9月24日、2011年6月5日、2011年12月6日、2011年12月12日)個人のパフォーマンスは何度か見ているものの、バンドで見るのは初めて。ヴォーカルとギターの山口に加え、ベースの渡辺圭一、ドラムの池畑潤二、キーボードの細海魚。とっても、バンドの音だった。彼らはこの4日後にセルフ・カヴァーの2枚組『Your Songs』(マスタード)をリリース。そのこともあり、今回のライヴは彼らの歩みをくくり、そこから新たに一歩前に進まんという位置づけもあったのかな。
たっぷり、3時間ぐらいやった? 太い歌声はぜんぜんヘロったりせず、本当にストロング。無骨なようでいて、ときにお洒落と思わせるコード使いがあるのは洋楽ベースであることを伝えるか。エレックトリック・ギターを持つほうの曲を聞き、ニール・ヤング(2001年7月28日)のパンク路線みたいなの、やらないかなあとふと思った。歌詞確認のためか(でも、ほとんど見ていなかったような)譜面台を置いていたのはいただけない。MCでわざわざ言及していたジョー・ストラマー(2000年1月17日、2001年11月2日)は置いていないよ。
1度目のアンコールので披露したのは、彼と中川敬(1999年12月16日、2011年3月26日、他)が書いた、わずか数年でスタンダード・ソングになったしまった観もある「満月の夕べ」。実はこの曲、天下のECMレコードの2018年2月新譜、原盤番号ECM2574のShinya Fukumori Trioの『For 2 Akis』でカヴァーされています。
▶︎過去の、山口洋
http://43142.diarynote.jp/?day=20060924
http://43142.diarynote.jp/?day=20110605
http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/
http://43142.diarynote.jp/201112191500441741/
▶過去の、ニール・ヤング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-7.htm
▶︎過去の、ジョー・ストラマー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200706162323290000/
▶︎過去の、中川敬/ソウル・フラワー・ユニオン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/201103271555032719/
<今日の、発見>
アップリンクの通り向かいのビルは統一教会の建物であるのを初めて知る。ぼくの学生のころはとても悪評高かった記憶がある(青山学院大学が特にむしばまれているという風評もあった)が、今はあまり話を聞かなくなってしまったな。それは他のカルトがのしてきているということだろうか。統一教会と言うと、信者同士が無理矢理指名されて合同結婚式をあげさせられるのが有名だが(通りに面したヴィジョンでその模様が紹介されていたので、今もそれは変わらないのだろう)、婚活で入会するという話はきかないな。はは。
ところで、リー・モーガンと言えば、1963年軽快曲「サイドワインダー」でよく知られる。あのシングル・ヒット曲はよくジャズ・ロックの走りと言われるが、はたしてそうか? だって、63年と言えば、ブラック・ミュージックをベースとしたロックがでかかったころ。ロックを応用したというよりは、チャック・ベリーらの黒人ロックンロールやソウル・ミュージックの8ビートを咀嚼した曲と解釈したほうが適切ではないか。ただ、あの曲には妙な軽さや切れがあり、それはこの後に台頭するロック・ビートと重なるところもあった。そして、それこそは、イケてる都会派ジャズ・マンが持つ粋が導いたものであったのだ。ぼくは、ずっとそう思っている。