ザ・バッド・プラス

2008年2月20日
 変調白人ジャズ・ピアノ・トリオとして、ちゃんと居場所をものにしている(来月はNYのブルーノートで6日間も連続でやったり。一方では、ウィルコの前座をやりもしてる)三人組(2003年8月1、2日。2004年5月13日、2005年8月29日)、南青山・ブルーノート東京(ファースト)。不可解な襞を重ねつつ、一方ではそれを笑い飛ばして行くようなガハハなのり(その多くは、ドラマーのデイヴィッド・キングの奏法やキャラに負っている)の噛み合いが生むもう一つの感興やストーリー性が売りと言えるか。そして、とらえどころのないオリジナル曲に混ざって披露される有名ポップ曲の大胆な解体/再構築もそういうポイントにぴったり嵌まるわけだ。この晩はちょっと静的に流れていく感じの曲を多めにやったのかな。いまいち行きそうで行けないと感じさせられる局面もあり、でもそれはある意味、過去よりジャズ濃度の高い行き方を取っていたと理解することができるかも。
 
 そんな彼らの一番新しいアルバム『プログ』はプログレッシヴ・ロックをもじったプログレッシヴ・ジャズの略だそう。同作はAC/CDやアスワドらの制作で知られる英国人トニー・プラットを米国に呼んで、ニルヴァーナが『イン・ユーテロ』を録ったウィスコンシン州のスタジオでレコーディングされている。また、この4月には同じスタジオに、次作用録音で入ることになっている。ところで、変人っぽくもいい奴らがそろうザ・バッド・プラスの面々だが、マネイジャー君もある意味、キャラあり。よろしくおねがいします、と片言の日本語で、英語とともに片仮名で名前も印刷されている名刺をへこへこしながら、渡してきた。偉そうなヤな奴もいるが、たまにこういうタイプのマネイジャーもいるんだよな。でも、彼は飛び抜けて愛想良く、なんかかいがいしい。でも、それもザ・バッド・プラスらしいと思ったかも。この後、彼らは夏のオセアニアに向かう。