ジャズからアダルト系ロックまで自在のセッション活動を見せる敏腕ドラマー(2004年2月9日、他)のリーダー公演で、会場は丸の内・コットンクラブ(セカンド・ショウ)。近年はその自己活動もジャズ/ポップ両刀で行っていて、今回は前見たときに<ジャズは時代とともに生きている>とぼくをどきどきさせたリーダー・バンドであるフェロウシップ(2008年9月4日)によるもの。アルト(ベース・クラリネットも)、テナー、ピアノ、コントラバス奏者を率いてのもので、顔触れは前回と同じなのかな? 

 メロディアスかつストーリー度数の強い部分(それは、構成された部分と言うことができるか)とリアルなインプロヴィゼーションが自在に噛み合う演奏を1時間半強。フォーキーな歌入り表現を追求したアルバムのリリース(『ママ・ローザ』)と、それをフォロウするツアー(2009年7月20日)をやった後だけに、そちらで出した感触がより持ち込まれた内容であったとは言えるはず。とくに、わりとしっとり目の曲をやった前半部はそう思わせるものであったな。

 ベース・クラリネット独奏からオルガン(パイプ・オルガンの代用と言える用い方で、ステージに置かれていたのはハーモニウムか)がさあっと入って行くものもあったし、最後の曲は曲調やモードがいろいろ変わる大作だった。縁の下の力持ち的演奏をしていたベーシストはその曲のソロ・パートでは肉声やスラッピングを用いて、個性を存分にアピール。他の奏者もそうだが、ブレイドは優秀な弾き手を本当に抱えていると思う。そういえば、最後の曲で2人のサックス奏者が一緒にフリー・ブロウイングする箇所に接して、70年代前半のエルヴィン・ジョーンズ表現(デイヴ・リーブマンとスティーヴ・グロスマンの2人のサックス奏者を抱えた)に対するオマージュがあるかもと、ふと思った。
 
 ブレイドのドラミングはよく歌う。定石を知りつつ、それを超えたところで、リズムのキープとサウンドの味付けとサウンド変化の促進を悠々と行なう。そのドラム音はもう少し柔らかいほうがぼくの好みだが、本当にドラマーとして、リーダーとして、図抜けた才を見せる人……。ぼくは死ぬまであと何回彼の演奏に触れ、何度頭を垂れることになるのだろう?

<今日の雨>
 ここ3日ほど、かなり雨が降っている。もともと雨の日に外出するのは好きではないが、こういう状況ゆえ、余計にいや。本日は、1号機がメルトダウンしていたことが報じられた。傘をさしていて歩いていると、ときどき口に雨が入る(正確には、唇に降って、濡れる)のはなぜ? 別に、乱暴な傘のさし方をしているつもりはないのだけど。あんた、それじゃ小学生だよと言われた。