恒例のスキヤキ・トーキョー。デイ1。渋谷・WWW。なかなかよろしげな二組だったんではないでしょうか。両方とも地元の伝統に立脚したところとインターナショナル語彙の拮抗があり、ワールド・ビートはこうあるといいと思わせる要点を持つ。

 最初に出てきたトゥートアルドはイスラエルが占拠を続けているゴラン高原の村で組まれたバンドで、歌とエレクトリック・ギター、プリセット音も出すドラム、アルト・サックス(アンサンブル音送出要員。ほとんど、ソロはとらない)という陣容。本来、レゲエ・バンドとして世に出たようだが、この実演においてはあまりレゲエっぽさはなし。どこかに中東色を下に置くようなビート・ポップをある種の臭み(それは、歌われるアラビア語にもよるだろう。MCは英語でなされた)とともにゴツゴツと展開する。リフに絡みつくように入るギターはけっこう西側アーシー表現のツボを知っていると思わせる。

 もう一つの出演者は、インド洋に浮かぶアフリカ圏にあるレユニオン島のランディンゴ。これはもっと良かった。

 全7人でパフォーマンス。ずんずん聞いていくと、彼らの表現はリード・ヴォーカルとその他の人たちのコール&レスポンスが主体となるもので、伴奏はいくつもの打楽器音の重なりで成り立つのが分かる。コラのような多弦楽器がリフを作ったり、バラフォンや小さなボタン式アコーディオンが用いられる場合もあるが、基本は1コードで曲は進められる。彼らは同島の伝統音楽マロヤを基調においていると言われるが、おそらくそれがマロヤ様式なんだろう。それは強く、うれしい扇情性を持つ。

 と、書いてもランディンゴの面白さは半分ぐらいしか書き留めていないか。一方で、面々は電気パッドを用いビートを強化したり、小さなシンセサイザーを3台並べて、それらも事あるごとに用いる。ベース音にせよ上乗せ音にせよ、鍵盤音は今のポップ流儀を持つもので、その重なりは実においしい。強い伝統的流儀は異物を入れられることで、より強固さや輝きを出す。そのパフォーマンスはそんな定理も伝える。

 紅一点の小さな女性はキーボードとともにソプラノ・サックスを手にして、ソロもとった。それから、1曲はレゲエ調のそれだったが、まるでボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をデフォルメさせたような感じ也。

 一方、見せ方もこなれていて、早くも2曲目で一人が客席フロアにおりて観客と一緒に踊るなど、客あしらいもこなれてて、本当にいいグループだと思わせられちゃう。MCは仏語で、英語でするときも。またポルトガル語を入れる場合もあった。そんな彼らと釣り合うかのように、この晩はお客さんも大マル。熱烈に反応し、コール&レスポンスも十全にするし、ダンスもする。これは、送り手の熱演を引き出すよなあ。

 最後は、先に出たトゥートアルドの3人も呼び込み、彼らをたっぷりフィーチャー。いやあランディンゴ、度量のデカいバンドでした。

<今日の、案内>
 フランスの女性ロックンローラーのガエル・バズウェル(2017年9月15日)が昨年に続いて来日する。現在は米国ツアー中らしいが、日本は以下のようなスケジュール。23日のものはなんだろう。ラグビー関係者をいろいろ知っている知人に聞いても、????とのこと。ともあれ、めでたい。関西の方、チェックされんことを! 19日〜23日は、東京滞在だそうだ。
13 sept : live at the french school CFlat
14 sept : hard rock cafe osaka
15 sept :kansai music conference osaka
16 sept : kansai music conference osaka
17 sept : nashville west club, osaka
23 sept : live fuchu stadium ( pre opening show for the rugby world cup)
▶︎過去の、ガエル・バズエル
http://43142.diarynote.jp/201709160841239914/

追記:9月23日(祝)の府中市でのイヴェントは「イングランド&フランス ラグビーフェスティバルin府中」というもののよう。