南青山・ブルーノート東京(ファースト・ショウ)。真摯ゆえに生理的に
ハードだったり、ファンク/R&B色過多だったりするここでの出し物にとき
に触れると、ふと感じることがある。そういう場合、アーティストの事はな
にも知らずに趣味の良いジャズをいい雰囲気のもと浸りましょうという心持
ちでやってきたお客さんはどう感じちゃうのかナと。その点、この晩の内容
はそういう人たちもニッコリ、安心して接することができたのではないか。

 ブルーノート・レコード育ちのモダニストという言い方もありかもしれな
いジャズ・ヴァイブラフォンの第一者のショウはピアノ、ベース、ドラムを率
いてのもの。ゆったり感と闊達な気分が矛盾なく繋がったような、瀟酒に舞
う感覚を持つ穏健な4ビート演奏を誠実に披露。後半2曲ばかしテンポが早
い曲をやって、そこには60年代の作品のように(考えてみれば、ちゃんと彼
を聞いているのはそのころだけだな)野心が見え隠れし、フフフとなれたり
も。ぼくにとってはちょっとおとなしめと感じるところもなくはなかったが
、ジャズとしての質や品格のようなものは十分にあった公演だと思う。で、
アタマに書いたことも思ったわけ。