ピーボ・ブライソン

2008年1月28日
 熟練の喉自慢シンガー(2006 年2月9日)、南青山・ブルーノート東京。
ファースト・セット。相変わらず、安定し、圧倒的な歌唱(でも、PAは歌に
リヴァーブがききすぎと感じる)を披露。そして、相変わらず、客に対して
は度を超したおもてなし。我がショウへようこそ! バンド(鍵盤2、ギタ
ー、ベース、サックス/打楽器、ドラム。そして、女性コーラス2)が演奏
するなか出てきた彼は会場を回り、ほとんどの人と握手をする。日本語を入
れたMCもたっぷり。例により、女性客への赤いバラを配るサーヴィスもあ
り。
 
 へえっと感じたのはイントロに続く1曲目が「イフ・ユー・サムバディ・
セット・ゼム・フリー」、4曲目が「エヴリィ・ブレス・ユー・テイク」と
スティングの曲を2曲も(全10曲ぐらいのなか)やったこと。新作『ミッシ
ング・ユー』に入っていた「カウント・オン・ミー」はmimi(2001年4月1
8日、2003年2月13日、2006年12月18日)が昨年初頭に出したアルバムに
も入っていた曲だが、やっぱり好メロディ曲だ。アンコールはチャカ・カー
ン&ルーファスの「エイント・ノバディ」。中盤でやったシャーデー曲「キ
ング・オブ・ソロウ」ともども、オリジナルとは大分違うようになっていて
、キャリア組の技と矜持を感じましたね。あと、生ギターによるソロを少し
長めに披露した曲もありました。やっぱ、ギター好きそうだな。

 それから、パフォーマンスに接していて感じずにはいられらなかったのは
、紳士であれ、というスタンス。それはバック・コーラスの人達の恰好を見
ても明らかでだろう。普通のソウル・マンならビッチな恰好をさせるところ
、本当におそろいで上品な恰好をさせていたもの。また、彼女たちにそれぞ
れ平等に1曲づつデュエット曲を振り分けていて、それにもうなずく。普通
は複数いるコーラス担当者のなか一人をフィーチャーしがちで、それは希有
なケースなように思う。彼、フェミニストね。
                        
 ところで、ショウが終わったあと、セカンド・セットが始まる前にブライ
ソンはインタヴューを受ける。通常は昼間にホテルでやるのだが、こんなこ
とは珍しい。お食事しているメンバーたちがいる楽屋の奥にある個室楽屋に
て、彼は親身に受け答え。やはり、男のオレがポっとなるほど、いい人やあ
。そんなにへりくだるのはやめて下さいという度数では、ぼくがインタヴュ
ーしたなかではB.B.キング(2007年2月3日)、ナラダ・マイケル・ウォル
デンにつぐ。本当に日本が好きな事が良く判りもしたな。話の内容で一番興
味深かったのは、祖母、母親、姉と女性たちに囲まれて育ち、しかも彼女た
ちが本当に尊敬できる存在だったそうで(新作は亡くなった母と姉に捧げら
れている)、自分のラヴ・ソングはそんなことからも他の人が歌うものとは
自ずと違ってくるかもと自己分析していたこと。なるほど、それには膝をう
つ。彼の楽屋にはシャツやジャケットやパンツがいろいろと沢山ハンガーに
かけられていた。さすがワードローブ係はいないようだが、マネイジャーは
二人ついているよう。いろんな色合いのポッケトチーフも10枚以上置かれて
いたな。1つだけ別にかけてあった面白い縫製と生地によるジャケットはロ
ンドンのテッド・ベイカーのもの。あ、それから、セカンド・ショウでも配
るバラもしっかりありました。