元麻布・アルゼンチン共和国大使館で持たれた「チャマメとマテ茶〜アルゼンチン北東部リトラル地方の音楽と味覚〜」というパーティに、まず行く。へえ、大使はいかにもエリートぽい感じで、イケ面だな。アルゼンチン北東部で育まれてきたトラッドと飲み物を一緒に紹介しましょうという出し物。東京タワーが見える公邸のでかいルーフ・トップには噴水もあり、眺め良し。お茶やスウィーツ(ドルチェ・デ・レチェを初めて味わった)だけでなく、ワインやエンパナーダやその場で焼いて作っていたチョリパンなどもいただく。

 コリエンテス州出身のシンガーであるジセーラ・メンデス・リベイロとミシオネス州アポストレス市(マテ茶の首都とか)のアコーディオン奏者のセルヒオ・タツノスキ、パーカッションのゴンサロ・アギーレとギターのマルティン・サンドバルがパフォーマンス。2回に分けて、思った以上の曲数を4人は笑顔で演奏。途中で衣装をかえていたリベイラさんは若い時は綺麗だったんだろうなと思わせ、今も性格はすごい良さそう(それは、謙虚な感じの全員がそうだけど)と思わせる。その音楽性をうまく書き留められないが、素朴でエキゾ。数年前にチャマメ演奏でオコーディオンの技量を磨き、現在はパリで活動するラウル・バルボサをインタヴュー(スペイン語でインタヴューを受けるのかと思ったら、彼はフランス語で受けた。なに、引っ越したらすぐに覚えちゃったよ、とのこと。ラティーナ誌でやった)しといてなんだが。とにかく、やっている風情込みでこれは生理的に高潔でプレシャスな音楽をやっていると思わせるものはあるわけで、まだまだオレは音楽に触れなさすぎだし、聞くべきものは気が遠くなるほどあると痛感。

 その後は、六本木・ビルボードライヴ東京で、NYの混血&雑食シンガー・ソングタイター/ロックンローラーであるガーランド・ジェフリーズ(1944年、ブルックリン生まれ)を見る。1990年前後だったか渋谷クアトロで見た記憶があるが、それ以来の来日となるのだろうか?

 キーボードのチャーリー・ロス、ギターのジャスティン・JJ・ジョーダン、ベースのブライアン・スタンリー、ドラムのトム・キュリアーノという面々がサポートし、なんとジェフリーズはギターは持たずヴォーカルだけを取る。だいぶ太ったが頭髪はあり、声はよく出ていて、セカンド・ショウであったのにも関わらずヘロっちゃうこともなかった。で、非に打ち所のないオールド・スクールなバンドと一体となって、彼は自らの熱意を客に送り出す。もう、その様(2回ほど、客席に降りて歌った)は本当に正しいロックンローラーであったと言うしかない。とともに、彼は事あるごとにニューヨーカーであることを強調していた。

 彼はレゲエ・ビートを積極的に取り上げた人物であったが(1970年代のA&M作品で、そのレゲエ・ビートを叩いたのがスティーヴ・ガッドだった)、「ゴースト・ライター」をはじめ3割ほどはレゲエ・ビートの曲をやったか。また、ジョン・リー・フッカー賞賛曲や、ザ・ビートルズやボブ・ディランのカヴァーもぶっとく披露した。

 心意気、山ほど。なんだかんだ、彼は2時間近くやった。最後は、一人ステージに残り、短いアカペラ曲でショウを閉めた。ああ、とってもいい夜だった。

<今日の、演者>
 秋晴れ、気温が高めの日が続く。この日に触れた2組は、フェス流れの人たちだ。アルゼンチン勢は福島県川俣町で40年以上続いているそうなコスキン・エン・ハポンというトラッド音楽ファスに出演し、ジェフリーズ御一行は静岡県の朝霧ジャムに出た。豪州や欧州など、結構ツアーが続くようなことを、ジェフリーズは言っていたな。